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清水 啓史 院長の独自取材記事

清水眼科

(松江市/乃木駅)

最終更新日:2023/04/14

清水啓史院長 清水眼科 main

JR山陰本線・乃木駅から徒歩約15分、松江市上乃木のけやき通り沿いにある「清水眼科」。清水啓史院長の父が1985年に開業した医院で、前身は江戸時代から続く歴史ある医院だ。清水院長は沖縄の琉球大学医学部卒業後、総合内科で広く全身を診るためのトレーニングを受けた後、東京女子医科大学八千代医療センターや北海道大学病院で眼科医としての研鑽を積んだ異色の経歴を持つ。白内障手術や硝子体手術を得意とし、難症例の手術も数多く経験しているドクターだ。「人を大切にした、本質的な眼科医療」をモットーに、患者一人ひとりの思いに寄り添いながら質の高い医療の提供をめざしている。穏やかな語り口と笑顔が印象的な清水院長に、診療に対する思いをさまざまに聞いた。

(取材日2023年3月16日)

患者を大切にした本質的な医療の提供をめざす

こちらは非常に歴史の長い医院だと伺いました。

清水啓史院長 清水眼科1

私の家は、江戸時代初期から続く医師の家系で、380年以上にわたって松江の地域医療に携わってきました。眼科としては、1886年に殿町で開院した「西川眼科」を前身に持ち、1956年に祖父が東本町にて開業、現理事長でもある父が1985年に当院をこの場所で開業しました。私自身が診療に携わるようになったのは2020年からで、当時は島根大学に勤務しながら週に1回だけ外来と手術を担当していました。2021年からは常勤となり、翌年院長に就任しました。

先生はもともと総合内科を専門とされていたと聞きました。

大学は沖縄の琉球大学医学部に進んだのですが、沖縄は救急医療や総合医療などアメリカ式の教育を行っていて、研修医教育のメッカのようなところでした。私の家は祖父も父も眼科医でしたが、私自身は体の全体的なことをまずは学びたいと思っていたので、2年間研鑽を積み、さまざまな診療科を回った後、全身を診る科である総合内科を選んで1年間学びました。将来的には眼科の道に進むのだろうと思っていましたが、当時はむしろ眼科以外のことを積極的に学んでいました。眼科だからといって目だけを診られれば良いというわけではなく、全体的なことを学ぶことが長い医師人生で役に立つことがあると思ったからです。

総合内科を学んだ後、千葉と北海道の大学病院で眼科医としての研鑽を積まれたそうですね。

清水啓史院長 清水眼科2

いつかは島根に戻ろうという思いは常に心のどこかで持っていたのですが、その一方で、それまではいろいろな場所で多くの経験を積みたいという思いもあったんです。沖縄で学んだ後は、東京女子医大八千代医療センターで眼科の基礎を学び、その後北海道大学眼科学教室に入局し、網膜硝子体についての専門的な経験を積みました。難治症例の手術も数多く経験することができましたし、いろいろな地域で診療できたことも貴重な経験だったと思います。

昨年院長に就任されましたが、どのような医院をめざしていますか?

「人を大切にした、本質的な眼科医療」というのをモットーに掲げています。これは私が院長就任後に考えたものです。前半の「人を大切に」という部分は、父が院長をしていた時から人を大切にしている医院だなということを感じていました。父だけでなく、昔から勤めているスタッフの皆さんも、患者さんに対して事務的に対応するのではなく、一人の人間として大切にしている様子が印象的でした。そういう姿を見て、自分自身もそうなりたいと思ったのです。後半の「本質的な眼科医療」という部分は、治せる疾患をきちんと治す、予防できる病気をきちんと予防する、何となくではなくてちゃんと患者さんの役に立つ医療を行っていきたいという想いで掲げています。

先端機器を導入し、大学病院レベルの治療にも対応

どのような患者さんが多く来院されますか?

清水啓史院長 清水眼科3

年齢的にはやはり昔から通っておられる高齢の方の比率が高いと思います。その一方で、コンタクトレンズも扱っているので若い世代の方もいらっしゃいます。主訴としては、花粉症やアレルギーなどの患者さんをはじめ、私が専門としている白内障や緑内障、加齢黄斑変性など網膜の病気の患者さんも多いですね。

院長就任後に、院内設備でこだわったところはありますか?

私は硝子体手術を得意としていますので、継承に際してもその強みを生かして地域貢献していきたいという思いがありました。眼科の場合、「治療する」という意味では手術が切り札になります。そのために、白内障や緑内障、硝子体手術はもちろん、加齢黄斑変性の治療など、一般的には大学病院などの大きな病院で対応しているような専門的な治療も、当院で対応できるよう体制を整えました。特に硝子体手術に関しては、街のクリニックで対応している医院は島根県内でも少ないと思います。そして、患者さんのQOV(Quality Of Vision)、つまり見え方の質を向上できるようにと考えていて、「術後の乱視を少なくしたい」「メガネなしで遠くも近くも見たい」など患者さんの多様なニーズに応えられるような設備も整えています。ただ、待ち時間の問題など課題もまだ残っているので、今後も改善を重ねていきたいですね。

白内障と緑内障について詳しく教えてください。

清水啓史院長 清水眼科4

白内障というのは、水晶体が濁ってくる病気です。圧倒的に多い原因は加齢ですが、その他にも糖尿病や紫外線などさまざまな要因で発症します。年齢的には50歳以降が多いですが、個人差が大きいのも特徴です。症状が出てから相談に来られる方が多いのですが、病院嫌いの人はかなり見えにくくなっていても「まったく見えないわけでもないから、まあいいか」と思ってそのままにしてしまう人もいます。また、受診すると手術をしないといけないのではと思い来院を躊躇する方も少なくありません。白内障については、症状があっても本人が困っていなければ無理に手術を勧めることはありませんので、安心して受診していただきたいと思います。一方、緑内障は多くが無症状で病気が進行していきます。治療が遅れると失明してしまうこともあるため、血縁に緑内障の方がいる場合や、近視の強い方などは少し注意が必要なので、定期的に検査を受けることをお勧めします。

患者の声に耳を傾け、オーダーメイドの診療を

先生が患者さんと接する際に大切にしていることは何ですか?

清水啓史院長 清水眼科5

とにかく患者さんの話を聞くということですね。医者というのはどうしても説明をしたくなってしまうのですが、まずは聞くことが大切だと思います。患者さんのニーズや生活背景、自分の症状に対してのお考えを丁寧に把握することを飛ばして一方的に説明しても、話が噛み合わず空回りしてしまったり、うまく伝わらなかったりするからです。混雑しているときなどはどうしても一人ひとりの患者さんにしっかりと時間をかけることが難しいことも多いのですが、患者さんの表情なども見ながら、きちんと話を聞くように気をつけています。表面的なことを引き出すだけであれば、アンケートに回答していただけば良いわけです。そうではなくて、一人ひとりに応じた答えを見つけていくことが大切だと思いますね。患者さんの本当の気持ちを聞かせていただき、一人ひとりに寄り添った治療法を考えていくようにしています。

そうした考えに至ったきっかけは何だったのでしょうか。

医師になって3年目ぐらいの時に、当時勤めていた病院にアメリカで働いてきたすごい先生が帰ってきて、一緒に働くことになりました。その先生が患者さんのご家族と話す場に同席させていただく機会がありました。私自身は「この憧れの先生はどんなふうに素晴らしい説明をするのだろう」と期待をしていました。ところが、いざ話を始めると、その先生は自分から雄弁に説明するというよりは、患者さんやご家族の話を引き出すことに時間を使っていたんです。それまでの私は、患者さんの前では理路整然と説明し、いわば説得するような態度でしたので、その先生の姿勢に衝撃を受けました。一方通行の説明ではなく双方向のコミュニケーションをするために、まず聞くことが医師として何よりも大切だと学ぶことができた貴重な経験でしたね。

最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

清水啓史院長 清水眼科6

今後もより質の高い治療の提供をめざすとともに、何よりも患者さんを大切にし続けていきたいと思います。何も症状がないとなかなか病院へ行こうという気持ちになれないかもしれませんが、緑内障や加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症は早期発見・早期治療がとても大切です。発見時期が遅れてしまうと予後にも影響するので、心配なことや気になることがある場合には、ぜひ一度受診していただきたいと思います。

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