症状に合わせたエキス剤を用いる
漢方治療で生来の治癒力向上を
細野診療所 大阪診療所
(大阪市中央区/北浜駅)
最終更新日:2023/08/10


- 自由診療
現在では日常診療にも取り入れられている漢方。かかりつけ医院で、保険適用のエキス製剤を処方された経験がある人も多いだろう。「期待できる効き目が穏やか」、「長期間にわたって服用する」といったイメージもあるが、漢方治療の専門家である「細野診療所 大阪診療所」の中田敬吾理事長は「適切な診断と処方を行えば、数日で症状の改善が望める場合も多いです」と話す。同院では「人間が本来持つ治癒力向上につながる」という漢方の特徴を大事にしつつ、さまざまな漢方製剤を用いて、現代社会で多く見られる病気や今日の生活スタイルに合わせた治療を提供。幅広い世代や疾患の患者が相談に訪れているという。そこで今回は、漢方治療の背景にある考え方や効果が見込める病気・症状、診察の流れなど、専門的な漢方治療について中田理事長に話を聞いた。
(取材日2023年7月29日)
目次
女性疾患やアレルギー症状、ストレス関連疾患や高齢者にも適した漢方治療、適切な診断と処方で症状の緩和を
- Qまず漢方治療には、どのような特徴があるのでしょうか。
-
A
▲病気の予防や、進行を抑えることをめざして漢方で治療を行う
漢方治療では、人間が本来持っている体調を整えるための力を高め、自分の力で病気を治したり、病気とうまく共存することをめざします。このため漢方は「未病を治す」ための治療ともいわれ、些細な体の変調を見つけて発病予防を図ったり、すでに起きている病気が今後どうなるかを推測して進行を抑えることをめざしたりします。それから唐の時代の医学書を見ますと、まず女性、次に小児、その後に男性や高齢者の治療について記載されています。「人々が健康であるためには将来を担う子どもの健康が、そのためには母親の健康が最も大切」ということで、女性を大事にする医学であることも漢方の大きな特徴ですし、私が好きな考え方でもあります。
- Q漢方薬は、どのような症状や疾患に有用ですか。
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A
▲女性疾患の製剤が多く、妊娠中でも服用できるものが多いという
今お話ししたように漢方では古くから女性疾患に注目しています。ですので月経痛や月経不順、更年期障害、子宮筋腫など、月経や子宮に関する病気や不調の改善が見込めることが多いですね。妊婦の体調を整えたり、妊娠中に服用できる製剤が多いのも漢方の特徴です。それからお子さんに多いアトピー性皮膚炎では、患部の熱を抑え保湿機能を高めるための処方を行いますし、その他のアレルギー疾患にも効果が期待できるものがあります。なお近年ではストレスからくる心身の不調、自律神経失調症といったご相談も世代を問わず多いです。さらに漢方はもともと中国南部の亜熱帯気候の地域で発展した医療ですので、感染症に適したものもあります。
- Q高齢の患者さんにも、メリットはありますか?
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A
▲身体に負担が少ないことから高齢者にも適している
年齢を重ねると複数の病気を併発して、いくつもの症状を訴える方がおられます。漢方ではこのような場合、「主証」と呼ぶ患者さんが最も困っている症状を診察で見出して、そこから治療を始めます。ですから訴えが多くても薬の種類はさほど必要ありません。そして主証の改善が見込めれば、その次に困っている別の症状、すなわち「客証」がはっきりしてくるので、その治療に進みます。主証からアプローチするという流れも漢方の特徴で、患者さんの苦しみを一番大事に考え、治療でQOLを高めようとする漢方の良さがあります。また病気自体を攻撃して治すことをめざすわけではないため、体に負荷がかかりにくい点も高齢の方に向いていると思います。
- Q漢方治療特有の診察方法について、教えてください。
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A
▲漢方の診察方法は四診といわれている
診察室に入った患者さんの顔の色や表情を拝見し、「問診」でお困りの症状についてお聞きします。それから手の平や足の裏を見て、色や汗の状態などを確認しますし、舌を見せてもらってこけの色やつき方も調べます。このように見る診察「望診」、お話をお聞きする診察「聞診」に加え、「切診」といって実際に体に触れる診察をします。1つは「脈診」で、特に急性期では体調を知るために重要ですし、慢性疾患では原因となる臓器の確認等にも役立ちます。もう1つは横になっていただき腹部をあちこち押さえる「腹診」で、症状を確認するだけでなく処方薬を決める際に欠かせない診察です。西洋医学での検査結果や診断があれば、それらも参考にします。
- Q漢方薬は、長く飲み続けなければならない印象があります。
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A
▲漢方は体調に合わせて服用する薬を変化させる必要がある
慢性疾患の治癒をめざすような場合には、同じ処方を継続することもあります。ですが、慢性疾患でも症状の改善が目的であったり、感染症のような急性疾患であれば、服用開始後数日で症状の変化を自覚することも望めます。また、副作用が少ないので長期投与しやすいと思われがちですが、漢方治療では症状の変化に合わせて処方を切り替えることが非常に重要です。というのは、漢方薬はたとえ似たような名称でも、配合成分のわずかな違いで見込まれる効果がまったく異なるからです。私はこれを「漢方薬は豹変する」と称していますが、適切な効果を得るためには漫然と服用を続けることなく、漢方に詳しい医師の診察を定期的に受ける必要があります。
自由診療費用の目安
自由診療とは初診料/2000円、お薬代(1日分)/大人800〜990円、子ども690円前後