清水 啓史 先生、兒玉 達夫 先生の独自取材記事
清水眼科
(松江市/乃木駅)
最終更新日:2025/06/24

松江市上乃木のけやき通り沿いにある「清水眼科」は、清水啓史先生の父で理事長兼院長の清水正紀先生が1985年に開業。前身は江戸時代から続く歴史ある医院だ。清水先生は沖縄の琉球大学医学部を卒業し、沖縄県内の総合内科で広く全身を診るトレーニングを受けた後、眼科に進んだという異色の経歴を持つ。特に難症例の白内障手術や硝子体手術の経験が豊富で、島根大学では若手医師の手術教育にも携わっている。「人を大切にした、本質的な眼科医療」をモットーにする清水先生と、2025年から同院の医師として加わった、眼腫瘍治療の先駆け的存在である兒玉達夫先生に取材を行った。
(取材日2023年3月16日/記事更新日2025年3月13日)
患者を大切にした本質的な医療の提供をめざす
こちらは非常に歴史の長い医院だと伺いました。

【清水先生】私の家は、江戸時代初期から続く医師の家系で、380年以上にわたって松江の地域医療に携わってきました。私が物心ついた頃には祖父が東本町にて開業しており、その後、父が1985年に当院をこの場所で開業したので、その姿を子どもの頃から見ていましたね。私自身が診療に携わるようになったのは2020年からで、当時は島根大学に勤務しながら、週に1回だけ外来と手術を担当していました。2021年からは常勤となりました。
2025年4月より、新たな先生を迎えられたそうですね。
【清水先生】これまでは2人の医師で診療を行っていましたが、2025年7月に、分院の「たわやま清水眼科」をオープンすることになり、その関係もあって大学で一緒に働いたことのある兒玉先生にお声がけして、当院での診療に加わっていただくことになりました。新しく来てくださる兒玉先生は、理事長である父とも20年来の深いつながりがあり、山陰地区で長年眼腫瘍診療に従事してこられた方です。兒玉先生に来ていただくことで、分院開業後も診療や手術をスムーズに行えるようにし、今までの患者さんにも変わらず来ていただきたいと思っております。
兒玉先生のこれまでのご経歴について、お聞かせください。

【兒玉先生】私が島根医科大学に入局した当初は、白内障や緑内障、糖尿病網膜症など、広く眼科一般診療をやってきました。講師時代には、網膜剥離、未熟児網膜症、角膜移植といった他の先生方があまり手を出さない領域で研鑽を積んできました。大学院が腫瘍病理であったことから希少がんの一つである眼腫瘍に興味を持ち、眼科人生の大半を眼腫瘍の診断と治療に費やし、日本眼腫瘍学会の理事を務めています。また、島根大学眼科同門会と島根県眼科医会の先生方のご支援を得て、松江市で二度のシンポジウムを主催いたしました。米国のミシガン大学留学時に眼腫瘍以外の専門領域の先生方と友人関係を築くことができたのも、自分にとって大きな財産です。清水理事長とは旧知の中で、今後の道を考えていた時、一番に声をかけていただいたこともあって入職を決めました。当院での勤務の他、島根大学医学部付属病院先端がん治療センターの特任准教授も務めています。
先端機器を導入し、大学病院レベルの治療にも対応
院内設備でこだわったところはありますか?

【清水先生】私は硝子体手術を得意としていますので、その強みを生かして地域貢献していきたいという思いがありました。眼科の場合、「治療する」という意味では手術が切り札になります。そのために、白内障や緑内障、硝子体手術はもちろん、加齢黄斑変性の治療など、一般的には大学病院などの大きな病院で対応しているような専門的な治療も十分に対応できるよう体制を整えました。特に硝子体手術に関しては、街のクリニックで対応している医院は島根県内でも少ないと思います。そして、患者さんのQOV(Quality Of Vision)、つまり見え方の質を向上できるようにと考えていて、「術後の乱視を少なくしたい」「眼鏡なしで遠くも近くも見たい」など、患者さんの多様なニーズに応えられるような設備も整えています。
白内障と緑内障について教えてください。
【清水先生】白内障は、水晶体が濁って目が見えにくくなる病気です。主な原因は加齢ですが、その他にも糖尿病や紫外線などさまざまな要因で発症します。年齢的には50歳以降が多いですが、個人差が大きいのも特徴です。症状が出てから相談に来られる方が多いのですが、病院嫌いの方など、かなり見えにくくなっていても「まったく見えないわけでもないからいいか」と思ってそのままにしてしまう方もいます。また、受診すると手術をしないといけないのではと思い来院を躊躇する方も少なくありません。白内障については、症状があっても本人が困っていなければ無理に手術を勧めることはありませんので、安心して受診していただきたいですね。一方、緑内障は多くが無症状で病気が進行していきます。治療が遅れると失明してしまうこともあるため、血縁に緑内障の方がいる場合や、近視の強い方などは少し注意が必要なので、定期的に検査を受けることをお勧めします。
兒玉先生の専門分野についても詳しくお聞かせください。

【兒玉先生】眼腫瘍はその希少性から全国で眼腫瘍に取り組む眼科医が100人余りと少なく、眼科というマイナー科の中でも特にマイナーな領域です。まぶたでは脂腺がんや基底細胞がん、結膜では扁平上皮がんや悪性黒色腫、目の奥では涙腺がんといった悪性腫瘍を発症することがあります。がんは根治切除が基本ですが、がん腫全摘を優先すると眼球を失いかねません。大学では視機能をできるだけ温存するために化学療法や放射線治療を駆使してきました。眼腫瘍は悪性リンパ腫の頻度も高く、血液腫瘍内科をはじめ全科横断的にアプローチする必要があります。当院入職後も大学病院と全国の専門施設との連携を保っています。
患者の声に耳を傾け、オーダーメイドの診療を
医院として患者さんと接する際に大切にしていることは何ですか?

【清水先生】とにかく患者さんの話を聞くということですね。医師というのはどうしても説明をしたくなってしまうものですが、まずは患者さんのニーズや生活背景、自分の症状に対してのお考えを丁寧に把握することを大切にしています。そこを飛ばして一方的に説明しても、話が噛み合わず、うまく伝わらないことがあるためです。混雑しているときなどはどうしても一人ひとりの患者さんにしっかりと時間をかけることが難しいことも多いのですが、患者さんの表情なども見ながら、きちんと話を聞くようにしています。エビデンスのある正確な診断や治療であることは前提にありますが、一人ひとりに応じた答えを見つけていくことが大切だと思いますね。患者さんの本当の気持ちを聞かせていただき、一人ひとりに寄り添った治療法を考えていくようにしています。
そうした考えに至ったきっかけは何だったのでしょうか。
【清水先生】医師になって3年目の時に、当時勤めていた病院にアメリカで働いていた先生が帰ってきて、一緒に働くことになりました。その先生が患者さんのご家族と話す場に同席させていただく機会がありました。私自身は「この憧れの先生はどんなふうに素晴らしい説明をするのだろう」と期待をしていました。ところが、いざ話を始めると、その先生は自分から雄弁に説明するというよりは、患者さんやご家族の話を引き出すことに時間を使っていたんです。それまでの私は、患者さんの前では理路整然と説明し、いわば説得するような態度でしたので、その先生の姿勢に衝撃を受けました。一方通行の説明ではなく双方向のコミュニケーションをするために、まず聞くことが医師として何よりも大切だと学ぶことができた貴重な経験でしたね。
最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

【清水先生】今後もさらに質の高い治療の提供をめざすとともに、何よりも患者さんを大切にし続けていきたいと思います。何も症状がないとなかなか受診しようと思えないかもしれませんが、特に緑内障や加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症は早期発見・早期治療がとても大切です。発見時期が遅れてしまうと予後にも影響しますので、定期的に検査を受けていただきたいですね。また当院では、患者さんの多様なニーズに十分に応えられるように高度な検査機器や専門知識を持つスタッフをそろえています。最近は子どもの近視が増えており、オルソケラトロジーなどの小児の近視治療にも力を入れています。
【兒玉先生】他院で相談したがうまくいかなかったというようなお悩みでも構いません。目のことで何か心配なことや気になる症状があるようでしたら、遠慮なく相談にお越しください。
自由診療費用の目安
自由診療とは※オルソケラトロジー/初期検査料5000円、試しレンズ預かり保証金2万円、本治療代12万5000円