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西本 隆 院長の独自取材記事

西本クリニック

(西宮市/甲子園口駅)

最終更新日:2020/04/01

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JR神戸線の甲子園口駅南口から、すずらん通りを南へ徒歩約3分。落ち着いた住宅地の一角に「西本クリニック」がある。4台分の専用駐車場も用意されているので車での通院もスムーズだ。院長の西本隆先生は、漢方についての深い造詣を持つ一方で、内科の医師としての知識と経験を持ち、漢方・西洋医学の枠にとらわれない診療を実践している。患者の心身の状態やさまざまな条件を踏まえた上で、漢方と西洋医学それぞれの特徴を生かして、オーダーメイド的な治療を提供する。漢方と西洋医学を併用する治療とはどのようなものなのか、どんな疾患や症状に適しているのかなど、西本先生に詳しく話を聞いた。
(取材日2019年3月14日)

西洋医学の医師が漢方に取り組む意義に気づく

医師をめざしたきっかけを教えてください。

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両親も祖父も薬剤師だったので、子どもの頃から医療の世界は身近でした。父は漢方に関心を持っており、その影響で僕も漢方に興味を持つようになったのです。医学部で内科を選んだのも、漢方について学びたいと考えたからです。医学部5年生の夏休みのことです。東京の大学で開催された漢方セミナーを受講したところ、兵庫県の東洋医学研究所の副所長が講師を務めておられました。大学のOBでもあったので、将来、漢方を専門としたいと伝えると、「卒業したらぜひ研究所へ来てください」と言ってもらえたのです。ただし、卒業したら少なくとも3年間は、しっかりと内科の経験を積むことが条件でした。

卒業後は大学病院の内科に入局されました。

先生に言われたように母校の内科で研修を経験して、兵庫県立尼崎病院の内科東洋医学科で、漢方を中心とした内科の診療を始めました。入院設備のある病院なので、悪性関節リウマチなど重症の患者さんを担当することが多く、漢方で難しい症例に対応するという貴重な経験を積むことができました。当時は病院で診療を担当しながら、併設された兵庫県立東洋医学研究所で漢方の研究に取り組み、週に1〜2回は母校で研究手法を学んでいました。とても忙しい毎日でしたが、学ぶことが本当に多く、充実した日々でした。

中国の天津に留学されたとお聞きしました。

兵庫県と天津市との交換留学生という形で、4ヵ月間、現地の中医学を学びました。そこで感じたのは、西洋医学を学んだ日本の医師が漢方に取り組む意義です。現地の先生方は中医学の視点で診療にあたっておられました。しかし、僕らはすべての症例に漢方だけで対応するのではなく、必要な時には西洋医学のアプローチができることの良さを実感できたのです。

甲子園口で開業された理由を教えてください。

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ずっと阪神間の病院や研究所に勤務していたので、開業前に診ていた患者さんにも通っていただきやすいよう、交通の便がいい現在の場所を選びました。開業時の予想では、地域の患者さん、少し離れたエリアの患者さん、遠方の患者さんが3分の1ずつくらいの割合になるのではと予想していたからです。今回、開業から22年を経て改めて受診される患者さんの居住エリアを調べてみると、まさにそのとおりの割合になっていました。年齢でいうと50代が最も多く、男性と女性の割合は1:2〜1:3といったところです。

目的に応じて漢方と西洋医学を使い分ける

どんな症状で受診される方が多いのですか。

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本当にさまざまな症状の方が来られます。お子さんや若年の患者さんは、アレルギーやストレス性の疾患が目立ちます。小学生なら、頭が痛い、おなかが痛いといった訴え、中学・高校生くらいになると過敏性の腸疾患などが多いですね。30代になると冷えやストレスなど慢性的な不調、40代以上になると不調の上に生活習慣病を持つ方も増えてきます。さらに、関節リウマチなど難病の患者さんも来られます。婦人科の疾患や心療内科系の疾患については、僕は専門ではないので、婦人科や心療内科の先生の外来を設けて、総合的な診療ができる体制を整えています。漢方に強い先生たちなので、安心してお任せできます。

漢方薬の良さはどんなところですか。

漢方薬は複数の生薬の混合物なので、その効果が単一ではありません。一つの方剤でさまざまな効き目が期待でき、「全人的」と表現される治療にも役立ちます。例えば、「肩がこる」という訴えに対して、肩こりという症状だけにアプローチするのではなく、その症状を引き起こしているさまざまな心身の要因までをトータルにアプローチすることもできます。

漢方が向かない症例もありますか。

どんな場合でも漢方が良いというわけではありません。他に問題はないけれど血圧だけが高いといった場合は、作用の面でも、副作用やコスト的な面を考えても、西洋医学の高血圧の薬を使ったほうがいいと思います。漢方は副作用とは無縁と思われがちですが、漢方薬にもやはり副作用はあります。一方、冷え症やストレスを抱えていて血圧が高いという場合は、漢方が良い結果に結びつく可能性が高い場合があります。このあたりをしっかりと見極めることが僕らの仕事です。

他にはどんな症状や疾患が漢方に適していますか。

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基本的には、どんな疾患にも対応できると思いますが、特に心身症的な性格を持つ疾患に、その力を発揮できると考えます。また、西洋医学では具体的な症状や病名に基づいて薬が処方されます。これに対して、明らかな病名がつかなくても、血液の流れが滞っている「瘀血(おけつ)」や気の流れが滞った「気滞(きたい)」などが原因で体の調子が悪い、という状態を漢方では「未病(みびょう)」と言いますが、この未病の状態こそ、漢方の最も得意とするケースだと私は考えています。脈診、舌診、腹診といった漢方的な診察を通して、「未病」の状態を明らかにし、患者さんの体調を良くしていくことが、漢方診療の醍醐味なのです。

高齢者が元気でいられる医療をめざす

患者さんと接する時に心がけておられることを教えてください。

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診察室に入って来られる際の足音や扉の開け方から注意しています。当院の場合は看護師が診察前に問診を行ってくれるので、診察室に入ってこられる時には基本的な情報がつかめています。実際の診察では、その患者さんが何を望んでおられるのかを確かめ、僕がその患者さんに良いと考える治療との折り合いをつけていくことになります。例えば、漢方の治療を望んでおられる場合でも、西洋医学の治療が適していることがあります。一方、手間はかかるものの、煎じ薬を使ったほうがいいと判断したときには、積極的にお勧めします。現在は、煎じ薬1に対してエキス剤2〜3くらいの割合で処方しています。

今後の目標を教えてください。

若い頃はあまり意識していなかったのですが、最近は高齢の方が元気でいられるために役立つ医療について考えるようになりました。そうした医療のために漢方を活用していきたいし、エイジングケア的なことにも取り組んでいきたいと思います。ここ数年は特に筋肉をつけることを大事にしており、患者さんにトレーニング指導するとともに、アスレチックトレーナーに協力してもらってトレーニングのDVDも作成しました。また、漢方の普及と教育にこれからも取り組んでいきたいですね。僕自身は漢方を専門とする医師として自信を持っています。しかし足りない部分もあり、まだまだ勉強中です。僕が先輩方から多くを教えていただいた恩返しの意味もこめて、大学での講義や勉強会にも力を入れています。

読者にアドバイスやメッセージをお願いします。

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漢方は人を幸せにすることができると考えています。しかし、漢方薬は魔法の薬ではありません。あらゆる病気がたちどころに治るわけではありません。副作用もあります。一方、西洋医学にもいいところはたくさんあります。ですから、アンチ西洋医学として漢方を選ぶのではなく、両方の良さをうまく取り入れていかれることをお勧めします。また、自分の体を自分でつくっていくことの大切さを、この年になって実感しています。薬は治療のあくまで一手段であり、充実した生活を実現するのは自分自身です。漢方は病気の時だけでなく、長いおつき合いをさせていただくことが多く、患者さんと人生を一緒に歩んでいきます。運動をはじめ、食事や趣味など、生活をより豊かにするお手伝いをして、皆さんにハッピーになっていただきたいし、患者さんがハッピーになられれば僕も幸せを感じられます。

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