全国のドクター8,833人の想いを取材
クリニック・病院 160,184件の情報を掲載(2023年5月28日現在)

  1. TOP
  2. 大阪府
  3. 大阪市鶴見区
  4. 徳庵駅
  5. 医療法人 川上医院
  6. 川上 剛 理事長

川上 剛 理事長の独自取材記事

川上医院

(大阪市鶴見区/徳庵駅)

最終更新日:2022/07/08

川上剛理事長 川上医院 main

学研都市線の徳庵駅から歩いて10分。目の前に寝屋川が流れる住宅街に「川上医院」はある。開院が明治初期という歴史ある医院を受け継ぎ、5代目として理事長を務めるのは川上剛先生。自身が専門とする消化器内科はもちろん、生活習慣病の管理から小児科診療や予防接種まで、幅広い医療を提供する。さらには時代のニーズに対応した、さまざまなグレードアップやイノベーションにも果敢にチャレンジ。地域のかかりつけというスタンスはそのままに、常に創意工夫を重ねながら周辺住人の健康を支え続けている。「家族みんなで通えるような、敷居の低い医院をめざしています」という川上理事長に、現在の医院での取り組みや地域・患者への思いなど、じっくり語ってもらった。

(取材日2022年6月13日)

地域のために、内科疾患から生活習慣病まで幅広く

こちらでは、どのような診療や検査などを行っていますか?

川上剛理事長 川上医院1

まずは誰もがかかるような日常的な内科疾患や消化器疾患の診療で、小児科診療も3年前から行っています。私の専門は消化器内科ですから、胃の内視鏡検査は安心してお任せください。胃の内視鏡検査は経口、経鼻の両方に対応し、苦痛の少ない細めの内視鏡を用意しています。ほかにも骨密度や動脈硬化度の測定、超音波検査、睡眠ポリグラフ検査などが可能で、もしCTやMRI検査が必要と判断した場合は速やかに連携病院を紹介しています。あとは特定健診や予防接種ですね。インフルエンザや新型コロナウイルスはもちろん、風疹や帯状疱疹をはじめとした大人の予防接種ならびに乳幼児の予防接種も各種行っております

生活習慣病にも力を入れて取り組んでいるそうですね。

私は消化器内科の医師である前に内科の医師でもありますから、専門領域に限らず患者さんの全身を考える必要があります。生活習慣病の予防や改善で、まず筆頭に挙げられるのは食の見直しです。戦後になって糖尿病や高血圧、高脂血症が増えたことからも、食の欧米化による影響は明白でしょう。パンやラーメン、パスタなど、カタカナの主食には特に注意が必要です。お米には日本人のベーシックなエネルギー源が入っていますので、油分を控えた昔ながらの日本食がやはり日本人の体には合っていると思います。ビタミンやカルシウムといった栄養素のことは、さほど気にする必要はありません。たまには息抜きの食事をしながら、ストレスなく続けていくことがポイントです。

高齢者が特に注意すべき病気はありますか?

川上剛理事長 川上医院2

私がここで父の手伝いをしていた頃は、ご高齢の患者さんが大勢おられました。その中で特に多かったのが、自覚症状のない骨粗しょう症です。自分はまだ大丈夫と過信して自転車で転んで骨を折り、最悪の場合はそのまま寝たきりになってしまうんですね。当時は簡単な骨密度測定しかできませんでしたから、もっとちゃんと診てあげたいと考え、私の代になってより精密に検査ができるエックス線骨密度測定装置を導入しました。腰椎や大腿骨などを測れば骨年齢がわかりますし、所要時間は10分程度。予約は特に必要なく、その日のうちに治療を始めることも可能です。女性はホルモンが減少し始める50代、男性は60代になれば要注意です。若い方でも、ご家族に骨粗しょう症の病歴があったり糖尿病や飲酒などの要因がある方は一度検査を受けてほしいですね。

見えない病気やニーズを読み取るのも医師の務め

小児科診療もお得意とお聞きしました。

川上剛理事長 川上医院3

最初は少し戸惑いもありましたが、もともと私はしゃべるのが好きなので、大抵の子はなついてくれていますよ。当院の特徴は、ご家族ぐるみで受診されている方が多いこと。若いお母さんがお子さんと一緒に治療を受けに来たり、おばあちゃんがお孫さんを連れて来たり、それを見ているとやって良かったと思いますね。地域密着の医療を実現する上で、家庭内の誰もが気軽に受診できる環境は大切だと感じています。診療や予防接種は0歳児から可能ですが、この地域は地域連携システムがたいへん充実しています。小児ならではの特殊な症例や重症の場合は、提携の医療機関へスムーズにつなぐ手はずを整えていますのでご安心ください。

患者さんを診察する際に、心がけていることは何ですか?

例えば「おなかが痛い」と訴える患者さんに胃の内視鏡検査を実施しても、何も見つからないことがあります。痛みがあるのなら、きっとそこに何か異常があるはず。私も以前はそう考えていたのですが、必ずしもそれだけではないということに気づきました。「病は気から」という言葉があるように、何らかの悩みが原因で胃の機能が落ちているケースもあるのです。内視鏡検査はあくまでプロセスであり、患者さんが言いたいことを読み取るのも内科医の仕事なんですね。こうしたメンタルが原因で体のバランスを崩している人に対し、どのようなアプローチができるか。それも私の大切なテーマの一つとなっています。

具体的には、どのような治療法がありますか?

川上剛理事長 川上医院4

ストレスや睡眠不足による胃の不調、近年話題となっている気象の影響を受けた不調や自律神経失調症、過敏性腸炎など、検査では特に問題がない、薬をもらっても治らないとよく相談を受けます。そうした患者さんに対し、何かしてあげられないかと考えていて出会ったのが漢方薬です。漢方薬の中にはストレスや胃の過緊張に有用なもの、冷え症や便秘に適したものなど、種類ごとにさまざまな特徴があります。「胃の痛みにはこれ」と症状だけで処方するのではなく、その人の体型や体質に合った漢方薬を選び、時には西洋薬と併用することで治療が進みやすくなるケースもあります。漢方薬は小児にも処方が可能で、飲みやすくするための工夫などもお伝えするようにしています。

「伝統を守る」とは、常に進化し続けること

来年で150周年とのこと。とても長い歴史のある医院ですね。

川上剛理事長 川上医院5

当院は1873年に開院し、初代から数えて私で5代目になります。私の高祖父は幕末の頃、あの緒方洪庵先生が開設した蘭学の私塾で学んだそうです。そんな時代に開院した、まさに地域密着型医院の先駆的な存在だったわけですね。当院のすぐ前には寝屋川が流れていますが、昔は天王寺から船で通ってくる人がいたという話も聞いています。子どもの頃は自然や動物が好きな少年で、小学生の時に学校の鶏小屋のそばでずっとエサをあげていて、なかなか帰ってこないのを親が心配して探しに来たほどです。今も琵琶湖へ釣りに行ったりして生き物探索をしています。

最近、新たに始めた取り組みがあれば教えてください。

オンライン診療に続き、マイペースでやり始めたのがSNSを利用した情報発信です。現代は病気の症状や治療法、薬の情報などをインターネットで誰もが検索できる時代になりました。それだけに情報が錯綜し、悩んでしまう人が多いんですね。それなら医師である私から積極的に情報を発信し、少しでも人の助けになればと考えたのが動機です。興味のない人が見ても素通りするだけですが、興味がある人にはきっと刺さるはず。無駄と思わずに続けていくことも大切ではないかと考えています。あと、先ほどお話しした食事改善のポイントや、お子さんの発熱や嘔吐、下痢などの対処法を、テーマごとに1枚にまとめたプリントをいくつか用意してお渡ししています。冷蔵庫にでも貼っておけば、いざという時にきっと役に立ちますよ。

最後に、今後へ向けたメッセージをお願いします。

川上剛理事長 川上医院6

ここ鶴見区は、大阪市内でも人口が増加している地域。若いファミリーが増え、子どもの新患の数も増えました。しかし、世代や年齢層が変わっても、地域の身近な存在という基本スタンスは変わりません。誰もが気軽に通って何でも相談できるような環境を、さらにしっかりと整えていきたいと思います。伝統を守るということは、単純に先人をまねるのではなく、時代やニーズに合わせて常に変革を行うこと。私がさまざまな形で新しいことに取り組んでいるのも、まさにそうした考えがあるからです。150年という伝統を大切にしながら、今後も地域の皆さんとともに歩んでいきたいと思います。

Access