平田 裕二 院長の独自取材記事
平田内科
(広島市安佐南区/中筋駅)
最終更新日:2025/11/05
父親の代から地域の健康を守り続けて35年。内科と血液内科を診療する「平田内科」は、アストラムライン中筋駅西出口より徒歩2分という好立地にある。院長の平田裕二先生は血液内科が専門。大阪医科大学(現・大阪医科薬科大学)を卒業後、同大学附属病院などで長年研鑽を積んだ。同院には2015年より勤務し、2023年からは父親に代わり院長を務める。診察では血液の検査結果に不安を抱く人の再検査や、白血病などの血液疾患の診療はもちろん、大学病院でのフォローが終了した患者の診療も手がけている。そんな平田先生が大切にしているのが予防医療。柔和な笑顔の平田先生に予防医療の大切さなどを中心に話を聞いた。
(取材日2025年10月1日)
院内の検査で血液疾患の有無を迅速に診断
開業して35年を迎えられたのですね。

当院は1990年に父がこの土地に開業し、現在に至っています。既に父は診療の場から離れましたが、糖尿病や甲状腺疾患などの代謝内分泌を専門としていたため、今もそれらの疾患の患者さんが多く来られます。私は2015年に当院に入職しました。専門が血液内科なので、入職した2015年に血液内科を開設しました。この辺りは1994年にアストラムラインが開通して人口が増えたエリアです。そのため患者さんは、もともとこの地域で農家だった方々、アストラムラインが開通する前にこの地に来られた方々、開通後に転勤などで来られた比較的若い方々と3つに分かれている印象です。患者さんの年齢層は中学生からご高齢の方までと幅広いですね。近くに大学もあるため学生の患者さんも多く来られます。
診療内容はどのようなものですか?
診療科目は内科と血液内科です。内科では生活習慣病を含む内科疾患・症状全般の診療を、血液内科では白血病や悪性リンパ腫をはじめとする血液に関わる疾患の診療を行っています。すべての疾患は事前の予防が大切となるため、健康診断やがん検診など各種検診にも力を入れています。実際、健康診断で血液の数値が悪く、不安を感じて当院に来られる患者さんは多いですね。しかし、血液の数値は体調によって大きく左右するものですし、検査の日に体調が悪かったということもありますから、過度に心配せず、再検査を受けていただければと思います。当院での血液検査は、血液疾患の疑いがあり外部に詳細な検査を依頼するようなものを除き、5~10分で結果が出る点がメリットですね。また、インフルエンザワクチンをはじめとした各種予防接種や、大学病院から紹介された患者さんのフォローアップも行っています。
診療方針についてお聞かせください。

血液疾患の疑いは不安を感じるものなので、迅速な検査を行い、その結果に応じて大学病院など提携病院に速やかに紹介するように心がけています。当院では血液検査・生化学検査・尿検査用の検査機器やエックス線撮影装置、エコー検査装置などがそろっているため、一通りの検査を受けていただけます。一方で大学病院で血液の疾患、白血病、骨髄移植などの治療とフォローを終えた方や、今現在大学病院で抗がん剤治療を受けている方などは抵抗力が弱くなっており感染症を起こしやすいため、十分に注意して診療にあたるようにしています。これらの重い疾患の場合は、当院で診療を行うこともあれば、近隣の病院をご紹介するケースもあります。
予防医療を重視し、苦しみの少ない未来へ患者を導く
患者さんと接する時に心がけていることは何ですか?

話しやすい雰囲気づくりを心がけています。私も患者として病院にかかる時、先生が怖くて聞きたいことを聞けないこともあるので、患者さんに対しそのような対応をしてはいけないという思いを持っています。実は、中学時代には交通事故に遭い、高校時代は椎間板ヘルニアを患って半年ほど自宅療養をした経験もあります。そのような患者寄りの目線を持っているためか、患者さんからはさまざまな質問をいただきますね。
予防医療を大切にされているそうですね。
大学病院の医局で、重い状態の入院患者さんを多く見てきました。そこでは予防の一環として、感染症の予防薬の効果を試したり、骨髄移植後の患者さんにワクチンを打つ手伝いなども経験しています。これらの経験から、予防医療の大切さは身にしみています。高血圧や高脂血症などの生活習慣病や骨粗しょう症なども予防が重要となるため、患者さんには規則正しい生活や運動の大切さをお話ししています。しかし、血液疾患は事情が異なります。血液疾患は突然に遺伝子変異が起こることで発症したりと、まるで事故のような側面があるのです。罹患された患者さんの体形が生活習慣病の患者さんと似ていることもあるため、間違えず常に適切な診断ができるよう細心の注意を払っています。
スタッフさんとの連携や、先生のご趣味についても教えてください。

スタッフには恵まれていて、最高の布陣だと思っています。当院のスタッフは事務職、看護師、検査技師で構成されていて、皆さん本当によく動いてくれます。ご高齢の患者さんは認知症を患っている方も多いため、管理栄養士やケアマネジャーの資格を持っている者など専門のスタッフがいてくれて助かっています。血液内科は採血や点滴が多い現場ですが、看護師はみんな注射が上手なので安心してください。スタッフはみんな仲が良く、全員で食事会を催すこともあるんですよ。私の趣味は料理で、家族の分も作ります。医療はゴールがないため、料理のようにゴールがあり、しかもおいしいことは息抜きになりますね。特にスパイスカレーが好きでよく作ります。先日はクリニックのスタッフたちとスリランカ料理を食べに行きました。
血液に関する悩みと不安を解消し続けていく
医師を志した理由とその道のりをお聞かせください。

父が医師で親戚にも医師がいたため、成育過程で自然と医師の道に進む雰囲気がありました。兄も医師となり、現在は大学病院で勤務しています。文系に進みたいと思った時期もありましたが、大阪医科大学(現・大阪医科薬科大学)に進学しました。いずれ父の後を継ぐという思いがあったため、卒業後は同大学病院で内科に入局しました。初めの2年間は入院患者さんを受け持ったのですが、入院患者さんだけを診ていると外来の様子はなかなか見えてきませんでした。神経内科、糖尿病内科、内分泌内科など各科のローテーションでさまざまな経験を積むうちに、患者さんの状態に応じた対応の仕方が徐々につかめるようになりました。
血液内科を専門に選ばれた理由は何でしょうか?
ローテーションでさまざまな分野にふれた中で気になったのは、循環器科と血液内科でした。循環器疾患のある患者さんは目の前で急変するケースもあり、どのくらい急いで治療にあたるべきかがつかみにくいのです。そのため、循環器の勉強の重要性を感じました。一方で、血液内科の疾患の治療は長い時間がかかるため、ローテーションで担当する2ヵ月間では、病気の全体像はわかりません。また、入院患者さんを担当していたため、同じ血液内科の疾患でも外来で診るような疾患を診る経験ができず、血液内科の疾患の全体像を把握できない点が気になっていました。それらの理由から、循環器科か血液内科のどちらかに進もうと思っていたのですが、血液内科の先生が尊敬できる方だったので、その方に師事するかたちで血液内科を専門に選びました。血液内科は全身を診ることができるため、選択は正しかったと思っています。
今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

血液疾患に関する治療をしっかりと続けていきたいですね。血液内科のあるクリニックはあまり多くないため、近隣の皆さんのお役に立ちたいと思っています。先ほどもお話ししたように、健康診断で血液検査の数値が悪かったなど、気になることがあれば気軽に来院してほしいと思います。また近頃では、スポーツをしている中学生や高校生が、コーチにスポーツ貧血を疑われて来院されることもあります。成長期と重なった鉄分欠乏も考えられ、治療が必要なケースもあるため気になったら早めに相談してほしいですね。最近はインターネットで病気を調べ、不安を抱いて来院される方が増えました。ネット検索するよりも来院して診察を受け、早く安心していただきたいと思っています。地域の皆さんの健康を守り不安を取り除くため、スタッフ一同さらに邁進してまいります。

