木村 寛 院長の独自取材記事
きむら耳鼻咽喉科医院
(鳥取市/鳥取駅)
最終更新日:2026/05/26
鳥取駅近郊、鳥取県東部医師会館や夜間・休日急患診療所などの地域医療の拠点が集まるエリアに立つ「きむら耳鼻咽喉科医院」。同院は約30年にわたって地域住民の健康を見守り続けてきた老若男女多くの患者が来院する耳鼻咽喉科クリニックだ。車通りの多い道路から1本入った落ち着いた環境で、広い駐車場もあり、子ども連れや高齢者にも通院しやすくなっている。院長を務める木村寛先生は「耳・鼻・喉、あるいは気管のことで悩みがあれば、何でも気軽に相談してください」と、やわらかな物腰で言う。地域に根差した「かかりつけ医」でありたいという、シンプルながらも力強いポリシーを持つ木村院長に、耳鼻咽喉科医の道をめざした理由や、クリニックのこと、そして鳥取市の地域医療に対する思いなどを聞いた。
(取材日2026年3月30日)
生来のメカ好きと臨床での経験が、精密な治療の礎に
はじめに、院長が医師をめざしたきっかけから聞かせてください。

生まれは鳥取市内です。子どもの頃から理科が好きでした。といっても、親は医師ではありませんし、親戚中を見ても医師はいませんでした。親族には理系の者が少なくて、文系が多かったのです。同級生の多くは、進学や就職で東京や大阪に行ってしまうのですが、親は長男の私に地元で安定した仕事に就いてほしいと望みました。そのような理由から鳥取大学医学部に進みました。今では信じられないことですが、当時は「医師が余る」と言われていた時代だったのです。医師不足が問題となる現在の状況とは真逆ですね。入学した途端にオリエンテーションで「医師が仕事にあぶれ、本業以外の仕事をしている国もある」という話をされたりして。真実はどうかわかりませんが、驚きました。
そのような中で耳鼻咽喉科を選ばれた理由は何だったのですか。
医師が多い、余るかもしれない、生き残って行けないのではないか……と焦りましたね。そのような時、同じ鳥取市の出身で親近感を持っていた耳鼻咽喉科の教授が「耳鼻咽喉科は医師不足で困っているから誰か入ってくれないか」というお話をされたのです。私は生来、音楽とかオーディオ、機械系が大好きなのです。どちらかというと、人間より機械を触っているほうが好きなタイプと言いますか。耳鼻咽喉科というのは、精密な機器を用いることがとても多いのです。それで、聴力検査機器をはじめとする多様な検査・治療機器を駆使する診療は、自分に合っているのではないかと気づき、耳鼻咽喉科の道に進みました。
大学院時代は、臨床の現場で診療をしながら研究を続けられたそうですね。

博士課程で専門的に取り組んだのは、神経耳科学という領域です。場所で言うと内耳、内側の耳ですね。主にその領域の研究です。病名で言うとメニエール病とか突発性難聴とか、一般の人も聞いたことあるような病気や、めまいや耳鳴りなどが専門分野でした。博士号を取得したのは、耳鳴りについての研究でした。研究というと、生理学や解剖学の研究室で試験管を振るような、動物実験のようなものをイメージすると思うのですが、私の場合、一般の外来で患者さんを診察しながら研究するという日々でした。現場での診療もありましたから、毎日とても忙しく大変でしたね。
何でも相談に乗り、総合的に診る耳鼻咽喉科でありたい
クリニックの開院を決めた理由は何だったのでしょう?

鳥取大学医学部附属病院に勤務後は、兵庫県や島根県の公的病院、総合病院などに勤務しました。浜田市の病院勤務時代は、自分1人で責任を持って耳鼻咽喉科を切り盛りしなくてはならず大変でした。しかし、開業したら同様に1人での診療スタイルとなるわけですから、ここでの3年に及ぶ経験は大変勉強になりました。その後帰郷して、鳥取市の鳥取赤十字病院に勤務することになりました。ちょうど世代交代的な時期というか、何人かいらした開業医の先生方がご高齢になられて、鳥取市の南側エリアに耳鼻咽喉科がほとんどない状態だったのです。誰か手を挙げないかという雰囲気も感じ、それならば自分がやろうと。当初の計画よりはちょっと早かったのですが、開業の決意をしました。この場所を選んだ理由の一つに、隣が鳥取県東部医師会館、休日診療所も近く、地域の方々にとっても医療の拠点としてなじみのある場所だと思ったことがあります。
施設、設備でこだわっている所はありますか?
建物は築30年になりますが、今もクリーンな空間を保っています。こだわったのは、ワンフロアのオープン設計。実は全部自分で設計しました。方眼紙に定規とシャープペンシルで書いて、建築家に「これでお願いします」と(笑)。ワンフロアにしたのは、看護師の動線を把握し処置用ベッドへの移動がスムーズにいくようにするためです。患者さんが点滴中などに何かあった時も即対応できますからね。ショック状態の方や急変される方がいた時にもすぐに救急搬送できるよう、一般患者さんとは別の動線に出入り口や通路を確保したのもこだわった点です。また、駐車場から玄関、待合室、診察室に至るまですべてバリアフリーになっていて、段差は一切ありません。小さなお子さんの患者さんも多いので、院内にはキャラクターのグッズや人形、手作りの飾りやおもちゃも置いて、温かみのある雰囲気づくりを心がけています。
検査設備や感染症対策についてはいかがでしょうか?

血液検査、エックス線、エコー、聴力検査など、一般的な耳鼻咽喉科の検査は一通り可能です。CTやMRIでの高度な画像診断が必要な場合は、鳥取赤十字病院や鳥取大学医学部附属病院と密に連携体制を取っています。私は鳥取大学医学部附属病院の人事でさまざまな地域の病院の勤務経験があり、鳥取赤十字病院に在籍していたこともあります。地元の先生方とは顔が見える関係なので、電話1本でスムーズに検査の予約が取れるのが強みです。感染症対策としては、裏口から入った所にスペースを設けており、熱がある方はそこで風雨や雪を避けて待っていただけるようにしています。新型コロナウイルスの流行中、病院に来ても熱がある人は屋外で待つケースもあったと聞きますが、当院は大丈夫でした。
できるだけ早く症状の改善をめざすことが第一
診療で大切にしておられることは何ですか?

恩師から頂いた「患者さんから学ぶ」という言葉を大切にしています。また、患者さんは早く治してほしいという希望を持って受診されますので、期待に応えるべく尽力します。とはいえ、全員がうまく治ってくれるわけではないので、苦労しているところです。花粉症の時期などはどうしても混み合ってしまい、待ち時間が出てしまうのが難しいところです。そのため、当院は土曜日の午後も診療しています。また、耳鼻咽喉科では頭頸部腫瘍といってがんを扱います。少しでも早期に発見して病院に紹介するのが開業医の役割と考えています。
ところで、院内には素敵なアート作品が飾られていますね。
はい。いくつか絵画を入り口と待合室に飾っています。写真やカメラも好きです。カメラの中で特に好きなのが、昔のフィルムカメラ。デジタルカメラも中古のものを使っています。昔は高額だった一眼レフが、今はずいぶん安価に買え、十分使えますからね。デジタルの設定をモノクロに変えて、モノクロ写真も撮ります。あとは、楽器全般が好きで、学生時代は軽音楽部でエレキベースを弾いていました。今はギターやキーボードも弾くし、 電子ドラムも家の中でたたいています。
最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

当院は専門性を打ち出すというよりも、 耳鼻咽喉科領域を総合的に診る医師のような役割で幅広い診療を行っています。これからも、地域に根差したクリニックとして、皆さんが困ったときにすぐに相談できる場所であり続けたいです。耳・鼻・喉や気管のことで少しでも気になることがあれば、気軽に足を運んでいただければと思います。

