矢倉 典彦 院長の独自取材記事
やぐら歯科
(奈良市/高の原駅)
最終更新日:2026/08/26
高の原駅から徒歩5分、線路沿いの住宅街に立つ「やぐら歯科」。半円形の待合室の窓から電車が見える院内は、子どもたちにも人気があり、白を基調とした明るい内装が訪れる人をやわらかく迎え入れる。院長の矢倉典彦先生は、内科の医師の父が診療所を構えていた場所で、同院を2008年に開業。一時は内科・歯科を併設して父とともに診療にあたり、その経験を通じて「口は体の入り口」という信念を深め、予防歯科に力を注ぐようになった。穏やかな語り口の中に、子どもたちに怖がらずに通ってほしいという気持ちや、患者の歯を少しでも長く残したいという思いがにじむ。地域のかかりつけ歯科医師として幅広い世代に寄り添う矢倉院長に、診療で大切にしていることを聞いた。
(取材日2026年7月14日)
「口は体の入り口」。父との診療から芽生えた思い
先生がこちらで開業されるまでの歩みを教えてください。

朝日大学歯学部を卒業してから、一般歯科や矯正歯科など複数の歯科医院で経験を重ねました。治療にこだわりのある開業医のもとでしっかり技術を磨いたり、矯正歯科の知見を広げたりと、いろいろと学ばせていただきました。この場所はもともと父が内科医院を構えていたところなんです。父が体調を崩して診療を辞めることになり、空いていた建物に私が歯科として入る形で、2008年に開業しました。開業から1年ほどして父の体調が回復し、内科と歯科を併設して一緒に診療していた時期もあります。体のことと口のことを一つの場所で患者さんが相談できましたし、私自身も医科と歯科の連携を肌で感じられる貴重な時間でした。
お父さまと診療された中で、印象に残っている出来事はありますか?
父と一緒に診療していた頃に、口の健康と全身の健康について強く考えさせられることがありました。例えば糖尿病の患者さんは、内科で治療を受け、栄養士さんの食事指導も続けていたとしても、入れ歯が合わず噛みにくい状態だと食べられる物が限られてしまい、結果としてバランスの良い食事が取りにくくなることがあるんです。お口の状態を整えてしっかり噛めるようになれば、食べられる物の幅が広がり、食生活を通じて全身の健康にもつながっていくのではないかと感じました。口は体の入り口なんだと強く実感した瞬間でしたね。口の健康が保たれていなければ、体全体の健康にも悪影響を及ぼす。あの時の気づきが、今の私の診療の土台になっています。
院内の雰囲気や、来院される患者さんについて教えてください。

内装を考えるときにまず意識したのは、圧迫感をなくすことでした。天井の高さが一般的なものなので、明るい白を基調にして少しでもゆったりと感じていただけるよう工夫しています。待合室は半円形になっていて、その窓から線路を走る電車が見えるんですね。お子さんたちが電車を眺めて楽しんでいる姿をよく見かけますし、広めのスペースなので伸び伸びと過ごしていただけます。キッズコーナーも用意していますので、お子さん連れの方にも安心していただけると思います。当院には小さなお子さんから90代の方まで、本当に幅広い世代の患者さんが来てくださっています。基本は予約優先制ですが、急な痛みがある場合などにはできる限り対応するようにしています。
慣れることから始める、子どもが楽しく通える歯科
お子さんの診療で大切にされていることを教えてください。

小さいうちからきちんとケアしておくことはとても大切です。子どもの頃に適切な歯磨きの方法や習慣をつけておかないと、大人になってからでは手遅れになることも少なくありません。ですから当院では、まず歯科医院という場所に慣れてもらうことを第一に考えています。何も問題がない時期から検診に来てもらい、歯磨きをして、甘くておいしいフッ素を塗って、頑張ったご褒美にカプセルトイで遊んで帰る。そんな楽しい流れで通ううちに、治療が必要になったときもスムーズに進められるようになります。受診の目安は3歳くらいです。2歳だとまだ意思疎通が難しいのですが、3歳になるとコミュニケーションも取れるようになり、楽しく来て楽しく帰ってもらえるようになると思いますよ。
お子さんの歯を守るために、保護者へ伝えたいことはありますか?
お子さんの歯科医院に対する反応は、実は保護者の影響がとても大きいと感じています。親御さんが緊張していると、お子さんもドキドキしてしまいますし、リラックスしていれば落ち着いてくれることが多いんですね。ご自宅での歯磨きも同じで、押さえつけて磨こうとすると手に力が入って痛い歯磨きになり、お子さんがさらに嫌がる悪循環に陥りがちです。動画で気をそらしながら磨いたり、寝ついてから磨いたりと、無理のない方法で磨いていただきたいです。また、生えたての永久歯はとても弱いので、生え替わりの時期は特に注意が必要です。歯並びについても気になることがあればご相談ください。矯正歯科に勤めていた経験がありますので、必要に応じて適切な専門の先生をご紹介しています。
予防歯科について、先生のお考えをお聞かせください。

予防歯科の内容は実はとてもシンプルで、毎日の歯磨きと定期的な検診です。ただ、なぜ歯磨きが大事なのか、なぜ検診に通ったほうがいいのかを最初にわかりやすくお伝えするようにしています。はがきなどのお知らせのツールよりも、患者さん自身の「なぜ予防が必要か」についての理解が大切ですし、それが何よりの原動力だと考えています。具体的には歯垢が細菌の集まりであることを動画でお見せし、虫歯や歯周病がどう進行するのかを実際の症例を交えて説明しています。虫歯も歯周病も、油断していると気づかないうちに進んでしまうもの。健康なうちから始める予防こそが大切だと考えています。
歯を長く残すために。今できる限りのことを一生懸命に
日々の診療を支えるチームについて教えてください。

当院はなるべく同じ歯科衛生士が同じ患者を担当するようにしているので、いつ来ても同じスタッフである安心感があると思います。今の歯科衛生士はもう長く勤めてくれていて、患者さん一人ひとりのお口の状態をしっかり把握してくれています。患者さんと接する時間が一番長いのは歯科衛生士ですから、信頼関係もしっかり築けていると思います。スタッフ同士の雰囲気もとても良く、真面目に仕事に取り組んでくれていてありがたい限りです。いつもいい状態で働いてもらっていると感じていて、本当に助かっています。
患者さんと向き合う上で、心がけていることはありますか?
治療にあたっては、まず何をするのか、なぜその処置が必要なのかを丁寧にご説明してから進めるようにしています。いきなり削ったり抜いたりといったことのないよう、患者さんにきちんと納得していただいてから治療を始めます。高血圧症や糖尿病、甲状腺疾患といった全身疾患のある方の場合は、使える麻酔や薬が限られることがありますので、問診票で確認した上で安全に配慮しながら対応しています。数値に心配がある場合にはかかりつけの医科への受診をお勧めすることもあります。かぶせ物については保険と自費の特徴を正直にお伝えし、ジルコニアなど長持ちする素材のご提案から、ここは保険で十分というアドバイスまで、その方に合わせてお話ししています。
最後に、地域の皆さんへメッセージをお願いします。

一人ひとりの歯をなるべく長く持たせられるように、丁寧で優しい治療を日々心がけています。なるべく削らないこと、痛みに十分配慮すること、そしてその方にとって最善の方法を一緒に考えていくこと。それが私の診療の基本です。患者さんの大事な歯をお預かりしている以上、今の自分にできる限りのことを一生懸命にという姿勢は、開業した時からまったく変わっていません。お子さんの歯科デビューのご相談から、ご家族のお口のケアまで、気がついた時で構いませんので何でも気軽に声をかけてください。父との診療で感じた「口は体の入り口」という思いを胸に、これからも地域の皆さんのお口の健康を予防の段階からしっかりと支えていきたいと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とはジルコニアを用いた補綴治療/6万6千円~

