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花本 浩一 院長の独自取材記事

花本クリニック

(奈良市/学園前駅)

最終更新日:2022/10/11

花本浩一院長 花本クリニック main

患者の前で涙を流すのはあまり良くない、自分の感情はフラットでいるように心がけている……そんなふうに聞くと、とてもクールな医師の姿がイメージされるかもしれない。奈良市登美ヶ丘の住宅街で、1985年から続く「花本クリニック」2代目院長を務める花本浩一先生の言葉だ。研修時代、予後の短い小児患者の告知場面で、涙が止まらなかったという花本院長。父から医師になれと繰り返し言われて反抗的になったというエピソードなど、話を聞くほどにクールとは逆に、人間らしい温かい人柄が見えてくる。ストレスなど心理的影響も大きい消化器分野を専門に、臓器を診るのではなく人全体を診るという言葉からも、視野の広さと経験の深さを感じさせるドクターだ。

(取材日2022年6月18日)

画像診断を軸に、消化器分野と一般内科を幅広く

クリニックの特徴や開業のいきさつを教えてください。

花本浩一院長 花本クリニック1

当院はもともと、父が1985年に「花本診療所」として開業したもので、2021年4月に僕が継承、「花本クリニック」と名称変更し、院長になりました。父は理事長となり、僕は現在も日本生命病院で内視鏡を担当しているため、月に数回、姉の増田佳世医師が代診をしてくれています。継承する1ヵ月ほど前に改装して、それまではいかにも病院という堅い雰囲気だったのを、ホテルのような居心地の良い内装に変更しました。診療の特徴としては、地域の一次診療機関としてこれまで父は幅広い診療内容を扱ってきました。僕もその方針を維持しながら、専門の消化器疾患については内視鏡検査を導入しました。この地域は父の開業当時は住宅地として開発された経緯があり、地域の皆さんも父も一緒に高齢化してきた印象だったのですが、働いてみると意外と若い方も多いように感じます。

先生ご自身が医師の仕事を志したのは、お父さまの影響でしょうか。

父が開業したのは僕が5歳の時でしたので、小学生の時は同級生から「診療所行ってきたよ! お父さん優しいね」と何度か言われて、気恥ずかしいけど誇らしいような気持ちになったのを覚えています。地域社会に貢献しながら働いている父を見て、人助けの仕事っていいなと感じるようになりました。中学・高校は京都の洛星高校に通っていましたが、反抗期でもあったので(笑)、医師以外の道も考えたことはあります。父は診療所を継いでほしいとまでは言わなかったけれど、医師になってほしいと何度も言われてきましたので、反抗的になったんですね。数学が好きだったので理工学部も選択肢にありましたが、やはり人助けができる仕事をと考え、最後は自分の意志で医学部に進みました。

勤務医時代は消化器をご専門にされてきたそうですね。

花本浩一院長 花本クリニック2

大学は東北大学医学部でしたが、その後は関西に戻って、京都大学医学部附属病院の外科に入局し、最初は消化器外科を担当していました。胃カメラや大腸カメラ、エコーなどの画像診断は消化器外科・内科ともに必要で、僕自身も理工学部進学を考えていたくらいなので、早くから興味深く取り組んできました。その後も関西地域の基幹病院で働いてきましたが、内科の先生が主に内視鏡を担当している病院で「消化器で開業して貢献したければ、内視鏡が必要」と教わり、僕も少しずつ内科にシフトしていきました。内視鏡は体の外から内部に侵襲していくという外科的な要素もあるので、外科での経験を生かせて、やりがいも感じます。

小児の患者からもらった「折り紙」は捨てられない

一般内科としても診療を続けていかれるのですよね。

花本浩一院長 花本クリニック3

勤務医時代に専門性の高い病院で働いてきたので、当院でも最初は消化器メインでと思っていました。実際には開業してみると、病気のことだけでなく、1人暮らしで病気が不安、体調的にも精神的にもつらいなどのご相談が予想以上に多かったんです。そもそも消化器疾患は心理的な原因が影響する面も多く、ストレスで胃が痛いとかおなかを下したなどという訴えは本当によくあり、それだけに守備範囲が広いんですね。消化器だけでは地域医療の担い手として力が足りないなと考えて、開業してからは糖尿病や呼吸器疾患など他科の勉強も積極的にするようになりました。新しい研究や講演は直接的に患者さんのためになることが多いので面白くなり、知識がすぐに診療に生かされるので、モチベーションも上がります。

診療の際に心がけていることを教えてください。

高齢者が多いという地域性を踏まえて、患者さん一人ひとりの生活や背景を考えながら、コミュニケーションをするように心がけています。臓器を診るのではなくて人全体を診ていかないといけない、そのためには患者さんにとって話しやすい態度と信頼関係が大切と勤務医時代からずっと考えてきました。信頼関係を築き、僕に委ねてくれる患者さんのお気持ちがあってこそ、良い治療ができると思うんです。具体的には、患者さんがよく理解できて納得いくような説明をすることや、ちょっとした悩みなら診療とは直接関係なくても、バッサリと切り捨てずに聞くようにしています。患者さんに対しては、自分自身の感情を意識してフラットに保っていますが、重大なことをお伝えするときは特に穏やかにと心がけています。ただ、砕けた感じの日常会話をしたい患者さんには、それに合わせてフレンドリーにお話しさせてもらっています。

忘れられない経験はありますか。

花本浩一院長 花本クリニック4

医学部生の頃、小さなお子さんが無邪気に遊んでいる時に、主治医と親御さんだけがレントゲンを見ながら「もう予後が長くないです」と話しているのを聞き、ボロボロ涙が出て止められなかったことがありました。医師になってからも「治らないがんだけど、ワンチャンスに賭けて治療を頑張ります」と患者さんが言うのを聴いて泣いたこともありました。医師として患者さんの前で涙を流すのは良くないですし、経験を積む中で安心してもらう方法やコミュニケーションの取り方も学んできたので、最近は泣いてしまうことはあまりなくなりました。悲しいことばかりでもなくて、小児科で研修している時、子どもたちから感謝の言葉とともにキリンやゾウの折り紙をもらったことがありました。病院が変わっても捨てられず、仕事でつらいことがあったときに取り出して眺めて、癒やされたり励まされたりしています。

生まれ育った地元から消化器がんを撲滅したい

休日はどんなふうに過ごされていますか。

花本浩一院長 花本クリニック5

主に京都や滋賀で働いてきたので、地元の奈良には久しぶりに帰ってきました。休日は散歩やジョギングをすることも多いのですが、子どもの頃と景色の見え方が変わっているんですよね。小学生の頃は15分くらいかかって通っていた学校が、今は5分くらいで見えてきて、新鮮な気持ちになります。ジョギングは最近始めたばかりで、まだ半年くらいなんです。僕も油断すると太ってしまうタイプですし、生活指導をしている患者さんに「健康のために痩せてくださいね」と言えなくなってしまいますから。走るのは仕事終わりに20分くらいですが、汗をかいて心身が浄化されて、気持ちがリフレッシュできます。登美ヶ丘はアップダウンが多い地形ですし、ペースもまだまだ遅いので、3kmを20分くらいで走っています。

今後の展望をお聞かせください。

専門にしている消化器では「胃がんや大腸がんをこの街から撲滅したい」くらいの意気込みで、性能の高さにこだわって内視鏡検査機を導入しました。内視鏡は苦痛を伴うハードルの高い検査と思われている方も多いかもしれませんが、当院では体に負担が少ない細いカメラを使い、適切な量の鎮静剤を併用するので、怖がらず気軽に検査を受けていただきたいですね。そして、先ほどの話の繰り返しになりますが、患者さんの社会的背景を含め、全体的なことを考えて診察していきたいと思います。これからも信頼関係を大切に、小さな不調が大きな病気になる前に、気軽に相談してもらえるように工夫して取り組んでいきたいです。

読者へメッセージをお願いします。

花本浩一院長 花本クリニック6

内視鏡検査では胃がんや大腸がんが見つかることがあります。ポリープであればほとんどのものが当院の内視鏡で切除することができますし、診断によっては患者さんにとって通いやすく信頼できる基幹病院に紹介します。悪性腫瘍であれば、早期に発見し治療を開始することで治癒率が高まることが期待できます。40歳を過ぎて内視鏡検査を受けたことのない方は、ぜひ1度受けていただきたいです。また、地域のかかりつけ医であることも当院の役割と考えていますので、くしゃみ・鼻水などの風邪症状から高血圧、高脂血症、糖尿病など生活習慣病の管理まで、お気軽にご相談ください。

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