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向坂 直哉 院長の独自取材記事

向坂医院

(大阪市平野区/平野駅)

最終更新日:2019/08/28

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JR関西本線の平野駅より徒歩3分。1942年開業、76年目に入った「向坂(さきさか)医院」は、大規模マンションの1階が入り口、2階が受付という、大きな医院だ。向坂直哉院長は、日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医、日本東洋医学会漢方専門医でもあり、広範囲な領域に対応している。さらに院長を含めた5人の医師により、内科・循環器内科・腎臓内科・消化器内科・糖尿病内科・呼吸器内科という幅の広い科目で、生活習慣病予防・健康増進に力を入れている同院。「患者を家族のように思いやる姿勢をスタッフ全員に徹底しています」と話す向坂院長に、クリニックの診療についてじっくりと話を聞いた。
(取材日2017年10月31日)

開業76年目。平野区の歴史ある内科医院

1942年開業とのことですが、医院の歴史を教えていただけますか?

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父方の祖父が開業しまして、父、私と引き継いでまいりました。祖父は東京帝国大学理学部を卒業後、九州帝国大学医学部に進み、一時軍医を務めた後、こちらに救急病院を開業しました。その後は、先代である父が大阪大学医学部を卒業し、済生会中津病院、八尾市立病院、阪大病院などを経て、承継しました。その後に、診療所への変更や移転をし、2013年に私が引き継ぎました。患者さんの中には、祖父が手術した患者さんや、55年通い続けているという患者さんもいらっしゃいます。祖父や父の仕事がこうして後世に残っているのかと思うと、感慨深いものがあります。

患者層について教えてください。

もともと高齢者が多いですが、最近は若い方がかなり増えました。もともと平野区という場所は、大阪市で特に人口が多い地域です。最近はマンションも増えてきまして、家族ぐるみで診ることも多くなりました。ここは中学生以上を対象した医院なので、お子さんは来られませんが、中学生から100歳近い方までさまざまな年代の患者さんがおみえになります。

もともと循環器がご専門だった先生が、漢方治療を始めた経緯について教えてください。

私の専門の循環器科とは、西洋医学の粋を集めたと言っても過言ではない分野なんです。その中でも私はカテーテル治療を専門にしておりまして、緊急手術に追われる日々でした。手術で治った方はいいのですが、外来では、胸の痛みや動悸を訴える患者さんが多く、24時間ホルター検査や心エコー検査などいろんな検査をしても、これという原因のない方がおられます。私は「異常ありません」と終わらせることに違和感があったのです。これで終わりにして本当にいいのか、患者さんの苦しみが続いているということは「治っていない」ということではないのか、自分は医師なのにそれを治さなくていいのか、と、ある日感じたのですね。そして大阪大学から大阪医科大学へと移り、当時日本東洋医学会関西支部長だった後山尚久教授から直接ご指導いただくようになり、日本東洋医学会漢方専門医の資格を取ったんです。

漢方薬処方に対する患者の様子はどうですか?

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喜ばれていますね。西洋薬では治せない部分というのがどうしてもありますから、そういうときに、引き出しがたくさんあったほうが患者さんのためになると思ったのです。今では患者さんのほうから「漢方薬はありませんか」「漢方がいいのですが」と言われることが多くなりました。学会の調査でも、8割程度の医師が漢方を処方しているというデータがあるぐらい、かなり一般化してるのではないかと思っています。最近は、患者さんの中でも介護疲れの方がとても多いです。「お疲れではないですか」と聞くと、「介護が大変で」と仰います。そういった方々に漢方薬をご提案をすると、本当に喜ばれますね。

予防医学のためにクリニックができること

クリニックとして力を入れている領域は何ですか?

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予防医学です。医師・クリニックの役割として、大きく分けると予防と治療があるのですね。「治療」のほうは、病気にかかって来られる、というもの。しかし、「予防」というものがもっとも大事なのです。大学の勤務医時代、健康診断事業の立ち上げに携わっていまして、患者さんを追跡調査したことがあります。そうすると、半数ぐらいが異常を放置されているという結果が出ました。とことん悪くなってからようやく医師にかかるという人が多い、ということが裏付けられたのです。日本は健診がたいへん安価に受けられますし、自治体もはがきを送り、電話をかけるなど非常に努力しているにもかかわらず、まだまだそういう状況が続いています。そのことをわれわれ医師はしっかり踏まえた上で、患者さんに説明をしたり、検査を促したりしないといけないと思います。

患者への説明にはしっかり時間をかけて診療しているとお聞きしました。

私は、患者さんに対する説明にはしっかり時間をかけます。そして、薬は必要最小限と心がけています。また、検査も十分に行うよう努めています。早く見つけ、十分説明し、食事や生活環境の改善で治せるものは治し、それでも治らなければ薬でサポートする、という考え方ですね。無症状なら放っておいても構わない、という方がまだまだいらっしゃるのですが、そうではないということを広めていきたいですね。特に男性は、仕事で忙しいので、どうしても放置しがちです。当院でも奥さんやお嬢さんが「連れてきました」と仰る状況が多いです(笑)。また、全内科を横断的に診ることを常に心がけています。当院で対応しきれない場合は、すぐに専門の医療機関をご紹介するようにしています。

クリニック全体で心がけていることを教えてください。

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クリニックのポリシーとして、できるだけ通いやすくして、何でも言いやすい・相談しやすい環境をつくり、家族のように思って対応する、ということを徹底しています。時々患者さんから夫婦喧嘩の相談を受けることもありますけれども(笑)。医者に「行くのが嫌だな」と思ってほしくないんですね。気軽に付き合ってくださっても全然構わないのです。ちょっとした相談に来られて、それにお応えしていくというのも、80年近く地域を見つめてきたわれわれの重要な役割の一つだと思っています。

高齢化社会に向けて、地域に貢献することを考える

「フレイル対策」の講演なども行っていると伺いました。

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フレイルとは、簡単に言うと健康な状態と要介護状態の中間部分。体重が減少し、握力や脚力が衰え、認知機能が落ちてきたというような、心身の活力が低下した状態です。また、一人暮らしで社会との接点が少なくなっている状態も「社会的フレイル」といわれます。つまりフレイルとは、身体的、精神的、社会的な虚弱が影響し合っているものといえるでしょう。来年度から厚生労働省が本格的に取り組む構えで、その前段階として当院を中心に6施設が、フレイルに関する臨床研究を行っています。フレイルはあくまでも「中間」の状態ですので、食生活の改善などで回復することも多いのです。「食養生」などを実践することで、より良い老後を送れるのではないかと考えています。

高齢者の健康のため、西洋と東洋の医学を融合させるということでしょうか?

大量の薬を飲んでいらっしゃる高齢者も多いです。そこで、漢方など違う選択肢があること、食生活や運動習慣などで生活の質を上げることを説明し、それらがうまくいかないときには薬でサポートしましょう、という両方の医学のいいとこ取りをしませんか? とご提案しています。日本人は健康寿命と平均寿命の差が、9〜12年あるのですね。他の先進諸国は6年程度ですので、日本人はとても長い要介護期間を経験しています。これをできるだけ短くすることをめざしませんか、というのが私たちの考え方です。

最後に、東西融合医療に対する先生の思いを聞かせてください。

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例えば、西洋医学であまり対象とされない冷え性は、放置していくと他の疾患を誘発することがあります。この「未病」という段階で何らかの手を打ち、大きな病気の発症を防ぐというのをめざしているのです。まずは、腹八分目・旬の食材などを意識した「食養生」などで、健康に過ごしてもらえたらと思います。

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