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杉原 加寿子 院長の独自取材記事

杉原小児科内科医院

(尼崎市/塚口駅)

最終更新日:2020/04/01

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「良いこともあれば悪いこともあるのが人生。今を大切にして」と話すのは「杉原小児科内科医院」の院長で、2人の男児を育て上げた杉原加寿子先生。開業から27年、尼崎・塚口の地元で信頼を集める杉原院長は、「子育て環境が大きく変化した今だからこそ、母親との関係づくりや共感に基づいた働きかけが何より大切。小児科の仕事も様変わりし、時代に即した対応が必要」と力強く話す。数年前からは「治療だけでなく子育て支援が必要」と、臨床心理士による「発達相談・心理相談」や地域の母親のための「すくすく広場」も始め、母親たちへの支援を続けている。包容力があり思わず何でも相談したくなる杉原先生に、自身の子育て経験を振り返ってもらいながら、診察で大切にしていること、母親へのメッセージなどを聞いた。
(取材日2019年6月14日)

育児が難しい時代、母親との関係づくりや共感を大切に

先生が小児科医師として大切にされていることは何ですか?

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小児科の女性の医師として、私に求められているのは共感だと思っています。専門的な知識や的確な治療ももちろん必要ですが、病気への不安や戸惑い、子育ての悩みや心細さなどに対して共感することを大切にしていますね。特に最近は、母親のメンタルヘルスケアや子育て支援にも力を入れているんですよ。こういった活動は時間もかかりますし、結果もすぐ出ませんが、母親と関係を築くことで子どもとも関わりやすくなると感じています。

先生が母親との関係性が大切だと考える背景は何でしょうか。

実はここ十数年で、小児科のすべき仕事が様変わりしています。ワクチン接種が広がり予防医学が進んだことで、感染症にかかる子どもは減りました。一方、発達障害や不登校などにかかる発達支援・育児相談を求める人は増えていると感じています。私は相談を受けるうちに、これはまず母親を支援する必要があると感じました。現代の子育てはとても難しい環境に置かれていて、母親が自分の生き方や軸をしっかり持っていないと、子育てがとてもつらく感じてしまうと考えられるからです。私が話を聞くだけでなく、毎週月曜日には発達相談や心理相談の場を設け、また、看護師が主催する、母親の悩みを聞くための「すくすく広場」も始めました。

発達相談や心理相談ではどのようなことをするのですか?

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子どもの心のことや発達のことで悩みがあれば、臨床心理士がカウンセリングします。また、必要に応じてWISCなどの発達検査も受けられます。私の診察では、お子さんの状況をどう学校へ伝えたらいいかなどをアドバイスさせていただきます。また、最近は児童デイサービスも増えているので、療育が必要な場合は居場所的なものが良いのか、トレーニング的なものが良いのかなど方向性もお伝えできればと思っています。人の発達には振り幅があるものです。壁にぶち当たりながら、少しずつ軌道修正を繰り返して大人の階段を上がっていきますので、親は焦らず待つことも大事だと思っています。

過干渉をやめて、子どもの力を信じて待つ

普段の診察ではどのような話をされるのですか。

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私は基本的に「子どもは育つ力を持っている。その力を信じる」と考えています。ところが診察中の親子の様子を見たり、お話を伺ったりしていると、母親が子どもの足を引っ張っていると感じることがあります。例えば、過干渉。子どもを泣かせたくないと思うあまり、母親が子どもの先回りをしたり、子どもの言いなりになったり。でも、子どもが泣くのは悪いことでありません。むしろ泣くことで嫌な気持ちを抑えられたり、癒やされたりします。嫌なことを知ってこそ、幸せを感じられるようになるのです。だから、「嫌なことも良いこともあるのが人生」というのは共有していきたいメッセージですね。

お母さん方の反応はどうですか?

状況によっては、お母さんにとってはすぐに受け入れられないこともあると思います。そういう時は、時間が経過して「何か変えたい」と思っているような時に話すようにしています。例えば、勉強する気がない時に勉強しなさいと言っても無理でしょう(笑)。子育てもそれと同じと考え、母親と接する時にも、そういう時機は大切にしています。ちょっとずつ、ちょっとずつ、一緒に考えて、母親自身が楽に生きられるように寄り添いたい。そうすれば、子どもも育てやすくなりますからね。

診察をしていて気になる子どもたちの症状などはありますか?

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中学生になっても自分の感覚や感情を認識するのが苦手な子が多いですね。おなかが痛くて来院しているのに、「痛い?」と聞いても「わからない」と言うんです。「今日、大便出た?」と聞いても「わからない」。出ていたとしても、いつ出たかはわからない。硬かったか、やわらかかったかもわからないって言うんです。出てくる時の感触でわかるものなのですけどね。そういう時は「お母さんからも子どもに質問してあげてね」とお願いしています。人としての本能というか、食べて出すという自然の摂理というか、そういうことに鈍感になっていることが気になります。五感を育てることは大切で、毛がふわふわの犬の赤ちゃんを見て「触ったら気持ち良さそう」と思えるのは、実際に触った経験があるからなんですよね。

良いことも悪いこともあるのが人生

塚口で小児科を開業された経緯を教えてください。

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開業したのは1992年12月で、もう27年目になります。もともと私の母が開業していた内科を引き継いで、小児科としてスタートしました。当時は長男がまだ2歳前で、開業した翌年の夏には次男を出産しました。お盆の期間に2週間お休みをいただいて、復帰してからは診察の合間に診察室のベッドで休養を取りながらやっていましたね。小児科を選んだのは、心理や精神的な分野にも関心もあり、小児科なら幅広く診られると思ったからです。兵庫医科大学に在籍中は、小児血液や小児がんなどにも携わっていました。

仕事と育児の両立は大変だったでしょうね。

地元で開業したので、患者さんがご近所さんだったりママ友だったりして、医師の時の顔と普段の時の顔が同じです(笑)。買い物しているところで患者さんに会ったり、幼稚園にお迎えに行ってそこで治療の話を聞かれたり。だから仕事も育児も一体化していましたね。実は私は、小さい頃は幼稚園に行きたくないと泣いて母を困らせるような子でした。そして私の長男も小学校1年生の2学期頃までは、私がつき添わないと一人で学校に行けない子で。でも、私も長男もいつの頃からかたくましくなっています(笑)。そんな経験があるからか、何かあってもくよくよは考えないようになりましたね。

先生の子育てのご経験も踏まえて、読者へメッセージをお願いします。

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子育ての期間は長いようで短いです。私の息子たちも今はもう社会人。大学から下宿したので、一緒にいた時間はあっという間でした。今、お母さんたちは体もつらいでしょうし、怒ってしまう時もあるかもしれません。でも怒ってもいいんですよ。お母さんたちも自分の感情と向き合ってほしいんです。ため込んでばかりいては、不健康になってしまいますから。感情が起伏するのは、健康な証拠だと思います。子どもも大人もしっかり泣いて、怒って、笑って、楽しむのが良い。喜怒哀楽っていいますよね。繰り返しになりますが、良いことも悪いこともあるのが人生。それなら「今」を大切にしましょうよ。皆さんの話を聞かせてもらうことは、私自身の子育てを振り返る良い機会にもなり、逆に学ばせてもらうことも多いんですよ。ですので、悩んでいることがあればいつでも気軽に相談に来てくださいね。

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