患者や家族の決意を支える在宅医療
重症心不全の管理も実施
瀬戸内科医院
(西宮市/西宮北口駅)
最終更新日:2026/02/12
- 保険診療
「年を取っても、病が進んでも自宅で暮らしたい」、そんな患者や家族の思いを医療面から継続的に支える仕組みが「在宅医療」だ。高齢世代の増加や価値観の多様化、医療技術の進歩に伴い、在宅医療への関心は改めて高まっている。長年にわたり地域医療を支えてきた兵庫県西宮市「瀬戸内科医院」でも、2025年4月から在宅医療を本格的に展開。副院長である瀬戸悠太郎先生が、バックパックを背負って患者の自宅を訪問する。健康状態や生活習慣病の管理に加え、重症心不全など循環器疾患でも専門性の高い治療を提供できるのが悠太郎副院長の強み。「医療と常につながれる安心を感じながら、住み慣れた自宅でご家族と過ごしてほしい」と訴える悠太郎副院長に、在宅医療の仕組みや、同院で受けられる心不全治療などについて詳しく教えてもらった。
(取材日2026年2月3日)
目次
「病があっても自宅で過ごしたい」という願いを対話と専門性で支援、重症心不全患者の自宅療養にも対応
- Q在宅医療は、どのような方が対象になるのでしょうか?
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A
▲重症心不全など循環器疾患でも専門性の高い治療を提供できる
病院やクリニックへ通うことが難しい方であれば、どなたでも対象です。「難しさ」の原因はさまざまで、体力や筋力が衰えて移動が難しいということもあれば、認知症などでお一人での外出は危ない、というケースもあるでしょう。心身だけでなく社会的な要因も含め、通院ができなければ在宅医療の適応だといえます。当院であれば、外来へ来られていた方がご高齢になり、待合室から診察室まで移動するのもつらくなったり、予約日に体調を崩して受診できないことが増えたりということが、在宅医療を考える一つのきっかけになるかなと思います。脳梗塞や心不全などで入院治療を受け、自宅へ戻るタイミングで在宅医療を始める場合もありますね。
- Q利用までの流れや手続きの仕方について教えてください。
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A
▲診療内容など丁寧な説明を心がけている
要介護認定を受けている患者さんであれば、まずは担当のケアマネジャーさんに相談されることが多いでしょう。ケアマネジャーさんから当院にご連絡があり、訪問診療に訪問看護なども組み合わせながら、在宅で療養できる環境を整えていきます。ご家族から当院へ直接ご相談をいただいた場合は、在宅医療が必要になった背景をしっかり伺ってからケアマネジャーさんや訪問看護事業所などと連携し、多くの目と手で見守れるかたちを構築していきます。同時にご家族にこちらへ来ていただいて、診療の内容や費用などを詳しくご説明し、ご納得いただいた上でご契約に至れば、初回訪問の日時を決めて、実際の在宅医療がスタートします。
- Qどのように診療を行うのか、実際の様子を知りたいです。
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A
▲医療と24時間365日連絡がつく体制を整えている
原則として月に2回、当院では私が1人で訪問しています。最近の様子を伺いながら血圧を測ったり聴診をしたり、足のむくみなど体調の変化をチェックします。必要に応じて採血することも。お話の中でお困り事が出てくれば、お薬の処方を変えてみたり、病院などでの検査をご提案することもあります。1回の訪問は30分弱程度で、訪問時にご家族が不在でも構いません。もし特別な連絡事項が生じれば、こちらからご相談しますし、診療の内容は訪問看護師やケアマネジャーさんなどと共有しています。もし在宅医療以外のタイミングで不調になっても、医療と常につながれるよう24時間365日連絡がつく体制を整えていますので、ご安心ください。
- Q循環器内科の専門性を生かした在宅医療もされているそうですね。
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A
▲バックパックを背負って患者の自宅を訪問する
重度の心不全になると病状の管理が難しく、急に悪化することもあるため、ご自宅に戻れず入院を続けている高齢患者さんが少なくありません。しかし数年前から在宅での静注強心薬療法に関する制度が整えられ、条件が合致すれば点滴治療を続けながらご自宅で過ごせるようになりました。当院の在宅医療でも、重症心不全患者さんに対して在宅強心薬持続投与や在宅酸素療法を実施することができます。私自身は日本循環器学会循環器専門医で、以前は急性期病院で多数の心不全患者さんを診ていました。その経験を生かし、ご自宅で過ごす心不全患者さんにも入院中と同じように、病状を評価しお薬を選択できることが当院の強みといえます。
- Q患者さんやご家族との間で大事にしていることはありますか?
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A
▲「住み慣れた自宅でご家族と過ごしてほしい」と話す副院長
よく話を聞いて、よく話をする、これに尽きますね。例えば在宅強心薬持続投与が必要になる頃には、最期をどう過ごすのかも考えていく必要があります。患者さんご自身は「蘇生処置はもういいよ」と思われることもあるかもしれませんが、ご自宅で看取るためには、救急車を呼ばず見守るというご家族の決断が必要になることも。患者さんがどんな思いでご自宅に戻ったのか、救急車を呼んだら具体的にどうなるのか。治療を始めるタイミングで、またその後も思いを定期的に伺って、話し合いを重ねます。普段なら避けがちな話題でも、最終的にご本人やご家族が納得したり、前へ進むためには必要な場合も多いので、折々の対話を大事にしています。

