全国のドクター9,011人の想いを取材
クリニック・病院 161,457件の情報を掲載(2020年2月27日現在)

  1. TOP
  2. 大阪府
  3. 吹田市
  4. 北千里駅
  5. 前田クリニック
  6. 前田 和久 院長

前田 和久 院長の独自取材記事

前田クリニック

(吹田市/北千里駅)

最終更新日:2019/08/28

74147 %e5%89%8d%e7%94%b0%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%8b%e3%83%83%e3%82%af

2015年8月に開院した「前田クリニック」は糖尿病、高血圧、肥満症など生活習慣病の治療を中心に地域のかかりつけ医として風邪などの一般的な内科の診療を行っている。阪急千里線の北千里駅に連なったショッピングモール内にあり、同じ場所で40年以上にわたって地域医療に貢献してきた内科医院を前身とする。前田和久院長は米国留学や母校の大阪大学医学部での研究・経験を生かして手術や薬だけでは対応できなかった症例にも食事や運動の指導などで幅広くアプローチ。「患者さん個々人のニーズに応えるために全人的な医療を展開していきたい」。そう強調する前田院長に、診療方針や将来の展望などを聞いた。
(取材日2018年7月12日)

医療先端エリアのメリットを生かす

この2018年8月で院長となって、まる3年ですね。

1

北千里という土地のメリットを実感しています。ここから北へ1.2キロほど行くと国立循環器病研究センターがあって、南方面の同じくらいの距離に大阪大学医学部附属病院があるので、当院はちょうど、その中間点。専門的な医療機関があるエリアの立地を生かし、患者さんに安心してもらえる医療が提供しやすいのです。北千里のある吹田市が2016年にまとめた健康増進計画「健康すいた21(第2次)」を見ても、自立した生活ができる男性の健康寿命が79.94歳で大阪府全体の77.43歳を2歳以上も上回り、住民の皆さんの健康への意識の高さとの相乗効果が生まれやすいのもメリットです。

北千里で開業された理由を教えてください。

私自身は大阪でも南のほうの高石市で生まれ育ちました。母校の阪大医学部も私が入学したときは大阪市内の中之島にありましたが、1993年に吹田市に移転し、私も阪大病院などのあるエリアが医師としての活動の中心でしたので、なじみもあったのか、自然にこの辺りでの開業を意識したのです。そんな折に、大学の大先輩で、この場所で40年以上にわたって「梶田内科」を運営してきた梶田知道先生が閉院されるという話を伺ったので、場所を引き継ぎ、新規開業というかたちで、このクリニックを設立しました。

なぜ医学の道に進まれたのですか?

2

好きな理系の勉強をして世の中の役に立ちたいと考えたのです。私は1963年生まれで小中学生の頃は今より日本の電気メーカーが世界の注目を集めていました。それもあって工学への道も考えたのですが、それよりももっと人と深く関われそうな医学に魅力を感じました。医学部卒業後は糖原病の一つである「垂井病」を発見した垂井清一郎先生がいらっしゃるなど、アカデミックな雰囲気に魅力を感じて阪大病院の第二内科に入局し、糖尿病や循環器疾患治療に取り組みました。1年後、和歌山・社会保険紀南綜合病院(現:紀南病院)に配属が決まったのですが、私は9月9日が誕生日なので“きゅうきゅう”に縁があるということで救急担当を命じられました。和歌山に先端救急医療を導入するために東京や大阪の救急医療の現場や、海上保安庁の訓練ヘリコプターにも乗るなどの実習を受けて赴任しました。今も機会があれば救急処置には積極的に関わっています。

肥満に関する研究を深め、留学も経験

米国にも留学されていますね。

3

紀南綜合病院に勤務したあと、1993年から阪大の細胞工学センターで研究に携わったことがきっかけです。肥満に関係する脂肪組織の研究をしました。私の所属するグループは糖尿病や動脈硬化、がんの予防に働くことがわかっている善玉ホルモン「アディポネクチン」を発見したのですが、このホルモンの解析結果を評価できる研究者が日本にはおらず、私が米国・ハーバード大学へ評価を依頼することになったのです。それで連絡をしたことで縁ができました。1997年から赴任した市立豊中病院循環器科にいたときに米国留学のお誘いがかかって、勤務のかたわら英語を勉強しながら1999年に渡米し、ハーバードのパブリックヘルス校栄養部門の研究員・助手となり、メタボリックシンドロームの研究をしました。

肥満についての研究は、学会でも発表されていますね。

2004年には善玉ホルモンのアディポネクチンの解析と、吸引した脂肪を利用した再生医療の研究についても発表しました。再生医療は留学から帰国して2002年に阪大病院の未来医療を研究する未来医療センターに入ってから取り組んだのです。臨床の現場で自分で脂肪を吸引して研究しました。細胞工学センターにいた時代は睡眠時間を削ってマシンのように働いて、救命救急の現場を超えるほど、自分が経験した中では一番ハードでしたし、米国では英語のコミュニケーションの問題もあったので、好きなことをじっくりと研究できた未来医療センターでは、それなりの成果を上げることができたという実感があります。

普段の診療で心がけていることを教えてください。

4

月2回は日曜午前も診察するなど、患者さんの利便性を重視していますが、さらに心がけているのは患者さんの状態を全人的に診察して治療方針を判断することです。2009年から開業まで准教授として在籍した阪大の統合医療学寄附講座は内科と外科の教室が一緒になっていて、薬や手術ではうまくいかない場合、広い視野で治療を探るのです。例えば、大きな事故によってPTSD(心的外傷後ストレス障害)などになっているケースですね。脳外科に行っても整形外科に行っても痛みが取れない。そういう場合は鍼や、ヨガによるリラックスなどの選択肢もあります。いくらしっかり勉強しても既存の医療の選択肢では限界みたいなものがあることを実感しました。ですから、今も患者さんにしっかりと向き合って高い視点から改善方法も探るようにしているのです。

数字にとらわれず広い視野で

全人的な診療について、もう少し詳しく教えてください。

5

数字にとらわれすぎない、と言い換えてもいいかもしれません。例えば糖尿病の場合、私は単に血糖値を薬だけでコントロールしようとする治療には疑問を持っています。ですから私は、あまり薬を使わず、できる限り食事の指導による改善をめざすのがモットー。患者さんの状態によっては内服薬のみのコントロールもするなど、幅広い対応をしていますが、血糖値が高いこと、そのものが悪いことではないと思っているのです。高血糖が動脈硬化につながるメカニズムなどが問題なので、肥満など血糖値の高さに付随するほかの危険因子を改善することが有効だと考えています。先に話した食事の指導によって体重を減らすことのほか、しっかりと体を動かすとか、ストレスをためないようにするなど生活習慣改善は、単に薬で血糖値を下げるより大切だと思っています。食事指導を重視するのは、体はすべて、食べたものが置き換わってできているからです。

先進的な医療機関が周囲にあるメリットを実感されているとのことですが、実際に連携もあるのですか?

阪大病院と連携して専門的・総合的な肥満診療を行っています。例えば肥満に対する外科手術は阪大病院の消化器外科や内分泌内科と連携し、腹腔鏡による胃切除の手術前後の体重管理を当院で行っています。当院にいらっしゃって手術が必要と判断した患者さんは体重管理をした後に阪大病院を紹介し手術後も減量治療や、リバウンド予防のためのフォローを継続しています。加齢などによる筋肉や骨への障害で運動機能が低下するロコモティブシンドロームについては、阪大で進む研究成果を取り入れています。漢方医学について検証している阪大・先進融合医学共同研究講座の特任教授を迎えて漢方処方を行う外来診療も週に1度行っているほか、運動指導士による「心臓リハビリテーション」や「運動教室」も開催しています。

将来の展望を聞かせてください。

6

当院のある地域は医療環境が優れていますし、地元の方々の健康への意識も高いので、もっと、このようなエリアを広げていくことに貢献したいと思っています。社会的なシステムの問題にも関わってくるので、行政との連携も必要です。そこで私にできることは何か、と考えています。先進医療をもっと広域に拡大することは健康寿命が延びることにつながりますので、今後さらに高齢化が進む社会では切実に重要なことですからね。娘が3人いますが、長女と次女が医学部の1年と3年に在籍しています。将来は現場で一緒に地域医療や患者さんのお役に立てることができればうれしいですね。

Access