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駒田 尚直 院長の独自取材記事

駒田医院

(東大阪市/俊徳道駅)

最終更新日:2021/11/15

駒田尚直院長 駒田医院 main

近鉄大阪線・JRおおさか東線の俊徳道駅からすぐの住宅地にある「駒田医院」は、内科・小児科・皮膚科を標榜する診療所だ。前院長の父の後を継いで15年になる駒田尚直(こまだ・ひさなお)院長が、地域の高齢者の健康を守っている。大学卒業後は消化器外科として大規模病院で数多くの手術を手がけてきた院長。進行がんや再発など、有効な手立てのないケースをたくさん見てきたからこそ早期発見の重要さを訴える。地域の高齢者が受けやすいように、診療所内で超音波検査や胃カメラの検査を行い、通院患者の「がん死ゼロ」をめざしている。自身が子どもの頃から育った地元で、高齢者が健康に長生きできるように貢献する院長に、その思いを語ってもらった。

(取材日2018年5月16日)

外科での経験を生かして2代目の院長に

「駒田医院」はお父さまの代から続いているそうですね。

駒田尚直院長 駒田医院1

1966年に父が始めてから、もう50年以上になります。最初は長屋一軒でしたが、途中で建て替えて今の診療所になりました。僕が子どもの頃、父の勤めていた病院の裏に自宅があったので、病院の中が遊び場でした。看護師さんに遊んでもらったり、父親が診察しているのをのぞいたりした記憶もありますね。ここを手伝うようになったのは1986年からです。最初は僕と兄が週1回ずつだけ、それぞれ担当してまだ9割を父が診察していましたが、2004年にそれまで勤めていた関西医科大学附属病院を辞めて正式に戻ってきました。それからは僕が9割で父が1割の担当で、なんと父は92歳まで医者をしていたんですよ。妻の母親も産婦人科の医師で、別の場所で85歳まで診察をしていました。

医師になること、後を継ぐことは、子どもの時から決めておられたのですか?

僕が通っていた幼稚園から中学校まですべて父が校医だったので、どこへ行っても「君も将来は医者だね」と言われて育ちました。兄も医師になったし、僕もなるしかなかったんです(笑)。ただ、父も最初は外科の勤務医をしていて、夜中でも呼び出されて出て行く姿や、開業後も朝早くから夜遅くまで年中無休で働く様子を見ていたので、医師は大変な仕事だと思っていました。特に開業して診察以外の仕事も1人でしているとさらに大変です。だから「継ぎたい」とは思っていなかったんですが、兄が松坂で開業したのを機に考えが変わってきました。せっかく父が築いてきた医院ですし、僕も20年以上消化器外科の勤務医として数多くの手術をしてきて、やはり体力的にも一生続けるのは厳しいと思うようになったんです。がんで亡くなるたくさんの患者さんを見てきて、早期発見の重要さを実感していたので、今度は予防に尽力したいと思い医院を継ぐことにしました。

勤務医時代のことで、印象に残っていることはありますか?

駒田尚直院長 駒田医院2

30代の頃に交野病院にいて、一緒に外科を診ていた先生と、毎日毎日手術ばかりしていた時期がありました。その日も飛び込みの手術を2件した後、予定していた乳がんの手術をして、10時間くらい立ちっぱなしだったんですね。いつも手術は緊迫した中で患者さんの命と向き合っているので、終わった後、疲労感や達成感とともにほっとするんです。その日も「やっとひと安心だ」と思いながら、術後の回診に行った時に、手術をした40歳くらいの乳がんの患者さんが、「先生、ありがとう」と僕の手を握られたんです。今でも忘れられないくらいうれしかったです。

がんの早期発見と、生活習慣病の予防に尽力

がんの早期発見のために、どんな取り組みをされているのですか?

駒田尚直院長 駒田医院3

まずは検査です。毎朝8時半から、9時までの診察の前にエコーの検査をしています。結果、もし異常があれば、僕が登録医をしている大阪赤十字病院を紹介します。外科で診療をしていた時、せっかく手術をしても進行がんの患者さんは、半分以上が再発して戻って来て亡くなってしまう。その繰り返しばかりでした。抗がん剤で誰もが治るわけではないから早期発見しか方法がない。だから定期的な検査を勧めています。あとは予防ですね。塩分控えめの食事が大事です。がんに限らず、心臓・血圧・腎臓・老化現象にも塩分控えめに野菜たっぷりの食生活が大切。タバコをやめ、お酒を適量にして、規則正しい生活を送っていれば、健康寿命を延ばすことにつながるといつも伝えています。

高齢の患者さんへの診察で、どんなことを心がけておられますか?

当院の患者さんは後期高齢者の方が多く、中でも独居の人が目立ちます。平均寿命を超えると積極的な治療を望まない方もおられるのですが、「自分のことは自分でできるようにしておこう。人の世話にならないで楽しく生きていよう」と言っています。動物は自力で歩けなくなると生きていけない。人間も動物だから、自分の足で歩いて病院に来てよ、と。足を鍛えて頭を使っていれば、多少血圧が高くても、糖尿の薬を飲んでいても普通に生活ができるんですから。この前も警察から「先生のところに通院されている患者さんが自宅で亡くなりました」と電話がかかってきました。孤独死が増えていることは残念ですが、亡くなる直前まで1人でいつもどおりの生活をできていたのなら、それは天寿を全うできたということ。たとえ病気を持っていても自分で生活できるように意識してもらっています。

患者さんに100歳まで生きてもらうのが目標だとか。

駒田尚直院長 駒田医院4

そうなんです。「通院患者さんのがん死ゼロ」と「通院患者さんには100歳まで生きてもらうこと」を目標に掲げています。実は、あと半年で100歳を迎える第1号の患者さんがいらっしゃるんですよ。体も頭も元気な方なので、きっとまだまだ長生きしてくれるでしょう。フライドチキンが大好きで、毎日のように食べていらっしゃるそうです(笑)。当院の患者さんは全員100歳まで自分の足で歩いてしっかりした意識でいてほしいと思っています。寝たきりや認知症にならないように、70代・80代から自分の健康に気を配ってもらえれば、目標達成できると信じています。

愛着ある地元の高齢者をサポート

地域の患者さんへの思いが強いんですね。

駒田尚直院長 駒田医院5

よく「地域医療」といわれますが、僕の場合は「地元医療」だと思っています。大規模病院に対しての「地域内の」医院というのではなく、子どもの頃から育った地元で、よく知っている人の健康を一緒に守っていく感じです。「赤ちゃんの時の君を抱っこしたことがあるんだよ」と言うおじいさんや、「中学生の頃、うちの子と一緒に剣道をしていたのを覚えてるよ」というおばあさん。そんな患者さんに、いつまでも元気でいてほしい。長生きしてほしい。ここは河内の下町的な場所で、患者さんは情に厚い人が多いです。そして治療に対して真面目ないい人ばかり。きちんと検査を受けて治療をして薬を決められたとおりに飲む。そういう人たちに、僕が生きている限りは元気でいてもらえるように、できる限りのことをしていきたいです。

ますます高齢化が進む今の社会について、どう思われていますか?

子どもの頃にご近所の方のお葬式で、60代で亡くなった人のことを「長生きされましたね」と話しているのを聞いたことを覚えています。それが今では80歳なんて当たり前。脳梗塞や心筋梗塞でも病院にさえたどり着いたらすぐに死ぬということはありません。半身不随になっても助かることはあります。たとえ血圧やコレステロールが高くても、10年前とあまり変わらずに大過なく生活されている患者さんも多いです。年齢とともに具合の悪いところが出てくるのは仕方ないから、いろんな症状をできるだけ軽症で済ますことが大事。そのためには、やはり普段どれだけ動けているかです。自立した高齢者が多い、健康寿命の延びた高齢化社会ならみんなが幸せだと思います。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

駒田尚直院長 駒田医院6

僕は昨年60歳になったのですが、会社員の友達が引退していくのを見て、僕も少し仕事を減らしていこうと思うようになりました。勤務医の頃もこの医院を継いでからも、仕事ばかりでほぼ「家庭崩壊」だと妻に怒られていました。子どもが小さい頃は近所の人とキャンプに行ったりもしましたが、土曜も日曜も事務仕事などがあって、なかなか家族といる時間が取れない生活でした。でも自分の年齢を考え、患者さんが少し減ってきたこともあって、最近は日曜の午前中はゆっくりして、妻とお昼ごはんに行ってお茶を飲んで……。仕事をするのは夕方だけにしました。できるだけ家族といる時間を楽しみたいと思っています。そうやって自分も健康を保ちながら、85歳まではここで診察していくつもりです。

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