志水 清紀 院長の独自取材記事
志水医院
(豊中市/豊中駅)
最終更新日:2026/04/28
泌尿器科の医師が長く診療していたクリニックを継承し、志水清紀院長が2011年に開業した「志水医院」。診療分野は泌尿器科と腎臓内科だが、地域のかかりつけ医として一般的な内科の症状にも対応している。10年目を迎えた2021年には現在の場所へと移転。阪急宝塚本線の豊中駅から、徒歩で約3分という立地の良いビルの6階に入り、待合室をはじめとしたすべての空間にゆとりが生まれた。また移転と同時に、かねてより志水院長が興味を持っていた機器も導入。がん患者に対する高周波式温熱療法(ハイパーサーミア)が可能な機器で、個人クリニックとして導入している所は珍しいという。「幅広い疾患を診てきた中でも、がん治療は私のライフワーク」と語る志水院長に、日頃の診療方針やハイパーサーミアの特徴について聞いた。
(取材日2026年4月2日)
温熱でがんを治療するハイパーサーミアを導入
こちらのクリニックは、どのような主訴の患者が多いのですか。

トイレが近い、排尿痛があるなどのトラブルが多く、尿管結石などもよく診ますね。私が継承する前の先生も泌尿器科を専門とされていましたし、私も日本泌尿器科学会の泌尿器科専門医ですので、引き継いだ当初から泌尿器科、腎臓内科に関連する疾患の患者さんが来られていました。高齢の患者さんが多いですが、学校健診でたんぱく尿の再検査が必要になった学生さんや、市民健診のために来られる患者さんもいらっしゃいます。また、がん治療にも力を入れていますので、泌尿器領域だけでなく、大腸がんや肺がん、肝臓がんといった他の領域のがん患者さんも治療に来られています。
こちらではハイパーサーミアに対応していると伺いました。
2021年に移転したのは、そのための機器を導入するためだったと言っても過言ではありません。ハイパーサーミアは、ほとんどすべての固形がんに対して適用でき、高周波によって病巣部を加温することでがん細胞の死滅を図るものです。この機器のみの治療でも効果は望めますが、抗がん剤や放射線療法といったほとんどのがん治療と併用でき、他の療法の邪魔をせず、それどころか効果の向上も望めるという報告があります。副作用も少なく、どのステージのがんにも適用できます。私は勤務医時代にこの治療法を知った時から、いずれ開業することがあれば絶対に導入しようと考えていました。個人のクリニックでは抗がん剤や放射線での治療が難しいので、がん患者さんから手を離してしまうのがつらくて……。でも、ハイパーサーミアならお手伝いできると思ったんです。患者さんにとっては、保険適用であることも大きなメリットですね。
ハイパーサーミアでの治療を希望する場合、どうすればいいですか。

まずはお電話をいただきたいです。一般診療の時間内に突然来てもらっても、なかなか十分なお話ができませんので、先にお電話でご相談いただき、診療時間外に予約を取ってもらってしっかりご説明するようにしています。説明は木曜日の午後や、土曜日の午後にすることが多いですね。がん治療ですでに診てもらっている主治医からの診療情報書や検査データがあれば、そのご説明時にお持ちいただければと思います。実際の治療は、月・火・水曜日の9時から14時の間で、準備などを含め1時間かけて行います。ただ、ハイパーサーミアは固形がんに対しての治療ですので、血液のがんは、本当に申し訳ないのですが適用外になります。固形がんであれば小児がんでもお使いいただけます。それから、高周波は頭と眼球には当てることができないので、脳腫瘍なども適用外となってしまいます。
地域のかかりつけ医として一般内科や健診にも対応
普段の診療や検査について教えてください。

血尿やたんぱく尿に関しては膀胱がんの症状である可能性もあるので、内視鏡を使って小さな病変も見逃さないように検査します。また、腹部超音波診断装置を用いた胆石や早期肝臓がんの検査、エックス線を用いた尿路結石の検査などもできます。膀胱がんなどの術後の患者さんのケアも行っていて、尿管ステントという尿路に入れる管の位置を確認したり、カテーテルはだいたい耐用期間が1ヵ月なので、月に1回の交換にも対応しています。それから泌尿器科の領域でなくとも、市の特定健診にも対応しています。胃カメラがないので胃がん検診はできませんが、それ以外のがん検診は対応可能です。
一般内科にも対応されていると聞きました。
地域の方々には泌尿器科、腎臓内科のクリニックとして認知されていると思います。地域の中でも、その領域のクリニックはそれほど多くないので、もちろん自分の専門領域としてしっかり診ていきますが、ご要望に応えて内科的な疾患もサポートしていきます。標榜科目に内科を入れることもできたと思うのですが、開業時にはどうしても、すでに内科で診療されている諸先輩方への遠慮がありまして(笑)。でも、私も地域の中で診療を続けて15年たちましたので、そろそろ「実は内科も」と言っていいかもしれないですね。
診療の際に心がけていることは何ですか?

ありきたりかもしれませんが、病気の不安を抱えている患者さんの気持ちに寄り添うことです。ちょっとお話を聞くのに時間をかけすぎて、看護師さんから、後ろが詰まっています!と怒られることもありますが……。それから、泌尿器科は外科や内科と比べて専門性が高い分、そこだけに目が行きがちになりますが、常に全体を見て診断することを心がけています。例えば背中が痛い患者さんがいて、結石の既往歴があるからまた結石じゃないか、と患者さんが考えられていても、右側だったら胆石かもしれないし、左側だったら膵臓の問題かもしれない。患者さんの予想と診断が違うことは、臨床現場ではよくあることなんです。例えば足のむくみが気になると来られた患者さんがいたとき、腎臓には異常がなかったとしても、心不全を起こしかけているケースも考えられるんです。
豊中市民の健康づくりに責任を持って貢献したい
先生は地元、豊中出身なのですね。

生まれも育ちも豊中市で、高校も豊中高校でした。大学は兵庫医科大学で、卒業後は大阪大学医学部附属病院の泌尿器科に入局。そこから阪大関連の病院で診療にあたり、最後は市立豊中病院に長く勤めていました。ですので、いつかは地元で開業し、これまで育てていただいた地域の方々に恩返しをしたいという思いがあったんです。ただ、実際に病院で勤務医として働いていると、病院でしかできない経験もあると感じ、開業になかなか踏ん切りがつかない時期もありました。そんな折、地域で開業されている先生から「引退したいんだけど、後を継いでくれないか」というお声がかかり、クリニックを譲り受けることを決めました。
今後についてはどのようにお考えですか。
今後は引き続き、専門領域を丁寧に診ながら、一般内科も含めた地域のかかりつけ医としての役割を増やしていきたいと考えています。その方が体の中で何か困っていることがあれば、たとえ専門外であってもできる限り原因を見つけて、専門の医師のところに送って差し上げたいなと。今はあまり患者さんをお待たせしすぎないように、月曜日の午前中と、隔週で水曜日と金曜日の午前中は大阪大学医学部附属病院から応援の先生にも来てもらっていますので、遠慮なく来院してほしいですね。また私は今も、クリニックが休診の木曜日は、以前に勤めていた豊中病院で外来の午前診を担当しているため、他領域の医師へのご紹介もすぐにできます。クリニックの先々としては、いずれ同門の若い先生に譲ることも考えていくでしょうが、私自身はまだまだ現役でいたいと思っています。
最後に、地域の方へメッセージをお願いします。

私が専門分野として泌尿器科を選んだのは、診断から治療まで、一連の流れで患者さんと関われる診療科だったからです。がん患者さんのためのハイパーサーミアを導入したのも、「治療の手を途中で離したくない」という一心からでした。責任を持って長く関わるというスタンスでいますので、泌尿器科領域かどうかに関わらず、気軽にご相談ください。患者さんの訴えから疾患を見つけ、自分の治療や他領域の病院への紹介によって元気になられていく姿を見るのが、私の一番の喜びです。

