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林原 卓 理事長の独自取材記事

林原整形外科

(池田市/池田駅)

最終更新日:2023/07/26

林原卓理事長 林原整形外科 main

阪急宝塚本線の池田駅から高架に沿って歩くこと10分余り、八王寺交差点の西に見える青い屋根と白い壁が「林原整形外科」の目印だ。父である先代が開業した同院を引き継いだ林原卓(はやしばら・たく)理事長は、整形外科診療に加え、リハビリテーションにも力を入れてきた。広いリハビリテーションスペースにはベッドと物理療法の機器が並び、理学療法士をはじめとするスタッフが完全予約制で患者の症状に合わせたリハビリテーションを実施。若いスタッフも多く、クリニック内には明るい笑顔と活気があふれる。「クリニックを育ててくれた地域と患者さんに、恩返しをしていきたいですね」と語る林原理事長に、最近増えている受診理由や、生活の質にも目を向けたリハビリテーションについて話を聞いた。

(取材日2019年2月28日)

患者とじっくり向き合う地域の整形外科

40年以上診療を続けているクリニックだそうですね。

林原卓理事長 林原整形外科1

当院は私の父が1975年に開業しました。私は大学卒業後、北摂の総合病院で勤務しており、週1回だけ診療を手伝っていたのですが、父が急な病に倒れたのです。すでに開業から10年以上がたっており、多くの患者さんが診療の継続を望んでくださいました。また、実現はしませんでしたが「いずれは父と一緒に診療したい」という思いもあったので、父の志を継いで診療の継承を決断。院長として勤務し始めた当初は、1人ですべてを決めて診療を進める責任の重さに悩むこともありましたね。父の時代から手伝っていた妹が事務長に就任し、私を含めて職員4人という小さな体制からスタートしましたが、患者さんの支えもあって、今日まで診療を続けてくることができました。

現在はどのような症状で受診される方が多いのですか。

年齢的にみると、小学生から高齢者まで幅広いのですが、やはり働き盛りからご高齢の患者さんが多いですね。この年代では、膝や腰の痛みやしびれ、五十肩などの整形外科的な慢性疾患が中心です。さらに最近では、80歳を超えるぐらいの方々が、突然起こった腰の強い痛みで受診されるケースが増えています。「転倒していないのに、灯油タンクのようにちょっと重いものを持ち上げたときから強い痛みがある」と。このような場合には、市立池田病院や石橋にある巽病院などの提携病院でMRI検査を受けていただき、診断をつけます。MRIは骨折の新旧の判断や、他の病気との鑑別に役立ちます。実際には、こういった患者さんの多くは腰椎圧迫骨折を起こしているので、当院で画像を見ながら詳しくご説明して、治療を始めます。保存的治療やリハビリテーションは、当院が得意とする分野ですので、各患者さんオリジナルのメニューで改善をめざします。

提携病院とのスムーズな連携があるのですね。

林原卓理事長 林原整形外科2

そうですね。当院でもエックス線や超音波検査は実施できますが、総合病院には各種検査機器がそろいますし、新しい治療法をいち早く取り入れていることも多いです。必要に応じて他の医療機関のサポートを受けることは、結果的に患者さんの利益になりますからね。一方で、当院でないとできない治療もあると思っています。時間をかけて心を通わせ、言葉を交わし、患部に手を触れるような治療は、クリニックならではの魅力だと思います。患者さんのためになる、それぞれの施設の特徴を生かすためにも、日常的に連携できるよう努めています。

患者の生活に寄り添うリハビリテーションを提供

リハビリテーション部門が充実しているそうですね。

林原卓理事長 林原整形外科3

リハビリテーションには、理学療法士などのスタッフによる理学療法と、電気や超音波などの治療機器を利用する物理療法があります。必要なリハビリテーションの内容は、患者さんの症状によって大きく異なります。そこで、当院では患者さんごとに異なるリハビリテーションのメニューを作成し、1回あたり20分を確保、完全予約制、担当者制で実施しています。これなら混雑状況に左右されることもないですし、毎回同じスタッフが施術しますので、患者さんの症状と気持ちに寄り添いながらリハビリテーションを進められます。女性の理学療法士も常駐していますし、乳がん手術後の運動機能低下や、脳卒中後のしびれなどに対しても、整形外科的な観点から運動器リハビリテーションを行っています。どこへ相談すればよいのかわからず困っている方にも、ぜひご相談いただきたいですね。

通所リハビリテーションにも力を入れているとお聞きしました。

診療を引き継いで少したってから、林原リハビリテーションシステムという部署を立ち上げました。まだ介護保険も始まっていない時期でしたが、従来の治療だけではなかなか改善につながらない患者さんがいることを、痛感していたのです。最初は、私と看護師の2人が交互に担当し、休診時間に必要な患者さんに来てもらって、バランスボールに乗ってもらったり、体操してもらったり、という簡単な内容でした。その後、理学療法士などのリハビリテーションスタッフが加わり、メニューを増やして、徐々に今のようなスタイルに発展してきました。現在では多くの方に気軽に利用してもらえていると思います。

リハビリテーションの実施には、スタッフの充実が欠かせません。

林原卓理事長 林原整形外科4

院内には診療部門、理学療法士チーム、物理療法チーム、通所リハビリテーションチーム、さらに受付事務スタッフと複数の部署があり、どの部署にも核となるベテランを中心に、スタッフが多数勤務しています。そこで、各部門のリーダーによるミーティングを実施して、意思疎通や申し送りを徹底していますし、リーダーはその場で話し合われたことを各部門に持ち帰り、すべてのスタッフに浸透するよう取り組んでいます。またスタッフの多くは20代後半と若いのですが、指示されたことを守るだけでなく、どうすれば患者さんのためになるのか、自発的に考え動いてくれています。特に患者さんとの何げない会話の中から、治療に役立つ情報をピックアップして伝えてくれるのはありがたいですね。

整形外科からの視点で、日常生活の充実をめざす

先生が診療時に心がけていることをお聞かせください。

林原卓理事長 林原整形外科5

私個人としては、まず笑顔を欠かさないこと。そしてユーモアがお好きな患者さんには、時には昔のギャグなども交えながら、リラックスしてもらえるように心がけています。痛みが長く続き、精神的につらい状態にある方もいますので、診察では安心を感じてもらって、率直な気持ちを話していただきたいのです。また当院全体としては、成長や改善を常に意識しています。改善につながるまで時間のかかる治療や処置が多い当院で、いつもの会話やメニューだけを繰り返していると、患者さんは飽きてしまう。患者さんに「来て良かった」と思ってもらうために、スタッフには医療者として成長し続けてほしいですし、治療やリハビリテーションも症状の変化にあわせてブラッシュアップするなどで、満足してもらえる医療を提供したいですね。

さらに力を入れて取り組んでいきたいことはありますか。

開院から40年を超え、患者さんの平均年齢も上がってきました。私や事務長にとっては、ずっと診ているご高齢の患者さんは、親のような存在でもあるんです。ですから、地域への恩返しの気持ちで、高齢者対象の通所リハビリテーションをより充実させたいと思ってきました。そこでクリニックの2階をリフォームし、広いスペースで通所リハビリテーションを始めることに。体操はもちろんですが、掃除や調理などの日常動作もリハビリテーションのメニューに取り入れ、患者さんが自宅でできることを増やしていきたいですね。特に、男性の独り暮らしでは、食生活がおろそかになってしまうことが多いようです。突然の骨折は男性にも増えている印象があり、「栄養状態が良くないのでは」と気になっているのです。当院には管理栄養士もいますので、栄養や食生活についても、サポートしていきたいと思っています。

他に今後の展望などはありますか。

林原卓理事長 林原整形外科6

お子さんやお母さんに向けて、特にスポーツのケガや外傷に関する情報提供をしたいと考えています。スポーツに本格的に取り組んでいるお子さんは多いのですが、日々のケアやケガの予防法など、意外と知られていません。このような情報はお母さんにも知っておいていただくと、期待できる効果が大きいと思います。年齢を問わず地域の皆さんが、ケガや痛みを予防して充実した毎日を過ごしてもらえるよう、これからも地元の整形外科として、できることに取り組んでいきたいと思います。

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