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川上 剛 院長の独自取材記事

川上医院

(大阪市鶴見区/徳庵駅)

最終更新日:2020/04/01

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JR東西線・学研都市線の徳庵駅から徒歩10分ほど、寝屋川沿いの住宅街にある「川上医院」。大阪市鶴見区で明治時代に開院し、地域の「かかりつけ医」として歴史を重ね、地元住民が厚い信頼を寄せる。2019年には地域のニーズに応えて新たに小児科の診療を開始し、「家族みんなで通える医院」をめざしている。5代目となる川上剛院長は、日々の診察や健康診断を通じて、骨粗しょう症のように患者自身では気づきにくい病気の予防にも気を配っており、ブログや院内の掲示板では、薬の飲み方の工夫、風呂の温度といった健康に役立つ記事を随時発信。「来院に伴うハードルを下げたい」という院長に、さまざまな取り組みについて聞いた。
(取材日2020年2月6日)

地元から親しまれる歴史ある医院

たいへん長い歴史のある医院と伺いました。

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当院は、1873年に開院しました。初代から数えて私で5代目になります。私の高祖父は、緒方洪庵が開設した蘭学の私塾で学んだそうです。通いの学生だったので名前が残っていないのですが、明治時代に地域密着型の医院を始めた、先駆け的な存在だったそうです。当院の前には寝屋川が流れていますが、昔は天王寺から船で通院していたという話も聞いています。患者さんの中には「ひいおじいさんの頃から川上医院にお世話になっていた」という方もいますよ。私は、父の川上晉から2016年9月に院長を引き継ぎました。現在は日常的な内科疾患や消化器疾患のほか、骨粗しょう症や睡眠時無呼吸症候群、禁煙などの治療も行っていて、処方では漢方薬も活用しています。また、私の専門は消化器内科ですので、胃カメラは経口、経鼻の両方に対応しており、できるだけ苦痛の少ない方法をご提案しています。

先ごろ小児科の診療を開始したそうですね。

当院ではご家族で受診されている方が多く、「何歳から診てくれるの?」とか「子どもや孫を一緒に診てほしいけれど、診てもらえないからちょっと遠くの小児科へ行くわ」というお声を以前から聞いていました。確かに鶴見区は15歳未満の人口が大阪市内でも多く、小児診療を必要とするご家庭は多いのです。ただ、当院では父の代には子どもをまったく診ていませんでした。そんな中、近隣のいくつかの医療機関が小児科の診療を中止することに。地域で小児科診療の必要性が高まっていることを感じ、ニーズに応えたいという思いから、新たに取り組むことにしました。実は、以前は院内処方だったので置けるお薬の種類が限られていましたが、院外処方にしたことで幅広い種類の薬剤を使いやすくなり、そういった事情も小児診療の開始につながりました。

患者さんからの反響はいかがですか。

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若いお母さんがお子さん2人を連れてきて3人で治療を受けたり、受診を嫌がるお孫さんを「おばあちゃんがいつも行くところだから大丈夫」と一緒に来たり、という姿が見られます。予防接種も取り扱っていますよ。当院が大事にしている「地域密着の医療」を実現する上で、家庭内の誰もが一緒に、気軽に受診できる環境はやはり大事だと感じています。0歳から診ていますが、この地域は地域連携システムが充実しているので、小児ならではの特殊な症例や重症例は提携医療機関へスムーズにつなげる手筈を整えています。また、子どもに漢方薬を使うこともあり、症状に早く対応できるよう工夫しています。風邪っぽい、下痢をしているといった軽い症状でも、不安を感じるようでしたら様子見せず、気軽に相談してほしいですね。

見えない病気やニーズを読み取るのも医師の役割

患者さんを診察する際に、心がけていることは何でしょうか?

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例えば、「おなかが痛い」と言う患者さんで胃カメラを実施しても、「何もありませんよ」ということがあります。私も以前は「痛みがあるのなら異常がないとおかしい」と思っていたのですが、あるときから患者さんのニーズを読み取ることが大事だと気づいたんです。胃カメラはあくまで過程であり、患者さんが何を言いたいのかを読み取るのも内科のドクターの仕事なんですね。それほど悪くないのに「こんなに痛いのに何で病気じゃないんですか」とおっしゃる患者さんがいますが、痛みと病気の程度は比例するわけではありません。「病は気から」という言葉があるように、何らかの悩みから、胃の動きなど機能性が落ちていることもあるのです。メンタルが原因で身体のバランスが崩れている人にどのようなアプローチができるのかを考えるようにしています。

具体的には、どのようなことを実践されていますか?

ストレスや睡眠不足が原因で胃の調子が悪いけれど、検査では特に問題がないという人に対して、何かしてあげられないかと思っていたときに漢方薬と出会いました。漢方薬の中にはストレスや胃の過緊張に対して使用できるものや、ほかにも冷えや便秘に適したものなどがあります。一口に「胃が痛い」と言ってもいろいろありますよね。「胃の痛みだからこの薬」と症状だけを見て処方するのではなく、その人の体型や体質に合った漢方薬を選んでいます。「市販薬だと強すぎておなかが痛い」という人もいますが、西洋薬と漢方薬の良いところを併用することで、治療がうまく進むケースもあります。なお、漢方薬は小児診療でも活用しています。独特の臭いや味を飲みやすくする工夫も、いろいろとお伝えできますよ。

患者さんとの印象に残るエピソードはありますか?

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「おなかの調子が悪い」と来た患者さんがいたのですが、嫌な予感がして心電図を撮ったら心筋梗塞だったことがありました。おなかではなく、胸が痛かったわけです。私は消化器内科の医師である前に内科の医師でもありますから、体全体のことを考える必要があります。人間、老いには逆らえませんから、年齢に応じてある程度起こりやすい病気は推測できるのですね。その中でこれまでに多かったのが、自覚症状のない骨粗しょう症です。「私は大丈夫」と年齢の割に自分の体力を過信して、自転車で転んで骨折したりします。そこで骨粗しょう症の治療を始めるようになり、疑わしい人に向けて、「一度診察に来てください」と呼びかけるポスターを貼っています。

検査機器を充実させ、食事指導にもこまやかな工夫を

全身を計測できる骨密度測定装置があるそうですね。

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当院には、全身用エックス線骨密度測定装置があります。約3~5分以内の検査で、骨折しやすい部位を測定することができます。予約なしで来院して検査を受け、その日のうちに結果を聞き、治療を始められることもありますよ。骨粗しょう症は自覚症状を感じにくいからこそ、検査を受けて早期に診断することが大切です。女性ホルモンが減少し始める50歳以上の女性、男性であれば60歳以上、またご家族に骨粗しょう症の方がいたり、糖尿病、飲酒などの要因がある方には、特に検査を受けてほしいですね。

生活習慣病への食事指導も工夫されているそうですね。

「1日の塩分摂取量を6g」などと言っても「どうやって計るの?」と思いませんか? それよりは具体的に「こういう食生活にしたほうがいいですよ」と説明するほうが、患者さんに伝わりますよね。当院では、食事指導のリーフレットを渡しています。戦前に比べて糖尿病や高血圧、高脂血症が増えたことからも、食事の欧米化による影響は明白です。パン、ラーメン、パスタなどは意外に油分が多いです。白米をベースとし煮炊き物や野菜たくさんのお味噌汁といった粗食を推奨しています。日本人である以上、やはり昔ながらの和食が体に合っていると思います。

今後の展望について教えてください。

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何でも相談しやすい医師になり、患者さんがざっくばらんに喋りやすい環境をつくりたいと思います。もしお聞きした症状が自分の対応領域外であれば、知人のクリニックから大学病院や中核病院まで、適切な紹介先につないでいくことも開業医の役割です。また、小児診療開始を機に短時間で炎症反応を調べる機器を導入し、大人の診療でも活用するようになりました。当院は駅からやや遠いため、診療時間内には送迎車を出すなどの対応も行っています。文字通りご一家の健康のよりどころとして、日頃から安心して頼っていただける存在になることが目標です。地域密着型の医院として、変化するニーズに応えられるよう、これからも患者さんとしっかり向き合っていきたいですね。

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