早川 潤 院長の独自取材記事
早川クリニック
(大阪市中央区/心斎橋駅)
最終更新日:2026/06/05
大阪メトロ御堂筋線・心斎橋駅の改札を抜けてすぐの場所にある「早川クリニック」は、開院から60年以上にわたり、多くの女性の健康を支え続けてきた歴史ある医院だ。街のにぎわいから一歩離れ、落ち着いた雰囲気の待合室に足を踏み入れると、クラシック音楽と優しい香りが迎えてくれる。「緊張する場所ですからね。少しでもリラックスしてもらえたらと思って」そう語り、ふんわりと笑うのは早川潤院長。親子3代で通う患者もいる中、同院では近年、日帰り手術やオンライン診療の導入など新たな取り組みも進めている。さらに研究や症例発表、講演活動にも精力的に取り組むほか、治験を通して医療の最前線にも立ち続ける。穏やかな語り口の奥に確かな情熱を宿す早川院長に、変わらぬ思いと進化する医療について話を聞いた。
(取材日2026年4月8日)
心斎橋で受け継がれる医療と進化する診療体制
長く地域に根差してこられたクリニックと伺いました。これまでの歩みについて教えてください。

祖父がこの心斎橋で開院して以来、長く診療を続けてきて、私で産婦人科としては3代目になります。曽祖父も医師でしたので、医師としては4代続いていることになりますね。長く通ってくださっている患者さんの中には、親子3代で来てくださる方も多くて、お母さまが娘さんを連れて来られる場面を見ると、とてもうれしく感じます。場所柄、地元の方だけでなく、この辺りで働いている方が多いのも特徴です。時代とともにニーズは変わってきていますが、「困ったときにまず相談できる場所でありたい」という思いは、これからも大切にしていきたいですね。
婦人科はハードルが高いと感じる方も多いですが、医師として大切にされていることは?
婦人科に対して「受診すると内診があるのでは」という不安を持たれる方は多いと思います。実際、そのイメージがハードルになっていることも少なくありません。私自身も他科で同じような検査を受けた際に、恥ずかしさや抵抗を感じた経験があり、そのお気持ちはよく理解できます。だからこそ大切にしているのは、患者さんの不安に寄り添い、無理のないかたちで診療を進めることです。婦人科は必ず内診をする場所ではなく、お話だけで解決することも多くあります。まずは悩みを伺い、それによって検査を行うかどうかを一緒に考えていく。そうした積み重ねで、安心して受診していただける環境をつくっていきたいと思っています。
診療体制についても教えてください。

現在は私を含めて5人の医師が在籍し、常時三診体制で診療を行っています。それぞれが同じ専門領域で研鑽を積んできており、説明や診療の質にばらつきが出ないよう、情報共有を徹底しています。また、女性医師も在籍しているため、「検診は女性医師に診てもらいたい」といったご要望にも対応可能です。手術に関しては必ず医師2人体制で行い、麻酔や出血など万が一の事態にも迅速に対応できるようにしています。こうしたマンパワーと体制の充実が、安心して医療を受けていただく基盤になっていると考えています。
研究と臨床で得た知見をもとに先進の医療にも取り組む
研究にも力を入れているそうですね。

開業後も研究や勉強会での症例発表、講演活動を継続して行っており、治験にも積極的に取り組んでいます。これまでさまざまな薬の開発に関わってきたことで、副作用や開発の背景まで理解した上で診療に生かせる点が強みです。大学病院はがんや高度な手術に特化する傾向がありますが、当院では日常的な疾患に直結する分野で新しい知見にふれ続けています。そうした情報を患者さんにわかりやすくお伝えすることで、より良い治療の選択につなげていきたいです。
ヘルペスに関する研究、診療に力を入れているそうですが、これはどのような病気なのでしょう。
ヘルペスはウイルスに感染することで起こる感染症です。再発を繰り返す病気で、身体的な症状だけでなく心理的な負担も大きいのが特徴です。特に性器ヘルペスの症状については、どこに相談して良いかわからず悩まれている方も多く来院されます。この病気は特定の相手との関係の中でも感染することがあり、正しい知識がないことで相手を疑ってしまうなど、誤解が生じやすい面もあります。そのため当院では、感染経路や再発の仕組みについて丁寧に説明し、正しい情報をお伝えすることを大切にしています。診断が難しいケースも多いからこそ、これまでの臨床や研究で得た知見をもとに、新しい検査や治療法も取り入れながら、不安を軽減できるよう努めています。
新たに始められた取り組みなどあれば教えてください。

2024年2月から、子宮内膜ポリープに対する日帰り子宮鏡手術を開始しました。これまでは入院が必要だったケースでも、現在は午前または午後の短時間で治療を完結できるようになり、患者さんの負担軽減につながっています。生理不順や不正出血の原因としてポリープが見つかることも多く、まずは超音波検査を行い、必要に応じて子宮内にカメラを入れる内視鏡検査へと進みます。その結果をもとに、そのまま院内で手術まで完結できるのが特徴です。これまでは診断と治療が別の施設になることもありましたが、当院では一貫して対応できるため、スムーズに治療へ移行できます。現在は週に1〜2件ほどのペースで受け入れ可能で、早期発見・早期治療の選択肢として、着実にニーズが高まっていると感じています。
すべての年代の女性に寄り添う医療をめざして
中絶手術についても対応されていると伺いました。

中絶は身体的な処置であると同時に、精神的な負担も非常に大きい医療です。そのため当院では、手術そのものだけでなく、その前後のサポートを重視しています。手術は医師2人体制で安全性を確保し、万が一の事態にも対応できるよう備えています。また、術後は翌日と1週間後の受診を必須とし、その後の体調確認や避妊に関する相談まで丁寧に行います。遠方の方にはオンライン診療も活用しています。迷っている段階での相談も受けつけており、どの選択であっても納得できるかたちになるよう支援しています。
今後の展望を教えてください。
今後は「女性が一生付き合えるクリニック」として、より長期的な視点での医療提供を強化していきたいと考えています。更年期における不調だけでなく、その後の老年期に起こりやすい骨粗しょう症や動脈硬化などにも継続的に対応していきます。女性ホルモンの変化に伴う症状は個人差が大きく、病名がつかない不調も少なくありません。そうした悩みにきめ細かく向き合えるのは、クリニックならではの役割だと思います。予防医学の視点も取り入れながら、健康寿命の延伸に貢献していきたいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

婦人科は特別な場所ではなく、もっと気軽に相談できる窓口であるべきだと考えています。体調に違和感があるときはもちろん、「少し気になる」という段階でも構いません。内診を必ず行うわけではなく、問診や検査だけで対応できるケースも多くありますし、オンライン診療という選択肢もあります。女性の体はライフステージによって変化していきますが、そのすべての段階に寄り添えるのが婦人科です。一人で抱え込まず、まずは気軽に相談していただければと思います。

