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加藤 宗寛 院長の独自取材記事

レディースクリニックかとう

(川西市/川西能勢口駅)

最終更新日:2021/01/06

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複数の大規模病院で診療部長を歴任した加藤宗寛院長が「癒やし」をテーマに、女性の健康を心身ともにサポートする「レディースクリニックかとう」。思春期から老年期に至る幅広い患者の悩みに対応し、不調の背景を紐解きつつ、それぞれの患者に合った診療を提供する。まさに女性の味方といえる院長に、診療面での配慮や、同院の特徴的な取り組みである健康回復・健康促進プログラムなど、院長のめざす医療とこれまでの歩み、そして今後の取り組みなどを聞いた。
(取材日2020年12月22日)

生涯主治医として、女性の健康を守る医療を

勤務医生活の長かった先生は、ある強い思いを持って開業されたと伺いました。

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現在大きな病院は機能分化やIT化が進み、患者さんにじっくり寄り添うことが困難な環境です。そうした中、月経の発来する思春期、妊娠出産・育児の中心世代となるリプロダクティブエイジ、親の介護やキャリアとの両立に向けて揺れる更年期、ホルモンが低下し心身が衰える老年期、と変化する女性の体を、女性医学の観点から切れ目なくサポートする生涯のかかりつけ医になりたいと考えました。患者さんそれぞれに異なるライフスタイルがあり、それを知らずに病気だけ診ても問題は解決しません。病だけでなく人を診て、その女性が生きる社会・背景を診る。それこそが婦人科医の務めという自覚を持っています。医師は、「医者」であると同時に「癒者」でもあるべきと考え、クリニックが癒やしの場となるようトータルコーディネートを心がけています。この思いに共感する多様な才能を持つスタッフの力を借り、開業以来ともに頑張ってきました。

診療ではどのような配慮をしていますか?

若い女性が初めて婦人科を受診するとなると、それは大変勇気のいることでしょう。当院は駅から近いものの、静かな住宅街にある戸建てのクリニックですので、立ち寄りやすいのではないでしょうか。診療で配慮していることは、初診の若い方や外国人の患者さんには原則として内診はせず、信頼関係の構築を優先しています。そして内診が必要な場合には、心の準備をしてから再来いただきます。初めての内診で不快なイメージを植えつけないよう、スタッフからお声がけをする、なるべく痛みや違和感を感じにくい器具を使用するなど細心の注意を払っています。

あらゆる世代の女性が気楽に安心して受診できるよう環境を整えているのですね。

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プライマリケアを行う開業医には、婦人科に限らず多くの悩みを抱えた女性が来院されます。特に子育てや介護、ご自身のキャリアなどに悩みを抱える更年期の患者さんには、まずはご本人の悩みをじっくり傾聴し、しっかり寄り添うことが大切です。患者さんを深く理解できればその背景を把握でき、より適した診療を行えると思います。不妊症の方には基礎体温やタイミング法などを指導し、焦らずに取り組んでいただく一方、体外受精が必要と判断すれば時をおかず信頼できる専門機関にご紹介するなど、患者さんにより対応を変えています。いずれにせよ、患者さんとゆっくりお話ししたい思いから当院では予約制を採用し、薬の受け取りだけでご来院いただく場合も、必ず私がお顔を見て、声かけするように心がけています。

女性により良い医療を提供したい、と走り続けた1年間

開業から1年、通常の婦人科診療の他に、先進的な取り組みもしてこられたとか。

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設備面で一つ挙げると、子宮頸がんの2次検診用の「コルポスコープ」を開業当初に導入し、活用してきました。開業医としては珍しい取り組みかと思います。子宮頸がんの検診は3段階に分かれ、第1段階は一般医院や検診施設で行う細胞診。ここで異常が見つかると、第2段階としてコルポスコープを用いて疑わしい部分を生検し、組織検査を実施します。この検査で異常が確定すれば、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)のリスク同定検査も可能になります。細胞診・組織診・HPV検査の3つの柱で子宮頸がんの精密検査を行っており、実際にこの1年で初期がんが見つかった患者さんを近隣の病院へ紹介し、私自身が出向いて手術させていただいたこともあります。

オリジナルのプログラムがあるそうですね。

健康回復・健康促進プログラムは、当院の大きな特徴の一つ。「女性リハビリ」と呼んでお勧めしています。ご自身の心と体に向き合い、少しでも前向きな明るい気持ちになっていただくこと、そして満足して帰宅いただくことを大切に、理学療法士や運動指導の専門家が患者さんの現状と課題を把握し、その方に合う運動プログラムを提供しています。肩や腰の痛みはもちろん、更年期やうつ症状、尿漏れ、月経痛など多様な悩みに対応します。妊産婦の運動指導や尿漏れ体操には勤務医時代からずっと取り組んできたのですが、私自身、大病で入院手術を受けた時の体験も大きいですね。病気そのものの痛みや苦しみより、今後どうなるんだろうという不安のほうが大きかったのですが、ピラティスのトレーナーや理学療法士の方々とお話しして施術を受けることで、体も心も随分楽になりました。この経験をぜひ役立てたいという思いで発案したプログラムです。

講演会の講師をされるなど院外でも活発に行動されていたと伺いました。

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より多くの方にクリニックを知っていただき、地域に根づくことを目標に頑張ってきました。川西市保健センターでのがん検診やレディース検診、近隣病院での婦人科手術のサポートなど医療活動の他、地元の薬剤師学会の講演会で、女性ホルモンについてお話しする機会もありました。また、地域の開業助産師さんや自然派志向のベビー・子ども用品を扱うネットショップとの連携にも力を入れています。産業医学の知識を生かし、女性の立場に立った労働環境の在り方について、製薬会社の複数事業所を結んでリモート講演も行いました。女性労働者の心身の健康管理に企業がどのように配慮すべきかは、今後ますます重要になりますからね。ちょっと大げさですが私の生涯のテーマは「女性学」。男性医師として男女の体と心の違いを考慮した「性差医学」を実践するためには、人文社会学的にもっと女性というものを理解する必要があると思っています。

女性に優しい社会づくりをめざす

今後の活動についてはいかがですか?

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人生100年時代では、50歳前後で訪れる閉経以降、心身の若さを支えていた女性ホルモンのサポートなしで残りの人生を送らねばなりません。更年期以降の女性には、ホルモン補充療法の拡充や骨粗しょう症の予防、子宮脱の保存療法など積極的に取り組んでいきたいですね。「withコロナ」の時代に、家庭と社会の両方を担う女性の役割はますます大きくなると考えています。「男性が手伝えばいい」と言うのは簡単ですが、妊娠・出産は女性にしかできない大事業なのは間違いありません。女性にしかできないことを明るく楽しく前向きに取り組める社会を築けるよう、一人ひとりを心身両面からサポートできればと考えています。

社会的な視点からも女性の健康について目を向けているのですね。

以前勤務していた病院の医師の忘れられない言葉があります。それは「私たち女医は1日に2回ゴングが鳴るんです」というもの。出勤したらゴングが鳴り、医師として患者の生命や健康に責任を背負い、へとへとで帰宅したら今度は妻・母として2回目のゴングが鳴ると。長年、女性医師の労働環境問題に携わっていた私でも、想像以上の厳しい現実を突きつけられました。最近、テクノロジーの力で女性の健康問題を改善する「フェムテック」と呼ばれる概念が注目を集めています。この分野には月経痛や月経随伴症状に対する低用量ピル、スマホのアプリによる排卵の予想や新しい生理用品、産前・産後のQOLの改善、ホルモン補充療法などクリニックでも取り込めるヒントがたくさんあります。

読者へメッセージをお願いします。

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まだまだ社会は男性中心です。月経痛でさえ「生理痛」と婉曲表現するように、さまざまな部分で女性はオープンに生きられない風潮があるのではないでしょうか。ウィメンズクリニックの院長として、女性が女性特有の問題に恥ずかしがらずに声を出せ、もっと生きやすい社会が実現することを願っています。また「産後の腰痛は仕方ない」「更年期だからつらいのは当たり前」「年だから尿漏れはするもの」と諦めている方もおられるでしょう。そんなとき気軽に相談できるクリニックをめざし、最新の知見を取り入れ、女性に優しい、女性を癒やす、きめ細かなサービスを提供できるように頑張っていきます。

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