松田 卓也 院長の独自取材記事
まつだ小児科医院
(倉吉市/倉吉駅)
最終更新日:2026/05/21
鳥取県中部の倉吉市に位置する「まつだ小児科医院」は、1992年の開院以来、地域の子どもたちとその家族の健康を支えてきたクリニックだ。祖父の代から続く医療の系譜を受け継ぎ、2025年に院長に就任したのが松田卓也院長。松田院長は大阪医科薬科大学や市立ひらかた病院などで経験を重ねた後、地元に戻り、小児医療の現場に立った。継承のタイミングで建物や設備などをリニューアルし、快適に受診できるよう環境を整えた。同院では、風邪などの一般的な疾患からアレルギー疾患、小児内分泌疾患といった専門領域まで幅広く対応。松田院長は、「何でも気軽に相談できる地域のかかりつけ医をめざしたい」と志を語り、子ども一人ひとりの成長を見守っている。地域医療に真摯に向き合う松田院長に、同院の強みや診療にかける思いについて話を聞いた。
(取材日2026年4月6日)
受け継いだ想いを礎に、快適な診療環境をめざす
お父さまの代から続くクリニックと伺いました。

当院は父が1992年に開院しましたが、祖父も町医者として地域医療に携わり、この地域で初めて小児科を掲げた人だったと聞いています。自宅とクリニックが併設された環境で育ったので、患者さんが困ったときには気軽に相談に来られるという“地域との距離の近さ”を感じながら過ごしてきたように思います。実際、祖父の代から夜でも自宅のインターホンが鳴り、患者さんが訪ねてくることがよくあったと聞いています。「ここに行けば何とかしてもらえる」という安心感が地域に根づいていることを、私自身も実感してきました。現在は父と2人体制で診療を行っていますが、そうした“駆け込める場所”でありたいという思いは、私の診療にも受け継がれています。
これまでのご経歴について教えてください。
もともと地域での開業を視野に入れていたため、「限られた医療資源の中でも幅広く対応できる力をつけたい」と、小児科の専門分野をバランス良く学べる環境として大阪医科大学附属病院に入局しました。急性期から慢性疾患まで幅広い小児医療に携わり、多様な症例に向き合う中で診断力や判断力を養うことができました。勤務医時代には医師としての歩み方について考える機会も多くあって迷うこともありましたが、最終的には「医師をめざした原点は、生まれ育ったあの町にある」と再認識し、地元に戻る決意をしました。帰郷後は、地域医療の実情をより深く理解するため、鳥取県立厚生病院で1年間、小児科医長として勤務しました。どのような患者さんが集まり、どのような医療が求められているのかを実感できたことは、大きな学びとなりました。
継承に伴い、クリニックをリニューアルされたそうですね。

より安心して充実した診療を受けていただける環境を整えるため、クリニックの建て替えを行いました。特に重視したのは感染症対策で、発熱のある患者さんとそうでない方の動線と待合室、診察室の空間分離を行っています。また、院内で診療から検査まで完結できるよう、尿検査・血液検査・PCR遺伝子検査・超音波検査に対応した機器を備えました。その場で状態を把握し、医学的根拠に基づいた説明と適切な対応を行うことで、「なぜこの診断・治療なのか」をご理解いただける診療を大切にしています。内装では、いわゆる“小児科らしさ”に寄せすぎず、木の温もりが感じられる落ち着いた雰囲気としました。日々忙しく過ごされている保護者の方々にとって、病院が単なる「育児の延長の場」ではなく、少し気持ちが和らぐような場所でありたいと考えています。お子さんはもちろん、ご家族にとっても安心して過ごせる空間づくりを大切にしました。
子どもと家族に寄り添いながら、自立を支える小児医療
診療の特徴について教えてください。

地域の小児医療の窓口として、幅広い症状やお悩みに対応できる体制を整えています。「ここに来れば一通り診てもらえる」と安心していただける存在をめざしています。感染症などの一般診療に加え、父が専門とするアトピー性皮膚炎・食物アレルギー・喘息といったアレルギー疾患、さらに私が専門としてきた小児内分泌領域など、専門性の高い医療にも対応しています。小児内分泌領域では、身長や成長のご相談、思春期・二次性徴に関するお悩み、肥満や糖尿病、夜尿症などを診療対象としています。一般診療から専門的な診療まで一貫して関わることで、お子さんの成長を継続的に見守ることができる点を大切にしています。足育相談や、大人の方の禁煙の外来にも対応し、幅広いお悩みにもサポートできる体制を整えています。
診察の際に心がけていることはありますか?
お子さんだけでなく、ご家族の気持ちにも寄り添った診療を心がけています。小児科ではお子さん自身が症状をうまく言葉にできないことも多く、さらに保護者の方のご心配と実際の状態に差があることもあります。まずはお子さんの様子を丁寧に観察し、状態をしっかり見極めることを大切にしています。そのうえで、保護者の方にもわかりやすく説明し、不安を軽減しながら納得してお帰りいただけるよう努めています。ほかには、診察の際には、保護者の方だけでなく、できるだけお子さん本人に声をかけるようにしています。自分の体の状態を自分の言葉で伝える機会を設けることで、医院が単なる治療の場にとどまらず、お子さんの成長につながる場所になればと思っているからです。
お子さんの自立を促すことを大切にされているのですね。

はい。薬の服用や吸入などについても、年齢に応じて少しずつ自分でできるよう促し、主体的に健康を管理する意識につながることをめざしています。クリニックの環境づくりにも同じ考えを反映しています。小児科というと明るくにぎやかな空間をイメージされることが多いですが、当院ではキッズスペースを設けず、あえて落ち着いた雰囲気の内装とし、「ここはきちんと診察を受ける場所である」と自然に感じてもらえるようにしています。そうした経験を積み重ねていくことで、お子さんが自分の健康と向き合う力を育んでいければと考えています。
身近なかかりつけ医として、地域を支える存在に
スムーズに受診できるよう、どのような工夫をされていますか?

できるだけお待たせしない診療体制を整えることを大切にしています。その一環で、事前に症状を入力できるウェブ問診を採用しているほか、院内情報提供アプリを導入して日々の体調を入力していただくことで、来院時の状態をあらかじめ把握できるようにしています。限られた診療時間の中でも効率良く状況を把握し、必要な検査や今後の方針について事前に見通しを立てることができるため、来院後の診療をより迅速かつ丁寧に進めることができると感じています。待ち時間の短縮は、お子さんや保護者の方の負担軽減にもつながるため、今後も診療の質を保ちながらも通いやすい環境づくりに取り組んでいきたいと考えています。
今後、力を入れていきたいことについて教えてください。
今まで以上に、地域の中で安心して子育てができる環境づくりに貢献していきたいと考えています。少子高齢化が進む中で、小児医療や子育て支援の充実は、地域全体の活力にもつながる重要な役割を担っていると感じています。日々の診療を通して保護者の方の不安に寄り添い、気軽に相談できる身近な存在であり続けたいと思っています。また、アレルギーは“国民病”ともいわれる時代ですが、鳥取県中部ではアレルギーの専門家が少ないのが現状です。そこで、当院では小児期からの関わりを通して、将来の発症・進行リスクを見据えた“アレルギーマーチ”への対応に注力しています。お子さんはもちろん、保護者を含めた成人の方のアレルギーにも対応できる体制づくりを進めています。中部地区のアレルギー診療の中核を担い、「アレルギーならここに相談しよう」と思っていただける存在を目標に、地域に根差した医療の提供に取り組んでいきます。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

困ったときに頼れる地域のかかりつけ医として、これからも身近な存在であり続けたいと考えています。お子さんの体調は日々変化し、一見些細に思える症状の中に治療が必要なサインが隠れていることもあります。気になることがあれば、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。どこに相談すれば良いか迷われた際にも、気軽にご相談いただければと思います。また、必要に応じて基幹病院とも連携しながら、適切な医療へとつなげていきます。地域医療を支える一員として責任を持ち、これからも安心して子育てができる環境づくりに貢献してまいります。

