鎮静剤の使用も可能
同日に受けられる胃・大腸内視鏡検査
吉馴医院
(丸亀市/栗熊駅)
最終更新日:2024/10/16


- 保険診療
胃がんや大腸がんの罹患率が高まるのは、働き盛りの40代や50代から。早期発見のためには内視鏡検査が不可欠だが、仕事や子育てに追われる現役世代にとっては、何度も検査を受けに行くことが負担になりかねない。また検査そのものに対しても不安を覚えて、受診をためらう人が少なくないだろう。丸亀市の「吉馴医院」では、こうした患者の状況を踏まえて、鎮静剤を用いた同日内視鏡検査を提供。鎮静剤によって検査時の苦痛軽減を図りながら、胃・大腸の内視鏡検査を同日で受けつけている。そのスタイルは、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医である吉馴健太郎理事長が、同院を継承した2003年から続けているものだ。「健康でいなければいけない現役世代の方にこそ、検査を受けてほしい」と話す吉馴理事長に、同日検査の流れを詳しく聞いた。
(取材日2024年9月2日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q胃と大腸の内視鏡検査を、同じ日に受けることは可能ですか?
-
A
条件が合えば、可能です。同日の検査は時間的・経済的メリットが大きく、当院ではこの形式を希望する患者さんが多くおられます。便潜血検査が陽性で、大腸内視鏡検査を受けたけれども原因がわからず、胃の内視鏡検査を受けたところ胃がんが判明した、そんなケースも過去にはありました。同日検査であれば一度に確認ができるので、患者さんも楽ですよね。大腸内視鏡検査を受ける予定はあっても、胃の内視鏡検査やバリウム検査は1年以上受けていないという方はぜひ、同日検査をご検討ください。ただし吐血があり胃の内視鏡検査の緊急性がある、下剤が飲めないといった方々は同日検査ができませんので、事前の問診で一緒に相談しましょう。
- Q同日の内視鏡検査では、鎮静剤を使用しますか?
-
A
胃・大腸いずれかの検査でも、同日検査でも、患者さんが希望されれば鎮静剤を使用します。鎮静剤はある程度、作用の持続性が見込めるものですので、同日検査であっても使用量は増やさずに、そのまま次の検査へ移ることが多いです。お酒に強い体質の方や、精神安定剤、睡眠導入剤などを服用中の方には鎮静剤を追加することもありますが、それも少量で、作用が切れる時間はほとんど変わりません。ちなみに、同日検査は時間がかかると思われがちですが、大腸のみの場合と比べても、延長時間は10〜20分程度です。検査中にがんの芽となり得るポリープを発見し、その場で切除にあたるようなことがなければ、大幅に時間が延びることはありません。
- Qそもそも、どんな時に内視鏡検査を受けるべきなのでしょうか?
-
A
上腹部の痛みや不快感、便秘、下痢、血便といった症状がある場合、また健診で要再検査・要精密検査と言われた場合には、内視鏡検査を受けましょう。そして症状がなかったとしても、年齢が40代以上で、血縁者に胃がんや大腸がんの罹患者がいる場合は、定期的な内視鏡検査をお勧めします。胃がんや大腸がんの発症率は、男女ともに40代以上で上昇するからです。胃の内視鏡検査を受ける方は、同時にピロリ菌の検査も受けられると良いですね。胃がんの原因の1つとされるピロリ菌は、保持期間が長くなれば長くなるほど、病気を引き起こしやすくなります。早めに検査を受けて、感染していれば除菌を試み、病気になりにくい状態をめざしましょう。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1検査を予約し、医師の問診と看護師の説明を受ける
-
まずは電話や窓口で、検査の予約を取る。同院では、診療時間内であれば月〜土曜まで、いつでも検査が可能だ。検査日の前には一度受診し、問診票を提出した上で、医師の問診を受ける。その後、ベテラン看護師から検査の流れや必要な準備、注意事項を聞く。本人が受診できない場合は、家族が代理で説明を受けて、検査用の下剤を預かる形でも良い。便秘がちな人には下剤のほか、便をやわらかくする目的の内服薬が処方されることも。
- 2食事を調整しながら下剤を服用。検査当日に備える
-
検査前日の朝は具のないスープなどの流動食、昼と夜は専用の検査食、もしくは消化の良い食事を取る。夕食から1時間後には下剤の服用を開始し、その後30分おきにコップ5杯以上の水分を摂取する。当日の食事はNG。検査4時間前までに下剤、30分おきにコップ3杯以上の水分を取る。下剤は自宅でも飲めるが、院内を希望する患者には、トイレの近くで場所が用意される。当日は首回りの汚れを防ぐため、タオルも持参すると良い。
- 3鎮静剤を用いた胃・大腸内視鏡検査を受ける
-
大規模病院クラスの内視鏡機器を置く検査室に入り、胃、大腸の順番で検査を受ける。時間は胃が10分、大腸が20分ほど。希望すれば鎮静剤も使用でき、ぼんやりとした状態で検査は進む。鎮静剤の使用量は血圧や脈拍、酸素濃度を見ながら調節し、安全性にも配慮。大腸の検査では、腸管への吸収が早い炭酸ガスを注入することで、検査後の腹部の張りを抑えている。大腸ポリープが見つかれば、同院あるいは高度医療機関で切除を検討。
- 4鎮静剤の作用が切れるまで、別室で休憩する
-
必要に応じて看護師に支えてもらいながら、検査室の隣にあるリカバリールームへ。体調が戻るまで、横になって休憩する。帰宅時の安全を確保するためにも、休憩時間は欠かせない。人の出入りがない個室のリカバリールームでは、周囲の目を気にせず、ゆったりと過ごせるだろう。30分から1時間程度休み、鎮静剤の作用が切れたら着替えを済ませ、検査結果の説明を待つ。
- 5検査結果と今後の流れについて、医師から説明を受ける
-
検査中に撮影された写真や消化管のイラスト資料をもとに、医師から結果説明を受ける。渡された資料は、すべて持ち帰ることが可能。鎮静剤の影響によって、うまく説明を理解できなければ、資料を持って再受診を。優しい医師が、もう一度丁寧に説明してくれる。検査で疑わしい病変が見つかり、組織を採取して詳しい検査に回す場合は、後日改めて来院する。再検査の結果が出るまでには、胃で1週間、大腸で8日程度の時間を要する。