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中埜 廣樹 院長の独自取材記事

なかの外科クリニック

(豊中市/千里中央駅)

最終更新日:2021/10/12

中埜廣樹院長 なかの外科クリニック main

千里中央駅から徒歩約8分の所にある「なかの外科クリニック」。白を基調とした院内は、窓や中庭から差し込む光で明るく、診療までの時間をゆったりと過ごすことができる。「中埜外科医院」の名前で1968年から続く医院を、中埜廣樹院長が引き継ぎ、改称・建て替えを行ったという同院。2008年から、現在の名称で診療にあたる。外科・整形外科・肛門外科、胃腸内科、皮膚科、リハビリテーション科を標榜するほか、中国整体に基づくリラクゼーション・ボディケアも実施。外科・肛門外科、胃腸内科に特化した治療を行う中埜院長に、専門とする治療や、医療への思いを聞いた。

(取材日2017年9月13日)

健やかな暮らしを送ってもらうためのサポートを

開業への経緯について、教えてください。

中埜廣樹院長 なかの外科クリニック1

1968年に、祖父が「中埜外科医院」という名称で開業したことが始まりです。当初は手術室を備え、6床ほどのベッドも置き、入院患者も受け入れていました。それを父の代に入院をやめ、外科・整形外科などの外来業務だけにしました。私は大学卒業後、市中病院から最後は兵庫医科大学病院で8年ほど勤務にあたっていましたが、40歳を迎えるタイミングで、父と一緒に診療を行うため生まれ育ったこの地へ戻ってきました。父が標榜していた外科・整形外科に自分の専門領域であった胃腸科・肛門科の治療も加えるにあたり建て替えも行い、名称も「なかの外科クリニック」に改称しています。

どのような方の来院が多いのでしょうか。

ここは、日本万国博覧会の時にできた古い街です。その頃から近隣にお住まいの方々が多いですね。整形外科では、腰の痛み・骨粗しょう症・骨折で来院する患者さんが多いです。また、幼稚園や小学校にほど近い立地ということもあって、お子さんの外傷も多いです。頭や口を切ってしまったとかですね。最近では、「〇〇外科」のように名称に「外科」とつけるところが少ないので、外傷の場合にどこを受診したらいいのかを迷う方が多いようです。当院は、外科を院名に入れているので、かなり遠方からお越しくださる患者さんもいらっしゃいます。胃腸内科では胸やけ、胃もたれを訴えてお越しになる方が、肛門外科は痔の日帰り手術で来院される方が多いです。

クリニック全体で取り組んでいることはありますか?

中埜廣樹院長 なかの外科クリニック2

診療時間外に医院へかかってくる電話は、24時間すべて携帯電話へ転送し、随時対応できるようにしています。もし自分が患者さんの立場で、体がつらいときに病院へ電話をして留守番電話になったら、がっかりしませんか? 受診できないにしても、医師の声を聞くと安心するとおっしゃる方もいますし……。スタッフへは、目の前の患者さんは自分がいるから、ここに通ってくれていると考えて接するようにお願いしています。スタッフの対応が気持ちいいから、看護師の採血が痛くないから……などの理由で当院を選んでもらえたら、それもうれしいことです。

胃腸内科、肛門外科を専門とするクリニックとして

専門分野について、教えてください。

中埜廣樹院長 なかの外科クリニック3

大学病院勤務時代は、大腸外科を専門にしていました。この分野を選んだ理由は、手術自体と全身管理に興味があったからです。手術を受けた患者さんが食事を再開して回復するまで、栄養などの面から全身管理を行い、責任をもって最後まで見守っていきたいと考えていました。この思いは大学病院を離れた今も変わりません。当院で行っている痔核の手術や、ポリープ切除術の後、万一診療時間外に出血などの合併症が起こったときにも自ら最後まで責任をもって対処する。先にお話しした24時間電話転送の背景には、こうした私の考えもあるのです。

専門知識を生かした治療について、お聞かせください。

胃腸に関しては、最近機能性ディスペプシアでの受診が多くなっています。これは、胸やけ・胃もたれ・全胸部の灼熱感・みぞおちの痛み・おなかの張りなど、つらい症状があるのに、胃を調べても異常が見当たらない症状のことを言います。原因はさまざまで、胃腸の動きや心理的なものなどが絡まりあって発症するといわれています。胃腸薬で回復する場合もあれば、心理的なアプローチを行って改善する例もあります。ピロリ菌に関する検査・治療も行っています。胃がん患者の95~98%はピロリ陽性といわれています。胃がんのリスクを下げるためにも除菌治療が奨められています。内視鏡を受けた方はピロリ菌の検査・除菌のお薬・除菌が成功しているかの判定を含め、すべて保険適応となります。成人してから感染することもないので、一度調べておくのがいいですね。

肛門外科について、特化している点を教えてください。

中埜廣樹院長 なかの外科クリニック4

肛門の病気の方の多くはお薬で治すことができます。手術適応となるのは、お尻の症状が「日常生活に支障を来している」方だけです。具体的には、頻回に痔が脱出する、毎回下血するなど物理的に生活に支障を来している方や、出血量は少ないもののそれによる心因的ストレスがかなり大きい方などです。手術はすべて日帰り手術でしていますが、さらに術後の痛みをできるだけ少ないものにすること、一回で完結することをめざしています。一番多く行っているのは、内痔核硬化療法剤を用いた手術です。痛みも少なく、麻酔も必要ない10~15分で終わる日帰り手術です。排便後に毎回脱出をしていた人でも、手術を受けた日から脱出しなくなるので喜ばれる方が多いです。薬ができて10年経過しますが、認知が進んでおらず、豊中市では当院を含め数施設で行っています。切除が必要な痔核には、切除後に肛門周囲の痛みを数日間和らげる局所注射などを使用しています。

地域密着型のかかりつけ医であり続けるために

診療にあたり、大切にしていることを教えてください。

中埜廣樹院長 なかの外科クリニック5

父にならって医師と患者である前に、人と人として接することを心がけています。人として礼を尽くしたり、自身が患者側であれば何をもって安心するか、ということを考えたり。患者さんから日々学ぶ思いです。診察室では、まずは患者さんからお話を始めてもらい、私はできるだけゆっくり喋るようにしています。他の患者さんを待たせているという焦りが顔に出てしまうと患者さんも言いたいことが言えなくなってしまうことがあるのではないかと思うんです。「あれだけ待って、この診察?」と思われるのではなく「この診察だからあの待ち時間か」。と思っていただけるようにしたいですね。また、診断の結果が私の専門外だった場合、隣接する内科や泌尿器科などをはじめ、いち早く他の専門医療機関を紹介し、患者さんがより良い治療を受けられるように心がけています。

こちらでは湿潤療法を行っているそうですね。

けがをしたときに、外科の名前で調べて遠方からお越しくださる患者さんがいらっしゃるとお話ししました。当院では、傷の処置に「潤い療法(湿潤療法)」を実施しています。これは傷を水でよく洗い、消毒をせず乾燥させないでおく療法です。導入のきっかけは、14年ほど前に自分の子どもが大やけどを負ったことでした。家族が病人になって初めて、これまで諸先輩方から指導してもらっていた処置が本当に正しいのか疑問に思い、いろいろ調べ始め、この治療法を知りました。子どもに試してみると、治りが今までと比べものにならないくらい早いこと、処置に痛みが少ないこと、毎日入浴もできることなどいいことずくめでした。子どものやけどした部分も今となってはまったくわからないようになっています。それ以来、この方法を採用していますが、この潤い療法をネットで調べて、お越しになる方も多くいらっしゃいます。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

中埜廣樹院長 なかの外科クリニック6

ほとんどの方は「検査は何か症状が出てから受けるもの」とお考えだと思いますが、そんなことはないのです。検査は不安を払拭するためのもの、大げさな言い方をすれば「運命」をも変えるものでもあります。お酒をやめたとか、タバコをやめたという声は、身の周りでよく耳にします。不調とまでもいかない、わずかな「変化」「不安」を感じたから、そういう判断をしたのかもしれません。症状がなくても、「変化」や「不安」を感じたときに検査を受けることが大事だと考えています。また、がんなど病気になることは、ある意味「運命」的なところがありますが、検査はその病気を早期発見し、「運命」「人生」をも変えることができると考えています。当院でなくても良いのです。「う~ん……」と感じたら、まずはお近くの医院を訪ねてみることをお勧めします。

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