尾崎 智哉 副院長の独自取材記事
ミオ・ファティリティ・クリニック
(米子市/東山公園駅)
最終更新日:2026/03/31
鳥取県米子市にある「ミオ・ファティリティ・クリニック」は、不妊治療を中心とした高度な生殖医療を提供するだけでなく、女性の生涯をトータルでサポートする産婦人科クリニックだ。2025年4月に副院長として入職した尾崎智哉先生は、日本生殖医学会認定生殖医療専門医として、長年静岡県の高度医療機関や専門クリニックで研鑽を積んできたドクター。地元である山陰に戻り、見尾保幸院長が築き上げた先進的な医療の継続とさらなる発展をめざし、クリニックを「最後の砦」としてだけでなく、より早い段階からライフスタイルを相談できる「間口の広い場所」にしたいと願っている。穏やかな語り口の中に熱い情熱を秘めた尾崎副院長に、これまでの歩みや患者への想い、今後の展望について詳しく聞いた。
(取材日2026年3月3日)
生殖医療を軸に数多くの臨床経験を積む
医師をめざしたきっかけと産婦人科を選んだ理由を教えてください。

医師をめざしたきっかけは、高校3年生の夏休み頃、医療系のテレビ番組を見て、患者の命を救うために働く医師の姿にやりがいや魅力を感じ、急に志望を変えたのが始まりです。当初は生命に直結する救急や脳神経外科などの外科系を考えていました。当時は現在のような臨床研修制度がなく、大学6年生の段階である程度、入局する科を決めなければなりませんでした。私は大学に残ることを決めていましたが、外科系の中で「手術をして最後まで責任を持って治療をやりたい」と考えていました。最終的に産婦人科に決めた理由は、一人の患者さんをトータルで診ることができるからです。ほかの科では、診断しても手術やその後の経過で別の科へバトンタッチすることがありますが、産婦人科は自分で診断し、手術を含む治療を行い、その後の経過まですべて診ることができます。そこに魅力を感じて決めました。
生殖医療と婦人科全般の診療の2つの軸に重きを置かれていたそうですね。
専門領域では、キャリアの1年目から、ずっと生殖医療が私の軸になっています。きっかけは、産婦人科に入局した際、指導医の先生に「内分泌学的なものに興味がある」と言ったところ、不妊治療を専門とするグループに配属されたことでした。当時から大学では体外受精などの治療を行っており、1年目から培養士のような仕事、例えば精子の調整や卵子の扱いなども経験しました。医師としての基本は産科や婦人科疾患、がんの治療ですが、私は早い段階から生殖医療に携わってきました。島根大学に約10年間勤務し、大学に長くいる中で、産婦人科医としての臨床経験をさらに深めたいという思いが強まりました。地方では、お産や手術を自分一人で完結できる経験を積んでいないと、産婦人科医としてやっていけないという危機感があったからです。そこで、より多くの症例を経験できる静岡県の聖隷浜松病院へ移ることにしました。
静岡ではどのような経験を積まれたのでしょうか?

聖隷浜松病院は総合周産期母子医療センターであり、重症の妊婦さんの管理やがんの治療など幅広く行っていました。同時に、それまでの経験を生かして不妊治療の外来も担当していました。特に注力したのが腹腔鏡・子宮鏡による内視鏡手術です。当時は浜松市内でもこれらの手術ができる病院が限られていたため、非常に多くの手術を担当しました。その後、聖隷浜松病院のOBである西村満先生が運営する不妊治療専門の「西村ウイメンズクリニック」に誘われ、移籍しました。浜松市には、開業医が大きな病院の設備を借りて手術ができる「開放型病院」のシステムがあったため、クリニックに移ってからも、聖隷浜松病院や浜松医科大学へ出向いて内視鏡手術を続けることができました。西村ウイメンズクリニックへ移ってからは、自身の軸を「生殖医療」と「内視鏡手術」の2点に絞り、より専門性を高めた診療スタイルとなりました。
志をともにクリニックに入職しチーム医療に臨む
こちらのクリニックに入職された経緯を教えてください。

静岡で15年ほど勤務し、60歳を前にして今後の人生を考え始めたタイミングで、見尾院長からお誘いをいただきました。私はもともと鳥取県倉吉市の出身で、島根は医師としての土台をつくった場所です。残りの医師人生で地元や地域に貢献したいという思いがあり、戻ることを決めました。見尾院長は生殖医療の世界では豊富な実績を持つドクターで、タイムラプスモニタリングの導入なども存じ上げていました。そのような先生と一緒に仕事をするとは想像もしていませんでしたが、快く受け入れていただきました。
担当する診療領域と役割について教えてください。
生殖医療ユニットの診療を担当していきます。まずは、見尾院長がこれまで築き上げてきたものをしっかりと継続させていくことが、重要だと考えています。来院される患者さん一人ひとりに対し、しっかりとした対応を行っていきます。その中で、提供する医療のクオリティーを下げないように維持・管理していくことに注力したいと考えています。
尾崎先生から見たこのクリニックの印象はどのようなものですか?

非常に先進的で革新的な治療を積極的に行い、高いクオリティーを維持しながら情報を発信しているクリニックです。このようなレベルの高い医療が地方で行われているのは、驚くべきことだと思います。入職して感じたのは、見尾院長が患者さん一人ひとりの背景や仕事を細かく把握し、真摯に向き合う姿です。そのリーダーシップと、一人ひとりに寄り添う姿勢の両立は本当に尊敬に値します。また、それを支えるスタッフのレベルも非常に高い。特に培養室は生殖医療の心臓部ですが、高いクオリティーが担保されています。看護スタッフも含め、各セクションが自立し、専門的な立場から一人の患者さんにアプローチしつつ、横の連携を密に取るチーム医療が確立されています。これは組織としてのクオリティーコントロールがシステムとして機能している証拠だと思います。
ライフステージごとに変化する女性の人生を支えたい
今後の展望を教えてください。

これからは「プレコンセプションケア」、つまり結婚前から女性が自分のライフスタイルとして、将来を考えていくことが重要になります。これは、20代の方が「子どもを産まなければならない」ということではなく、自分のライフステージの中で、妊娠・出産の可能性をどう捉えていくかを、20代のうちから考えるきっかけが必要だということです。鳥取県という地域は、不妊治療に対して非常に積極的な支援を行っている自治体だと感じています。保険診療が終わった後の独自の経済的支援など、地域のバックアップがあるからこそ、女性一人ひとりが人生をどう生きていくかを考え、サポートできる環境が整いつつありますね。
人生をサポートしていくというスタンスなんですね。
そうですね。プレコンセプションケアという言葉は、本質的には「女性のライフスタイルや人生そのものをサポートする」ということです。女性の体は、思春期を迎える10代から、月経困難症や子宮内膜症、PMS(月経前症候群)といった悩みが現れ始めます。その後、30〜40代での妊娠・出産、更年期へと大きく変化していきます。「もっと早く知っておけば良かった」ということを減らすために、早めにサポートに入ることが理想です。逆に、検査をして何も問題がなければ、「今は安心して仕事に打ち込もう」と思えるかもしれません。卵子凍結などの高度な技術も含めた豊富な選択肢を持ちつつ、女性の人生の歩みに寄り添っていくことが、これからのクリニックに求められる役割だと考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

入職して1年がたちましたが、日々新鮮な気持ちで勉強させていただいています。今後もクリニックのクオリティーを維持し、可能な限りの高いレベルの医療を提供していきます。また、最後の砦ではなく、もっと気軽に相談できる場所でありたいと思っています。当クリニックには、高度な技術力だけでなく、精神的なケアを含めてトータルでサポートできる専門スタッフがそろっているので、まずは気軽にドアをたたいてみてください。不安なことや気になることがあれば、外来で何でも気兼ねなくお伝えいただければうれしいです。希望に寄り添い、しっかりとサポートしてまいります。
自由診療費用の目安
自由診療とは体外受精による不妊治療(採卵~胚移植までの治療を行った場合)/50万~70万円、

