吉良 貞政 院長の独自取材記事
吉良整形外科
(守口市/土居駅)
最終更新日:2026/07/10
京阪本線・土居駅から約7分、守口市高瀬町の「吉良整形外科」は、1978年の開院以来、2代にわたって地域に根差した医療を提供している。院長の吉良貞政先生のモットーは、患者が納得できるまで話を聞き、一人ひとりの気持ちに寄り添った治療を提供すること。現在も週に一度病院で手術にあたるなど、知識と技術の充実にも熱心に取り組んでいる。そんな院長の人柄や優しく丁寧なスタッフの対応に惹かれ、痛みなどで悩む地域の高齢者やクラブ活動でケガをした中高生などさまざまな年代の患者が訪れる。吉良院長に、医院の診療ポリシーや注力している治療、地域医療にかける思いなどを語ってもらった。
(取材日2022年12月2日)
患者が納得するまで話を聞くことを大切に
医師をめざしたきっかけを教えてください。

父の影響が大きいと思います。父は整形外科医で、松下病院(現・松下記念病院)の整形外科部長を務めていました。当時、病院がこの辺りにあり、病院の近くで父が開業したのです。自宅とは別でしたので、父が診療する様子を見る機会はほとんどありませんでしたが、長男なので幼い頃から、家族や周囲の人に将来は医者になるんだよと言われて育ち、後を継ぐならと自然に整形外科を選びました。建築家になりたいと考えたこともありますが、今の仕事には誇りをもっています。
どんな患者さんが来られますか。
この辺りも高齢化が進んでおり、ご年配の患者さんが多いですね。腰や首、膝など関節の痛みを訴えて受診される方が中心です。また、以前から地元の学校の児童、生徒さんは来られていましたが、最近すぐ前に私立の中学・高校が開校したので、クラブ活動でケガをしたという若い方も受診されます。
患者さんと接する際に大事にしておられることは?
患者さんの訴えにしっかり耳を傾けるということです。医師の先輩から「患者さんの言いたいことを全部聞かないと、こちらの言うことを聞いてもらえないよ」と教えられたことがあり、「なるほど」と納得して今でもきちんと継承しています。さまざまな訴えがある患者さんに対しても、もう話したいことはないと言われるまで問診するのが私のスタイルです。時間はかかるのですが、最初にしっかりと訴えやご要望を伺うと、症状が大きく変わらない限り、次からはスムーズに診療を進められます。また、問診の段階でそれほど重症ではないとわかっても、必ず手順に従って診察の所見をとるようにしています。これも母校の先生から学んだことで「検査画像だけを見ていてはいけない。実際に診察して所見を取りなさい」と教えられ、弟子としてしっかり守るようにしています。
丁寧に診ていらっしゃるのですね。

患者さんの思いにできるだけ寄り添う治療を提供するためです。もちろん、私の意見を述べ、指導的な内容をお伝えすることもありますが、何より患者さんが納得されないと診療を進めることができません。例えば、私はAの治療が良いと考えていても、患者さんはBの治療を受けたいとおっしゃる場合、それが医学的に問題ないのなら、まずはBの治療を行います。
脊柱疾患や骨粗しょう症の治療に尽力
ご経歴を聞かせてください。

大阪医科大学(現・大阪医科薬科大学)の付属病院を経て勤務した京都のシミズ病院では、上司から基本的な手技や手術のノウハウを指導いただき、整形外科医として多くを学びました。脳外科もある病院だったので、事故で頭部に損傷を受け、多発骨折を負っておられるといった患者さんも多く、手術をしている最中に別の患者さんが来られるなど、真夜中まで手術にあたることも少なくありませんでした。その後、いくつかの病院に勤務したのですが、京都の病院に在籍していた時に父が心臓を悪くして、当院を手伝う必要が生じたのです。幸い通常の日常生活を送れるまで回復したのですが、以前のように診療するのは難しく、晩年は実質的に私が診療の中心でしたね。正式に継承したのは父が他界した2014年です。
力を入れている治療を教えてください。
脊柱の疾患です。大学院で4年間、脊柱変形の研究に取り組んだ経験があり、現在も週に一度、京都の病院で脊椎外科の手術を担当しています。腰や首が痛い、手がしびれるといった訴えで受診される方が多く、調べると脊柱に問題が見つかることが少なくありません。緊急の場合を除いてできるだけ手術を避けたいので、治療はコルセットをつける、温める、お薬を使うといった保存療法が中心です。一方、手術が必要、あるいは患者さんとご家族が手術を希望される場合は、近隣の病院をご紹介します。これは他の疾患でも同様ですね。ただし病院の忙しさは私もよく知っているので、局所麻酔で可能な手術などについては、患者さんの同意を得た上で、できるだけ当院で完結させるようにしています。
高齢の患者さんが多いと骨粗しょう症の治療も大切ですね。
骨折を予防するためにとても大事ですね。大腿骨を骨折した場合、がん患者全体と比べても予後が悪いというデータがあります。しかし、「自分は大丈夫」という思い込みがあるのか、折れてしまってから受診される方がほとんどです。折れてしまったのは仕方ないのですが、再び折れないよう適切な治療を受けるべきです。骨粗しょう症の治療を受けている人と治療の必要があっても受けていない人とでは、健康寿命に差があることも明らかになってきています。医療界全体の使命は健康寿命を延ばすことなので、骨粗しょう症は治療に力を入れるべき疾患ですね。
リウマチで悩む方も多いですね。

診断は当院で行っています。ただし、近年のリウマチ治療に用いられる免疫抑制剤については、処方の際にかなり厳密な検査が必要です。また、私は自宅が高槻なので、夜間に薬による合併症が起こった場合、迅速な対応が難しい場合もあります。このため、治療の際は検査設備と入院設備の整った基幹病院に紹介して免疫抑制剤を導入していただき、症状が落ち着いてきたら当院で引き続き診させていただくことになります。
しっかりとした感染症対策を実践
セカンドオピニオンを受け入れておられますね。

現在の日本の医療制度では、大学病院で治療を受けたいと考えても、実際には難しいのが現状です。それなら、当院で紹介して差し上げたいと考えています。痛みで受診される患者さんの中には、何軒もの医療機関を経て基幹病院を紹介してほしいと来られる方もいらっしゃいますが、その方に「当院で何とかします」と言っても納得していただけません。ラーメン屋さんの例で言うと、当店のラーメンではなく、ほかの店のラーメンを希望しておられるということですからね。それなら紹介状を書いて、納得できる治療を受けていただければと思います。もちろん、他の医療機関を希望されて私が気分を害することはありませんが、味を良くするための修業は怠らないようにしています。
感染症対策にも力を入れておられます。
厳密な対策を実施するためには、感染症が疑われる患者さんと通常受診の患者さんで動線を分ける必要があります。しかし、当院では動線を分けるだけのスペースがないので、できることをしっかりと行うようにしています。換気を励行して院内の空気が流れるように扇風機などを設置、空気清浄機のフィルターもこまめに交換しています。また、顔認証式の体温測定器も早期に取り入れました。当時はかなり高価だったのですが、患者さんとスタッフの安全のために思いきって導入しました。
スタッフ教育で大事にしておられることは?
私も含めて、患者さんに対しては丁寧な言葉遣いを徹底しています。お子さんであっても、よほど親しい関係でない限り丁寧語を使うように徹底しています。また、わからないこと、疑問に思うことは、必ず私に確認をとるようにお願いするとともに、遠慮なく質問できる関係を大事にしています。スタッフが働きやすい環境をつくることが、院長の使命ですからね。
読者にメッセージをお願いします。

悩む前に、まずは相談に来ていただければと思います。悩んでいても解決につながりません。私の修業が足りないせいか、お友達の言うことは聞いても、私の言うことは聞かないという方もおられますが、体のことについては悩んだり、身近な方に相談したりするよりも、医師に相談されることをお勧めします。診てみると心配する必要のないことも多く、問題がある場合でも、早期に発見することもできるでしょう。私を取り巻く患者さんやスタッフみんなが、笑顔でいられるよう診療していますので、お気軽にご相談ください。

