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岡空 輝夫 院長の独自取材記事

岡空小児科医院

(境港市/境港駅)

最終更新日:2024/04/04

岡空輝夫院長 岡空小児科医院 main

鳥取県境港市の幹線道路沿いにある「岡空小児科医院」。周囲にはスーパーマーケットやドラッグストアなどが立ち並び、人通りの多いエリアが広がるこの地に、院長である岡空輝夫(おかそら・てるお)先生が、大学や地域の基幹病院などでの勤務を経て開業。医療を通じて地域へ貢献したいという思いが強く、小児だけでなく一般内科の診察も幅広く受け入れている。クリニックの外観は打ちっぱなしコンクリートのおしゃれな雰囲気だが、院内に入ると待合室にはおもちゃなどで飾りつけられた楽しい空間が広がる。またテレビはなく、「待ち時間には絵本の読み聞かせをして、親子でコミュニケーションを取ってほしい」という思いから、本棚にはたくさんの絵本がずらり。そんな親しみやすさを感じる空間で、長く小児医療に携わってきた岡空院長の思いを聞いた。

(取材日2024年2月1日/更新日2024年3月24日)

最低限の医療で自己治癒力を引き出すように促す

境港市で開業して約30年。診療のモットーをお聞かせください。

岡空輝夫院長 岡空小児科医院1

開業前は大学病院などで勤務をしていましたが、自分が理想とする医療を追求したくて開業を決めました。私が理想として掲げたのは「ミニマルハンドリング・イズ・ベスト」。つまり最低限の医療を行い、あとは子どもが本来持っている自然治癒力を引き出すように促していくということです。保護者の中には濃厚治療を望む方もいらっしゃいますが、基本的には抗生剤の投与や過剰な検査を控え、薬の投与なども必要なときに必要な分だけ行います。ただ、医療は日々進歩しますし、私も勉強会などで新しい知見をアップデートし続けています。患者さんにとって必要だと感じた場合は、新しい設備も随時導入して、負担の少ない医療を届けられるようにしています。つい先日も2種類の医療機器の導入したところですが、これらが入れば検査がもっと楽になり、不調の原因究明もしやすくなると期待しています。

病気を未然に防ぐために、予防接種も推奨されていますね。

子育て中の方は実感されていると思いますが、今は乳幼児期に受けるべきとされている予防接種がとても多いです。十数年前まではなかったものもありますし、そういった意味ではスケジュール管理の大変さはあると思います。ただその反面、予防接種をするお子さんが増えたことで発熱から重篤な状況に陥るリスクの軽減につながり、昔に比べて乳児期の発熱がさほど怖くなくなりました。免疫を高めるためにも予防接種を受けてほしいと思っていますが、同時接種ができるものもあります。この先も安心して過ごしていただくためにも、なるべく推奨スケジュールに沿うかたちで進めてもらえればと思います。また当院では海外への留学や長期の海外出張などに備えて、破傷風や狂犬病などの予防接種も受けつけていますのでお気軽にご相談ください。

小児科専門ですが、大人の診療も受けつけているそうですね。

岡空輝夫院長 岡空小児科医院2

患者さんは生後2ヵ月くらいから高校生くらいまでのお子さんが多いのですが、何歳までが小児科で、という決まりはないですから、内科のかかりつけ医のように来院してくださる患者さんもいらっしゃいますよ。内科に関しては慢性疾患などの専門領域については他院を紹介することもあり得ますが、お子さんが風邪をひいて親御さんもうつってしまったような場合だと、一緒に診療させていただきます。当院は小児科ですが、地域のかかりつけ医としての使命感もありますので、できるだけ広く患者さんのお困り事に寄り添うことができればと考えています。

食物アレルギーの患者に向けた食物経口負荷試験を実施

先生が小児科医をめざしたきっかけを教えてください。

岡空輝夫院長 岡空小児科医院3

実家は酒屋で、私はその三男でした。長男は早々に医師の道を選び、次男が家業の後を継ぐことに。結果、私は自由の身となったため「せっかくなら世の中の役に立つ仕事に就こう」と思ったのが医師を志したきっかけでした。親戚にも医師がいましたので、幼い頃からその仕事を見たり聞いたりすることは多くて、親近感もあったのかもしれませんね。小児科の医療を専門にしたのは、生まれて間もない子どもたちの命を救うことは、そこから80年、90年の未来をつくることだと感じたからです。未来がある子どもたちの幼少期に関われることにとても意義を感じました。いざ小児科医になると、そこにも貴重な出会いがたくさんありました。指導をしてくださった先生方が、医師としても、人間としても尊敬できる方ばかりで、周囲の先輩方に恵まれたから今の自分があると思っています。

大学や病院勤務で得た経験や知識で、今に生かせていることはありますか?

大学病院では小児腎臓病を専門に研究をしていました。当時は腎臓病というと「運動してはいけない」というのが通例でしたが、時代が変わり、研究が進むと「激しい運動は難しいが、様子を見ながら運動しても良い」という方向へ変わってきました。当たり前とされていることでも、研究が進んで検証を重ねれば、結果が変わることはいくらでもあるということです。当院のようなクリニックは、日々患者さんと接する医療の前線であり窓口です。だからこそ感じる疑問をテーマにして、同じく開業している医師とともにデータを集めることで、医療のガイドラインもどんどんブラッシュアップできるという実感があります。そういう観点でいえば、例えば食物アレルギーも、長年の研究によって診療方法が変わってきたものの一つですね。

食物アレルギーの患者さんには、具体的にどのような診療をされているのですか?

岡空輝夫院長 岡空小児科医院4

かつてはまだ赤ちゃんがおなかの中にいる頃に、妊婦さんに対して「生まれてくる赤ちゃんのアレルギーの原因になるようなものを食べないように」という考え方が実際にありました。そんな「除去一辺倒」の時代から、今では「この量までならアレルギー症状が出ない」という摂取可能な量を把握することが重視されるようになっています。そのための方法として実施しているのが、食物経口負荷試験です。血液検査や皮膚テストだけでなく、実際に食べられるのかどうかを医師の管理、指導のもとでテストするというもので、他院にかかっている方でも承っていますので、お困りの方はぜひご相談ください。

「育児は大変だけど楽しい」と実感できるようサポート

患者さんと接するときに心がけていることはありますか?

岡空輝夫院長 岡空小児科医院5

できるだけお子さん自身と話すように心がけています。最近の子どもは、親以外の大人と日常的に接する機会が格段に少ないからか、当院に来るお子さんも「今日はどうしたの?」と聞くと、振り向いてお母さんの顔を見る、というような光景がよく見られます。そんなときは「失敗しても良いから話してごらん」と言って、直接コミュニケーションを取りながら、どこが? いつから? どんなふうに痛い? と質問していきます。幼児期のお子さんはわりとおしゃべりをしてくれますが、小学校くらいのお子さんは単語になりますね(笑)。たとえ来院中の一コマであっても、いろんな人とふれあう機会になれば良いなと思っています。

将来の展望をお聞かせください。

まだまだ元気で現役ですが、私ももう69歳。そろそろ次世代にバトンタッチする時期を考えるようになりました。当院は地域のかかりつけ医としての責務もありますので、医療を担う場所として今後も残していきたいと思っています。そのために第三者事業承継を望んでおり、時間をかけて少しずつ引き継いでいけるような準備を考えています。私自身が多くの先輩方に支えてもらいながら医師としての知識や技術を磨いてきたように、志のある次の世代がこの場所で地域に根づき、地域の医療を担ってくれればとても幸せです。

子育て中の方にメッセージをお願いします。

岡空輝夫院長 岡空小児科医院6

小児科は発熱や咳、鼻水などの症状でいらっしゃる方が多いですが、「ちょっとおかしいな」という不安を解消しに来る場でもあると考えています。例えば、おねしょが多い、チック症の症状が見られるなど身体的なものから、学校に行きたがらないといった精神的なものまで、さまざまな相談を受けつけています。また、発達に関して気になる場合には、いきなり専門機関に相談するのが難しいという声もありますので、そういった場合にも来院いただければ、アドバイスやしかるべき専門家に紹介することが可能です。育児というのは大変で、細かな心配も尽きません。家庭内だけでは判断がつきにくい時には、ぜひお越しいただければ何かの力になれると思います。お気軽にご相談ください。

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