全国のドクター14,058人の想いを取材
クリニック・病院 156,433件の情報を掲載(2025年9月23日現在)

ドクターズ・ファイル会員でできること

予約情報をマイページ上で管理できます!

過去の予約を一覧化

予約内容の確認

予約の変更・キャンセル※

※一部対象外の医療機関もありますので、あらかじめご了承ください

会員登録がお済みでない方は

すでに会員の方は

  1. TOP
  2. 大阪府
  3. 東大阪市
  4. 荒本駅
  5. 東大阪市荒本平和診療所
  6. 多和 昭雄 院長

多和 昭雄 院長の独自取材記事

東大阪市荒本平和診療所

(東大阪市/荒本駅)

最終更新日:2025/08/07

多和昭雄院長 東大阪市荒本平和診療所 main

近鉄けいはんな線荒本駅から歩いて10分。町工場が並ぶ、いかにも東大阪らしい町並みの中で、約40年という長きにわたって地域医療を展開しているのが「東大阪市荒本平和診療所」。現在は内科と小児科を中心に整形外科・放射線科を診療範囲としており、通所リハビリテーション施設まで併設し、赤ちゃんから高齢者まで、誰もが気軽に通える診療所として親しまれている。現在は、要望が増える在宅医療にも注力。今回取材したのは2016年に院長へ着任し、小児科を担当する多和昭雄先生。大阪大学や国立の大規模病院で培った経験を生かすべく、この診療所とともに第二の人生を歩んでいる。そんな多和院長に、診療所の特徴や役割、子どもの診療、在宅医療に対する思いなどをじっくり聞いてみた。

(取材日2025年5月19日)

地域の人たちとともに築いてきた街の医療拠点

歴史ある診療所だそうですね。成り立ちを教えてください。

多和昭雄院長 東大阪市荒本平和診療所1

当診療所は、1980年1月に開所しました。もともとこの辺りは医療機関が少なかったことから、地元の需要の高まりで公設民営の医療機関として発足しました。とはいえ、開所当時は診療に必要な医師が不足し、運営側が医師を探すために東奔西走するなど、住民の要求に見合った医療体制を整えるために、多くの年月を要したと聞いています。最初は眼科だけでしたが、少しずつ赤ちゃんからお年寄りまで、消化器でも循環器でもなんでも診るという、町の開業医のような体制を築いていったそうです。一度閉鎖の危機があったそうですが、地域の方々のご協力もあり、地域に根を張り、地域の人たちと支え合い、発展してきました。私が着任したのは2016年ですが、地域に欠かすことのできない医療拠点のような存在だと感じています。

現在の診療体制について教えてください。

現在の診療内容は、小児科、内科、整形外科、リハビリテーション科、放射線科。そのほか、在宅医療、各種健康診断にも対応しています。外来は午前中に行い、科目によって在籍する先生が曜日ごとに異なっています。最近では小児科専門など一つの科目の専門クリニックが多いですが、当診療所は、それぞれ専門性を持つ先生が一つの診療所に集まっているため、赤ちゃんから高齢者まで誰もが気軽にかかれるのが強み。家族のかかりつけとしてとても安心かと思います。また午後は、一人では通院困難な方や、ご自宅での医療を望まれる方などに対する在宅医療を中心に行っています。もともと当診療所に通っていた患者さんだけではなく、病院から紹介があった患者さんも受け入れています。在宅医療の医師は内科中心ですが、お一人お一人の疾患に合った適切な医師が担当し、24時間対応する体制を取っています。

院内には、通所リハビリテーション施設も併設されているんですね。

多和昭雄院長 東大阪市荒本平和診療所2

はい、通所リハビリテーション「デイケア憩」を併設しております。介護保険制度は2000年に創設されましたが、「医療も、介護も必要な人に提供したい」という思いから当診療所では1999年から介護支援事業をスタートさせました。とはいえ公設民営の診療所で法人格がなかったため、まずは社会福祉法人を立ち上げ、デイケア、訪問介護、介護用品の貸与などを行っていきました。診療所のスタートと同じように、介護に関しても、必要な体制を必死になってつくり上げていったそうです。現在、「デイケア憩」では日帰りで、理学療法士による機能回復訓練を提供しています。それぞれの状態に応じて、ベッドからの起き上がりや、立ち上がり、歩行など、日常生活上のさまざまな動作の訓練のほか、他の利用者さんとの交流、レクリエーションを楽しんでいただけます。スタッフ一同、皆さんに寄り添い、必要な医療・介護を、必要な方へ提供していきたいですね。

患者や家族の不安を先回りして取り除きたい

多和院長のご経歴を教えてください。

多和昭雄院長 東大阪市荒本平和診療所3

私はもともと大阪大学医学部の出身で、大阪大学医学部附属病院や大阪厚生年金病院(現・地域医療機能推進機構大阪病院)、国立大阪病院(現・国立病院機構大阪医療センター)に勤めていましたが、2016年の3月で定年退職を迎えたんです。それで次の職場を探していたところ、たまたまお話が来て面接を受けたのがこちらの診療所でした。その時に対応していただいたのが、開所以来ずっとこちらに勤めている女性の事務長さんで、杓子定規なところがなく、人間味にあふれた非常に魅力的な人物でした。それで土曜日だけ何回かお試しで診療をして他のスタッフさんたちともふれあうことができ、これならぜひ働きたいと正式にお願いしたわけです。

診察時に心がけていることを教えてください。

私の場合、なるべく何もしないのが信条なんです。若い頃はついアカデミックに考えすぎたり、検査をやりすぎることがありました。それをあまりやらなくなったのは、この年齢に達しての成熟だと思っています。時代もどんどん変わってきました。昔は、子どもが高い熱を出したら抗生物質を出すのが当たり前でした。今では、普通の風邪の症状で抗生物質を出すことはありません。他にも咳止めや鼻水止めなど、有用である一方で副作用はあり得るわけで、てんびんにかけると出さないほうがいい場合もあるという考え方もあります。ただ、医師の意見も割れていて、インターネットなどで調べると逆のことが出てくる場合がありますね。この周辺の地域の方は医師の指示に従ってくださる素直な方が多いので、非常に診療がしやすいです。

患者さんはどんな方が多いですか?

多和昭雄院長 東大阪市荒本平和診療所4

下町気質といいますか、言いたいことをおっしゃって、あとはさっぱりとしています。患者さんも看護師さんも、あまり我慢せずに言いたいことを言い合っているのに、不思議とトラブルにはなりません。新しい病院だと、なかなかそうはいかないと思いますが、そこは診療所の歴史の長さ、地域の皆さんとのお付き合いの長さを感じますね。最近では外国人のファミリーも増えてきていますね。両親のどちらかが日本語を使える方も多いのですが、日本語が伝わりにくい場合は翻訳ツールを活用してコミュニケーションを取っています。また、お子さんの病気の場合、「悪化したらどうしよう?」と不安に感じる親御さんも多いですが、「日曜日に何かあったら、ここを受診してください」と医療機関を紹介するなど、不安を先回りして取り除くことも診療所の役割かなと思います。

病診連携で高齢者の手厚いケアをめざす

健康診断にも力を入れているそうですね。

多和昭雄院長 東大阪市荒本平和診療所5

事務長さんともいろいろ話し合い、健康診断の拡充をしていきたいと考えています。健康診断は胃腸の透視や腹部エコー、心電図など、一般的なことには対応しています。土地柄、やはり町工場などの企業健診の方が多く、原則として火曜日に行っています。健診をより多くの方に受けていただける機会をつくるべく、秋には、40代・50代の方を対象に、日曜の健診日を設けています。平日は仕事などで忙しい方も来やすいのではないでしょうか。また外来は午前中と前述しましたが内科に関しては、毎週火曜に「夕診」を設けています。仕事帰りでも寄れる時間帯もつくっていますので、ご利用いただけたらと思います。

各種予防接種も随時対応しておられますね。

予防接種の種類が増え、いろいろと複雑でためらっている方もいらっしゃると思います。当診療所に来られる方に予防接種を勧めると、大抵の方は「母子手帳に書いてある」「健診の時に言われたから」と、素直に受け入れてくださるので非常にやりやすいですね。近隣は新しい小児科が多くそちらに行かれる患者さんも多いですが、待ち時間が長く、予約が取りにくいという声もお聞きしています。当診療所では事前予約をしていただければ、スムーズな対応が可能です。普段の子育ての悩みなどもご相談しやすい環境かと思いますので、気になることがあれば気軽におっしゃってください。

今後の展望をお聞かせください。

多和昭雄院長 東大阪市荒本平和診療所6

今後はお年寄りの医療をどうするかが社会全体の課題ですね。当診療所としても、現在の外来診療、在宅医療、訪問介護だけではなく、ショートステイができる施設の創設や高齢者住宅を対象とした医療の提供など、どういう展開が可能なのか早急に考えなければいけないと考えています。とはいえ大切なのは「必要な人に、必要なものを提供する」ことではないでしょうか。この診療所としての本来あるべき姿を大切にしつつ、地域の健康を温かく見守っていく、そういう存在として末永く続けられればと思っています。

Access