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見尾 保幸 院長の独自取材記事

ミオ・ファティリティ・クリニック

(米子市/東山公園駅)

最終更新日:2022/10/13

見尾保幸院長 ミオ・ファティリティ・クリニック main

鳥取県米子市にある「ミオ・ファティリティ・クリニック」は、不妊治療や、産前、産後を含む女性の心身をサポートする産婦人科クリニックだ。見尾保幸院長は、日本の生殖医療の黎明期から駆け抜けてきたエキスパート。「赤ちゃんを望む、一人でも多くの方の夢をかなえてあげたい」という一心で、タイムラプス撮影装置の開発などを行い、生殖医療の発展に大きく貢献してきた。そんな見尾院長のチームを頼って、同院には日本全国はもとより、海外からも子どもを授かりたくて悩むカップルが訪れている。「患者さんと接するときは、同じ目線かそれより下からでなければ、本当の医療は行えません」と、一人ひとりと誠実に向き合う見尾院長に、これまでの業績や、患者への想いを聞いた。

(取材日2022年8月16日)

生殖医療を開拓し、発展に寄与

医師を志し、産婦人科を選んだ理由を教えてください。

見尾保幸院長 ミオ・ファティリティ・クリニック1

子どもの頃は戦後間もない厳しい時代で、田舎の貧しい暮らしから、反骨心で医学部に入ったようなものでしたね。塾も参考書もない田舎で、必死に独学で勉強して鳥取大学医学部に入りました。団塊の世代の激しい競争社会の中、よく医師になれたなと、われながら奇跡だと思っています。医師になり、専門の診療科を決める時に思い浮かんだのは産婦人科。同大の産婦人科には、超音波診断の装置や、分娩監視装置を開発した前田一雄先生という、現在は同大名誉教授を務めておられますが、若くして世界から尊敬を集めている方がいて、憧れていたんですよ。それに加えて、産婦人科は赤ちゃんが生まれるので、たくさん「おめでとう」を言える科。明るい場所にいたいという気持ちから、産婦人科を選びましたが、気づけば天職になっていました。

いつ頃生殖医療に出合ったのでしょうか?

僕が産婦人科の医師になった当時は、生殖医療がなかった時代。医学部を卒業して4年目の、1978年に海外で体外受精の赤ちゃんが誕生しました。その頃、僕は産婦人科教室の内分泌グループに所属していたのですが、このニュースが号外で流れて、漠然と「自分もそんな医療に携わりたい」と思ったのを覚えています。その後、後輩ドクターと生殖医療の研究をゼロからスタートしましたが、自前の培養液をつくるところから試行錯誤の繰り返し。当時は腹腔鏡を使って、おへその横からカメラを入れて卵巣から卵を取り出すアプローチが主流だったのですが、その頃の大学にはそのための設備も技術もない状態。そんな時に前田教授から「超音波画像を使った採卵方法があるそうだよ」とアドバイスを受けて研究に挑戦し、超音波採卵法を開発しました。

手探りの中で、新しい技術を生み出してきたのですね。

見尾保幸院長 ミオ・ファティリティ・クリニック2

そうですね。先ほどお話しした、腟に超音波を挿入して採卵する手法「経腟超音波採卵」の開発をはじめ、前田教授にはご指導いただきました。1986年のこの技術の登場から、本当に卵を採取しやすくなったのですが、受精卵を育てる知識や技術は未熟な状態のままでした。そこで、前田教授の勧めで、その当時に体外受精の先端を走っていたオーストラリアのアデレ―ド大学の医療チームで勉強をさせていただくことに。10ヵ月間必死になって、培養液のつくり方から、ホルモンの測定方法、採卵の仕方など、体外受精のイロハを習得し、帰国後、日本でも診療に反映させていきました。

チーム医療をめざして開院を決意

開院の理由を教えてください。

見尾保幸院長 ミオ・ファティリティ・クリニック3

「チームで生殖医療をやりたい」という強い想いからでした。オーストラリアでは、ドクター、看護師、胚培養士、薬剤師、会計スタッフなど、みんなでチームを組んで、上下関係なく各専門分野から患者さんにアプローチしていました。しかし日本の医療体制では医師の指示によってスタッフが動くピラミッド型組織。さらに医師自らが培養液をつくり、卵を育て、備品の管理や器具の消毒まで行っていました。そうすると、努力のわりに成果を得られなかったり、ミスが起きやすくなったりするんです。そこで、チーム医療によってそれぞれが力を合わせて患者さんにきめこまやかな質の高い医療を提供することで、赤ちゃんが欲しい方の理想郷のような場所をつくりたいと、1993年に当院を開院しました。以降、生殖医療の駆け込み寺をめざし、専門的な医療機関としての体制を整えてきました。

開院後も、院長は研究を行ってきたのでしょうか?

はい。多くの方の協力のおかげです。例えば、鳥取大学の泌尿器科の協力で、無精子症の方の精巣内の精子を用いた顕微授精に取り組み始めたことは、全国から患者さんが訪れる大きなきっかけになりました。また、タイムラプス撮影装置の開発も大きな反響を得ましたね。これはアデレードの友人から引き継いだ研究なのですが、地元の機械屋さんや大阪の町工場の協力で、胚の発育過程を一定期間自動撮影するシステムを開発したんです。2003年には、連続した撮影画像をこま送りにすることで、受精から胚が発育していく過程を動画にする技術も開発し、この技術は治療にも応用されています。

近年も、新しい発表をされましたね。院長が研究を続ける活力はどこから来ているのでしょうか?

見尾保幸院長 ミオ・ファティリティ・クリニック4

2020年に当院が発表した「透明帯除去法」ですね。これは、受精してもうまく卵が育たない方に対する方法で、卵子の透明帯という殻を外して、胚の良好な発育を狙うものです。一般的に、赤ちゃんを授かれない状況を「不妊」と呼びますが、僕はこの言葉は基本的に使いません。赤ちゃんを望んでいるお二人が、自分たちを病気や異常な状態だと捉えてほしくないのです。お二人に持ってほしいのは、「夢がかなうまで頑張ろう」という前向きな想いだけ。その夢をかなえるために悩むのは、僕たちの仕事。そのために今後も研究に力を入れていきたいと思います。

一人でも多くの人に喜びを与えたい

クリニックの診療内容を教えてください。

見尾保幸院長 ミオ・ファティリティ・クリニック5

当院は、赤ちゃんが欲しい方と、妊娠している方などが混在しないように建物を分けています。僕が担当するのは、生殖医療を専門に扱うリプロダクティブユニット、根上晃副院長が担当するのが産科・婦人科のマタニティユニットです。後者は、妊婦検診や産前産後のケア、月経の悩みや更年期障害などに対応していますが、分娩はリスクを考えて、複数の診療科があってスタッフ数も多い地域の基幹病院と連携・委託しています。僕も副院長も、女性の一生涯を同じ目線でサポートしたいと考えています。これからも多少の診療体制の流動はあるかもしれませんが、この両輪の体制を生かして、安心安全で心安らぐ施設をめざしたいと思っています。

患者さんと接する際に、どのようなことを心がけていますか?

産婦人科は女性を診る診療科。僕という存在がそばにいることで、患者さんをネガティブにさせたくないので、自分が逆の立場になった場合を想像して、短い診察時間で診断精度を上げる努力をしてきました。どの患者さんに対しても細心の注意を払い、ちょっとした体や心の変化でも敏感に察知できるよう感覚を研ぎ澄ませていますね。また患者さんに対して、決して上から目線にならず、同じ目線か、それより下から接することを心がけています。それは、患者さんの信頼を得て委ねてもらわなければ「本当の医療はできない」と考えているから。「医師」という立ち位置ではなく、私は自分を「医療の専門家」というスタンスで捉えるようにしています。こうした思考は、厳しい子ども時代につらい思いを味わったからこそ、「人にはそういう経験をさせたくない」という想いが源流にあるのかもしれませんね。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

見尾保幸院長 ミオ・ファティリティ・クリニック6

「僕に魔法の力を与えてくれるなら、患者さんみんなを妊娠させてあげたい」。僕の願いであり、一生をかけて追い求める夢でもあります。自分の知識も技術も、まだまだ不足していると自覚しているので現役を引退するまで努力を続けていきます。僕は昨日の自分に負けたくないんです。だから努力はやめません。自分が年齢を重ねて思うのは「人生はすごく短い」ということ。あっという間に過ぎ去ります。ですから、生物学上の妊娠出産の適齢期が10代後半~20代前半とされていることを認識し、赤ちゃんが欲しいと思っている人はその機を逃さないでほしい。そして、気になることがあれば先送りせずに気軽に相談してほしいです。同時に、出産は大きな責任を伴うことも知ってほしいですね。奇跡的で幸運な授かりものであるお子さんを慈しみ、健やかに育んでほしい。そのために私たちは努力を続けます。お二人の大切な夢をかなえるため、一緒に頑張っていきましょう。

自由診療費用の目安

自由診療とは

タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養/23,000円~※当院の金額

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