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磯川 貞之 院長の独自取材記事

磯川医院

(大阪市鶴見区/横堤駅)

最終更新日:2023/11/17

磯川貞之院長 磯川医院 main

大阪メトロ長堀鶴見緑地線・横堤駅から5分の場所にある「磯川医院」。日本小児科学会認定の小児科専門医である磯川貞之院長は、生まれも育ちもこの諸口町。「地域の子どもの成長を手伝うことに、誇りと生きがいを感じています」と話し、病気の治療や予防だけでなく、保護者が抱える子育ての悩みにも耳を傾ける。愛用するイモ虫の聴診器カバーは、緊張や怖さから泣いてしまう子どもを少しでもリラックスさせ、楽しく受診してもらうためのアイデアなのだそう。頑張った子どもにあげるご褒美シールや、子どもが好きな玩具がたくさん並ぶ診察室も圧巻。進歩の早い小児医療をしっかりとキャッチして、子どもと保護者にわかりやすく伝えるため日々心を砕く磯川院長に、予防接種とアレルギーについて、さらに将来展望まで語ってもらった。

(取材日2022年7月14日)

治療は「小児科医院選び」から始まっている

楽しく診察を受けられる工夫がいっぱいですね。

磯川貞之院長 磯川医院1

子どもさんが喜びそうなぬいぐるみを並べたり、シールや玩具も意識して置いています。目や耳を診察する時には音がしたり、押すと目が光る玩具の動物を使って「はい、こっち向いてー」と、声をかけると効果てきめんです(笑)。生後間もない頃は覚えていないでしょうけれど、1歳ぐらいになると処置や予防接種のことがわかってきて、「ここに来たら痛いことをされる」とイメージがついてしまうようです。泣きながら入って来る子も多いですし、どうしても緊張してしまうのでしょうね。治療後は「頑張ったね」と声をかけて、子どもたちが達成感を得られるようにします。どんなに小さい子でも、治療を受けて帰るということだけで達成感は得られます。それが子どもの成長を支える効果もあると考えています。

先生は「医院選びからすでに治療は始まっている」というお考えだそうですね。

小児科というのは全身をトータルに診ないといけません。それが面白いところでもあり難しいところでもあって、覚えることも多いので、まず小児科を専門としている医師を選んでほしいという思いがあります。私は日本小児科学会小児科専門医ですが、学会のガイドラインに則った治療を心がけています。ガイドラインというのは決して専門家向けに書かれたものではなくて、非専門の人にも「これは押さえておいてほしい」というところが書かれている小児医療のベースとなるものです。日々更新されるため、あまり守れていないところも多いように思いますので、新しく更新される知見を治療に確実に反映できるように、日々研鑽を積んでいる医師や医院を選ぶことは、病気の治療と一体だと考えてほしいのです。

子どもの予防接種についても伺います。

磯川貞之院長 磯川医院2

予防接種はお子さんが健康に育つためにとても重要で、生後2ヵ月から1歳までの間に6、7種類のワクチンを接種します。タイミング良く予防接種を受けてもらうためには、計画を立てておくことが大切なんです。ところが急な病気で、そのとおりにいかないこともあります。また今は共働きが多いですから予防接種のために親御さんが勤めを休んだり早退しないといけないこともあって、そんな場合に同時接種が有効的となります。例えば3種類を同じ日に同時接種すれば、3回の来院が1回になり保護者の負担も軽くなり、接種率も高まるメリットがあります。日本では副反応の見極めを重視して1回1ワクチンの接種が長らく原則でした。でも最近は、同時でもリスクは変わらないと言えるようになり、同時接種が一般的になっています。

子どもの健やかな成長を常に考え続ける

予防接種で来院すると診察もしてもらえますし、お母さんも安心ですね。

磯川貞之院長 磯川医院3

実は、子どもが初めて小児科と接点を持つのが、予防接種ということが多いです。大きな異常というのは、お母さんのおなかの中にいる時に超音波検査で、ある程度わかるため、最初の診療はそんなに深刻なことではなく、全身の健康をチェックしながら股関節脱臼がないか、湿疹の有無、首の座り方、体重の増え方などの全体的な発達を診ていきます。20年前の医学では、アレルギーが原因で湿疹が起こってくると考えられていましたが、10年ほど前からは幼児期の早期に湿疹が出ていると、それが原因で体の免疫のバランスが崩れて、アレルギー体質になるという、真逆の考え方に変わりました。湿疹というのは、意外と見逃されがちなものでもあり、ちょっと良くなったら「これでいい」と様子を見てしまって、湿疹がくすぶった状態が続いてしまうことが多いので、きちんと治療することが大切です。

アレルギーは子どもの食事とも密接に関係しますよね。

離乳食の開始時期の遅れや栄養バランスの崩れなどがあると、アレルギー性疾患の発症リスクは高まります。また、一般的に思われていることと私たちの「こうしたほうがいい」という理想とは、違う部分がすごくあります。日本の子どもは相対的に栄養のバランスが悪いといわれています。具体的には鉄分、亜鉛、銅などのミネラル分や脂溶性ビタミンのD、A、Eの不足です。これは、日本でまだ信じられている離乳食のメニューと考え方に、問題があるからだと私は思っています。以前は乳製品や卵などのアレルゲン、アレルギーを起こす不安の高いものは、子どもに早くから与えないほうが良いと考えられていましたが、アレルギーは減らないし、逆に食べないほうが、アレルギーが増えてしまうことも出てきた。そこで10年ぐらい前からは「早いうちから食べましょう」に変わりました。つまりバランス良く、満遍なく食べさせるようにしたほうが良いという考えです。

お母さん自身も体調に気をつけながら、子どもを育てるべきですね。

磯川貞之院長 磯川医院4

子どもが生まれる前の胎児10ヵ月と、生まれてからの2年間を足した1000日間は、実はその子の一生に関わってくるため、その間の体調管理は、重要だと思いますよ。栄養をバランス良く取ってほしいですね。日本の子どもは貧血が多いとされていますが、原因はお母さんが鉄分の摂取量が少ないことだけでなく、離乳食などに含まれる鉄分も不足しているからだと考えています。母子手帳を渡す時から積極的に医療側も介入して、栄養に関する教育や指導があってもいいと私は思っています。食品についての知識を含め、食育全体の知識を増やしていきたいです。なんでも気軽にご相談いただければうれしいです。

地域の子どもの成長を手伝うことが誇りと生きがい

感染症に対して不安を持つ親御さんも増えているのでは?

磯川貞之院長 磯川医院5

うつる、うつらないを気にされますが、まず感染というのは普通に生活する上で、普段から起こっているものです。ほとんどの人が無症状なだけなのです。ウイルスは自分が増えることが重要で、人の健康など関係なく、細胞の中で増えていきます。そこで強い免疫反応が起こると増えきれないので、生き残っているウイルスというのは、決して病原性が高いものではありません。むしろ病原性が低いウイルスが選択されていくので感染が広がるけれど、今後は重症化は減っていくでしょう。マスクも一つの選択肢ではありますが、マスクは自分から他人に感染させる可能性を低くするものであって、空気中に飛沫しているウイルスはマスクをしていても身体の中にはいってしまいます。マスクをしていれば安心ではありません。

食育を含めて、子育てするお母さんにアドバイスをお願いします。

食育に関して言うと、いろいろな物をバランス良く食べさせてあげることが大事です。乳酸菌や酪酸菌などの善玉菌を含む発酵食品もお勧めです。そして、もっとお子さんに話しかけてください。小さい子のスクリーンタイムの増加が、今問題になっています。家の中でテレビを見るよりも、屋外で遠くを見て遊んだり、体を動かしたりする時間を増やしてほしいですね。太陽光の中のバイオレットライトは近視抑制に期待できるといわれているので、屋外で太陽光にあたることも心がけてみてください。

今後の展望を聞かせてください。

磯川貞之院長 磯川医院6

妊婦さんが小児科の医師からアドバイスを受けることができる「プレネイタルビジット」が欧米では普通に行われていて、アジアでも定着してきています。出産前から予防接種や育児について相談ができるんです。日本ではほとんど普及していませんので、まず願いとして、妊娠中から産婦人科だけでなく小児科とも連携する、このシステムがもっと広がってほしいですね。私自身は小児科医院だけではなく、保育所なども運営するようなかたちで、病気のときだけでなく健康なときも含めて子どもの生活全般をトータルにケアをしていければいいなと思っています。まだ手つかずですが、それが将来の夢ですね。

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