松原 寛 院長の独自取材記事
大手町クリニック
(松山市/大手町駅)
最終更新日:2021/10/12

優しいまなざしが印象的な、「大手町クリニック」院長の松原寛先生。消化器内科の専門家として、四国がんセンターなどさまざまな医療機関で経験を積んだ後、2012年に同院を開業した。風邪や腹痛、生活習慣病といった一般的な内科疾患をはじめ、ペインクリニックの診療も行う。また経鼻経口上部消化管内視鏡や超音波診断装置を導入し、人間ドックや各種検診にも力を入れている。地域のかかりつけ医として患者の健康的な生活をフォローし、病気の早期発見・早期治療に尽力している松原先生。「一人ひとりの患者さんと笑顔でふれあえるクリニックを」という想いがひしひしと伝わるインタビューとなった。
(取材日2020年8月12日)
患者の悩みに寄り添う、地域のかかりつけ医
開業されるまでの経緯について教えてください。

愛媛大学医学部を卒業後、市立八幡浜総合病院や市立大洲病院、市立宇和島病院の内科で経験を積み、愛媛大学大学院で博士号を取得後は四国がんセンターに内科医師として勤務し、消化器領域のがん治療をはじめ、肺がんや血液がんなどに対しての化学療法にも取り組んできました。それから松山リハビリテーション病院では内科リハビリテーション科の医師としてリハビリにも携わりました。開業することになったのは、かねてよりお付き合いのあった「大手町クリニック・大西」の大西院長が引退されることになり、「ぜひ引き継いでほしい」と熱望されたことがきっかけです。2012年に内科・消化器内科として開業しましたが、麻酔が専門の大西先生が注力されていたペインクリニックの診療技術も直接指導いただき、引き続き取り組んでいます。
先生が医師を志したきっかけは何だったのですか?
家族を襲った病気が大きなきっかけでした。私が中学生の時に、当時まだ幼稚園に通う年齢だった妹がネフローゼ症候群にかかり、長期の闘病生活を経験しました。それでようやく退院したと思った矢先に、今度は父親がギラン・バレー症候群に倒れてしまったんです。そんな背景があり、医師を志すようになりました。妹の病気のこともあり、当初は小児科医師をめざそうと考えていたのですが、愛媛大学医学部で学んでいた頃に開発された電子内視鏡に興味を奪われまして。それが消化器内科へと進むきっかけになりました。
来院される患者さんの年齢層や、多い症状はいかがですか?

当院は内科・消化器内科の診療を中心に、人間ドックや各種検査、ペインクリニック、がん治療のほか、にんにく注射、そして脱毛なども行っていますので、患者さんもお若い方からご高齢の方まで幅広いですね。中には100歳を超えた患者さんも通院してくださっています。風邪や腹痛などの一般的な内科的疾患はもちろんですが、ペインクリニックの患者さんやアトピー性皮膚炎、アレルギーをお持ちの患者さんも多いです。もちろん自分の守備範囲を超える疾患に関しては専門の先生に紹介しますが、地域のかかりつけ医として、知識が及ぶ限りは患者さんの不調やお悩みに寄り添える医師でありたいと思っています。
診療の幅を拡げ、患者のニーズに応える
診療の際に心がけていることは何ですか?

まずは、丁寧にお話を伺うことですね。問診票の段階で、たとえ自分の専門外の症状だとわかっても、何もせずに帰っていただくようなことはしません。どんな症状でお悩みなのか、患者さんの言葉にしっかりと耳を傾け、自分が診療できない場合には信頼のおける専門の先生にお願いしています。何かあったとき、気軽に訪ねられる存在。それがかかりつけ医の本当の姿だと思うんですよ。それから、継続して通院していただいている患者さんに対しては、「何か困っていることはないですか?」という会話から診察を始めるようにしています。現在治療中の病状を把握した上で、例えば腰が痛いとか、肌の調子が悪いとか、他にもお悩みや痛みなどがあれば気軽に打ち明けていただけるように、まずはこちらから質問を投げかけることを大切にしています。
継続して通院されている患者さんはどのような症状の方が多いのですか?
喘息や高血圧、高脂血症など生活習慣病の患者さんが多いですね。私は糖尿病の専門ではありませんが、食生活の改善などにも力を入れています。ただ、カロリー計算など数値を意識して食生活を見直していくのは結構難しいですから、私が大切にしているのは実生活で生きる食事指導。患者さんの食生活やライフスタイルを細かくお聞きした上で、摂取し過ぎなものを指摘したり、逆に積極的に取り入れたほうがいい要素を具体的にご提案したり、リアルにイメージがしやすいアドバイスを心がけています。
先生が患者さんのあらゆる悩みにお応えしようと努めていらっしゃるのが伝わってきます。

開業以来、患者さんの悩みの方向性に合わせて診療の幅を拡げてきましたので、今後も「知りません」ということがないように、さまざまな知識を得ていかなければと考えています。当院が自由診療含めさまざまな診療を行っているのも、患者さんにいろんな治療の選択肢をご提案するためなんです。もちろん最初から自由診療を勧めるのではなく、例えば生活習慣病で体重を落とす必要がある場合、まずは食生活を見直したり、漢方を処方したりと保険診療でできるものから取り組んでいき、必要に応じて自由診療も視野に入れていきます。
早期発見のためには、検査の精度にとことんこだわる
がんの早期発見にも力を入れているそうですね。

四国がんセンターに勤務していた経験からも、がんをいかに早く見つけるかということには特にこだわっています。まず上部消化管内視鏡の検査においては、大学病院などでも使われているレーザー内視鏡の検査機器を導入。違う波長の光を当てることでがんが浮き出て見えるので、より精度の高い検査が可能です。それから、がんのスクリーニング検査としては、血液を用いた検査を実施しています。治療においても、患者さんが求めるものをご提案できるよう選択肢はそろえています。
検査機器や治療機器などもさまざまなものを準備されていますね。
そうですね。「地域のかかりつけ医」として、患者さんのあらゆるご要望にお応えしていく中で今の形になっていきました。嘔吐感が少ない鼻からの内視鏡も取り入れていますし、高画質の超音波診断装置(エコー診断装置)で肝臓や胆のう、腎臓、脾臓、乳腺、甲状腺などの診断も行っています。また、ペインクリニックにおいては、単に痛み止めを処方するだけでなく、赤外線治療器やブロック注射などを駆使し、メンタルケアを重視した診療を行っています。特に赤外線治療器は、体の深いところまで届く赤外線で血流を促進することで痛みや炎症の治療をしていくことに加え、温めることが、ストレスなどで緊張している神経にもいいとも考えられています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

私は、治療というのは患者さんに納得して選んでいただくものだと考えています。いろんな選択肢をご用意して、患者さんが望む治療に一緒に取り組んでいくことを大切にしています。ただ、何でも取り入れればいいということでは決してありません。結果が望める治療を、責任持って提供できるよう、私自身しっかりと知識と技術を身につけて、納得した上で導入しています。ですから、「どの科に行けばいいのかわからない」という場合には、まずは気楽に相談していただけたらと思います。明らかに内科の領域ではないことでも、もしかしたら診療が可能かもしれません。どんなことでも、自分にできることは諦めず、患者さんに寄り添っていきたいと考えています。
自由診療費用の目安
自由診療とは人間ドック(内視鏡検査を含む)/3万2000円、にんにく注射(ビタミン注射)/1100円、レーザー脱毛(両脇)/4400円、がん腫瘍マーカー検査:男性5種・女性6種/3万3000円