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中田 敬吾 理事長の独自取材記事

細野診療所 大阪診療所

(大阪市中央区/北浜駅)

最終更新日:2023/08/10

中田敬吾理事長 細野診療所 大阪診療所 main

1928年に漢方専門の診療所として京都で開業した「細野診療所 大阪診療所」。創始者の細野史郎氏は、生薬のエキス剤化に取り組み、漢方の近代化を推し進めた人物として知られている。長年にわたり大阪の地で漢方治療に携わってきた中田敬吾理事長は、細野氏らに師事して近代的な漢方医学を習得。選び抜いた生薬を使い、患者一人ひとりに合わせて処方するなど、創業者の考えを大切に継承しながら、時代に寄り添った漢方治療を提供し続ける。「漢方治療は女性疾患をはじめ、アレルギー疾患やストレス関連疾患など、現代人が直面する健康の悩みに幅広く対応できます」と穏やかに語る中田理事長に、中之島を一望できる診療所で、日本における漢方治療の近代化の歩みやこだわりの漢方治療についてじっくりと聞いた。

(取材日2023年7月29日)

東洋医学にも通じた医師をめざす

医師を志したのはご家族の影響ですか?

中田敬吾理事長 細野診療所 大阪診療所1

父は和歌山県日高郡にある印南町で歯科をやっていました。仕事場で補修物を技工する姿をいつも見ていましたが、よく失敗して「えい、くそ!」などと腹を立てていましたね。私には小さい頃から「歯科医師はきつい仕事だから医者になれ」と口癖のように言っていました。だからでしょうか、自然に医師を志していました。父は裕福な家に生まれたのですが、祖父の時代に財産を失って進学できなかったそうです。それで、独学で歯科医師をめざしたのですが、国家試験には何度も落ちたと聞いています。そうこうするうち、徴兵で試験を受けられなくなり「これで歯科医師への道も閉ざされたか」と断念しかけたのですが、関東大震災が起こって試験が延期されたのです。地震がなかったら、父は歯科医師にはなっていなかったかもれませんね。

大学時代は何を専攻されたのですか?

臨床の医師で、漢方も扱えるようになりたいと思っていたので内科を志しました。ある日、薬学部から医学部へ転部してきた学生が、大学に近い鹿ケ谷に聖光園という施設があって、漢方の読書会をやっているから一緒に行こうと誘ってくれました。京都大学の医学部には東洋医学研究会があり、漢方についての勉強にも早くから取り組んでいましたから、もう二つ返事で参加しました。週に1回の読書会に参加するうち、どんどん漢方が面白くなってのめり込みましたね。当時はちょうど学園紛争の真っ最中で、ストライキのせいで授業もないし、漢方の勉強に傾倒できました。もしかすると、父が地震が起きたことで国家試験が受けられたように、私もストライキのおかげで漢方の道に進めたのかもしれませんね(笑)。

早くから漢方に興味を持っておられたのはなぜですか?

中田敬吾理事長 細野診療所 大阪診療所2

父親は若い時、病気を患った時期があります。当時は抗生物質もまともな治療法もなく、わらをもつかむ思いで名のある施術士のお灸を受けに行きました。それがきっかけで本人もお灸の技術を習得しました。そんな姿を見て、鍼灸や漢方といった東洋医学に興味を持つようになったのだと思います。

エキス剤化で漢方薬が身近に

診療所では薬の原料にこだわっておられますね。

中田敬吾理事長 細野診療所 大阪診療所3

漢方の原料となる生薬には、質の良いものもあれば、そうでないものもあります。天然のものなので、価格が高騰することもあります。しかし、当診療所では入手可能な生薬の中で、品質の良いものを使うことを基本姿勢にしています。私が診療所で働き始めた当初から変わらない姿勢です。それは、適切な診断をつけ、患者さんに適切な治療をご提供するためです。例えば、処方した薬であまり改善が見込めなかった場合、質の悪い生薬を使っていると、薬そのものが悪いのか、医師の診断が誤っているのか明確にわかりませんからね。また、質の高い漢方治療を実践するためには、いい生薬を見極められる薬剤師が必要です。先代の細野先生は薬剤師の教育に力を注いだ方で、現地への視察なども奨励されていました。

先代の細野先生はエキス剤の開発にも携わられていたそうですね。

漢方薬は、もともとは煎じ薬です。しかし、戦争が終わって経済も発達してくると、出張などの際に煎じ薬を携帯することは困難です。自然のものなので変質の恐れもあります。そこで細野先生は、エキス剤の共同研究を他の医師たちに提案しました。しかし、賛同が得られず、独自に研究を始めたのです。その頃、京都の診療所の半分をアメリカ軍が使用していたのですが、ある日将校にインスタントコーヒーを飲ませてもらった細野先生は、液体を粉末にし、それにお湯を入れると元のコーヒーになることを知り、漢方薬でも同じことができると確信したそうです。代表的な生薬でエキス剤を試作して、煎じ薬と成分比較などを行い問題がないかを確認しながら、まずは患者さんの訴えを参考に合ったエキス剤を作る取り組みから始めました。

その後、エキス剤の登場で漢方治療も変わりましたか?

中田敬吾理事長 細野診療所 大阪診療所4

診療所では、1952~53年頃からエキス剤の開発に取り組み始めました。薬剤メーカーがエキス剤の製造に乗り出したのが1957年ですから、かなり先を行っていたと言えますね。その後、本格的にメーカーも参入して、漢方のエキス剤が医療現場でも使われるようになります。実は、煎じ薬を作るのは手間がかかるし結構難しいんですよ。少し煮過ぎただけで駄目になるものもあります。エキス剤ができたおかげで、一定の品質で供給できるようになったのは大きな進歩です。さらに、漢方薬のデータも安定したものが入手できるようになって、どの成分がどう作用するのかという薬理研究も進みました。

あるがままを受け入れ、心身の健康を高める

どんなきっかけで来院される方が多いのですか?

中田敬吾理事長 細野診療所 大阪診療所5

不調があると多くの方はまず保険診療を行うクリニックや病院を受診されますが、それで期待するような効果が見込めないときに、当院に来られることが多いようですね。漢方は、月経に伴うトラブルや子宮内膜炎などの女性疾患、更年期障害などに強みがあり、症状の改善が期待できます。体の弱い女性や妊婦さんの体調を整える目的での使用も可能です。また最近はストレスなどから心身の健康を損なったり、社会生活が続けられないという方のご相談も、年齢を問わず多いですね。そしてお子さんを中心に、アトピー性皮膚炎やアレルギー疾患でお困りの方も多く来院されています。患者さんのご家族やお知り合いが、ご紹介で来てくださることも多いですね。

患者さんと接する際に大事にされていることは?

病気を攻撃して治療するという考え方がある西洋医学に対して、漢方では体のほうを病気に耐えられるようにしていくというのが基本的な姿勢です。自然治癒力を高めて、自分で治すという漢方の考えに立つと、難病に対しても、さまざまな手段を駆使して退治するだけでなく、自分の体を調整してうまく共存していくという発想も可能になります。また、ストレス性の疾患に悩む患者さんは、物事をマイナスに考えてしまいがちです。ですから診察室では、病気や自分について、過度に悩んだりおびえたりすることなくありのままに受け入れる、いわば開き直るような心を持ってもらえるように、いろいろとお話ししています。

漢方治療に興味を持っている方へ、メッセージをお願いします。

中田敬吾理事長 細野診療所 大阪診療所6

同じ病名がついていても、患者さんが自覚する症状や背景にある体質やお人柄はそれぞれに違います。そこにも目を向けて、症状の改善や体調回復をめざせるのが漢方の良さです。また当院では質にこだわったエキス剤を使って、個々の患者さんに合わせた漢方薬の調合を行います。漢方薬は似たような名前であっても、含まれる成分や量の違いで期待できる効果が大きく異なります。ですから当院では定期的に受診してもらって、症状や体調の変化を見ながらその時々に適した漢方薬を処方するように努めています。病気やご自身の健康をトータルに良くしていきたいという方には、ぜひ漢方治療を試していただきたいと思います。

自由診療費用の目安

自由診療とは

初診料/2000円、お薬代(1日分)/大人800〜990円、子ども690円前後

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