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向田 哲規 院長の独自取材記事

広島HARTクリニック

(広島市南区/広島駅)

最終更新日:2021/10/12

向田哲規院長 広島HARTクリニック main

JR広島駅の南口3番出口から徒歩3分の便利な場所に、不妊治療を専門に行う「広島HARTクリニック」。1990年開業、2011年に向田哲規先生が院長を引き継ぎ、2017年に移転改装し診療を続けている。体外受精を中心とした生殖補助医療を行うクリニックとして、多くの実績を積み重ねてきた。現院長の向田先生は、副院長時代から臨床だけでなく研究活動にも積極的。常に先進の医療を視野に、臨床医療の技術を磨き、スタッフの育成に努めてきた。不妊治療に100%はないとしながらも、時間稼ぎをせず、患者に寄り添いながら時に背中を押す、力強く温かいドクターだ。

(取材日2020年9月9日)

不妊治療を続ける人の「最後の砦」でありたい

クリニックのコンセプトや特徴を教えてください。

向田哲規院長 広島HARTクリニック1

当院は「難治性不妊治療専門施設」と銘打っているとおり、生殖補助医療に特化したクリニックです。体外受精・人工授精、胚移植、着床不全対策、不育症などの検査及び治療、卵子・精子・受精卵の凍結保存も含め、ARTと呼ばれる生殖補助医療全般について専門的な技術を集積し治療を行っています。1990年の開設以来、当院は体外受精を中心とした不妊治療を進化発展させながら続けてきました。その一つの成果に受精卵を凍結保存する際に、氷の結晶ができないよう水分を除去し、液体窒素内でマイナス196゜Cまで一気に低温処理する「ガラス化保存法」を考案し、世界に向けて発信し、臨床応用してきました。

受診から治療までの流れを教えてください。

向田哲規院長 広島HARTクリニック2

初診の方はまずウェブで問診の情報を入力いただき、来院時にパンフレットやDVDで治療法を理解いただいた上で医師の診察があり、治療方針決定後ナースからの説明があり、希望であれば、その次の生理周期から体外受精を始めることが可能です。当院の受精卵培養室は大学の研究室レベルの質の高い作業が行え、顕微授精などを担当する培養士は生物生産学科等での研究経験をもっております。絶えず新しい設備を導入し、技術を磨いたスタッフが受精卵と胚の管理を行います。こうして維持される良好な状態の胚を、生殖医療を専門とする医師が生理学的に適切と判断できるタイミングで患者さんの子宮に戻し、出産までスタッフ一同で患者さんを支えます。

患者さんはどのような方が多いのでしょうか。

広島県内だけでなく、関西・中国・四国・九州など西日本各地からいらっしゃる方も少なくありません。受診のきっかけは、およそ半分が産婦人科の他院・基幹病院の医師からの紹介です。もうほかに行くところがないというようなご夫婦にとって、最後の砦のような存在になっていますし、そうありたいと願っています。不妊治療は普通の病気とは違いますから、続けるか諦めるか、どちらかの選択しかないんですね。だからこそ短期間で結果が出るよう、設備を整えて技術力を磨き「私たちにしかできない」と胸を張れるほど、努力しているつもりです。当院を本当に必要とされている患者さんだけが来てくれたらいい、当院で妊娠できなかったらほかのどこでも無理というレベルの医療を提供したい、みんながそれだけの覚悟で取り組んでいます。

安全で教育・医療を整えた日本に一人でも多く子どもを

先生個人やクリニック全体の方針として、どんなことを心がけていますか?

向田哲規院長 広島HARTクリニック3

当院は、長年の不妊治療で結果が出ず苦しんできた患者さんが、それでも自分たちの子どもを持ちたいと願って訪れるクリニックです。単に高度な医療技術を提供すれば十分ではなく、ご夫婦の心も体も大切に考えて診療を行っています。今までの悩みもこれからの不安も医師やスタッフにゆっくりお話しいただけるよう、院内をデザインしました。ゆったりとした診察室で医師と相談でき、看護師からの説明もすべて個室で行います。不妊治療専門施設のため妊婦さんが来院することはなく、クリニックのある建物とは別棟にキッズルームを用意し、子どもさんを預けたのち来院していただく対応にしています。感染症対策も適切なシールドや検温チェックシステムを用意して、できる限りの対応を行っています。

医師の仕事や産婦人科を選んだきっかけを教えてください。

向田哲規院長 広島HARTクリニック4

医学部進学によって6年間の医学生としての学生生活の中で、「人のために生きてこそ人」という社会における基本を知ることができ、臨床医として真摯に医療に取り組めば、人のために役に立つ存在になれる、「夢に向かって日々精進」という信念で医師をめざすことにしました。産婦人科を選んだのは、誕生に向き合う治療は、より幸せなシーンに立ち会う機会が多い臨床科目であると感じたからです。中でも不妊治療をめざしたのは、なかなか授からないというご夫婦のお手伝いの中で、多くの感動を経験したからです。そして6年間の海外滞在から、世界には紛争が絶えない国、適切な教育を受けることができない国が多い中、日本では少なくとも生命の危険はなく、努力すれば道が開ける可能性があります。日本に一人でも多くの子どもが増えることは世界平和・安寧に貢献できる存在が増えることにつながると考えています。

入職されて25年、院長として10年になるそうですね。

大学を卒業し、産婦人科に入局後、国内外で産婦人科医として研鑽を積み、アメリカ留学中にマイアミ大学医学部併設の体外受精プログラムに関与しました。その後生殖補助医療(ART)を極めるため、 ニューヨーク、ニュージャージー州のダイヤモンド不妊治療専門クリニックで5年間さらに研究・臨床を継続しました。広島に帰り、日本でも早くから不妊治療民間クリニックとして体外受精を行う広島HARTクリニックを知り、副院長として勤務を開始し、さらなる研鑽を積みました。2015年にクリニック全体を継承し、2017年にはARTの充実のため広島駅前に移転し、職員40人体制で採卵件数が年間1000件以上が可能な施設として既に4年目となります。この分野は科学技術の進化発展で、より高度なものになり、患者さんのニーズも多様化するため絶えず進化させる意気込みが施設のトップである理事長には必要と考えています。

人生の最後まで産婦人科の医師として働きたい

日本発の生殖医療も手がけてこられたそうですね。

向田哲規院長 広島HARTクリニック5

当院では生殖補助医療(ART)に関連する技術、例えば顕微授精法をさらに進化させたPIEZO ICSI法、卵や受精卵の凍結保存法の一つであるガラス化保存法による妊娠出産など、先端技術の応用によりこの分野の技術革新に積極的に取り組みました。ガラス化保存法は、高知大学農学部の葛西教授から学んだ低温生物学を応用してつくり上げたものですが、今では世界各地で採用されています。僕自身は、アメリカのマイアミ大学、ニュージャージーやラスベガス、ベルギーのブリュッセル、ハンガリーのブタペスト、オーストラリアのメルボルンの研究所で、世界中の医師や科学者と共同研究を行ってきました。多民族国家のアメリカであっても、自分の子どもを残して命を次世代につなぎたい思いは同じ、人類の普遍的な願いです。この分野に特化することが僕の役割であり存在価値ではと考え、自分にしかできない究極の不妊治療を提供したいという動機になりました。

忘れられない経験があれば教えてください。

向田哲規院長 広島HARTクリニック6

高知大学医学部附属病院に勤務していた際、主治医として担当して患者が、排卵障害があったため卵巣刺激を行い、排卵を何とか起こし、不妊治療管理を行った際の経験です。当方は一人の患者さんの不妊治療とその後の妊娠出産管理を産婦人科医として対応しただけですが、その家族だけでなく祖父母も含めみんなが幸せになれる瞬間に立ち会うことがありました。これが他の診療科と違う産婦人科の良さであり、不妊治療は天職と考えるに至り、日本生殖医学会認定生殖医療専門医として役立つ間は診療を続けるつもりです。

読者へメッセージをお願いします。

不妊治療で悩んでいる患者さんには、ご自分の受けている治療に本当に納得できているかどうか、考えてみていただきたいです。先生が忙しそうなので十分に話ができなかった、聞きたいことが聞けなかったとしたら、それは違うのではないかと思います。すべての患者さんを妊娠させることは難しいですが、どんな結果になってもベストを尽くして努力をし、納得いく治療ができたと思えることが重要です。自分の卵子での挙児がかなわなかった場合でも、その他のオプションとして他人の卵子・精子をもらう、養子縁組をするなど、家族をつくるという他の人生の選択に踏み出せるのではないでしょうか?

自由診療費用の目安

自由診療とは

体外受精/40万円~、人工授精/1万5000円~、胚移植/5万円~、不育症治療/5000~5万円、凍結保存(精子/1万円、卵子及び受精卵/5万円)

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