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塚本 哲也 院長の独自取材記事

塚本耳鼻咽喉科

(神戸市東灘区/石屋川駅)

最終更新日:2022/09/12

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石屋川駅から徒歩5分の「塚本耳鼻咽喉科」は、25年前に開院したクリニックだ。院長の塚本哲也先生が同科を志したのは、真珠腫性中耳炎で自身が苦しんだことがきっかけだという。子どもの頃に耳・鼻の不調を放置すると、成人してから手術を要することがあるそうで、「子どもが大変な思いをしないよう、しっかり治して成長させたい」という熱い使命感を持った先生だ。たとえ怖がって暴れても、怒らないようにしているとのこと。子どもの対応に慣れた先生が地域にいるのは、親としては心強いだろう。また、幅広い世代の喘息患者にも対応。治療のポイントは、ステロイドを吸入する際のコツをしっかりと伝授することだそうだ。たくさんの患者を診る中で磨いてきたテクニックが光る、塚本先生。じっくりと話を聞いた。

(取材日2019年1月9日)

自身が手術を受けた経験から、耳鼻咽喉科医師の道へ

耳鼻咽喉科の医師を志すようになったきっかけについてお聞かせください。

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僕はもともと体が弱かったのですが、高校生の頃、耳から汁が出てきたんです。耳鼻咽喉科を受診したところ、クリニックでは対処できないほどの真珠腫性中耳炎だと発覚。悪くなると骨が破壊されて、難聴や麻痺を引き起こしやすい病気で、その治療に精通する先生を紹介してもらいました。その後、大学6年生の夏に40日間入院し、手術。ほとんど痕は残りませんでした。うちは父が小児科の開業医なので、僕自身も医師になるつもりではありましたが、耳鼻咽喉科に進むことに決めたのは、その先生に助けてもらった感謝の気持ちからです。

石屋川に開院した理由は何ですか?

開院前は、神戸大学を経て、この近くの神鋼病院に勤務していました。実は、僕が神鋼病院に入ってから、子どもの患者がずいぶん増えてしまって。外来を21時までやっているほどで、患者さんが通院しにくくなっていたのです。そこで、子どもたちが通いやすいように、独立して開院しました。1994年のことです。翌年に阪神・淡路大震災があって2ヵ月間休診したものの、その後は診療を続けてきました。患者さんは子どもたちが多かったですね。毎朝、クリニックの前に行列ができるくらいでした。

今も子どもの患者さんが多いのですか?

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今は変わりました。地域の子どもの数が減りましたし、お子さんの来院は少なくなったと思います。以前は、診察まで1時間待ちのこともありましたが、最近では平日なら15分、土曜日でも30分程度の待ち時間です。子どもが減った代わりに、世代を問わず増えたのが、喘息の患者さんです。もともとは、咳が止まらないという人がいて、しまい込んでいた聴診器を出して診察したのが始まり。やがて、息をきれいに吐けない患者さんが多いことに気づいて、今ではすべての患者さんを聴診器で診せてもらっています。本人は風邪だと思っていても、実は喘息だったということは多いのです。そういうわけで、当院では喘息、気管支炎、軽い肺炎までの呼吸器疾患にも対応していて、難しいケースは専門の病院に紹介しています。

子どもの仕草から、滲出性中耳炎の早期発見に注力

耳鼻咽喉科で喘息の診療とは、意外なようにも思えます。

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「One Airway, One Disease」という概念があります。鼻、喉、気管支は1つの空気の通り道(One Airway)。だからアレルギー症状が鼻に出た場合である鼻炎も、気管支に出た場合の喘息も、1つの疾患(One Disease)として捉え、一体に治療しようというものです。実際、鼻や喉といった上気道に問題があれば、そこからつながる下気道である気管支や肺が良い状態を保つことは難しいですから、まとめて治療するのにはメリットがあります。診察で見ているのは、息を吐けるかどうか。ヒューヒューと喘鳴が聞こえるようでは、症状がだいぶ進んでいます。その前の段階で見つけて、薬で上手にコントロールしていくことが大事です。患者さんはちょっとおかしいなと思っても、なかなか受診されないのですが、気になることがあればまずは受診すると良いと思いますよ。

治療では何がポイントですか?

吸入ステロイド薬は喘息治療の基本です。ただ、うまく吸えずに効いていないことが多いように感じています。気道が狭くなっている上に痰で喉が詰まっているから、奥のほうの炎症が起きている部分に届いていないんですね。ですから、吸入するより先に、まずは喉を広げること。自分で叩いて、詰まりを振動で外してから吸うと、ステロイドが奥に入りやすくなります。治療の上では、叩く場所や力加減を含めて、きちんと指導することが大事だと考えています。実は、このことは診察しているうちにたまたま気づきましてね。指導をするようになってから、うまく治療を進められるようになったと感じています。

先生の得意分野を教えてください。

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子ども、特に乳児期の滲出性中耳炎です。まず大事なのは、顕微鏡を使って早く見つけること。そして、鼻の奥が詰まることが一つの原因ですので、カテーテルで鼻水を吸引していきます。程度によっては鼓膜切開が有用ですが、親御さんの中には「鼓膜切開は効かない」と耳にした方もいるかもしれません。というのは、切っても意外と早く穴が治って、再び閉じてしまうからなんですね。ですが当院では、縦に切開するテクニックを使うことで、切開した状態を長持ちさせるよう工夫しています。また、子どもの滲出性中耳炎はなかなか気づきにくいです。一つのサインとなるのが、頻繁に髪の毛に手を持っていく、お母さんの胸に顔を擦りつけるといった仕草ですから、よく観察してみてください。それから、子どもは基本的に鼻水は出ないし、いびきや寝息もないものです。風邪をひきやすい子だと感じているなら、中耳炎と副鼻腔炎の可能性を検討したほうが良いかと思います。

子どもが一生健康でいるために、幼少期の耳鼻科治療を

子どもの診察で気をつけていることはありますか?

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僕は、耳も鼻も、大人になってからの手術を避けられるようにしたいのです。毎年数多くの方が鼻、耳の手術をしています。子どもの頃のケアが不足していたことが一つの原因でしょう。僕自身、耳の手術では苦しみましたから、同じような思いを子どもたちにさせたくありません。ですから、患者さんが子どものうちに外来で治療を終わらせて、健康に成長させるのが目標です。親御さんは連れてくるのが大変でしょうけど、大人になるとなおさら時間を取って通うのは難しくなりますし、副鼻腔炎の場合、年を重ねると鼻水が肺に落ちて誤嚥性肺炎のきっかけにもなります。子どもの生涯にわたる健康のため、乳幼児期に鼻の状態を良くしておくことは本当に大切です。

耳鼻咽喉科を怖がるお子さんはいませんか?

多いですね。そのため、僕が心がけているのは、決して怒らないこと。スムーズな治療のためにはお子さんが動かないことが必要ですが、じっとするまでは泣き叫んでも決して怒らないで、「頑張って」と待っています。ただ、やることはやらないと、本人のためになりませんからね。カテーテルで奥のほうの鼻水を取るのも、確かに痛いんですよ。僕自身、カテーテルの持ち方からして気をつけて、患者さんの鼻の形に沿うようにするなど、できるだけうまく吸引できるよう心がけています。鼻水を吸うのには定期的な通院が必要となりますが、鼻の中を何もない状態にするのは大事なことです。最近は共働きの方が増えて、子どもの通院が難しい場合があるのですが、頑張って来てほしいです。子どもの将来のためになりますから。ちなみに、院内にはベビーカーや車いすで入っていただいて構いませんから、気兼ねなく来てくださいね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

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普段と違う症状が出たときに、風邪だと思い込まずに、喘息の可能性を考えてください。喘息は昔みたいにひどいものでも、珍しいものでもなく、誰でもなるごくありふれた病気。体質は関係ありません。季節の変わり目や悪天候のときに調子が悪くなるというのも、喘息かもしれませんし、副鼻腔炎かもしれません。また、ご家族の介護をしている方は、誤嚥性肺炎になる可能性も頭に置いてほしいですね。いずれの場合も、耳や鼻の掃除や適切な処置をすることで、その後の状態が変わりますので、まずは受診していただきたいです。開院してからもう25年になりました。これからも、少なくとも今来ている赤ちゃんが成長するまでは、彼らが健康に成長していけるように、しっかり診ていきたいと思っています。

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