幅広い悩みを受け止める
地域のかかりつけとしての泌尿器科
山上医院
(泉南市/樽井駅)
最終更新日:2025/08/13


- 保険診療
夜中に何度もトイレに行く夜間頻尿や、我慢できずに出てしまう尿漏れなど、生活の質に大きく関わってくる排尿トラブル。そんな時、頼りになるのが泌尿器科だ。しかし、排尿トラブルはあっても、年齢のせいと諦めていたり、内科で診てもらったりと、今まで泌尿器科にかかったことがない人も多いようだ。「山上医院」の森康範副院長は、「頻尿や尿漏れは確かに年齢によるところもありますが、しっかりと原因を突き止めることで対処ができることもあります。早期に治療するためにも、泌尿器科を受診することが重要です」と話す。泌尿器科の診療の幅は広く、排尿トラブル以外の相談もできるという。今回は康範副院長に泌尿器科のかかり方、相談の多い症状、検査や治療の方法などについて教えてもらった。
(取材日2025年7月14日)
目次
生活の質の低下を招く排尿障害。早めの受診が、快適な生活や将来的なリスクの回避につながる
- Q泌尿器科ではどのような病気を診てくれるのでしょうか?
-
A
▲穏やかな表情で話す姿が印象的な康範副院長
泌尿器科では、主に尿に関するトラブルを診ています。例えば「尿の色や臭いがいつもと違う」「回数が多い、少ない」「出にくい」「排尿時に痛い」など、ちょっとした変化でも気になれば相談してください。診察対象は腎臓・副腎・尿管・尿道・膀胱といった尿関係の臓器のほか、前立腺・陰茎・精巣などの男性生殖器も含まれます。膀胱炎・がん・尿路結石・性感染症・前立腺肥大症など、診療範囲が広く、さまざまな病気を診ているんですよ。男女問わず診療し、年齢も幅広いのが特徴です。おねしょともいわれる、小さなお子さんの夜尿症、働き盛りの男性の更年期障害などの相談も、泌尿器科の診療範囲です。
- Q排尿トラブルの場合、初診ではどのような検査をしますか?
-
A
▲同院のトイレには測定装置が備えられている
泌尿器科の初診では、まずお話を伺い、どんな症状で困っているかを確認します。その上で、尿が出しきれているかを調べる残尿測定や、尿の勢い・量を測る尿流量測定を行います。当院のトイレは測定装置になっており、いつもどおりに排尿するだけで、尿の勢い・量・時間などが測定できます。さらに超音波検査で膀胱の中を見て、尿が残っていないかを調べます。ご相談の多い「尿の回数が多い」ケースでは、「出しきれていない」と「ためられない」の2つの原因があり、それぞれ治療法も違います。合わない薬を使うと、逆に悪化することもあるため、泌尿器科を受診して原因を見極めることがとても大切です。
- Q頻尿や尿漏れについて、詳しく教えてください。
-
A
▲少しでも違和感を感じた際には、早めの受診を
年を取ると筋力が低下し、それに伴って膀胱も広がりにくくなり、尿をためる力が弱まっていきます。そのため、自然とトイレの回数が増えて頻尿になっていくのです。膀胱に量をためられなくなると、少量の尿がたまっただけで強い尿意を感じやすくなり、我慢できなくなり尿漏れを起こすこともあります。さらに男性の場合は、加齢とともに肥大する前立腺が尿道を圧迫し、尿の流れが妨げられることで、膀胱が完全に空にならず、より頻繁に尿意を感じるようになるといわれています。ほかにも、生活習慣やストレスが要因になることもあります。排尿トラブルは、最初は小さな悩みでも、放置すると一気に悪化するケースもあるのです。
- Qさらに放っておくと、どのような危険性がありますか?
-
A
▲膀胱鏡も完備。専門的な治療や検査が可能となっている
例えば、膀胱に尿が残ると細菌が繁殖しやすくなり、膀胱炎のほかに、腎臓にまで炎症が広がって腎盂腎炎になることも。さらに、その菌が血液に乗って全身に広がると、敗血症といって命に関わる危険な状態になることもあるのです。また、夜間に何度も起きてトイレに行く夜間頻尿は、睡眠の質を下げ、日中のふらつきや転倒など二次被害のリスクを高めます。特に高齢の方では、夜間のトイレ中に転んで骨折し、そのまま寝たきりになってしまうケースもあります。改善方法としては、膀胱に尿がためられるようトレーニングする方法が一般的。排尿日誌をつけて、トイレに行く間隔を徐々に延ばすことで、少しずつ回復を図ります。
- Q性感染症の治療について教えてください。
-
A
▲気になることがあれば気軽に相談してほしいと話す康範副院長
性感染症の中でも多いのは、淋菌感染症やクラミジア感染症です。主に尿道に炎症が起き、強い痛みを感じます。治療は主に抗生物質で行いますが、最近は薬での治療が難しい耐性菌も増えており、治療後の再検査も大切です。また、検査で陽性となった場合には、パートナーと一緒に治療し、互いの再感染防止につなげることも忘れてはいけません。しっかり治療しきれていないとまた感染を繰り返し、炎症箇所が硬くなって尿道が狭くなる尿道狭窄を起こし、将来的に排尿困難などのトラブルにつながることもあります。検査は尿検査だけで可能ですので、気になる症状があれば早めに泌尿器科を受診しましょう。