本間 大介 院長の独自取材記事
本間整形外科クリニック
(神戸市兵庫区/新開地駅)
最終更新日:2024/02/15
新開地駅の西改札2番出口より徒歩1分。交通至便な立地の「本間整形外科クリニック」は、年齢問わず多くの人が通う、地域密着型のクリニックだ。先代の父からクリニックを継承した本間大介院長は、整形外科疾患を中心に診療しながら地域の人々の不調に耳を傾け続けている。「私たちクリニックは病院と違い、幅広い不調をすくい上げて適切な医療へつなげるのも大切な役割の一つ。体の痛みはもちろん、原因不明の不調も気軽にご相談ください」。幅広い知見と経験を生かし、小児整形外科やスポーツ整形外科にも注力しながら訪問診療にも取り組んでいる本間院長に、同院の取り組みについて詳しく話を聞いた。
(取材日2024年2月3日)
父が大切に守ってきたクリニックを継承
まずはクリニック継承までの経緯を聞かせてください。
当院は消化器外科の医師だった父が開業し、地域の皆さんとともに成長してきたクリニックです。私は神戸市兵庫区で育ち、親族には医師が多くいましたので、自然な流れで医師をめざすようになりました。愛知医科大学を卒業後は神戸大学医学部整形外科に入局、兵庫県立リハビリテーション中央病院をはじめ、神戸医療センター、三田市民病院などを経て、高砂市民病院に勤務。充実した日々を送っていましたが、父が病に倒れ、クリニックを継続することが困難になってしまいました。私は父が地域の皆さまとつくり上げてきたこのクリニックを守りたいと継承を決意。その後、自分の専門である整形外科を中心に診療するべく「本間整形外科クリニック」に改称しました。
どのような患者さんがいらっしゃるのでしょうか?
肩や腰の痛み、手足の変形、しびれの相談はもちろん、骨折や捻挫、切り傷などの外傷の治療のためにお越しになられます。切り傷などは「傷をきれいに治す」ことをモットーに、必要時は局所麻酔下で縫合術を行い、感染症予防に努めています。また、関節リウマチや骨粗しょう症、脊柱管狭窄症、変形性関節症など、年齢とともに気になる疾患の相談で来院されることも。さらに当院では小児整形外科にも対応していますので、小さな赤ちゃんの診療も行っています。今は医療が発達し、診療の細分化も進んでいますが、ここは町のクリニックであり、地域の人に近い存在であることを誇りに思い、大切にしています。難しいことを考える必要はなく「体が痛い」「うまく動かせない」「しびれが治らない」など、困っていることがあれば気軽に相談に来ていただければと思います。
実際、整形外科以外の相談もあるのですか?
例えば、胸部や後頭部が痛いと来院されることもあります。これらの症状は整形外科的な要因で起きることもありますし、循環器や脳などの疾患から起きる場合もあります。でもそのどちらなのかは、診察してみないとわかりません。今はインターネットなどで症状を検索することもできますし、「大げさにしたくない」と考える人は多いのではないかと思います。しかし、その症状は何かのサインであり、時には重大な病気が隠されていることもあります。自分で考えることも大切ですが、様子を見ても改善が見られない場合には早めの受診をお勧めします。早期に適切な処置やリハビリテーションを行えば、それだけ早い回復も期待できますし、もしそれが整形外科疾患でない場合でも、適切な医療機関へと紹介することができますからね。
訪問診療や小児整形、スポーツ整形にも対応
訪問診療も行っているのですね。
内科だと、通えなくなった患者さんのために訪問診療を行っている所がありますよね。だったら、歩けなくなった人が一番必要な整形外科の訪問診療があってもいい。先代の時からの患者さんが通院できなくなったからといって「あとは知りません。ご自分でどうぞ」とはできません。ご自宅でできる範囲で、注射や処置などの治療を行います。また私が父を自宅で看取ったように、最期を慣れ親しんだ場所、大切な家族と一緒に過ごすことを望まれれば、看取りケアのサポートもしています。在宅医療の根幹は、生活の中に溶け込むということ。必要に応じて訪問看護や介護従事者、薬剤師さんと連携し、患者さん主体の安心した生活が送れるように配慮しています。整形外科が専門ですが、勤務医時代の救急従事の経験が糧となり、「総合的に人を診る」ことを念頭に置いて診療しています。
小児整形外科の診療で気をつけていることは?
すでに体が完成した大人とは違い、小児を治療する場合には「発達の段階」を考慮した治療が必要です。小児に多い脱臼や骨折に対しても、小児ならではの治療方法があり、後遺症を残さず正常に発達させていくための特別な知識が必要になります。また、先天性股関節脱臼、先天性内反足、発育性股関節形成不全や側湾症、骨端症、歩行障害など、発育とともに経過を観察しつつ、適切なタイミングで適切な処置を行うことが大切です。私は肢体不自由児施設で子どもたちの診療を担当してきましたので、小児の診療も積極的に対応しています。未来ある子どもたちに健全な成長の重要性を痛感しているからこそ、無侵襲の治療を配慮し、迅速な対応を心がけています。
スポーツ整形外科についてはいかがでしょう。
熱心にスポーツに取り組んでいる患者さんにも多数来院いただいています。最近では幼少期から一つのスポーツに一生懸命取り組むあまり、特定の筋肉や骨を使いすぎてしまう人が増えています。こうして起こる痛みは、普通の治療やリハビリテーションだけでなく、その人の体の癖やスポーツの特色に合わせて対応することが大切になります。また、いったん痛みが治ったとしても再発することが多いので、負担を軽減するための休息や予防指導も重要です。しかし、スポーツ障害の治療は焦る心との戦いでもあります。「なぜそうするのか」が納得できなければ、患者さんの心は治療から離れてしまうため、復帰の目安を具体的に伝え、前向きに取り組めるよう心がけています。
「つながり」を大切に、誰もが「ほっ」とできる場所に
患者さんとのコミュニケーションを大切にされているのですね。
患者さんとのコミュニケーションを大切にすることは、先代も大切にしていたことです。重篤な病気を診る病院とは違って、われわれのようなクリニックの役割は、地域の方々の悩みに耳を傾けることでもあると思います。ですから、まずは患者さんのお話を傾聴することから診療をスタートするように心がけていますね。いつ頃からどんな症状があるのか、生活する上でどんなことに困っているのか、どんなふうに暮らしたいのか、いろいろお話しすることが良い治療にもつながります。年齢問わずよく話し合い、その人らしく生きていくことをサポートしていきたいです。内服だけでは改善されない疾患も多々あり、やはり生活習慣の見直しや食生活の改善がたいへん大切になりますので、アドバイスさせていただいています。
スタッフの皆さんも生き生きと働いていらっしゃる印象です。
私にとってスタッフは家族と同じような存在。診療を支えてくれるスタッフがいるおかげで、柔軟な対応が可能です。不安を抱いて来院される患者さんが気持ち良く、安心して帰っていただくためにワンチームになって日々従事してくれています。優しい心を持ったスタッフが集まっていることに感謝しています。女性はライフスタイルとともに働き方を変えることが多いので、相談に乗りながら、働き方改革を行っています。また、感染症の流行時はできなかった食事会もようやく再開でき、楽しい時間を共有して更に団結力も深まっています。家庭があるスタッフがほとんどですが、働くこともストレス発散の一つ。これからも、スタッフがやりがいを感じ、輝ける職場づくりをめざします。
最後に、地域の皆さんにメッセージをお願いします。
どんな些細なことでも、不安や心配があれば気軽に相談していただけたらと思います。手術が必要な場合でも、大きな病院とも日頃から連携しているので心配はいりませんよ。また、何らかの理由で通院が難しくなった時や、セカンドオピニオンとしてもご相談ください。すべてを完璧に対応できるとは限りませんが、解決方法を一緒に探っていくことはできます。私たちがめざすものは、一人でも多くの方に「ここに辿りついてよかった」と感じ、「ほっ」としていただける囲炉裏のようなクリニック。ぬくもりが届く距離で、これからも地域の皆さんの健康の幸せを願いながら共にこの地で歩んでいけたらと思います。私自身は医療人をめざした時の志を忘れないように、毎日新鮮な気持ちで診療に臨み、日頃から知識のアップデートをし研鑽していきます。