中谷 雅美 副院長の独自取材記事
中谷診療所
(堺市中区/泉ヶ丘駅)
最終更新日:2025/07/09

田園北口バス停留所から徒歩2分。昔ながらの街並みに溶け込むようにたたずむ「中谷診療所」は、開業から45年を迎えた今もなお、地域の人々から厚い信頼を寄せられている。現在は、副院長の中谷雅美医師をはじめ4人の医師が、それぞれ自身の専門性に基づく経験と知見を生かし、丁寧で安心できる医療提供に努めている。「各分野の専門家がいるため、幅広い検査や診療に対応できるのが当院の特徴です」と明るい笑顔を見せる中谷副院長は、年間を通じて数多くの内視鏡検査・治療を行っている内視鏡のエキスパート。現在、南大阪病院でも勤務しているという多忙な中でも、地元・堺市への深い愛情を持って診療を続ける中谷副院長に、同院での取り組みについて詳しく話を聞いた。
(取材日2025年6月19日)
専門分野の異なる医師4人が診療を担当
まずは診療所の歴史からお聞かせください。

当院は1980年に私の父が開業しました。内科と糖尿病科の診療所として、地域の皆さんの診療を長年してきたのですが、2021年に父が病気で診療を続けることが難しくなり、私が診療所を継承することになりました。ただ、私は現在も住之江区の南大阪病院で、消化器内科部長および内視鏡センター長として勤務しており、年間数多くの内視鏡検査・治療を行っています。内視鏡での検査・治療に大きなやりがいを感じている自分としてはこの仕事を途中で放り出すことができず、一度は診療所の閉鎖も考えていました。しかし、幸いなことに3人の先生方とのありがたいご縁をいただき、現在は4人体制で、月曜から土曜日まで内科全般の診療が可能な体制にすることができました。それぞれ専門分野が違いますので、必要に応じて協力しながら診療を行っています。
現在の診療体制について、詳しく聞かせてください。
私の担当は水曜と木曜日で、消化器内科の専門家として上部消化管内視鏡検査を行っています。火曜日は糖尿病内科で豊富な経験を持つ先生が担当しています。私が研修医の頃に内科部長としてご指導いただいた大先輩なんですよ。月曜日と土曜日は肝臓内科を専門としてきた先生の担当です。腹部エコーを得意とされていますので、肝臓に関するご相談はぜひともお任せいただければと思います。金曜日は腎臓内科や循環器内科をご専門とする先生が担当です。特に心エコーにおいては数多くの経験を有している先生で、循環器疾患の早期発見・治療に尽力してくださっています。どの先生も専門分野はもちろんですが、一般内科の医師としても豊富な経験がありますので、まずは専門分野にとらわれずに来院いただき、ご相談いただければと思います。
どのような患者さんがいらしていますか?

地域にお住まいの方々が中心で、年齢層は地域柄もあってやや高めかもしれません。父が元気に診療していた頃から変わらず通ってくださっている患者さんが多く、2代3代と家族でかかってくださっている方々もいらっしゃいます。生活習慣病の管理のために、定期的に通院してくださっている方々も多いですよ。また、急な体調不良や健康診断で異常を指摘された方々が相談に来てくださることも。木曜日以外は午前中のみの診療なので現役世代の方は通いづらいかもしれませんが、ワクチン接種や健康診断、診断書の作成などにも対応しています。何かあれば気軽に相談いただければうれしいです。また、診察予約は不要です。直接来ていただいて構いませんが、初めての受診で不安な方は、お電話でご確認ください。
胃カメラや心臓エコーなど専門的な検査が可能
内視鏡検査についてもお聞かせください。

胃カメラ検査は水曜と木曜の8時40分から対応しています。当院では麻酔は使用せず、鼻からカメラを挿入して行います。検査中は会話もできますし、5~10分程度で検査はほぼ終わり、検査後は車の運転も可能です。胃カメラはどうしても「苦しそう」というイメージがあると思いますが、実際に受けてみれば想像よりはずっと楽に終えることができると思います。現在は検査機器の進化も素晴らしく、内視鏡はわずか5mmほど。当院でも先進の機器を導入して治療にあたっており、私自身もがんや胆管炎など専門的な治療の経験を積んでいます。日本人に多い胃がんの早期発見につながることが多いので、これまで受けたことがない人にはぜひ一度受けていただきたいと思います。
他にもさまざまな検査が受けられるのですね。
病院では腹部エコー、心臓エコーともに臨床検査技師が担当するのですが、当院では医師が自ら検査し、直接説明をしています。どちらも豊富な知識と臨床経験に基づいた診療を心がけていますし、優しく話しやすい先生方ですので安心して受けていただけると思います。また、ホルター心電計もありますので、24時間を通して日常生活における心臓の動きを調べ、異常がないかどうかを検査することもできます。また、睡眠時無呼吸症候群の簡易検査にも対応しています。気になりながらも放置している人が多い疾患ですが、長く放置すると心不全や脳卒中のリスクにもなりかねません。どんな病気も早期発見・早期治療が一番です。地域の皆さんに気軽に検査を受けていただける環境をつくれたらと思っています。
診療の際に心がけていることはありますか?

「話せて良かった」「安心した」と思っていただける診療をしたいと思っています。なんといっても当院は4人も医師がいますから、丁寧で優しい診療を心がけているという点においては共通していても、理知的な先生からおっとりした雰囲気の先生までタイプはバラバラです。患者さんによって話しやすい人、安心する人は違うと思いますので、自分に合った医師を選んでもらえたら良いかもしれません。必要があれば院内で連携しますので、専門分野にこだわりすぎずに受診していただければ。特に体調不良の際には、いつもの先生にこだわらなくても大丈夫ですよ。また当院は長く勤めてくれているスタッフが多いのも特徴。私たちに話しにくいことがあれば、スタッフにでもお話ししていただければと思います。
愛する地元で、これからも地域のための診療を
患者さんのために、院内処方にこだわっているそうですね。

院内処方は父のこだわりなんです。実は現在の診療所を建てる際に、「調剤薬局を一緒につくらせてくれないか」というお話もあったそうなのですが、どうしても院内処方が良いからとそのお話はなくなったそうです。医療機関を受診する患者さんは体調が悪いのだから、薬をもらうために別の場所に行き、また待つのは負担になる。院内処方なら患者さんは移動する必要がなく、待ち時間も短縮できます。お薬の確保など大変な面もありますけど、「ここで薬をもらえるから助かる」と、患者さんに思っていただけたらうれしいですね。何よりも父が患者さんのためを思って始めたことですから、これからもできる限り続けていきたいです。
一昭先生の思いも大切に引き継いでいるのですね。
ここは、母が私のイメージでつくってくれた診療所なんです。父が開業し、診療をしていた場所はこの隣で、私も小学6年生までは診療所の2階に住んでいました。ですからこの地域の小学校に通い、父の診療所に通ってくださっている患者さんや診療所で働く父の姿をずっと見て育ったんです。現在の診療所に移転してからも、父がこの場所を守ってくれていました。病気もあって現在は一線から退いていますが、父は今も私のことを支えてくれていますし、母は今での診療所の経理や事務作業を手伝ってくれています。ここは私にとっても地元といえる場所ですし、2人はずっと地域の皆さんの役に立つ診療所であり続けるために頑張ってくれていましたので、2人が積み重ねてきた地域での信頼も引き継いでやっていかなくてはいけないと思っています。
それでは最後に、今後の展望やメッセージをお願いします。

私が病院での勤務を続けているので、今すぐにというわけにはいきませんが、今後は大腸内視鏡の導入も予定しています。胃カメラだけでなく大腸カメラもできれば、より多くの病気の発見が可能になります。大腸カメラは恥ずかしさもあり、胃カメラ以上に受けたくない検査だと思いますので、なじみの場所で受けられるようにできたら良いなと思っています。現状は診療時間にも制限があり、不自由をおかけしている面もあるかと思いますが、その分診療時間には最大限に皆さんのお役に立てるよう努めたいと思います。今後も地域の皆さんのニーズに耳を傾けながら、私たちにできることを精一杯やっていきます。困ったこと、不安なことがあればどうぞ気軽にご相談ください。