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二村 省三 院長の独自取材記事

ふたむら皮膚科

(守口市/土居駅)

最終更新日:2021/10/12

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京阪本線の土居駅の改札を出て徒歩2分。医療ビル「DOIメディカルセンター」の2階にある、1996年に開業した「ふたむら皮膚科」。休日はクラシックス好きが高じてチェロの教室に通うのが趣味だという二村省三院長は、物腰がやわらかく、終始穏やかに話す姿が印象的。それでも話題がステロイド外用薬に及ぶと、同薬に対する誤った印象がいまだに世間に蔓延している状況に悔しさをにじませる。同院には紫外線治療機器が導入されているほか、「薬は適切な量を適切なタイミングで使ってほしい」と薬の使い方が一目見てわかる「投薬カルテ」を患者に合わせて作成してくれるのだそう。今回は二村院長がこれまで歩んできた道程や、ステロイドの正しい使い方などについて話をしてもらった。

(取材日2018年1月16日)

米国留学で培った「忍耐力」と「協調性」

医師になるきっかけを教えてください。

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もともと福岡県八幡市(現・北九州市)で代々内科の医師をしている家庭に生まれたのですが、自分の将来は自由に決めなさいという教育方針の父親のもとで育ったこともあり、ずっと文系の道に進むつもりでいました。ですが、高校3年生のときに出会った数学の先生の影響を受け、受験間近になって急きょ理系に転向しました。ちょうどその頃、夢中になっていたイギリスの作家で、作家として名を成す前は医師でもあったA・J・クローニンの著作にも影響を受け、「ああ、やっぱり僕は医者になりたいな」と、医師という職業に憧れを抱きました。

なぜ皮膚科だったのでしょうか。

関西医科大学を卒業し、専攻科目を決める際、もともと基礎研究が好きだったこともあり、「臨床」と「研究」どちらにも力を注げる皮膚科を選ぶことにしました。医局に入局してからは試練の連続でした。やはり周りには優秀な同僚たちが多く、彼らの中で埋もれてしまわぬように、とにかく頑張りましたね。そこから大学院を修了し、博士号も取得した後、米国のジョンズ・ホプキンズ大学で2年間、水疱症(水ぶくれ)の研究に従事する機会を得ることができました。

外国での研究はとてもいい経験になったのでしょうね。

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当初は大学のレベルについていけるか不安でしたが、思いのほか順調に研究を進められ、多くの論文を書くことができました。研究だけではなく私生活においても、妻が娘を出産するなど、米国で過ごした2年間はこれまでの人生で最も充実した時間だったのではないかと思います。一方で、米国社会の陰の側面ともいえる人種差別にも直面したことも。そういった日本にいただけでは有り得ないような経験により、米国滞在期間で特に「協調性」と「忍耐力」を鍛えられたかと思います。

「投薬カルテ」で薬の正しい使い方を明示

開業に至った経緯を教えてください。

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難治の皮膚疾患に乾癬という病気があります。開業当時の最先端の治療法は紫外線療法と免疫抑制剤でした。それも設備の整う病院でしか対処することができなかったのです。そこで、大学病院に通わずとも、もっと身近で紫外線療法を患者さんに提供したいと考え、開業を決めました。医大入学から開業直前までお世話になった関西医科大学病院の至近に開業したのは、重い症状の患者さんの受け入れ先として連携を取りやすいですし、また転院された患者さんの経過を診続けることができるからです。ちなみに、この場所を紹介してくださったのは、大学院時代の恩師である堀尾武先生です。先生のもとで光線療法、免疫と紫外線の勉強をさせていただいたことで、紫外線療法に興味を持つようになりました。まさに恩人と呼べる存在です。

治療する上でのこだわりをお聞かせください。

ステロイド外用薬を正しく使うことではないでしょうか。特に重症のアトピー性皮膚炎では、初期にステロイド外用剤を十分に使って、症状を短期間に完全に抑える必要があります。その後、ゆっくり使用量を減少させて症状をコントロールするのが一般的です。しかし、かつてマスコミによって流布された誤情報により、世間ではいまだステロイドに対する不安が根強く残っており、初診で来院されたアトピー性皮膚炎患者さんから、「ステロイドは使わないでほしい」といった注文を受けることがあります。皮膚科医もステロイドの使用にあたってマスコミモラトリアムというようなためらいがあるような気がします。全身の重症アトピー性皮膚炎に一週間で10グラムのステロイドチューブが3本だけというような例もあります。30グラムで全身は到底塗ることはできません。少ない使用量では皮膚炎を効果的に抑えることができないばかりか、治療を長引かせる要因になります。

一度にどれくらいの量の薬を塗布するのが適当なのか、一般の患者さんは把握しづらいかもしれません。

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当院では開業当初から「投薬カルテ」を渡しています。これは患者さんに適した薬の使い方を細かく指示するもので、体のどの部分に1日何回塗ればいいのか、またその薬は抗生物質なのか、ステロイドなのか、免疫抑制剤なのか、一目見てわかるようにできています。例えばある患者さんにとって、1週間に1度の塗り薬だけで症状をコントロールできる状態が治療の最終目標の場合、この薬を1日1回2週間、夜に体のこの部分に使いますよ、その次はこの薬を1週間塗ってください。その次は2日に1回で使ってください、その次は3日に1回、3週間使ってください。というように、患者それぞれの症状に合わせて投薬カルテお渡ししています。

最善な選択に導くことこそが開業医の使命

患者さんと接する際に心がけていることを教えてください。

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初診の患者さんには、私が過去に学会で発表したデータなどをもとに作成した症状別にまとめた資料を、パソコン越しに見てもらいながら説明するようにしています。例えば乾癬でしたら、どんな病気か、原因は何か、どんな治療法があるか。患者さんが抱える不安をできるだけ取り除いてあげるように心がけています。同じ症状の患者さんの治療前後の写真をお見せして、治療に要する期間を伝えると、皆さん理解してくださいます。

皮膚科医師としてやりがいを感じるのはどういうときでしょうか。

やりがいと言えるのは、私の場合ただひとつ、患者さんからの「治してくれてありがとう」「楽になりました」といった安堵の声を聞くことですね。それはもう、どんなものにも代えられないもので、とても有り難いと思います。アトピー性皮膚炎のひどい症状で会社に出勤するのもストレスになっていた患者さんから、「気楽に会社に行けるようになりました」と報告をいただいたときはうれしかったですね。あとは皮膚科医師の前に、一人の開業医として患者さんにとって最善な選択に導いてあげることは常に考えています。大病院の最先端の設備で診てもらわなければいけない重い症状の患者さんは、速やかに大学病院を紹介します。開業医の心得としてそこは見誤ってはいけないことだと思っています。

読者にメッセージをお願いします。

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インターネット上に氾濫する誤った医療情報には、くれぐれも気をつけていただきたいです。これらネットの情報を鵜呑みにして、自ら病名を判断して、薬まで指定される患者さんが最近ちらほらいらっしゃいます。もちろんご自身の病気を知るために情報を集めることは非常に良いことだと思いますが、インターネット上は玉石混淆(ぎょくせきこんこう)であらゆる情報が入り混じっていますので、正しい情報を取得できるようにリテラシーを身につけていくことも必要です。当院のホームページには、治療法や病気の理解を助けるコンテンツを掲載しています。今後、さらにリニューアルも予定していますので、正確な医療情報をお求めの方は一度、気軽にお訪ねください。

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