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今井 弘子 院長の独自取材記事

くすはら整形外科・外科医院

(丸亀市/岡田駅)

最終更新日:2025/12/15

今井弘子院長 くすはら整形外科・外科医院 main

琴電琴平線・岡田駅から徒歩5分、「くすはら整形外科・外科医院」はのどかな田園地帯にある。今井弘子院長は、江戸時代から続く医師の家系の7代目。祖父らが「楠原病院」を開院、父が「楠原外科医院」として独立。その後、名称を変更し、1999年に継承した。香川県内で数人という女性の整形外科医師である今井院長は、まだ整形外科に女性医師が少なかった時代から、研究に診療に全力を尽くしてきた。苦労話もユーモアを交えて話す言葉の端々からは、医師として働くことの喜びが伝わってくる。「医師の仕事が好き」と語る今井院長に、診療や専門である骨粗しょう症について聞いた。

(取材日2025年10月31日)

医師家系の7代目として地域医療に貢献

整形外科の医師をめざしたきっかけをお聞かせください。

今井弘子院長 くすはら整形外科・外科医院1

江戸時代から続く医師の家系で、私で7代目です。初代は世界で初めて全身麻酔下での乳がん手術を行ったといわれる華岡青洲先生のもとで学んだそうです。当然私も医師になるんだろうと思っていたのですが、父の考えは「女性は家庭に入るほうがいいから医師にはなるな」。最終的に「近くの大学なら」という話になり、川崎医科大学に入学しました。父と同じ外科系が希望でしたが、直接生死に関わる科は精神的にきついと思っていたところ、大がかりな装置を使っての大腿骨骨折の手術のかっこよさに衝撃を受けて整形外科の道へ。当時は女性医師が少なく、私が整形外科の医局に入ったのは女性医師として先駆的だったようです。「だから女は困るんだよ」と言われたくなくて、がむしゃらに頑張りましたね。長時間の手術や治療に使う工具の名前がわからない、患者さんに医師だと思ってもらえないなど大変な面もありましたが、周囲のフォローもあり、続けられました。

どのような診療に対応していますか?

整形外科全般の診断、治療を行っています。高齢の患者さんが多く、主訴は腰や膝の痛み、肩が上がらないなど、体の痛みが多いですね。時代の流れもあり、外来のみにしましたが、縫合やアテロームの除去手術などは行います。女性や子どもの患者さんも多いですね。また、このエリアは昔から診療科に関わらず、「かかりつけ医院はここ」と決めている方が多いのです。湿疹でかゆい、腹痛、花粉症などの相談もあり、初期研修で内科や救急、放射線科、消化器外科、麻酔科などをローテーションした経験が生きています。隣には同じく楠原病院から独立した内科医院があり、感染症など私が対応していない病気、縫合が必要なけがなどをお互いにカバーしています。当院でできない手術や治療が必要な場合も、同級生や先輩などと顔の見える関係を築いているので、患者さんのご希望を考慮しつつ、適した医師をご紹介します。

診療時に心がけていることはありますか。

今井弘子院長 くすはら整形外科・外科医院2

診察のときはネイティブ讃岐弁です(笑)。いつも話している言葉だと患者さんも身構えずに話しやすいかなと思って、あえてそうしています。この辺りは過疎地域ですのでご高齢の方が多く、祖父の時代から通われている方もいらっしゃいます。若い方も「どなたかのお孫さん」ということも多くて。患者さんも医師側も3代続けてのお付き合いということもあり、一般的な患者さんと医師の関係よりは深く濃いお付き合いができているように思います。また、医師が女性のほうが話しやすいことってありますよね。私も子育てをしていますし、整形外科に関わらず、おしものことや小さなお子さんのことなども相談しやすい。昔はハンデでしたが、今はそこも強みだと思っています。

骨粗しょう症による骨折予防のため、骨密度測定を推進

先生のご専門についてお聞かせください。

今井弘子院長 くすはら整形外科・外科医院3

専門は骨粗しょう症で、大学院時代からずっと研究してきました。大学院時代に出産したのですが、培養や染色などタイムスケジュールが決まっている研究は子育てとの両立が難しい。そんな時に骨密度を測定する機械が登場したんです。当時は放射線を使って骨密度の測定をしていたので、放射線科の医師である夫が「性能が良い機械も入ったし、骨粗しょう症の研究なら子どもの面倒を見ながらできるんじゃないか」とアドバイスしてくれたのです。その機械が導入された核医学の教室に相談に行ったら、教授の専門がたまたま骨粗しょう症だったりと運も良かったですね。出産して半年後には夫とハワイ大学のオステオポローシスセンターに留学し、博士号も取得。そのまま大学に残って研究を続けたい気持ちはありましたが、父が病気になり、医院を継承する必要があったので、地元に戻りました。

骨粗しょう症の検査や治療はどのようなことをするのですか?

腰が痛いなどと受診される方が多いのですが、まず腰椎と胸椎のレントゲンを撮り、圧迫骨折していたら、骨粗しょう症と診断します。そのほか、腰椎と大腿骨頸部の2ヵ所の骨密度測定と、骨代謝マーカーの測定を行い、総合的な判断をします。当院では半年に1回検査を行い、注射や薬による治療をしますが、通院の頻度はさまざまですね。食事では乳製品をお勧めしています。カルシウムは吸収率が低く、一番吸収率が良い牛乳でも50%ほどしか吸収しません。納豆の吸収率はさらに低くて、牛乳200ミリリットル分のカルシウムを納豆で取ろうとすると10パックも食べないといけません。だからとにかく乳製品を取ってほしいですね。

骨密度を測ることの意味や頻度について教えてください。

今井弘子院長 くすはら整形外科・外科医院4

骨密度を測る一番の目的は、骨折を防ぐことです。特に注意が必要なのは大腿骨頸部骨折で、3割が要介護、2割は1年以内に亡くなるといわれています。ですから年齢に関わらず、骨密度を測定することが大切で、2027年から丸亀市の検診にも骨密度測定が組み込まれる予定です。もともと細くて普段あまり運動をしない人、身長が以前より低くなった人、出産回数が多い人、母乳が1日1.8リットル以上出た人、ステロイドの使用経験や糖尿病やリウマチの人もリスクがあります。また、骨の質は食事や運動など生活様式に影響を受けるので、母親や祖母が骨折した人は注意が必要です。女性の場合、閉経すると10%ほど骨密度が下がるといわれています。閉経の影響を知るためにも、閉経前後にそれぞれ計測し、その後も自分の状態に合わせて定期的に計測し、必要があれば治療を行うのが理想です。

目標は、患者とともに「元気に、健やかに老いる」

医院の建物や設備にもこだわりが詰まっているとか。

今井弘子院長 くすはら整形外科・外科医院5

1997年に戻ってきましたが、大学院時代から毎週土曜はここで診察していたので、患者さんの継承はスムーズでしたね。1999年に現在の名称に変更し、建物も新築。2001年に院長に就任しました。女性らしさも出したいと設計士さんと相談して、一面をガラス張りにしました。夏の暑さが想定外でしたが、朝顔のグリーンカーテンで対策をしており、県の「かがわ緑のカーテンコンテスト」で賞もいただきました。また、雑誌で見て気に入ったソファーを待合室に置きたくて、最初から組み込んで計画しました。2階はリハビリ室があり、吹き抜けから見下ろす待合の雰囲気が気に入っています。設備面ではエコーの導入ですね。レントゲンでわからない骨折や、できものが悪性かどうかの見極め、筋肉が切れていたり、血漿がたまっているといった状態も、しっかり診ることができるようになりました。

休日は何をされていますか?

料理がすごく好きで、料理番組や本を見て「作れそうだな」と思ったら、試してみます。実は昨日も朝4時から圧力鍋で煮込み料理を作りました。結婚以来、おせち料理は作り続けていますし、冷蔵庫の整理も得意で、夫には「残りものの魔術師」と言われています。太らないようにストレッチや筋トレもしますし、飛行機が好きでフライトレコーダーを見たり、アプリで航空管制をオンタイムで聞くのも楽しみです。特に戦闘機が好きで、県外まで見に行ったこともあります。

今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

今井弘子院長 くすはら整形外科・外科医院6

高齢者に寄り添っていける医院であり続けたいと思っています。私自身も、患者さんと一緒に「元気に、健やかに老いる」を実践していきたいですね。今、漢方に興味があって自分の冷え性に試したりと勉強中です。また、更年期の女性が直面するメノポハンドという不調が近年注目されています。手指のこわばりやしびれ、痛みなどが主な症状で、生活の質に直結します。体の不調は痛みから気づくことも多いと思いますが、痛みは整形外科の得意分野。気軽に整形外科を受診していただければと思います。

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