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辻 敬 理事長の独自取材記事

高山診療所

(大阪市中央区/谷町九丁目駅)

最終更新日:2022/06/28

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大阪メトロ谷町線・千日前線の谷町9丁目駅真上のビルの2階にある「高山診療所」。1982年に開院し、大阪府下だけでなく近畿一円からの患者も多い。同院は、複数の医師、及び多職種のスタッフで患者をサポートする診療所である。「心身両面からトータルに健康を考える」と言う理事長の辻敬先生。ベテランの精神科と内科の医師で連携する同院は、内科的な検査設備も備えており、夜20時までの夜診の日も。診療では病気だけを診るのではなく、家族関係や人間関係など、その背景まで患者と一緒に探っていく。患者への温かな思いや、精神科診療にかける情熱と誇りを感じさせる辻先生に、地域医療に対する想いなどさまざまな話を聞いた。

(取材日2018年5月10日/修正日2022年5月20日)

1人の患者との出会いから、精神科の医師に

先生のご経歴を教えてください。

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大阪医科大学(現・大阪医科薬科大学)を卒業後、精神科に入局し、勤務医時代はアルコール依存症をはじめさまざまな精神疾患の治療をいろいろな病院で経験しました。今は名称が変わっていますが泉州病院では院長、その後高槻市の新阿武山病院で理事長を務め、運営面にも携わりました。52歳で、新阿武山病院を退職して開院を考えていた時に、今はもう亡くなられていますが、当時、当院の理事長であった高山直子先生からお声がかかったんです。高山先生はとても熱心で、患者さんからも人気があり、開院前に勉強させてもらえたらという気持ちで入職し、16年がたちました。

なぜ医師を志されたのでしょうか?

両親の親戚に医師が多く、医師への道を勧められたことも影響していますが、医師であるおじへの憧れがありました。小学生の頃から「医師になる」と口にしていましたね。母方のおじは外科医師で、日本で初めて全身麻酔で外科手術を行ったことで知られる、江戸時代の医師・華岡青洲の血を引いているそうです。整形外科医師の父方のおじと歩いていると、町の人が「先生こんにちは」とあいさつをしてくれるのですが、子ども心にその様子を「おじさんは尊敬されているんだな」と憧れるものがありました。

なぜ精神科を選ばれたのですか?

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おじたちへの憧れから最初は外科を考えていましたが、精神科に進んだのは、大学の精神科の実習がきっかけでした。統合失調症の若い女の子で、とても症状の重い患者さんがいました。1週間の実習期間中、こちらが何を呼びかけても最初から最後までずっと同じ姿勢で、固まったままのカタレプシーという症状でした。ところがそれから3ヵ月ほどして、その患者さんが「優しい言葉をたくさんかけてくれてありがとうございました」と僕のところへお礼を言いに来てくださったのです。その時の彼女は、見た目も雰囲気も当時と変わり、随分と明るく変わっていました。また、あの状態で僕のことを覚えていることにも本当に驚きましたね。精神科はまだまだ未開の分野で、これから画期的に変わるのではと考え、精神科の医局に入ったわけです。

ベテランスタッフたちが、チームで患者をサポート

医師だけでなく、多くのスタッフで患者をサポートされているそうですね。

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当院は常にニ~四診の体制で診療を行っています。まず、精神科医師・内科医師計12人でタッグを組み、ベテランスタッフがチームで連携し合っています。看護師以外にも、精神保健福祉士、臨床心理士、臨床検査技師、作業療法士が勤務しており、管理栄養士による栄養相談も行っています。2020年には同法人だった「高山メディカルクリニック」を統合し、内科を中心に禁煙相談や女性医師ならではの目線で更年期の外来、乳がん検診などにも幅広く対応して、心身両面からサポートしています。

診療モットーを教えてください。

高山先生の時から掲げているのは、「親切で明るい診療」です。患者さんは、二重の意味でつらい思いをされています。一つは病気であるということ、その上にそれが精神科の病気であるということで、二重に苦しみ、理解されないつらさを抱えているのです。そんな患者さんを親切に明るく迎え、ここではありのままでいいんだとホッとできるような診療所をめざしてきました。また、安心して受診できるよう、話しやすい雰囲気を大切にして、ご自分の悩みや不安をゆっくりお話ししていただけるよう心がけています。当院ではただ単に治療をして症状を取り除くだけではなく、患者さんのニーズに応えていきながら、安心して、満足していただける医療をめざしています。最終的には、その方が自分らしく生きていけるよう支えることが目標ですね。

患者層の主訴や受診のタイミングを教えてください。

学生さんから年配の方まで幅広い世代の方が来院されます。その中でも最も多い主訴は、不眠や身体の不調などです。原因は、家族や職場関係のストレスやパワハラなどさまざまです。体調は悪いが内科ではどこも異常はないと言われたり、会社に出勤するのが怖くなってしまったり。中には、家庭でDVを受けているのに本人は気がつかず、周りのご家族などが受診を勧めて来院されるケースもあります。火曜・金曜の夜診は20時まで、土曜も14時まで受けつけており、ご家族の付き添いもしやすい体制が整っています。眠れない、今まで興味があったことが急になくなってしまったなど、不安な症状がありましたら一度ご相談ください。

ネットに依存する患者は増えていますか?

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スマートフォンの普及により、インターネットやゲームに依存する人がますます増えているように思います。ネットを使用することは、生活上必要になっていますが、ご飯を食べる時間さえも惜しいと思うほど、ゲームに熱中し過ぎてやめられない、徹夜してしまう、仕事の能率が落ちたり、学校に行かなくなったりと、生活に支障を来すようになると問題です。本人が認めないことも多いのですが、ご家族をサポートしながら、本人・ご家族、医療機関、自助グループが三位一体となって、ネット依存からの回復へ協力できることを試みています。

地域に根差し、受け皿となっていきたい

デイケアでは何を行っていますか?

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デイケアでは生活リズムをつくるため、朝9時半から昼の15時半までここで過ごします。他院からの紹介で来る人もいますが、主に当院の患者さんたちが通っています。デイケアでのプログラムはスタッフたちが考え、クッキングや音楽、文芸の時間、ヨガ、ウオーキング、卓球など多彩な内容で、患者さんのニーズに合わせてスタッフが工夫しています。人気があるのはクッキングで、グループで料理をするだけでなく、みんなと一緒に食べる時間を設けています。一人ひとりが自立し、作業所に通えるようになる、就労できるようになるなど、目標をもって取り組んでいただいています。

今後の展望をお聞かせください。

地域医療への貢献ですね。当院は40年以上の歴史があり、患者さんは紹介やクチコミでいらっしゃる方がほとんどです。このため大阪市内だけでなく、府下、近畿一円からも患者さんがいらっしゃり診療圏は広いのですが、地元の中央区の患者さんに対してもっと地域に根づいて診ていかなければと考えています。やはりこの地域にクリニックを構えている以上、地域への責任を感じています。当院には医師も数人おり、さまざまな疾患に対応できる体制は十分整っています。また、昨年「訪問看護ステーションはる」も立ち上げ、精神科訪問看護もできるようになり、より一層さまざまな角度から充実したサポートができるようになりました。引きこもっている方がいらっしゃるご家族も、困ったことがあると感じたら、近くの「かかりつけ医」として気軽にご相談ください。

読者の皆さんにメッセージをお願いします。

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アメリカでは、メンタルヘルスのかかりつけ医をもつことがステータスとされることもあります。日本ではまだまだ精神科は敷居が高く偏見もありますが、ご自身が苦しんでいたり家族の中で解決できない問題を抱えていたら、いつでもご相談ください。精神的な悩みを抱えることは特別なことではありません。同じように悩んでいる人は他にも多数いますし、治療をすれば回復もめざせるのです。患者さんが安心して診療を受けられ、治療方針に納得してもらった上で進めていくことを大切にしています。

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