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白井 高司 院長の独自取材記事

白井医院

(守口市/守口市駅)

最終更新日:2020/04/08

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守口市西郷通りの古い商店街にある「白井医院」。同院は白井高司院長の母親の代から続くクリニックで、専門の小児科を始め、皮膚科、アレルギー科、内科を掲げ、0歳児から高齢者まで幅広い年齢層の地域住民に親しまれている。院内には絵本がずらりと並べられ、子どもたちが楽しめると同時に育児に疲れた母親をサポートするようなものを数多く用意している。優しく誠実な人柄の白井院長は和歌山県立医科大学卒業後、大学病院や市民病院勤務を経て、和歌山県南紀福祉センター(重症心身障害児施設)の小児科医長も務めた経験豊富なドクター。「先生、バイバイと手を振って診療室を出ていく子どもたちを見ていたら、疲れやストレスも吹き飛ぶ」と笑顔で語る先生に、感動のエピソードや治療にあたる真摯な思いを聞いた。
(取材日2018年4月4日)

病気や障害のある子どもだけでなく家族も支えていく

先生が小児科の医師を志したきっかけはなんですか?

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医学生5年生の時の肢体不自由児施設を見学する実習がきっかけです。その際、車いすに座った少年を見かけました。タイプライターのキーを押していたのですが、一つのキーを押すのにもかなり時間がかかっているようでした。彼は進行性筋ジストロフィーを患っていたのです。進行性筋ジストロフィーとは、筋肉が徐々に弱くなり、10歳前後で歩けなくなり、14~15歳で寝たきりになってしまう病気です。案内してくれた医師によると、彼のような子どもたちは風邪をひくだけで命に関わることもあるのに、施設には内科や小児科の医師がいないため、週に1回の非常勤の内科の医師が回診に来るまで治療が遅れるということでした。そのような境遇の子どもたちを救いたいという気持ちが強くなり小児科の医師をめざしました。

どのような症状をもつ患者さんが多いですか?

喘息やアレルギーのお子さんが多いですね。アレルギーは長期にわたる病気なので、長いお付き合いになります。アレルギーは子どもだけでなく、その家族の協力も必要。小児科は子どもだけでなく家族も支えていく特別な科だと思います。中には自分の子どもがアレルギーと知らされてどんよりした気分になる方もいらっしゃいますが、アレルギーは10の症状を0にはならないけれど2や3にして維持する方法を一緒に考えましょう、と話しています。母親は皮膚科専門の医師だったのですが、母の代からつながっている患者さんも多いです。小児科の良いところは赤ちゃんの時に診ていた人が中学生、高校生になり、大人になって、結婚して、子どもを連れてきてくれるところです。自分の子どもを見ているようでとても幸せな気持ちになります。

どういうスタンスで治療をしていらっしゃいますか?

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私も2人の子どもがいるので、子どもが生まれて初めて高熱を出したら、その子が死んでしまうのではないかと思うお母さんの不安な気持ちがよく理解できます。見通しが立たないところに不安があるので、私は治療の見通しを説明します。医師から3日間熱が出ると言われていたら、3日間我慢しようという気になりますよね。子どもを治すことも大事ですが、家族の不安を取り除くことも大切にしています。

子どもと心が通じ合う子育てを

先生のポリシーはなんですか?

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小児科医院なので、子どもにはここが快適な場所だと思ってほしいんです。子どもが怖がらないように私は白衣を着ません。子どもに笑顔を見せるために、マスクをしません。どんなにインフルエンザが流行していても。免疫ができているのかインフルエンザにかかったこともないですけどね(笑)。そして子どもに敬意をはらうため、子どもに敬語で話しています。子どもに信頼されなければ子どもの病気が治せないから。大切に扱っているということを子どもにわかってもらうために、常に丁寧に接するよう、心がけています。

お母さん方にはどのように接していらっしゃいますか?

お母さん方には常々「子育ては楽しいもの」と伝えています。子どもが自分の思いどおりにならないと子育てがしんどいと感じるのはないでしょうか。けれど、私は子どもをうまくコントロールすることが子育ての喜びではないと思います。自分が子どもの時に親にどんなことをしてもらったらうれしかったですか? 良い成績をとって親が喜んでくれた時ですか? そうではないですよね。親に爪を切ってもらった時とか、背中におんぶされて親と一緒にきれいな景色を見た時とか。できなかったことができた時に一緒に喜んでくれた時とか。つらいことがあった時にギュッと抱きしめてくれた時とか……。親と心が通い合った瞬間が子どもにとってうれしい時ですから、そういうお母さんになってほしいと思います。

今までで一番感動したエピソードがあれば教えてください。

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私が研修医2年目の時、4歳の白血病の少女と出会いました。七夕の日、小児科病棟では、入院している子どもたちが「早く退院できますように」「早く病気が治りますように」と願いを書く中、彼女は「パパとママと犬のチコちゃんが病気になりませんように」と願うような優しい子でした。長い闘病生活が続いて9歳になったある時、彼女はお母さんに「私がいなくなってもひな祭りにはおひなさまを飾ってね」と言い、その後に亡くなりました。お母さんが約束どおり、おひなさまを飾るため箱を開けると「パパとママの子どもに生まれてしあわせでした。わたしはいなくなっちゃったけど、心配しないで。このおひなさまのみたいに、おおぜいのお友だちにかこまれて楽しく過ごしています。だから悲しまないでね……」という手紙が入っていたそうです。出会う方々に私の方が学ばせていただいていると感じています。

患者や家族に寄り添う医師をめざして

医師としての目標はありますか。

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障害者施設に勤めていると、お母さんや家族の悩みは深く、相談を受けることも多いのですが、私は気の利いたアドバイスひとつできず、ただ聴いているだけでした。涙もろい方なので、思わず泣いてしまうと、後から「先生が話を聞いてくれてうれしかった。先生が一緒に泣いてくれて本当に救われた気持ちになりました」と言われ、その時、アドバイスができなくても、その人に寄り添えばその人の力になれるんだと実感しました。なので診療をするだけではなく、しっかり話を聴き、その人の気持ちに寄り添い癒やしていくことが医師としての目標ですね。

小児科の医師という職業の醍醐味についてお聞かせください。

小児科に限らず、医師という仕事はそれなりに激務です。勤務医の時もそうでしたが、開業してからも、冬の風邪が流行する季節には夜の診療が午前0時を過ぎることも多々あります。でも、私は小児科の医師という仕事が好きです。元気になって帰っていく子どもたちを見ていたら、疲れやストレスも吹き飛びます。仕事自体がストレス解消になるという、とても幸せな仕事だと思っています。

読者にメッセージをお願いします。

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やっぱり子育てを楽しんでほしいですね。皆さん、完璧にやろうと思っているので、完璧でない部分が許せない。100点でないと駄目だと思っているからストレスがたまる。しかし、どんな資格試験も60点あればだいたい合格なんです。60点あれば自分を褒めてあげてください。育児は24時間なのに報酬も出ないし、評価もされない。そうすると育児がどんどんつらい仕事に思えてきます。お父さん方には、週に1回お母さんを育児から完全に解放する時間をつくってあげてください、と言っています。直接手伝えない場合は、せめて褒めてあげてください。ぜひ、「ありがとう」と言ってください。

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