黒田 佳治 院長の独自取材記事
黒田クリニック
(尼崎市/尼崎駅)
最終更新日:2024/08/22

「黒田クリニック」は、阪神本線の尼崎駅前で長年にわたって地域住民の健康を見守り続けてきたクリニック。消化器内科を専門とする黒田佳治院長が、胃・大腸内視鏡検査や超音波検査などを通じ、がんや生活習慣病の早期発見・早期治療に努める。尼崎市医師会において地域医療の環境整備にも尽力してきた黒田院長は、24時間365日、電話での相談や自宅訪問、病院や救急科への紹介ができるように在宅医療体制を整えている。経験豊富なベテランながらやわらかな物腰で、地域住民に慕われている黒田院長に、消化器内科を選んだ理由、診療の際に心がけていること、注力する胃・大腸内視鏡検査、ピロリ菌除菌治療など幅広く聞いた。
(取材日2024年7月5日)
早期発見・早期治療に努め地域の健康を守るクリニック
消化器内科を専門として選んだのはなぜですか。

私は兵庫医科大学の出身です。学生時代、消化器内科初代教授の下山孝先生の講義を受けていたのですが、エックス線写真の読影会に呼んでいただいたり、先生から直接いろいろなお話を聞いたりするうちに消化器内科に興味を持つようになったんです。修了後には下山先生からより深く研究をしてみたらと勧められて大学院に進んで専門的に勉強し、当時の経験や学びが今につながっています。医局に入ってしばらくして、私の教室はピロリ菌に関するさまざまな活動をしていたので、私も胃がんやピロリ菌に深く関わるようになりました。
こちらでの内視鏡検査にについて教えてください。
がんの早期発見・早期治療をめざして、胃や大腸の内視鏡検査、腹部超音波など各種検査を行っています。内視鏡検査というと痛くてつらいイメージがあるかもしれませんが、当院では鎮静剤を注射して、患者さんが眠ったような状態の間に検査を終えますので、苦痛はほとんどないと思います。また2023年にAI技術を活用した内視鏡診断支援システムを導入しました。このシステムによって、これまで目視では発見が難しかった小さな病変の発見も見込めるようになっただけでなく、その病変が悪性のものであるか、良性のものであるかの即時診断につなげられるようになりました。患者さんは忙しい日々の中で時間をつくって検査を受けるのですから、1回の検査を患者さんにとってより有益なものにしたいと考えています。AI技術を活用した内視鏡診断支援システムは、その思いの実現をめざすための大きなサポートになると思います。
胃がん予防のために、ピロリ菌の検査・除菌にも力を入れているそうですね。

ピロリ菌感染は胃がんの発症リスクですから、胃がんを予防のためにはピロリ菌の除菌が非常に重要です。しかし、ピロリ菌に感染しても初期はほとんど無症状です。検査をしなければ感染の有無はわかりません。そこで当院では初めて胃内視鏡検査を受けるすべての方に対し、ピロリ菌検査を実施しています。万が一ピロリ菌が見つかれば、速やかな除菌治療をお勧めするのはもちろん、保険適応の1次除菌・2次除菌でピロリ菌の除去が図れなかった方に対し、完全除菌をめざす自由診療の3次除菌も提供しています。胃がんや大腸がんは早期発見・早期治療を行えば、完治をめざせる病気です。市の特定健康診査、高齢者健康診査はもちろんですが、ピロリ菌の検査もぜひ受けてがんを予防してもらえたらと思います。
丁寧に、誠実に。患者が納得する医療を追求
先生の診療ポリシー、患者さんに接する際に心がけていることを教えてください。

病気を見落とさず患者さんに役に立つ医療を提供すること、そして真面目に一生懸命診療し、患者さんとご家族に納得していただけるよう努めています。特に心がけているのは患者さんのお話をしっかりと聞くこと。コミュニケーションを大切にしながら、例えば喫煙者には「タバコをやめるのが一番いいけれど、まずは1本でも一日の本数を減らしてみましょう」など、それぞれの人柄に合わせてお話ししています。また検査結果をお伝えする時は「問題ないですよ」「良くなっています」などで済まさず、きちんと検査データの数値を解説する他、患者さんが家に持ち帰って見る「指導箋」などを用いて生活習慣の改善に関する説明を行っています。
開院から四半世紀が過ぎて、スタッフさんも頼れるベテランばかりだそうですね。
このエリアは再開発地域でありながら、もともとご近所さんだった方たちがマンションでも仲良くされていて、体調が悪かったらお隣さんが連れてこられるなど隣近所の助け合いが今でも残る人情味あふれる地域です。当院は最初は別の場所で開院し、駅前の再開発に伴ってこの場所に移転してきたという歴史を持ちますが、スタッフのほとんどが開院当時から勤務しているベテランばかりで、そんな温かな地域の患者さんやそのご家族とは顔なじみ。まるで友人かのように明るく接していて、院内はアットホームな雰囲気に満たされています。患者さんが私に言いたくないことでも、スタッフには言えることもあるようで、スタッフに悩みを打ち明けてくださる患者さんも多いですよ。
新型コロナウイルス感染症の診療について教えてください。

発熱者を受け入れる専用窓口を設け、発熱や風邪症状のある患者さんは動線を分けて専用のスペースで診察しています。もちろん、待合室も診察室も一般患者さんとは分離していますのでご安心ください。5類になったとはいえ感染によるリスクがなくなったわけではありません。これまでどおり、私とスタッフも感染症予防を徹底して診療したいと考えています。なぜなら当院は一般患者さんはもちろん、新型コロナウイルスに感染してしまった方にとっても味方でありたいと思うからです。新型コロナウイルス感染症治療の基本は対症療法ですが、診断を受けるだけでも気持ちが楽になると思いますし、安心して療養できるのではないかと思います。「受診すると迷惑をかけるのでは?」と考える必要はありませんので、体調が悪い時はご一報いただければと思います。
なんでも相談できる地域のかかりつけ医に
医師会などの活動にも積極的に取り組んでいらっしゃいますね。

医師会活動は、地域の先生方との関係性を深めたり病気や治療に対する先進の知見を集めたりと、地域医療向上のために大切な活動だと思っています。患者さんの健康に関する悩みに対応するためには、私一人ではどうしても不十分。この手術ならこの病院、この治療ならこの先生と、当院で対応が難しい場合やより大きな病院での治療が必要な場合に適切な医療機関に紹介することができるのも、医師会のおかげといえるかもしれません。また、医師会を通して保健や福祉の施設、県知事や市長と話し合ってきたことで、医療・保健・福祉・行政などネットワークが拡大しました。市内の医療・介護サービス提供者の連携を支援する施設「あまつなぎ」など、地域包括ケアや在宅医療を推進できたことも地域の安心のために意義のある活動だと思うので、今後も私にできることをしっかりやっていきたいです。
認知症サポート医としての活動など、地域のかかりつけ医として尽力されていますね。
高齢化が進む近年、かかりつけ医の存在はますます重要になってくるでしょう。当院では現在24時間365日連絡が取れる体制を整え、電話で相談に乗ったり、ご自宅を訪問したり、緊急の対応が求められる場合は近隣の病院や救急科に紹介したりしています。また、高齢化が進めば認知症の患者さんも増えます。認知症は早期発見できれば投薬で進行の抑制がめざせます。一人ひとりの患者さんの人生を伴走しながら見守りたいと考えていますので、認知症の患者さんを適切な医療と介護につなげる役割を持つ認知症サポート医としても活動しています。日々の健康管理はもちろん、ワクチンや健診などで積極的に健康をめざすためにも、通いやすさ、相談のしやすさなどをポイントに、ご自身にぴったりのかかりつけ医を見つけてください。
最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

今や2人に1人はがんになるともいわれる時代。体調の変化に気づいたり不安を感じたりすることがあれば、早めに医療機関を受診しましょう。また同時に健康診断やがん検診はきちんと受けてください。糖尿病や高血圧症などの生活習慣病は、食事や運動など日常生活で工夫をしていただいたら、病気にならずに済む方がたくさんいらっしゃるはずです。食事や運動に気をつけ、タバコを吸う方はぜひ禁煙を。早期発見、早期治療が肝心です。気になることや不安なことがあれば、患者さんご本人はもちろんご家族の皆さんもぜひ気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは内視鏡検査/胃がん:1万5420円~、大腸がん:2万2110円~
ピロリ菌検査/6160円~(ピロリ菌除菌:4300円~)