濱中 雄幸 院長の独自取材記事
浜中医院
(岸和田市/岸和田駅)
最終更新日:2024/10/11
1939年に開院し80年以上にわたって地域医療に貢献してきた「浜中医院」。内科・外科・整形外科をはじめとした身近な診療から、消化器内科、肛門外科、肛門内科といった専門的な領域まで幅広くカバーしている。特に肛門疾患については女性医師による診療日を設けるほか、痔の日帰り手術など患者ニーズに対応。また上下内視鏡検査や各種エコー検査にも力を入れている。3代目院長を務める濱中雄幸先生は、適切な診断に基づいた治療を信条とし、地域のホームドクターとして住民に寄り添った医療を提供している。「皆さんが楽しく人生を過ごせるような環境づくりに貢献していきたい」と話す濱中院長に、同院の特色や取り組みについて話を聞いた。
(取材日2024年9月28日)
内科・外科両面からアプローチするかかりつけ医
こちらは3代続く歴史ある医院だそうですね。先生が医師を志したのは自然な流れだったのでしょうか。
当院は私の祖父が1939年に開院し、先代の父の時代を経て、2009年に私が3代目の院長に就任しました。やはり医師として働く父の背中を見てきましたから、おのずと同じ外科医をめざすようになりました。家族に医療関係者がいると医療現場の大変さのほうが強く感じられることもありますが、私の場合は治療を通じて患者さんたちを元気にしたいという思いから、医療の道を志しました。大学卒業後は消化器外科の勤務医としてがんを中心にたくさんの手術に携わってきましたが、最終的には地域医療に貢献したいという思いがあり、当院を継承することにしたんです。
先生がめざすクリニック像について教えてください。
私がめざすのは地域のかかりつけ医です。身近な病気でいうと生活習慣病の予防や治療を行うことで将来の大きな病気を防いだり、訪問診療で通院が難しくなった方をフォローしたり、末期のがん患者の緩和ケアを行ったりと、地域の皆さんのさまざまな要望に応えられるクリニックでありたいと考えています。外科医としての経験を生かして、外傷の治療、消化器の検査、先代から続けている肛門疾患の治療なども積極的に取り組んでいきたいですね。内科・外科両面のアプローチができるというのが当院の特徴ですから、幅広い診療でさまざまなお悩みを解決していくのが私の役割だと感じています。
診療において大切にしていることはありますか?
適切な診断と治療に努めています。そのため検査機器はクリニックレベルで見ると充実しているほうだと思います。感覚的なものを頼りに治療を行うのではなく、数値化できるものはしっかりと数値化して判断し、治療や指導を行うことを大切にしています。あとは当院で完結できるものと、専門機関に紹介しなければならないものを適切に判断すること。例えば大腸内視鏡検査でポリープを発見した際にはきちんと切除まで行いますが、大腸がんの可能性があるものを発見した場合には速やかに専門機関に紹介します。抱え込まずに早期の治療につなげていくことも、かかりつけ医の大切な仕事ですからね。
肛門疾患は日帰り手術のほか、女性医師による診療も
肛門疾患の治療が特徴の一つになっています。
高齢になると排便障害など肛門にまつわるトラブルは増えていきますし、お尻に負担がかかって切れ痔になるケースはどの世代にもある悩み。診療ニーズは高い領域だと思います。肛門の日帰り手術に取り組んでいるクリニックが少ないせいか、当院のある岸和田市だけではなく近隣の市町村や和歌山など遠方から来られる方もいます。先代は肛門疾患をメインにしていたため、日帰り手術は40年以上続いていることになりますから、クチコミやインターネットで調べていらっしゃる方が多いようです。また女性は妊娠・出産を経験されると痔になりやすい反面、男性の医師だと恥ずかしくて受診できないというケースも。そのため週に2回、女性医師による肛門外科の診療を行っています。
悩んでいる人が多い痔の治療について詳しく教えてください。
イボ痔や切れ痔など疾患によって変わってくるのですが、イボ痔に関してはメスで切らない注射による治療と切除する根治療法に対応しています。場合によっては両方を組み合わせて行うケースもあります。切れ痔については基本的に座薬などの薬や排便のコントロールなどの保存的治療を行いますが、慢性化して肛門が狭くなった際には手術が必要です。また「穴痔」とも呼ばれる痔ろうについては手術による治療が欠かせません。いずれも当院では日帰りでの手術ができますので、悩んでいる人はご相談ください。血便や便潜血で大腸がんの可能性があると検査に来られる方もいらっしゃいますが、痔であることも少なくないんですよ。逆に痔の検査をしたら大腸がんが見つかるというパターンもあるので、血便などの症状がある時は、肛門だけではなく大腸の検査を受けたほうが良いでしょう。
生活習慣病の治療も、かかりつけ医としては欠かせないところですね。
高血圧症や糖尿病、脂質異常症に加え、喘息などの患者さんも多いですね。生活習慣病の治療については、薬以外に生活習慣の改善が不可欠です。基本的に食事管理や運動の指導を行いますが、なかなか徹底することは難しいので、一つの指標として体重管理を大切にしています。高齢になると体重を減らすのはひと苦労ですが、若いうちはしっかり運動をして体重を管理していくことが生活習慣病の改善につながりますからね。体組成計を導入していますので、希望される方にはデータに基づいた指導を実施しています。筋肉量や基礎代謝量、体の水分量などをチェックしながら、どういう栄養素を取るべきか細かくお話ししています。
集約的な診療ができる健康の窓口へ
検査設備についても教えてください。
エックス線検査や心電図検査、骨密度検査のほか、腹部・頸動脈・甲状腺・乳腺・前立腺・肛門のエコー検査に対応しています。それと専門である消化器では胃と大腸の内視鏡検査を行っているほか、特徴的なものとして直腸肛門内圧検査があります。これは加齢などに伴い便失禁といった症状がある際に、肛門括約筋の筋力を測定する検査機器です。便失禁については排便のコントロールと骨盤底筋体操による改善をめざしていきますが、それでも症状が改善しない場合は心臓のペースメーカーのような機器を仙骨神経に埋め込む治療がありますので、必要に応じて専門機関を紹介することも可能です。
今後の展望はありますか?
集約的な診療が進められたらうれしいですね。例えば便秘一つとっても、消化器の問題だけではなく甲状腺の機能低下や糖尿病が原因になっていることがあります。そういった場合、病気ごとに違うクリニックに通って治療を受けているというケースも少なくありません。しかしそれだと患者さんの全体像をつかむことが難しいですし、何より通院の負担も大きくなります。内科・外科にまたがった当院であれば幅広く診療することができますから、集約的な医療を提供するクリニックとしての機能を持たせていきたいと考えています。また専門の消化器領域では、かかりつけ医として内視鏡検査を活用し、がんの早期発見に協力していきたいと思います。
最後に、地域医療への思いと、読者へのメッセージをお聞かせください。
当院は肛門や消化器といった専門領域だけではなく、風邪や胃腸の不調、生活習慣病、外傷など幅広く対応することができます。地域の皆さんが楽しく人生を過ごせるような環境づくりに協力していきたいと思いますので、健康について不安を感じたら気軽にご相談ください。