木村 幸嗣 理事長の独自取材記事
木村小児科
(八尾市/近鉄八尾駅)
最終更新日:2026/08/13
近鉄八尾駅から徒歩6分、八尾市役所のすぐそばにある「木村小児科」。約30年にわたって地域の子どもたちを診てきた父のクリニックを木村幸嗣(こうじ)理事長が引き継ぎ、2024年に現在の場所へ移転開院した。同院の特徴の一つが、アレルギー、感染症、神経、腎臓、消化器、内分泌、血液など、それぞれ異なる専門分野を持つ小児科の医師が複数在籍していることだ。身近な地域のクリニックでありながら、必要に応じて院内で専門の医師に相談できる体制を整えている。さらに病児保育室も併設し、診療だけでなく、子育て家庭の生活も支えている。「いつも『自分の子どもだったらどうするか』という視点を忘れずに診療しています」と話す木村理事長に、診療への思いや同院の特徴について聞いた。
(取材日2026年7月14日)
身近なクリニックで、専門性の高い小児医療を
先生が小児科の医師をめざし、こちらで開業されるまでの経緯を教えてください。

父がこの地域で約30年間、小児科医として診療していました。実家のすぐ隣がクリニックだったので、子どもの頃から、地域の方に頼りにされる父の姿を身近で見て育ったんです。私自身も、子どもたちの成長を見守りながら、その子の長い人生に関わることができる点に魅力を感じ、小児科医をめざしました。浜松医科大学を卒業した後は、りんくう総合医療センターで主にNICUの診療に携わり、大阪大学医学部附属病院では、小児循環器を含め、希少な病気や重い病気を抱えるお子さんの診療に携わりました。その後、八尾市立病院で一般小児科やアレルギー診療など、幅広い経験を積みました。総合病院でさまざまな病気を診る一方で、地域のクリニックには、子どもの日々の変化や成長を長く見守れる良さがあります。そうした地域医療にやりがいを感じ、父のクリニックを引き継ぎ、現在の場所へ移転しました。
クリニックの診療体制について教えてください。
当院には約10人の医師が在籍しており、全員が小児科専門の医師です。さらに、アレルギー、感染症、神経、腎臓、消化器、内分泌、血液など、それぞれ得意とする分野があります。子どもの病気は非常に幅広く、一人の医師だけですべてを深く診るのは簡単ではありません。当院では基本的に二診制で診療しているので、判断に迷う症状があれば、その分野に詳しい医師へ院内ですぐ相談できます。必要に応じて、次回は専門の医師が診察することもできます。また、病院へ紹介する場合にも、その病気や症状に合った医療機関を選びやすくなります。医師同士が日頃から意見を交わし、それぞれの知識や経験を共有できることは、診療の質を保つ上でも大切だと考えています。なお、当院は基本的にウェブ予約制で、受診前のウェブ問診にも対応しています。来院前に症状や経過を入力していただくことで、診察時により詳しくお話を伺えるようにしています。
診断や検査の面で、力を入れていることを教えてください。

診察だけで判断するのではなく、必要な場合にはきちんと検査を行い、できるだけ診断を明確にすることを大切にしています。当院では、マイコプラズマや百日咳、溶連菌のPCR検査を導入しています。マイコプラズマや百日咳については、近年問題となっている薬剤耐性の有無も確認できるため、より適切な抗菌薬の選択につなげることができます。結果を早く確認することで、抗菌薬が本当に必要なのか、どのような治療が適切なのかを判断しやすくなります。また、エックス線検査や超音波検査、心電図などの機器も備えています。必要な検査はしっかり行う一方で、抗菌薬は本当に必要な場合に限って使用する方針です。きちんと診断した上で適切な治療を行うこと。そして、クリニックでの対応が難しいと判断したときには、速やかに病院へ紹介すること。この2点は、開院以来ずっと大切にしている診療方針です。
「自分の子どもだったら」を原点に家族まるごと支える
アレルギーの診療について詳しく教えてください。

当院では食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患の診療に力を入れています。食物アレルギーに関しては、食物経口負荷試験を行っています。アレルギーが疑われる食べ物を院内で食べてもらい、症状が出るかどうかを確認する検査です。ご相談の中で多いのは、以前から食物除去を続けているものの、「本当に今も除去が必要なのかわからない」というケースです。負荷試験を行うことで、どの程度まで食べられるのかを具体的に判断できます。アトピー性皮膚炎についても、薬を処方するだけではなく、塗る量や塗り方を具体的に説明します。薬を正しく使うことで、症状が大きく改善することが見込めるお子さんも少なくありません。そのほか、ダニやスギ花粉に対する舌下免疫療法にも対応しています。クリニックでの治療が難しい場合や、より専門的な管理が必要と判断した場合には、適切な医療機関へ速やかに紹介します。
日々の診察で大切にしていることを教えてください。
私が診療の中で一番大切にしているのは、「もし自分の子どもだったらどうするか」という視点です。検査をするか、どの薬を使うか、総合病院へ紹介するか。もちろん、ご家庭によって考え方や生活環境はさまざまです。医師の考えを一方的に押しつけるのではなく、保護者の方のお話をよく伺いながら、そのご家族に合ったより良い治療方針を一緒に考えていくことも大切です。医学的に複数の選択肢がある場合には、できるだけご希望に沿って柔軟に対応します。一方で、安全面に問題があることや、医学的にお勧めできないことについては、きちんとお伝えするようにしています。患者さんから「先生に大丈夫と言ってもらえると安心します」と言っていただくことがあります。その言葉に応えられるよう、丁寧に診察することを心がけています。
診療以外の面で、お子さんやご家族を支える取り組みはありますか。

同じ建物の中に病児保育室を併設しています。共働きのご家庭が増える中で、お子さんが急に熱を出して保育園や学校へ行けなくなると、保護者の方が仕事を休まなければならないこともあります。ご家族の生活そのものも支えたいという思いから、病児保育室を開設しました。室内には4つの保育スペースがあり、お子さんの症状や感染症の種類に応じて部屋を分けています。保育士2人の体制で、最大6人までお預かりしています。月曜、火曜、木曜、金曜に運営しており、前日19時からウェブで予約できます。お子さんを安全にお預かりするため、当日の体調を診察で確認してからお預かりしています。また、保護者の方の診察にも対応しています。お子さんと一緒に受診される場合に限り、風邪などの一時的な体調不良を診察しています。お子さんのことで忙しく、ご自身の受診が後回しになりがちな保護者の方の助けになればと考えています。
学びを止めず、地域で頼られる小児科へ
一緒に働く医師やスタッフについて伺えますか。

医師を含むスタッフは勉強会にも積極的に参加し新しい知識や治療法を学び続けることを大切にしています。医師を採用するときには、知識や経験だけでなく、人柄もとても重視しています。どれだけ医学的な知識があっても、子どもや保護者の方にきちんと向き合えなければ、地域のクリニックとして安心して通っていただくことはできません。患者さんの話をしっかり聞き、丁寧に説明できることが大切だと思っています。スタッフにも、常に患者さんを第一に考えるよう伝えています。看護師もアレルギーに関する専門的な知識と指導技術を得るために研鑽を積んでいます。チーム全体でお子さんとご家族を支えられる体制をつくっていきたいと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

お子さんのことで少しでも気になることがあれば、まずは気軽にご相談ください。「こんなことで受診してもいいのかな」と迷うようなことでも構いません。食物アレルギーと診断され、食べ物の除去をこのまま続けるべきか迷っている方や、アトピー性皮膚炎がなかなか良くならず困っている方にも、一度ご相談いただければと思います。当院には、それぞれ異なる専門分野を持つ小児科医が在籍しています。必要に応じて医師同士で相談し、クリニックで対応するのが難しい場合には、より専門的な診療を受けられる医療機関へ紹介します。何かあったときに安心して相談していただける、地域のかかりつけ小児科でありたいと思っています。

