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西本 隆 院長の独自取材記事

西本クリニック

(西宮市/甲子園口駅)

最終更新日:2026/02/13

西本隆院長 西本クリニック main

甲子園口駅から南へ歩いて3分。「西本クリニック」には、漢方の専門家たちがそろう。初診でも再診でも、まず看護師が予診を行い、症状はもちろん悩んでいる事柄や薬の残量までを丁寧にヒアリングする。「もし薬が残っていたら、その分を減らして処方します。患者さんと信頼関係が築けているからできることです」と笑う西本隆院長は、年齢を感じさせない颯爽とした風貌。日本中医薬学会の理事も務めるベテランの医師だ。若手医師を育てることが使命と意気込み、漢方を専門とする医師への指導はもちろん、大学での講義にも精力的に取り組む。そんな西本院長に今注力している治療から、今後の展望までを熱く語ってもらった。

(取材日2026年1月8日)

「本治」に至るための全人的医療をめざして

どのような症状で来院される患者さんが多いですか?

西本隆院長 西本クリニック1

本当にさまざまな症状の方が来られますね。お子さんや若い患者さんですとアレルギーや、ストレス性の疾患が目立ちます。小学生なら、頭が痛い、おなかが痛いといった訴え、中学・高校生ぐらいになると起立性調節障害や過敏性腸疾患などです。30代になると冷えやストレスなどの慢性的な不調を、40代以上の方は不調の上に生活習慣病を合併する方が増えてきます。関節リウマチなどの難病の患者さんも来られます。女性の患者さんからは生理や月経前症候群の相談も多くて、内科医の僕では難しい内容もありますので、非常勤の婦人科女性医師による外来を設けています。当院は後進の漢方専門の医師の育成にも注力しており、僕以外に5人の医師が在籍し、総合的な診療ができる体制をとっています。

漢方薬の良さはどんなところにありますか? 向かない症例もありますか?

漢方薬は複数の生薬の混合物ですので、その期待できる効果は単一ではなく、1つの方剤でさまざまな効き目が期待できます。「全人的」と表現される治療にも役立ちます。例えば「肩が凝る」という訴えがあれば、肩凝りの症状のみにアプローチするのではなく、その症状を引き起こしているさまざまな心身の要因にまでトータルにアプローチします。さらに煎じ薬となると、洋服に例えるとオーダーメイド、つまり、サイズに合わせた服をつくるように、患者さんの症状にぴったり合うように処方することができます。ただ、どんな場合でも漢方が良いというわけではありません。他に問題はないけれど血圧だけが高いといった場合は、作用面でも、副作用、コスト的な面を考えても西洋医学の高血圧の薬を処方することはあります。漢方は副作用と無縁と思われがちですが、漢方薬にもやはり副作用はあります。しっかりと見極めることが僕らの仕事です。

診察はどのように進んでいくのですか?

西本隆院長 西本クリニック2

漢方医学には、「本治(ほんち)」と「標治(ひょうち)」という言葉があります。標治とは、今、現れている症状を治療することで、本治とは今の症状を引き起こす体質の改善を図ることです。風邪をひいた患者さんに「喉の痛みと咳を治療しましょう」というのは標治で、「風邪をひかない体をめざす」が本治です。最初は標治でも、それを本治につなげていけるように努力するのが、僕たち漢方を専門とする医師の力の見せどころです。そのためには漢方的な幅広い知識が必要で、特別な診察方法を駆使します。舌を診る・脈を診る・腹を診るというのははどれも漢方独特の診察法で、この方法で体全体の情報を得て診断を下していきます。西洋医学と比較するわけではありませんが、僕は漢方の見方というのは、より本質的なところまで診ることができるんじゃないかな、と思っています。

常にアンテナを張り、先進の治療も導入する

先生は西洋医学の専門的な知識もお持ちですね。

西本隆院長 西本クリニック3

はい。西洋医学の先生たちと同じ土俵上に立ちながら、漢方専門の医師としての治療ができるというのは、日本の漢方専門医師の強みだと思っています。こういうことができる日本は、国際的に見ても珍しい環境です。中国にも、台湾、韓国にもありませんから。だからこそ、この強みを生かしていかなければいけないと思いながら日々診療をしています。漢方だけで総合的に診るのではなくて、でき得る限りの幅広い知識や見方を持ちながら、患者さんを治療していく。このスタンスが、僕にできる全人的な医療ではないかと考えていますし、若い医師たちにもこういうことを継承していけるように努力しています。

大学で講義されるなど、後進の漢方専門の医師を育てることにも熱心だと伺っています。

25年ほど前から、全国の大学で漢方教育をすることになったことと、縁あって出身の神戸大学と、兵庫医科大学、関西医科大学などで年に1、2回講義を続けてきました。神戸大学では2020年まで漢方の外来も担当し、2025年まで医学部生に講義も行っていましたが、そちらは一旦休止させていただいて、現在は兵庫医科大学の非常勤講師を務めています。長く漢方の世界に携わっていることもあり、僕自身、若手の漢方専門の医師を育てることは使命だと強く思っています。うちに複数の漢方専門の医師がいるのは、当院で少しでも多く、臨床経験を積んでもらうことが目的でもあります。

最近、睡眠時無呼吸症候群の治療にも注力されているそうですね。

西本隆院長 西本クリニック4

不整脈や原因不明の高血圧は、突然死にもつながる深刻な病気です。これらの原因の一つが睡眠時無呼吸症候群である、と医療の世界で認識されるようになったことを知ったのがきっかけです。睡眠時無呼吸症候群は肥満や日常生活に原因があることが知られていて、以前から基本的な体質改善などを目的に漢方による治療も行っていましたが、新たにCPAPでの治療を導入しました。メーカーさんと直接契約をしていただく形で、この専用治療機器での治療を提供しています。睡眠時無呼吸症候群であるかどうか、入院せずにご自宅で簡易検査することも可能です。さらに不整脈治療においても、以前は大きな機械が必要でなかなか取り組みづらかったのですが、コンパクトで目立ちにくいホルター心電図を使用することで、ストレスの少ない検査が可能になりました。未病克服のためにも、ぜひお声がけください。

西洋医学の医師が漢方に取り組む意義は大きい

先生が医師をめざしたきっかけを教えてください。

西本隆院長 西本クリニック5

両親も祖父も薬剤師だったので、子どもの頃から医療の世界は身近でした。父は漢方に関心を持っており、その影響で僕も興味を持つようになりました。医学部で内科を選んだのも、漢方について学びたいと考えたからです。そして医学部5年生の夏休みのことです。東京の大学で開催された漢方セミナーを受講したところ、兵庫県にある東洋医学の研究所の副所長が講師を務めておられました。大学のOBでもあったので、将来、漢方を専門にしたいと伝えると、「卒業したらぜひ研究所に来てください」と言ってもらえたのです。ただし、卒業したら少なくとも3年間は、しっかりと内科の経験を積むことが条件でした。

そういうご経緯で、内科へ入局なさったのですね。

先生に言われたように母校の内科で研鑽を積み、兵庫県立尼崎総合医療センターの内科東洋医学科で、漢方を中心とした内科の診療を始めました。悪性関節リウマチなど重症の患者さんを担当する機会が多く、漢方で難しい症例に対応するという貴重な経験を積むことができました。とても忙しい毎日でしたが、学ぶことが多く、充実した日々でした。その後、兵庫県と中国の天津市との交換留学生という形で、4ヵ月間、現地の中医学を学ぶ機会も得ました。そこで感じたのは、西洋医学を学んだ日本の医師が漢方に取り組む意義です。現地の先生方は中医学の視点で診療にあたっておられました。僕らはすべての症例に漢方だけで対応するのではなく、必要な時には西洋医学のアプローチができます。その良さを、留学を通して実感できたのです。

では最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

西本隆院長 西本クリニック6

僕は、今年71歳になります。おこがましいですが、漢方を専門とする医師としてのトップレベルを常にめざして、まだまだ前衛でありたいと思っています。先頭を切るようなことをしていくためにも、勉強を欠かさず、自分のできる範囲で攻めの姿勢でやっていきたいですね。患者さんへのメッセージは、僕も前へ進みますから皆さんも前へ進みましょう、ということでしょうか。どんな前かは、その人次第です。心療内科を受診される方に多いのですが、自分を責めすぎている方が多いように感じます。悪いところは認めないといけませんが、あまり自分を責めないで。楽しく、ハッピーに気持ちを切り替えて、乗りきっていきましょう。