天野 忠温 院長の独自取材記事
あまの小児科
(高槻市/高槻駅)
最終更新日:2026/03/05
清潔で明るく、かわいい壁紙も印象的な「あまの小児科」。院内は絵本やぬいぐるみ、折り紙で作ったキャラクターが窓口周辺を飾り温かい雰囲気だ。優しく温和な印象の天野忠温(ただはる)院長は、少しシャイな部分もあるが、自身の豊富な経験に基づき丁寧でわかりやすい説明を心がける医師だ。月齢、年齢によって特有のさまざまな疾患が見られるのが小児科の特徴だが「近隣に信頼できるかかりつけ医を見つけることで、ドクターショッピングをしなくても、何かあったときも安心して医院にかかれます」と熱く語る天野院長。今回のインタビューでは医師をめざしたきっかけや小児医療へ思い、患者との向き合い方、投薬のこだわりなどについて語ってくれた。
(取材日2017年12月22日)
「医師」ではなく「小児科の医師」になりたいと思った
なぜ医師になろうと思われたのですか?

昔から生き物が好きで、そちらの方向にも興味がありました。毎日夜になるとカブトムシやクワガタを取りに行くような子どもでした。今も生き物は好きで、この間も庭でセアカゴケグモを見つけ、役所に電話しましたがきちんと駆除したら大丈夫とのことで、ホルマリン漬けにして持っています。生き物は好きですが、もともと子どもが好きということもあり、小児科を選びました。「医師になりたい」というよりも、「小児科の医師になりたい」のほうが先でした。興味のあることにはとことん没頭するタイプですので、無事に小児科の医師になることができました。子どもは「小さな大人」ではなく、月齢、年齢によって、特有のさまざまな病気があります。そのような面にも興味を持ったということも大きいです。
開業までの経歴について教えていただけますでしょうか?
京都府立医科大学を卒業後、同大学の小児科に入局しました。2年間研修をした後、神戸市にある社会保険神戸中央病院の小児科に出向しました。そこでは新生児医療に携わっていました。1000gぐらいなどの超未熟児も担当しており、心音などを聞いて、正常と異常を判断できるようになるのにも3ヵ月ほどかかりました。当時は医師は3人ほどでしたが、非常に多くの未熟児や疾患を持つ新生児などが入院してきました。結核性の髄膜炎、外科的な病気、食道閉鎖などのさまざまな疾患がありました。その後、45歳の時に開業しました。
開業のきっかけについてお聞かせいただけますか?

小児科は数が少ないですので、一人あたりの医師が担当する患者さんの数も多いです。総合病院ではもちろん入院もありますので、夜中の呼び出しも多く、体力的にも大変な部分もあります。私も年齢的にも体力的にも、厳しくなってきたと感じたこともあり1992年に開業しました。開業するなら地元でと考えていましたので、土地を探してこの場所に決めました。住宅地も増えてきて、近くに小学校もありますし、一時期は子どもの数もかなり多かったのですが、今は減少傾向です。ちょうど1995年に医院の隣の場所が空いたので、そこを住居にしたのですが、それまでは京都から通っていました。
主訴以外も注意深く観察し「正常ではない」を感じ取る
患者さんと接する上でどのようなことを大切にされていますか?

病状や治療方法などについてきちんと説明した上で、理解していただくことです。この辺りの地域の方は意識が高いと感じますね。よく話も聞いていただいています。丁寧に説明をして、私自身の考えも伝えるようにしています。また、子どもの「どこか違う、正常ではない」という状態を感じ取ることもとても大切です。決まった方法で診察をしていくことで、いつもと違うなと感じることができます。ここまでの診察は必要ないかなと思っても、他に悪い所がある場合もあるので、見逃さないように注意しながら観察します。一人ひとりの診察に時間はかかりますが、それを常に怠ることなく実施することを大切にしています。
薬の使い方にこだわりがあると伺いました。
解熱剤はほとんど使わなくなりました。体が闘っているのに熱を下げても治ることにはつながりにくいので。体力がないときには、安静にするという意味で使うこともあります。ノロウイルスなどでは、最低限の期間抗生物質を出しています。ノロの下痢には効かないですが、ウイルス感染に細菌感染も重なり、2次感染の可能性もありますので、経験上そのように対応しています。病気には潜伏期間、症状が出る期間、そして薬を飲んでも効果が望めるまでの期間もあります。症状が治まったからといって薬をやめてしまうと、残っている強い菌が暴れ出すこともあるので、薬は飲み切ってもらうことも大切です。きちんと説明して理解していただくことが大事です。当院は院内処方ですが、なるべくすぐに薬を飲んでもらえるようにという考えからです。
長年にわたって学校医をされていますが、昔と今の子どもたちを比べて何か変わったことなどはありますか?

学校医や嘱託医は1994年頃から担当させていただき、現在は公立、私立合わせて3小学校、3幼稚園、3保育所を担当させていただいています。体育祭にゲストで呼んでいただくこともあり、たいへんありがたいことです。主な任務は定期健診に行くことですが、保育所は春と秋、幼稚園や小学校は春に行っています。昔、私の時代は1学年11クラスもあり、1クラスが55人もいて分校ができるほどでしたが、今は圧倒的に子どもの数が減ってきていますね。体力も落ちてきていると感じます。骨折も増えていますが、今の子は忙しいですので、外であまり遊んでいないようです。遊びの中で自然とケガをしないような身の守り方を身につけますが、今の子は手をつかずに顔から倒れてしまって大きなケガにつながることが多いです。逆に、虫垂炎や急性腎炎などは減っていて、感染症なども減っているなと感じています。
近隣でかかりつけの医院を持つことが安心にもつながる
小児科だけを標榜されている医院は少ないですよね?

そうですね。小児科、内科、アレルギー科などを標榜しておられる医院が多く、小児科だけの標榜は特に少ないです。子ども自体の数も減ってきていますが、その分一人ひとりにしっかりと時間をかけられるようになったということです。「小児科」というと、新生児だけを診る医院だと勘違いされる方もおられるのですが、新生児から中学生までを担当しています。また、幼い頃から慢性的な疾患を抱えられている方は、大きくなってからも小児科で診察することもあります。
どのようなときにやりがいを感じられますか?
やりがいを感じるのは、この病気だと診断をして治療を進めて、症状が改善につながった時。子どもは良くなるのも早いですが、悪くなるのも早いので、早い処置が大切なのです。そのためには初期の判断が重要です。小さな子どもの診察は瞬時の判断が不可欠ということに加え、月齢、年齢によっても状況が大きく異なってくるということもあり、やはりある程度の経験値が必要とされると思います。
最後に、読者にメッセージをお願いします。

やはり医師も患者さんも人間ですので、相性はあると思います。特に小児科の場合は遠方から来られる方は少ないので、信頼のおける先生、かかりつけ医をなるべく早く近隣で見つけていただければと思います。今は親御さんも忙しいですが、同じ病気でもさまざまな医院にかかるドクターショッピングをされる方も多く感じます。信頼できる医院が見つかれば、納得してその医院にかかることができると思いますし、何かあった際も安心ですよね。もちろんセカンドオピニオンは大切ですが、近隣でなんでも相談できるかかりつけ医を持つことをお勧めします。

