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植嶋 哲也 院長の独自取材記事

植嶋医院

(生駒郡斑鳩町/法隆寺駅)

最終更新日:2022/05/31

植嶋哲也院長 植嶋医院 main

法隆寺参道沿いにある「植嶋医院」。半世紀にわたり地域で親しまれてきた医院を2022年2月に3代目の植嶋哲也院長が引き継ぎ、診療を行っている。長年、柔道を続けているという植嶋院長は、スポーツマンらしくおおらかで温厚な印象。消化器内科・肝胆膵領域を専門に学び、もともとはこの地で祖父が長年運営し、10年ほど休院していた医院を継承した。同院には斑鳩町の人を中心に患者が訪れ、祖父の代の患者も来院する。植嶋院長は「患者さんが『出会えて良かった』と思えるクリニックをめざしたい」と語り、専門はもちろん患者のニーズに広く対応する方針だ。そんな植嶋院長に、医師としての理念や今後の展望について語ってもらった。

(取材日2022年3月30日)

祖父の医院を継承し、開業医として医療の窓口になる

最初に、開業の経緯を教えてください。

植嶋哲也院長 植嶋医院1

祖父は開業医として、この場所で半世紀にわたって診療をしていました。10年ほど前に亡くなり、その後長らく休院していたのですが、昨年、医師である母が再開。ところがその矢先に大阪で開業していた父が急逝して、そちらの患者さんを引き継ぐために母は大阪に移ることに。しかしせっかくの祖父の医院ががら空きになってしまうので、私が継承することを申し出ました。私は今33歳で、この年齢で開業する医師はあまりいないかと思いますが、病院で勤務医をしながらもいずれは開業することを考えていたので、ベストの選択をしたいと開業を決意しました。まだ年齢も若く体力があるので、月曜の休診日には以前の勤務先である加納総合病院で非常勤として働き、急性期疾患も診させてもらっています。

開業されてみて、病院勤務医と開業医の違いは感じますか?

大きな病院だと、他院やクリニックの紹介で来る患者さんが多く、紹介状の内容を見て検査をして、急性期なのか、悪性なのかといった確定診断を出して治療に入ります。一方、開業医には窓口的な役割があり、確定診断をするための生検やその他の検査が必要な人を拾い上げて病院に紹介し、その後、状態が安定して戻ってきたらクリニックでコントロールをしていきます。病院は治療に重きを置き、開業医は診断に重きを置いて、患者さんのより近いところで管理する存在なのだなと感じます。病院勤務は自分の専門に特化することができ、それはそれでとても素晴らしいことです。一方開業医は、専門性はもちろん必要ですが、地域住民の健康にマルチに対応していくことが求められるので、勤務医時代とは着目する点が異なりますね。

先生がめざすクリニック像をお聞かせください。

植嶋哲也院長 植嶋医院2

医療機関だからこそできる医療サービスを提供していくことです。例えばワクチン接種や各種検診・検査、特定健診など、国や行政が提供するサービスの仲介も開業医の大切な役割なので、地域住民の皆さんに必要なサービスやニーズに広く応えていきたいですね。実際、開業したばかりの最初の2ヵ月は固定の患者さんがいない分、地域の皆さんが求めていた発熱患者さんを診る外来をメインにしていましたし、3月は就職を控えた方たちの入社前の健康診断も多く来ていただいていました。また、花粉症の方のための舌下免疫療法にも今後取り組んでいく予定です。地域の方たちに向けて、「こんなサービスがありますよ」「こんなワクチンを打てますよ」と周知していきたいですね。

地域住民のニーズに応え、頼られる存在をめざす

おじいさまの医院を継承されて、地域の反応はいかがですか?

植嶋哲也院長 植嶋医院3

10年間休院していましたが、祖父の時代の患者さんも来てくださっています。祖父は小児科も診ていたので、50代、60代の患者さんだと「小さい時におじいさんに診てもらっていた」という方もいるんですよ。患者さんは、一般内科や脂質異常症、高血圧症、糖尿病などの生活習慣病、それから私の専門でもある肝臓内科を受診される方が多いです。最近は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)も知られるようになってきましたし、ウイルス性肝炎も研究が進んでかなり管理ができるようになってきています。開業してまだ3ヵ月ですが、こうした肝臓疾患の患者さんは結構いらっしゃるんだなという印象です。患者さんは地元の斑鳩町の方が中心で、地域性なのか穏やかな方が多く、私が育った大阪よりもゆったりと時間が流れているなと感じます。

先生の診療理念を教えてください。

兵庫医科大学に勤務していた時の上司で、とてもお世話になった先生がいるのですが、その方の「すべてを知っている医師はいないから、徹底的に調べなさい」という教えはこれからも守っていきたいです。異常値があるということは、何かが隠れているんだから固定観念や思い込みは捨てて徹底的に調べないといけないという、本当に当たり前のことなのですが、当たり前だからこそおろそかにせず大切にしていかなければいけないのだと肝に銘じています。その上で、このクリニックを人に必要とされる医療機関にしていきたいですね。患者さんのニーズに応えて、あちこちの病院に行かなくてもある程度のことは当院で完結できるようにしたいです。地元の方がちょっと気分の悪いときに、応えられる存在になりたいです。

印象に残っている患者さんとのエピソードをお聞かせください。

植嶋哲也院長 植嶋医院4

医師になったばかりの頃、ローテーションで糖尿病内科にいたことがあり、その時の患者さんで、4人兄弟で兄弟全員が糖尿病という方がいました。当時、知識だけはありましたが「本当に遺伝があるんだ」と驚いたことをよく覚えていますね。実際に目の当たりにしたことで、その後、健診で血糖値が高めの人がいた時は、糖尿病の家族歴を確認するようにしています。そうすると、結構な確率でご家族も糖尿病という方が多いです。若くても血糖値が高めの人は時々いて、これは遺伝、体質なのでどうにもならないことではあるのですが、将来、糖尿病になる可能性が高いことを頭の片隅に置いてもらえるように「血糖値がこれくらい超えると危ないので気をつけてくださいね」とお伝えするようにしています。

地域の人が100歳まで元気に生きるサポートをしたい

先生が医師を志したのはご両親の影響ですか?

植嶋哲也院長 植嶋医院5

両親、それから両方の祖父が医師でしたから、「自分も将来医師になるのかな」と幼少の頃から何となく思っていましたね。それに加えて、生物の勉強が好きだったので自然と医師をめざすように。両親の母校でもある兵庫医科大学に進学し、医師になってから専門を消化器内科・肝胆膵領域に決めました。これは、食べること、飲むことが大好きなので、消化器系に進みたいと思ったことがきっかけ。医師になったばかりの頃、ローテーションで消化器外科・内科の両方を経験させてもらい、それぞれにやりがいがあったのですが、個人プレーが得意な自分の性格を考えると、外科よりも内科が向いていると感じて消化器内科を選択しました。中でも肝胆膵領域は内視鏡治療が積極的に行われている分野で、検査だけでなく治療の面でも内視鏡が活躍することに魅力を感じ、専門に選びました。

趣味や休日の過ごし方を教えてください。

小学生の時に柔道を始めて、中学・高校時代は時々する程度だったのですが、大学時代に再開しました。今は練習環境の問題や新型コロナウイルスの影響などで練習できていないのですが、以前はドクターや看護師仲間と週に1回ほど稽古していたんですよ。柔道に育ててもらったと感じる部分が多々あり、純粋に好きで続けています。特に大学時代、出稽古で他大学の医学部以外の同年代の人たちと交流したことは、本当に良い経験でした。出稽古先の中には、大学選手権ベスト8の経歴を持つような方もいて、私よりも二回りほど小さいのに太刀打ちができず、「自分はどれほど練習してもこうはなれない」とそのすごさに感動したものです。柔道ができる環境が整えば、また再開したいですね。

今後の展望や読者へのメッセージをお願いします。

植嶋哲也院長 植嶋医院6

今後、患者さんたちに「出会えて良かった」と思っていただけるクリニックをめざしたいです。体調がおかしいと感じたときなどは気軽に相談できる場所でありたいですし、医師としても来てくださった患者さんにできる限りのことをしたいです。当院では、健診などで生活習慣病や脂肪肝などの指摘を受けた方のサポートも行っていますが、脂肪肝は、高脂血症や高血圧症を合併している方が多いです。肝硬変よりも心筋梗塞など心臓疾患で亡くなる方が多いですから、定期的に管理をして、できる限りのことをしたいですね。自分が診た方たちが100歳まで元気に生きてもらえるように、地域に根差した医療サービスを提供していきたいです。

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