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清水 啓史 院長の独自取材記事

清水眼科

(松江市/乃木駅)

最終更新日:2023/12/25

清水啓史院長 清水眼科 main

松江市上乃木のけやき通り沿いにある「清水眼科」は清水啓史院長の父が1985年に開業した医院で、前身は江戸時代から続く歴史ある医院だ。清水院長は沖縄の琉球大学医学部卒業し、沖縄県内の総合内科で広く全身を診るトレーニングを受けた後、眼科に進んだという異色の経歴を持つ。眼科医として東京女子医科大学八千代医療センターや北海道大学病院で研鑽を積み、難症例の白内障手術や硝子体手術も経験が豊富で、島根大学では若手医師の手術教育にも携わっているドクターだ。「人を大切にした、本質的な眼科医療」をモットーに、患者の思いに寄り添いながら質の高い医療の提供をめざしている。穏やかな語り口と笑顔が印象的な清水院長に、診療に対する思いを聞いた。

(取材日2023年3月16日)

患者を大切にした本質的な医療の提供をめざす

こちらは非常に歴史の長い医院だと伺いました。

清水啓史院長 清水眼科1

私の家は、江戸時代初期から続く医師の家系で、380年以上にわたって松江の地域医療に携わってきました。私が物心ついた頃には祖父が東本町にて開業しており、その後現理事長の父が1985年に当院をこの場所で開業していたので、その姿を子どもの頃から見ていましたね。私自身が診療に携わるようになったのは2020年からで、当時は島根大学に勤務しながら週に1回だけ外来と手術を担当していました。2021年からは常勤となり、翌年院長に就任しました。

ここを継承されるまでのご経歴を教えてください。

大学は沖縄の琉球大学医学部に進んだのですが、沖縄は救急医療や総合医療などアメリカ式の教育を行っていて、研修医教育のメッカのようなところでした。私の家は祖父も父も眼科医でしたが、まずは体の全体的なことを学びたいと思い、さまざまな領域を学んだ後、全身を診る領域である総合内科を選んで1年間学びました。将来的には眼科の道に進むのだろうと思っていましたが、全体的なことを学ぶことが長い医師人生で役に立つと思い、当時はむしろ眼科以外のことを積極的に学んでいましたね。沖縄で学んだ後は東京で眼科の基礎を学び、その後北海道大学眼科学教室に入局し、網膜硝子体についての専門的な経験を積みました。難治症例の手術も数多く経験できましたし、いろいろな地域で診療できたことも貴重な経験だったと思います。

昨年院長に就任されましたが、どのような医院をめざしていますか?

清水啓史院長 清水眼科2

「人を大切にした、本質的な眼科医療」というのをモットーに掲げています。これは私が院長就任後に考えたものです。前半の「人を大切に」という部分は、父が院長をしていた時から人を大切にしている医院だなということを感じていました。父だけでなく、昔から勤めているスタッフの皆さんも、患者さんに対して事務的に対応するのではなく、一人の人間として大切にしている様子が印象的でした。そういう姿を見て、自分自身もそうなりたいと思ったのです。後半の「本質的な眼科医療」という部分は、治せる疾患をきちんと治す、予防できる病気をきちんと予防する、何となくではなくてちゃんと患者さんの役に立つ医療を行っていきたいという想いで掲げています。

先端機器を導入し、大学病院レベルの治療にも対応

どのような患者さんが多く来院されますか?

清水啓史院長 清水眼科3

年齢的にはやはり昔から通っておられる高齢の方の比率が高いと思います。その一方で、コンタクトレンズも扱っているので若い世代の方もいらっしゃいます。主訴としては、花粉症やアレルギーなどの患者さんをはじめ、私が専門としている白内障や緑内障、加齢黄斑変性など網膜の病気の患者さんも多いですね。

院長就任後に、院内設備でこだわったところはありますか?

私は硝子体手術を得意としていますので、継承に際してもその強みを生かして地域貢献していきたいという思いがありました。眼科の場合、「治療する」という意味では手術が切り札になります。そのために、白内障や緑内障、硝子体手術はもちろん、加齢黄斑変性の治療など、一般的には大学病院などの大きな病院で対応しているような専門的な治療も十分に対応できるよう体制を整えました。特に硝子体手術に関しては、街のクリニックで対応している医院は島根県内でも少ないと思います。そして、患者さんのQOV(Quality Of Vision)、つまり見え方の質を向上できるようにと考えていて、「術後の乱視を少なくしたい」「眼鏡なしで遠くも近くも見たい」など患者さんの多様なニーズに応えられるような設備も整えています。ただ、待ち時間の問題など課題もまだ残っているので、今後も改善を重ねていきたいですね。

白内障と緑内障について詳しく教えてください。

清水啓史院長 清水眼科4

白内障は、水晶体が濁って目が見えにくくなる病気です。主な原因は加齢ですが、その他にも糖尿病や紫外線などさまざまな要因で発症します。年齢的には50歳以降が多いですが、個人差が大きいのも特徴です。症状が出てから相談に来られる方が多いのですが、病院嫌いの方はかなり見えにくくなっていても「まったく見えないわけでもないからいいか」と思ってそのままにしてしまう方もいます。また、受診すると手術をしないといけないのではと思い来院を躊躇する方も少なくありません。白内障については、症状があっても本人が困っていなければ無理に手術を勧めることはありませんので、安心して受診していただきたいですね。一方、緑内障は多くが無症状で病気が進行していきます。治療が遅れると失明してしまうこともあるため、血縁に緑内障の方がいる場合や、近視の強い方などは少し注意が必要なので、定期的に検査を受けることをお勧めします。

患者の声に耳を傾け、オーダーメイドの診療を

患者さんと接する際に大切にしていることは何ですか?

清水啓史院長 清水眼科5

とにかく患者さんの話を聞くということですね。医師というのはどうしても説明をしたくなってしまうのですが、まずは患者さんのニーズや生活背景、自分の症状に対してのお考えを丁寧に把握することを大切にしています。そこを飛ばして一方的に説明しても、話が噛み合わず、うまく伝わらないことがあるためです。混雑しているときなどはどうしても一人ひとりの患者さんにしっかりと時間をかけることが難しいことも多いのですが、患者さんの表情なども見ながら、きちんと話を聞くようにしています。エビデンスのある正確な診断や治療であることは前提にありますが、一人ひとりに応じた答えを見つけていくことが大切だと思いますね。患者さんの本当の気持ちを聞かせていただき、一人ひとりに寄り添った治療法を考えていくようにしています。

そうした考えに至ったきっかけは何だったのでしょうか。

医師になって3年目の時に、当時勤めていた病院にアメリカで働いていた先生が帰ってきて、一緒に働くことになりました。その先生が患者さんのご家族と話す場に同席させていただく機会がありました。私自身は「この憧れの先生はどんなふうに素晴らしい説明をするのだろう」と期待をしていました。ところが、いざ話を始めると、その先生は自分から雄弁に説明するというよりは、患者さんやご家族の話を引き出すことに時間を使っていたんです。それまでの私は、患者さんの前では理路整然と説明し、いわば説得するような態度でしたので、その先生の姿勢に衝撃を受けました。一方通行の説明ではなく双方向のコミュニケーションをするために、まず聞くことが医師として何よりも大切だと学ぶことができた貴重な経験でしたね。

今後の展望について教えてください。

清水啓史院長 清水眼科6

これから注力したいことは「子どもの近視の進行予防」です。このまま子供の近視が増加すると、将来的に黄斑変性や緑内障にかかる人が増えてしまうということで、全国的にも研究が進んできているのですが、こういった流れにいち早くのっていきたいと考えています。また院内では、土足のまま入れるようにしたり、トイレをバリアフリー対応にしたり、クレジットカード決済に対応したりするなど、さまざまな年代の方が来院しやすいように工夫をしてきました。今後も少しずつアップデートをしていきたいと思っています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

今後もさらに質の高い治療の提供をめざすとともに、何よりも患者さんを大切にし続けていきたいと思います。何も症状がないとなかなか病院へ行こうという気持ちになれないかもしれませんが、緑内障や加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症は早期発見・早期治療がとても大切です。発見時期が遅れてしまうと予後にも影響するので、心配なことや気になることがある場合には、ぜひ一度受診していただきたいと思います。

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