中川 了輔 先生の独自取材記事
中川外科胃腸科肛門科
(広島市東区/広島駅)
最終更新日:2026/04/13
広島駅北口(新幹線口)から徒歩約10分の「中川外科胃腸科肛門科」は、地域医療を支えてきたクリニックとして40年以上もの歴史を持つ。同院では、消化器外科と肛門外科を専門とする中川健二院長と、中川了輔先生が親子二人三脚で、消化器や肛門など、内科から外科まで幅広い診療に取り組んでいる。今回は「東京女子医科大学消化器病センター」やアメリカ・フロリダの「モフィットがんセンター(Moffitt Cancer Center)」などで研鑽を積み、消化器外科全般をはじめ、人間ドックや肛門外科など幅広い分野で経験を重ねてきた了輔先生に、同院の強みや今後の展望について聞いた。
(取材日2026年2月25日)
基幹病院や海外留学で培った知見を地域医療に生かす
医師をめざしたきっかけについて教えてください。

医師になろうと思った背景には、親族や家族に医師が多いという家庭環境がありました。幼い頃からなんとなく医師になるのだろうと思っていましたが、本格的に志したのは浪人時代です。今後をどうするのか迷っている中で、祖母から「自分のやりたいことを見つけなさい」と一声かけられたんです。その言葉が心に残り、改めて将来を真剣に考えた末、医師の道を歩もうと決意しました。実際の医療現場に立った時に「自分の手で患者さんを治したい」と強く感じて外科の道へと進み、「国立国際医療研究センター」などで外科分野について幅広く学び、経験を積みました。救急の外来では消化器外科の症例が多かったこと、さらに院長である父も消化器外科出身だったこともあり、最終的に消化器外科を専門とすることに決めました。
その後は、どのような進路を歩まれたのでしょうか。
「東京女子医科大学消化器病センター」に入局しました。外科だけでなく内科や内視鏡まで一貫して学べる体制の中で、診断から手術、検査まで総合的に技術を身につけることができ、その経験が今の診療にもつながっています。日本消化器外科学会消化器外科専門医と日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医の資格を取得後はアメリカ・フロリダへ留学し、大腸がんの細胞免疫治療の基礎研究に携わりました。帰国後は大腸外科を中心に、内視鏡や肛門外科でも研鑽を重ね、大学では病棟業務に加えて外科病棟医長や副医局長も務めました。その後は当院の今後を見据え、クリニック勤務も経験しました。訪問診療にも携わり、ターミナルケアの現場にも向き合いました。医師として最初の15年間を密度高く過ごすことができたのは、恵まれた環境のおかげだと感じています。
こちらで診療するようになった経緯について教えてください。

当院は父である中川健二院長が開業し、院長を頼って40年近く通っている患者さんも多くいます。私が今ここで診療できているのも、健二院長がこの地域で築き、守り続けてきた信頼があるからこそです。実は、最初からクリニックを継ぐつもりだったわけではないんです。基幹病院の現場には日々新しい発見があり、大きなやりがいも感じていました。そのため、自分のキャリアをどこに置くべきか、長く悩みながら考え続けていたんです。一方で、地域医療を支えることの大切さも強く感じていました。そうした中で、これまで培ってきた技術をこの地域の方々に還元できるのではないかと思うようになり、当院で働くことを決めました。
了輔先生が加わり、ウェブ予約やホームページなどが充実したと伺いました。
私が加わってから、ホームページの強化などに取り組んでいます。地域医療として来院される方だけでなく、自分の技術を必要としている方に届くような環境づくりを広げているところです。若い患者さんにとっては、忙しい中でも利用できるウェブ予約などの仕組みは欠かせないものだと思います。その利便性を保ちながら新しい患者さんにも来ていただきつつ、これまで通ってくださっている再診の患者さんも大切にしていきたいと考えています。地域の患者さんは、診療の中でゆっくり話をしたいという方も多いので、そのバランスは難しいところですね。どちらの患者さんにも対応できるように努めています。
消化器・肛門を専門に、内視鏡検査から手術まで対応
初めて受診される方は、どのような不調で来られることが多いですか?

当院は肛門疾患に力を入れていることもあり、お尻のトラブルで来院される方が多いです。また、便潜血検査が陽性になり、二次検査として大腸カメラ検査を受けられる方も多いです。肛門疾患の専門的な診療に加え、内視鏡検査も行えることが、当院の大きな強みだと思います。他院ではなかなか問題が解決せず、専門的な話を聞きたいと受診される方もいます。「この先生なら」と紹介されて来てくださる方も多いように感じています。
消化器疾患で内視鏡検査を希望する方も多いかと思います。不安を取り除くための工夫などはありますか?
まずは初対面で、いかに信頼関係を築けるかが大切だと思っています。内視鏡は薬も機器も日々進歩しており、以前に比べて痛みや負担の少ない検査が可能です。ただ、それは実際に受けてみないとわからない部分もあると思います。だからこそ、来院された段階でできるだけハードルを下げることで「まずは一度受けてみよう」という動機づけになればと思っています。また、当院では先進のAI機器も導入し、検査の質にもこだわっています。AIを導入した最大の理由は、検査数が増えるほど人間は疲労し、見落としのリスクが高まると考えているからです。ただし、最終的な判断は、医師の経験に完全に代えられるものではありません。そのため、疑わしい部分については必ず病理検査を行い、患者さんにも丁寧に説明した上で、納得していただくよう心がけています。
対応している手術について教えてください。

基本は肛門外科領域の手術です。痔の治療や、イボを取るといった小手術、また外傷による手術にも対応しています。手術室を使用して行うケースの多くは、肛門疾患に関するものです。また、基本的には日帰り手術で対応しています。朝来院していただき、昼頃に手術を行い、夕方には帰宅という流れです。翌日に受診していただく場合もありますが、皆さんお忙しいですから、できるだけ負担の少ないかたちを考えています。
地域に寄り添い、頼られる医師をめざして
今後の目標についてお聞かせください。

大腸がんの早期発見・早期治療の重要性を、これからも地域の方々に伝えていきたいと考えています。大腸カメラで発見できる粘膜がんの段階であれば、リンパ節転移はほぼ0%とされています。そのため、内視鏡で切除できる段階で見つけて、治療することがとても大切です。例えがんでも、ステージ0の状態で見つけることができれば、5年後もご家族と普段どおりの生活を送れる可能性が高く、早期発見の意味は非常に大きいと感じています。また、検査に不安を感じている方も多いです。「受けてみたら思ったよりつらくなかった」と思ってもらえるよう、できるだけリラックスして検査が受けられ、検査後もゆっくり休んで帰れるような環境づくりを大切にしています。
日々の診療で大切にしていることはありますか?
地域の医師としての役割を大切にしたいと考えています。おなかのこと、お尻のことであれば「ここに来れば大丈夫」と思える場所にしていきたいですね。それが、地域のためにも、患者さんのためにもなるのではないかと考えています。健二院長のコンセプトである「納得のいく診療」も、しっかり受け継いでいきたいです。また、基幹病院の先生方とも協力しながら、手術後の患者さんのフォローやバックアップも担っていきたいと考えています。単に検査をして終わりではなく、患者さんが何を求めて来院しているかを一人ひとり考えながら診療していくことが、当院に求められている役割だと思っています。
今後の展望について教えてください。

今後は、内視鏡はもちろん、消化器全般をトータルで診ていける体制を続けていきたいと考えています。そのためには忙しい方でも気軽に手術を受けられる環境づくりも重要だと思っています。なお当院では、江戸時代から行われていた手法を応用した分離結紮術という、いわゆる「切らない手術」も導入しています。イボを糸でくくって切除するようなイメージで、メスを使わないため出血などのデメリットが少ない方法です。消化器から肛門まで、悩みがあれば気軽に相談できる存在として、これからも診療を続けていきたいと思っています。

