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井上 智尋 院長の独自取材記事

井上内科医院

(大東市/住道駅)

最終更新日:2025/06/12

井上智尋院長 井上内科医院 main

学研都市線・住道駅から徒歩10分の住宅街にあって、祖父から父、父から子と、3代にわたって続く「井上内科医院」。かつては水郷があった昔ながらの町並みの中で、常に寄り添うような診療で地域住人の健康を支えてきた。「3歳から高校生までこの町で育ち、私にとっては地元そのものです」と話すのは、現院長の井上智尋(ともひろ)先生。優しく穏やかな語り口の中に、頼もしさや包容力が感じられる井上院長は、大学病院や大規模病院で消化器内科を専門としながらも、現在は開業医に転じて地域医療の前線に身を置いている。代々受け継がれてきたコンセプトとともに、新たに導入した内視鏡検査や生活習慣病に対する予防的アプローチなど、今後へ向けたテーマについてもじっくりと語ってもらった。

(取材日2025年5月13日)

頼れる地域の「かかりつけ内科」を3代にわたって継承

まずは医院の歴史や位置づけについてお聞かせください。

井上智尋院長 井上内科医院1

祖父が開業したのが1950年代と聞いており、1990年代になって祖父に代わって父が院長を引き継ぎ、さらに私が継承したのが2023年のこと。もう70年ほど続いていることになりますね。そうした世代交代の中でも変わらないのは、地域に密着した「かかりつけ内科」としての存在です。ここは昔ながらの町並みや路地がそのまま残っており、古くからお住まいの方が大半を占める地域。長いお付き合いが一つの前提となりますので、駅前に新しく開業して「地域医療に貢献したい」というのとはニュアンスがかなり違うと感じます。診療内容は昔から一般内科や生活習慣病が中心ですが、ご近所の顔ぶれもほとんど変わりませんから、しっかりと診てあげなければという思いに自然と駆られますね。

医院を継承され、最初に取り組んだことは?

「困った時に気軽に相談できるかかりつけ医」というコンセプトは昔から変わりませんが、祖父は内科、父は循環器、私は消化器と、それぞれ得意分野や時代背景が異なります。私は兵庫医科大学医学部を卒業後、同大学病院や協立病院(現・川西市立総合医療センター)、住友病院の消化器内科で胃や大腸の内視鏡検査に長く携わっていましたから、院内のリフォームついでに消化管内視鏡検査室を新設したことが最大のトピックといえるでしょう。あとは超音波診断装置やヘモグロビンA1c測定器、電子カルテなどを整備し、ホームページも新たに開設しました。おかげで皆さんに当院を知っていただき、少し遠方からも当院にお越しいただけるようになりました。

現在、どのような症状の患者さんが中心ですか?

井上智尋院長 井上内科医院2

当院は一般内科と消化器内科を中心に生活習慣病にも幅広く対応しているため、風邪や腹痛から高血圧症や糖尿病、脂質異常症まで、実にさまざまな症状の患者さんが相談に来られます。年齢的には父の代からかかっているご年配の方が中心ですが、初診でお見えになる若い方も最近は増えました。いずれにしても、年齢を問わずに安心して通える内科医院というのが当院の基本スタンス。病院にいた頃は、何をするにもまず検査。そこから診断をつけて治療介入することに凝り固まっていた部分もありましたが、生活習慣病の場合、ちょっと様子を見ながら食事や運動で調整してから考えましょうという柔軟なやり方もあるわけです。そこに気づけたことは、私にとって一つの成長となりました。

あらゆる訴えに耳を貸し、見落としのない検査をめざす

診療において大切にされていることは?

井上智尋院長 井上内科医院3

患者さんの数が少ないわけでは決してありませんが、時間ばかりを気にすることなく、診療にかけるさじ加減を自分で判断できることは病院の外来との大きな違いです。町医者に対しては、患者さんも自分の抱えている症状をすべて打ち明けてくれます。当然ながら雑談も増えますが、骨のことであれ手足の痛みであれ、すべて聞いてあげるのが町医者というもので、そのおかげで思わぬ病気の見落としが減ると考えています。あと、診察室では患者さんの入ってくる様子をよく観察し、「はい・いいえ」で答えられる質問ではなく、なるべく自由に答えられるオープン型の質問で問いかけるように心がけています。また、電子カルテの入力に気を取られることなく、なるべく患者さんのほうに体を向け、目を見て話すことも重要です。こうした何げない所作も、患者さんとの信頼を築く上では大切なことでしょう。

内視鏡検査を始めた目的をお聞かせください。

私が消化管内視鏡検査を導入したのは、かかりつけの患者さんに胃がんや大腸がんなどが疑われる場合に即座に対応するためです。これまでは病院で検査を受けてもらっていましたが、それを日々の診療の延長線上で、慣れ親しんだ院内で受けられれば患者さんの大きな安心につながると考えたわけです。空いていればすぐにでも実施できますが、流れ作業にならぬよう、多くても1日1件程度をめざしたいと思います。私は勤務医時代から内視鏡検査は得意にしており、できる限り苦痛の少ない検査、見落としのない検査をめざしてきました。当院でも胃内視鏡には経口・経鼻の両方を用意し、大腸内視鏡検査で小さなポリープが見つかった場合はその場で切除できます。もちろん鎮静剤の選択も可能ですので、必要な時にはぜひ安心して検査を受けてください。

ドクターは先生お一人。お忙しくはないですか?

井上智尋院長 井上内科医院4

当院には2人の看護師を含む総勢7人のスタッフが在籍し、父の代から働いてくれているベテランが中心となって診療をリードしてくれています。従来からの良いところは残しつつ、新しいものをじんわりと取り入れていく。それが3代にわたって皆さんに親しまれてきた秘訣かもしれません。医療というのは医師1人が頑張ってどうにかできるものではなく、しっかりとしたチーム体制があってこそ。私は大学時代にラグビーをやっていましたので、チームプレーの大切さをよく知っています。それは病診連携に関しても同様で、高度な治療や検査が必要な場合に適切な医療機関を選択することも地域の開業医の大切な役割の一つといえるでしょう。私も以前は病院で逆の立場を経験していますので、そのあたりの経験もしっかりと生かしていきたいと思います。

大切なのは医院の存続ではなく、診療姿勢を貫くこと

今後、医院として取り組んでいきたいことは?

井上智尋院長 井上内科医院5

今は超高齢社会で、健康寿命や医療費の問題がよく取り沙汰される時代。その中で、単に病気や症状を治すことだけではなく、もっと予防医学に力を注いでいきたいと考えています。例えば健康診断でコレステロール値が引っかかったとしても、単なる過食や運動不足でそうなっているケースが多いもの。食事や運動で解決するのが理想で、それで改善されない場合に必要最小限の薬物療法を導入するのが本来の順序です。なんとなく薬だけを受け取りに病院やクリニックへ通っている方がおられますが、飲まなくていい薬は、なるべく飲まないこと。そして、なるべく病気にならないように、先回りして防いでいくことが非常に重要です。未病のうちになんとかする。その大切さをもっと多くの皆さんに知ってほしいですね。

地域医療への貢献にも、ますます期待できますね。

当たり前ですが、祖父や父がいなければ今の私はありません。今も患者さんたちが来られるのは、先代たちが地域の中でしっかりとした関係性を築いてくれたおかげであり、それを崩してはいけないという責任は強く感じます。ただ、何としてでも医院を存続させねばならないというプレッシャーはなく、患者さんを無理に呼び込んで増やしたいという考えもありません。大切なのは医院の存続ではなく、変わらぬ診療姿勢を貫くこと。それは昔からある医院の立ち位置と、私自身が理想とする世界に大きな隔たりがないからこそ言えることかもしれません。そのバランスをしっかりと保ちながら、今後も地域での役割を果たしていければと思います。

最後に、地域の皆さんへ向けたメッセージをお願いします。

井上智尋院長 井上内科医院6

私が院長となって、まだ2年余り。新型コロナウイルス感染症流行の余韻の中で当院を継ぎ、ようやく落ち着いてきたという時期です。病院にいた頃とは診療のスタンスも内容も大きく変わりましたが、人と話すのは嫌いではありませんし、聞く耳も持っているつもりです。そのおかげで、かかりつけ医の役割に大変さを感じることなく診療を続けることができました。患者さんとの関係性が近くなれば、それだけ辛辣な言葉をいただくこともあります。そこは人と人。そうした中から本音の話も出てくるでしょうし、本当に困った時に必ず力になれると信じていただき、末永くお付き合いできれば幸いです。

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