笹瀬 晃弘 院長の独自取材記事
ササセ皮フ科
(大阪市淀川区/塚本駅)
最終更新日:2024/06/14

JR神戸線・塚本駅から徒歩1分。クリニックビルの最上階にある「ササセ皮フ科」は、全身のさまざまな皮膚疾患に対応するクリニックだ。エレベーターを降りてガラス張りの扉を開くと、広がるのはダークブラウンを基調とした待合室。受付の横に設置されたモニターから、さまざまな皮膚疾患を紹介する動画が流れる。診察や会計を待つ患者にさり気なく情報を発信することで、世の中の認知度が低い皮膚科疾患を知ってもらう狙いだ。「患者さんにとって、何か得るものがあるように意識しています」と話すのは、院長の笹瀬晃弘先生。同院を本院とし、近隣に分院として7つの皮膚科クリニックを展開する医療法人グループの理事長でもある。患者の声に耳を傾け、優しい笑顔で寄り添う笹瀬先生に、法人拡大までの経緯や、医療への想いについて語ってもらった。
(取材日2024年6月4日)
患者の声に耳を傾け、全身の幅広い皮膚の悩みに対応
どのような患者さんが来院していますか?

当院のある塚本は、大阪駅まで電車で1駅という立地から、人口密度の高い地域ですので、赤ちゃんから高齢の方まで幅広い層の患者さんがいらっしゃいます。アトピー性皮膚炎による湿疹をはじめ、ニキビ、ほくろ、皮膚感染症、うおのめや水虫など、お悩みの内容もさまざまです。当院は、まだ美容皮膚科という言葉が浸透していなかった開業当初から美容皮膚科にも取り組んできたので、お肌に関するご相談をいただくことも多いですね。当院のある淀川区や西淀川区は福祉に力を入れており、医療を必要とされている方に優しい町。最近は特に高齢の患者さんが増えていて、介護施設から通われている方もいらっしゃいます。
全身のさまざまな皮膚の悩みに対応していらっしゃるのですね、中でも特に力を入れている治療はありますか?
最近は爪の疾患の治療に力を入れています。例えば、巻き爪。特に高齢の方は、足先が見えなかったり、爪先に手が届かなかったり、爪が分厚くて普通の爪切りが使えなかったりと、足の爪を自分で切ることが難しい場合が多いんです。「自分で爪が切れないから」と放っておくと、爪がどんどん巻いてしまうなど、症状が悪化していくことも……。ですから当院では、爪切りにも対応しています。また、自分の爪の疾患に気づいていない方も多く、情報発信や啓発の大切さも感じています。当院では、診察の待ち時間に目にとめていただければと、待合室に設置したモニターに、症状やケアの方法についてまとめた動画を流しています。爪の疾患に限らず、まだまだ皮膚科の疾患として世の中に認知されていない症状がたくさんあるので、知っていただくきっかけになればうれしいですね。
本院の近隣に7つの皮膚科クリニックを分院として展開されているそうですね。

私が開業したのは、まだ皮膚科がそんなに多くない時代でしたから、当時は「もっと近くのほうが通いやすいけど、家の近所には皮膚科がないんです」と、わざわざ当院まで足を運んでくださる患者さんが多かったんです。時間をつくって通院してくださる患者さんのことを思うと、「ここに皮膚科あったらいいのにな」という声にお応えしたいという気持ちが自然と強くなりました。まずは、特に皮膚科クリニックの少なかった十三地区に分院を開設し、これを皮切りに、現在では本院の近隣に7つの分院を展開しています。今後も患者さんの声に耳を傾け、体制が整えば、さらにご要望にお応えしていきたいと思っています。
患者に寄り添い、QOLを落とさない治療をめざす
クリニックのモットーを教えてください。

患者さんに満足していただける診療をめざすことです。さまざまな皮膚疾患に対応し、「きれいに治すこと」はもちろん大切にしていますが、やはり患者さんの満足度が高くなければならないと思っています。そのために当院だけでなく、各分院にも隔たりなくこの考え方が浸透するよう、医師やスタッフの教育も工夫しているんです。例えば、グループ内では勉強会やミーティングを開催しているのですが、そういった医師やスタッフが集まる場で、診療のモットーや医療への想いも共有するようにしています。看護師や受付といったスタッフには、当院を含む8つのクリニックを循環して勤務してもらい、職員同士が交流できる機会をつくっています。これも、グループの各医院が近隣に展開しているからこそできることですね。
「患者さんに満足していただける診療」を実現するために、どんなことを心がけていらっしゃいますか?
どんな訴えで来院されても、患者さんにとって、何か得られるものがあるように意識して対応しています。例えば、当院には皮膚腫瘍で来院される患者さんが多いのですが、症状によっては当院での対応が難しい場合もあります。そんなときは連携体制を活用し、近隣の病院に紹介しています。貴重な時間を使ってご来院くださった患者さんに対して、「これはうちじゃありません」「うちでは何もできません」とは言えませんからね。たとえ当院では対応が難しいケースだったとしても、できる限りのことはして差し上げられるよう心がけています。
先生が診療において大切にしていることを教えてください。

皮膚疾患は基本的に命に関わるものではないので、患者さんにとって、その皮膚疾患が生活の中で、どの程度の比重を占めているのかを見極めることを大切にしています。同じ疾患に長年悩まされてきた患者さんの場合、症状がひどいと判断して強い薬を勧めても、「いつものことだから」と、あまり困っていないこともあるんです。きっとその患者さんにとっては、皮膚疾患は人生の数%くらいのウエイトで、もっと他にお悩みがあるのでしょう。だったら強引に治療を勧めるのではなく、患者さんのQOLを落とさないような治療をめざしたほうがいいのではないかと思うのです。医学的に推奨できるからといって、その過程で歩くのが困難になったり、毎日通院しなければなくなったりするのは、あまり現実的ではありませんよね。お話しする中で、その患者さんがどこまで求めていらっしゃるのかを見極めて、患者さんに寄り添った診療を行うよう心がけています。
長く付き合う中で、地域住民に愛されるクリニックへ
医療法人グループで展開するクリニックとして大切にしていることは、どんなことでしょうか?

サイエンス(科学)とエビデンス(根拠)、そして、エクスペリエンス(経験)を大切にしています。非科学的なことや根拠のないことはせず、一人ひとりの医師がしっかりと経験を積むこと。そのためには、たくさんの症例を診なければなりません。グループ内には多くの医師が在籍していますが、すごく慎重な医師もいれば、大胆な医師もいるため、症例を重ねてバランス感覚を得られるよう指導にも携わっています。どのクリニックも、患者さんに「ここに来て良かった」と思っていただけるような、地域で愛される存在にしていきたいですから。
先生の今後の展望をお聞かせください。
高齢の方へ向けた美容医療を充実させていきたいと考えています。患者さんからのご要望も非常に多く、今も力を入れて取り組んでいるのですが、本院のスペースの問題から、思うように対応できていないんです。まずは、プライバシーが確保できて、心地良くお過ごしいただける空間をつくることできれば、と。いずれは皮膚科医の娘と、形成外科医の息子と一緒に、今よりもさらに対応できる内容を増やしていきたいと思っています。そして、一人の患者さんと長くお付き合いしていきたいなと思っています。例えば、赤ちゃんの頃に当院へ通ってくださっていた方が、自分のお子さんを連れて来て頂けるくらい、長く診続けることができたらすてきですよね。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

今は誰でも自由に情報発信ができる時代ですから、便利な反面、皮膚科医からすると驚いてしまうような間違った治療法、間違った情報が世の中にあふれています。ですから、見聞きした情報をうのみにせず、皮膚科に長く勤務している経験豊富な医師の意見をぜひ聞いてみることをお勧めします。皮膚科だけでなく、形成外科でも美容医療に関してもそうですが、ちゃんと勉強してきたか、研鑽を積んできたか、経歴をきちんと確認することも大切です。当院では、経験豊富な医師が診療にあたっていますので、頭の先から爪先まで、皮膚に関することはどんなことでも、お気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは美容皮膚科(しわのケア)/3万3000円~