水本 領 院長の独自取材記事
飛鳥川クリニック
(橿原市/新ノ口駅)
最終更新日:2025/02/28

近鉄橿原線・新ノ口駅から徒歩約3分、のどかな住宅街にたたずむ「飛鳥川クリニック」。今からおよそ30年前に水本純先生が内科・婦人科クリニックとして開業し、2016年、息子である水本領先生が2代目院長に就任。以来、内科・婦人科に加え、外科、整形外科、リハビリテーション科と幅広い診療を展開し、地域住民の健康を支えている。「どの診療科に行けばいいのかわからない、なんだか体の調子がおかしいという方は、まずは来院してほしい」と話す水本院長は、奈良県立医科大学高度救命救急センターのスタッフとして豊富な経験を持つ初期治療のスペシャリストだ。診療のスタンスや今なお救命救急の第一線に携わり続ける理由など、地域医療にかける熱い思いを聞いた。
(取材日2024年7月5日)
救命救急医療の経験を生かし幅広い症例に対応
まずクリニックの概要について教えてください。

当院は1980年代に、初代院長である父が開業しました。地域のかかりつけ医として、たくさんの患者さんから親しまれてきたクリニックだと思っています。そんな父の背中を見て育ち、私自身も医師の道へ。いずれは父の後を継いで、地域の人々の健康を守っていきたいと考えていましたね。現在は内科、外科、整形外科、婦人科、リハビリテーション科と幅広い診療科目を展開し、日常生活でのケガややけどから、体の不調、生活習慣によって起こる疾患に至るまで、さまざまな初期診療に対応。何かあった時に、「まずは、あのクリニックで診てもらおう」と思っていただけるような、身近にある“町のかかりつけ医”をめざしています。
大学卒業後、奈良県立医科大学高度救命救急センターを勤務先に選ばれたのはなぜですか?
学生時代から地域のかかりつけ医になるのが私の目標でしたので、例えば誰かが道で倒れた時などの緊急時に、さっと手を差し伸べられるような医師になりたいとずっと考えていました。また、緊急時でなくても体の不調を感じた時に「何科に行けばいいのかわからない」と悩む方が多いのはよく聞く話で、場合によっては悩んでいる間に病院に行くのを躊躇し、症状を悪化させてしまうことも少なくありません。そうした状況を医師として何とかしたいという想いから、ケガや病気に関わらず緊急を要する患者さんの急性期治療を担う救命救急の現場で学ぶことを決意。どんな患者さんでも初期段階で対応できる幅広い診断力を身につけておけば、その後の適切な治療へとつなげていけると考えたからです。
救命救急医療のご経験は、現在クリニックでどのように生かされていますか?

まず一番は、どんな患者さんが来院されても、しっかりと初期対応ができることです。症状や状態を診た上で、「このケースであれば当院で治療することができる」「このケースならば専門の医療機関にかかったほうが良い」あるいは「より大きな総合病院での検査が必要」などの状況判断を行い、必要に応じて専門の医療機関や総合病院を紹介。迅速に次の治療段階へと進めていけることが、当院ならではの強みだと思っています。また、奈良県立医科大学高度救命救急センターは重症患者さんが多く、人の生死に関わる中で日常の治療の重要性を再認識。単にガイドラインに沿って考えるだけでなく、患者さん一人ひとりの生活や人生に寄り添って、より良い治療を一緒に考えていきたいと思うようになりました。
常に知識と技術を磨き、より適切な診療へとつなげる
最近は、どのような患者さんが来院されていますか?

父の代から長くお付き合いくださっている60代70代のご高齢の方から、ケガややけどで外科に来られるお子さんまで、年齢的には幅広い患者さんが来られています。中には親子で通ってくださったり、お孫さんを連れてきてくださったりと、世代を超えて代々クリニックを利用してくださるご家族も多く、来られる理由も外科や内科など多種多様ですね。特に最近多いのは、40~50代の高血圧症や糖尿病、脂質異常症の治療を行っているリピーターの方々。ライフスタイルの変化に伴って体に現れる悩みも多様化していく中で、いろいろなお悩みに応えていきたいと考えています。
院内設備や環境面で、工夫されていることを教えてください。
まずは、多くの患者さんに対応できるよう、医療機器を充実させたことです。エックス線撮影装置や超音波診断装置、炎症を測るCRP測定装置、骨密度測定超音波など、さまざまな症状を捉えるための検査機器を充実させるほか、簡単な外科手術にも対応できる環境を整えています。また、診断に応じて適切な医療機関へと迅速につなげるために、地域の中での連携体制づくりにも力を入れています。それと同時に、父の代から継承しているリハビリテーション室においても、マイクロ波、頸部腰部けん引装置、低周波3D刺激装置、空気式下肢圧迫機など多様なリハビリテーション機器をご用意しました。高度な診療体制を追求しながらも親しみやすくアットホームな雰囲気を大切にし、日々の健康づくりはもちろんコミュニティーを育む場としても、地域に貢献できるようにしています。
今も非常勤として、奈良県立医科大学高度救命救急センターに在籍されているそうですね。

そうです。理由は大きく2つあって、1つは日々進化していく最新の医療を学び続けるためです。奈良県立医科大学高度救命救急センターには生命に関わる重症患者を中心にさまざまな救急患者が搬送され、その対象は内科系、外科系、中毒、熱傷など、広範な領域にわたります。その中で急性期治療に携わることで知識と技術を磨き、地域の皆さんへ還元していきたいですね。そして、もう1つの理由が、さまざまな領域のドクターと出会い連携体制を強化していくことです。急性期治療の前線には、次世代を担う若い医療人が集まります。そういう方々とネットワークを築いていくことで、より適切な医療環境の提案につなげていきたいと思っています。
地域のかかりつけ医として、世代を超え頼られる存在に
今後、力を入れていきたいことはありますか?

医療的なことについては医師としてやりたい方向性をかたちにできていると思いますので、これからは、患者さんに安心して診療を受けていただけるよう環境を整えていきたいと思っています。今考えているのは、予約システムの導入です。それによって待ち時間の削減を図り、患者さんがよりスムーズに通院できる体制を整えていくつもりです。さらに、将来的には医院を拡張し、より機能的で安心・安全にこだわった診療環境をつくりあげたいと考えています。診療科目を拡大し、現在当院にはたくさんの患者さんが来院いただいております。そのため、混雑しないよう円滑な動線の確保や感染症対策の強化が今後の課題。病気の診察で来られた方も、リハビリテーションで来られた方も、互いに快適に過ごせるよう待合スペースを分けるなど、安心して心地良く過ごせる環境づくりに取り組んでいく予定です。
地域のかかりつけ医としてどのようなクリニックでありたいですか?
当院のある奈良県橿原市は、多くの地域と同様に高齢化や人口減少が大きな課題となっています。そうした時代の流れがあるからこそ、地域の方々がケガや病気で困った時にいつでも安心して頼れる場であり、「まずは、あの先生に相談してみよう」と思っていただける存在になりたいですね。そんな中で最もうれしいのが、父の時代から今も変わらず通い続けてくださる患者さんがたくさんいらっしゃって、そのお子さんやお孫さんまで、2世代、3世代にわたって当院を利用してくださること。その信頼に応えるためにも常に最新医療を学んでいきたいですし、他の医療機関との連携しながら患者さんの健康と暮らしを守り、一人ひとりをしっかりと支えていけるクリニックでありたいと考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

とにかく、体に不調を覚えたり、違和感に気づいたりした時には、遠慮せず受診ををしてほしいと思います。ケガや病気を治すためには、いかに早期に適切な対応をするかが重要。当院では、これまで救急救命や総合診療の現場にて急性期治療に関わってきた院長自らが知識と経験を生かし、必要な治療の提案や適切な診療現場の提案につなげます。まずは体の不調を解消し、健やかな暮らしを地域の方々と一緒につくりあげていきたいですね。