藤関 義人 院長の独自取材記事
藤関眼科
(四條畷市/四条畷駅)
最終更新日:2024/07/31
学研都市線四條畷駅から徒歩10分ほど、商店街のある庶民的なこの街で親子2代にわたって地域医療に尽力してきた「藤関眼科」。藤関義人院長の父である先代院長が同院を開業したのは1968年のことで、実に半世紀以上の歴史を持つ医院だ。医学博士でもある院長が専門とするのは涙道疾患。子どもの近視、大人の緑内障、加齢黄斑変性など幅広い疾患にも対応し、オルソケラトロジーといわれる近視矯正や、大学病院などで行われてきた硝子体内注射などの治療も行う。コロナ禍ではオンライン診療にも対応し、常に時代に合わせて診療内容をアップデートしてきた院長だが、自転車で訪問診療に出かける姿はアナログで親しみやすさにあふれている。地域医療にかける思いが強く、気さくな性格でも慕われている藤関院長に同院の診療内容など詳しく話を聞いた。
(取材日2024年4月11日)
半世紀にわたって地域医療に尽力し、訪問診療も行う
50年以上の歴史がある医院なのですね。
当院は私の父が1968年に開業しました。当時は四条畷駅の近くにあったんですが、患者さんの増加に伴い手狭になってしまい、こちらに移転したと聞いています。2006年に私が院長を引き継ぎ、2020年には院内設備などを新しくしましたが診療スタイルは先代の頃から変わらず、地域のホームドクターとして赤ちゃんからお年寄りまで幅広い世代の眼科疾患にあたっています。中には4世代で来てくださっているご家庭もあるほど、長く地域の皆さんとともに歩んでまいりました。わが家は代々医師の家系で、祖父も大阪市内で開業していたんですが、その診療所の待合室には四条畷に縁のある武将の絵が飾られていたり、幼い頃の私の五月飾りもそのかぶとだったりと、四条畷にはもともとご縁があったのだと感じています。生まれ育ったところではないんですが、この街の医療に貢献したいという思いは人一倍強いと自負しております。
訪問診療にも取り組んでおられるそうですね。
昔ながらの土地ですから、患者さんの高齢化が進み、最近では80歳を超える方も多くみられるようになりました。90代でも元気に歩いてお越しになる方がいらっしゃる一方で、足腰が弱くなり通院が難しくなった方もいらっしゃいます。また、認知症があって、付き添いのご家族が通院に困難を感じているケースもあります。今の時代、介護をするにも共働きで忙しいでしょうから、それならもう「こちらから行くしかないだろう」と。施設など駐車場のあるところには車で、ないところは個人宅の前に車を止めるわけにもいかないので自転車で伺っています。私もそろそろ初老ですから、よい運動にもなっていますよ(笑)。
訪問診療を希望する場合はどうしたらよいでしょうか。
普段から当院にかかられている方であればよいのですが、初診の方や、前回の診察から間が空いている患者さんは、まずは一度お越しいただく必要があります。というのも、在宅ではできる検査に限りがあるからなんですね。前眼部検査、眼底検査や眼圧検査などは行えても、視力検査などは簡易のものしかできません。最初に詳しい検査をして、その結果で訪問診療が可能かどうか見極める形になります。かかりつけの先生がいらっしゃるのであれば、治療経過がわかりますのでできる限り紹介状をお持ちください。訪問診療には毎月伺いますが、その後も状況次第で1年に1回から3回のペースで診療所にて検査にお越しいただくことがあります。
オルソケラトロジーや硝子体内注射なども実施
オルソケラトロジーによる近視矯正について教えてください。
オルソケラトロジーというのは、就寝時に特殊なカーブのあるハードコンタクトレンズを装着することで、角膜の形を矯正し、昼間の裸眼視力の改善を図るというものです。手術を行う必要がなく、日中に眼鏡やコンタクトレンズをつけずに裸眼で過ごせるというところが利点でしょう。当院で採用しているレンズは、無水晶体眼用のコンタクトレンズとして連続装用可能になった製品と同じ素材を使用しており、ソフトコンタクトではないにしろやわらかめなレンズであること、定額制のサブスクリプション型であるため、身体的・経済的な負担が比較的少ないことが特徴です。サブスクリプション型なのでやめやすいという側面もありますね。
どのような患者さんに向いていますか。
子どもの角膜は大人よりもやわらかいため、オルソケラトロジーによる矯正効果が高いことが期待できます。保護者の管理下で脱着でき、運動中のコンタクトレンズによる事故のリスクもなくなること、学校から帰宅後にコンタクトレンズをしたままうっかり寝てしまうという心配もありません。ただし、人によっては適応しない場合もあるので、希望する患者さん全員に行えるとは限らないということをご承知おきください。例えば強度近視の場合も適応外となります。
硝子体内注射についても詳しく聞かせてください。
硝子体内注射は、加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫などの疾患に対して行うもので、眼球に直接抗VEGF薬を注射する治療法です。以前は大きな病院を中心に行われていた治療法ですが、多くの場合、持続的に複数回行わなければならないことがわかってきました。毎回大きな病院へ行って受けるのでは大変ですよね。かかりつけで安全性に配慮して受けられるのなら、患者さんにとってそれに越したことはないと思います。当院では、注射の際の滅菌もしっかりと行いますのでご安心ください。
一人ひとりに寄り添う地域のかかりつけ医をめざして
やはり小さな頃から医師を志しておられたんですか。
憧れはありましたが、反抗期には「眼科などやるものか」とそっぽを向いていたんですよ(笑)。それが大学入学後に恩師の宇山昌延先生と出会い、眼底を見れば病気がわかるという眼科学の面白さを知ると同時に、知識や経験がなければ病気は見えてこない「見ても見えず」という先生の教えに引き込まれて、そこからは必死に勉強しました。そのまま大学に残りたいという気持ちもありましたが、父が体調を崩して診療を手伝うようになってから徐々にその思いも変わっていきましたね。患者さん思いで熱血漢な父の姿、頼られる父の姿に自分がめざすべき眼科医が見え、後を継ぎたいと思ったんです。そんな父の代から当院を支えてくれているベテランスタッフも心強い存在です。対話を通して患者さんと信頼関係を築いてくれますし、若いスタッフも生き生きと仕事に取り組んでくれているのでたいへん助かっています。
診療において大切にしていることは何ですか。
患者さん一人ひとりと親身に接し、お話をしっかりと伺い、わかりやすく説明することを大切にしています。また、目の症状と全身の病気は関係していることがあるので、会話の中で健康に関わる話があればカルテに記入しておき、全身の健康状態を把握するよう努めています。どなたでも気軽に目の相談に来ていただけるような環境づくりも大切なので、当院では眼科専用の座面が上下する車いすを用意し、足が不自由な方でも車いすのまま診察を受けていただけるようにしています。また、SNSアプリを使った予約システムやクレジットカード決済も導入していますのでご利用ください。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
スマートフォンの使用などによる小児の近視の進行が危惧されています。強度近視になると将来緑内障になるリスクも高まるので、お子さんの近視が進む前にいらしていただきたいですね。中高年の緑内障については、近年、患者さんが非常に増えているので特に注意が必要です。自分では気づきにくいため手遅れになって失明してしまうケースがありますので、年に一度は必ず眼底検査を受けるようにし、アイフレイル(加齢による目の機能低下)も予防しましょう。また、糖尿病の治療を始めたら、主治医の先生から特に話がなくても眼底検査を受けることをお勧めします。当院はそれぞれの病気に対して可能な限り治療を行っていますが、大がかりな手術を要する場合や、他の診療科との連携が必要なケースでは、関西医科大学の関連病院など適切な医療機関をご紹介していますので、その点でも安心して受診してください。
自由診療費用の目安
自由診療とはオルソケラトロジー/両眼1か月あたり7700円、片眼1か月あたり4400円
※年に1回交換可能。片眼につき年2回保証交換。
※初期費用は別途お問い合わせください。