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炎症を起こすと手術が難しくなる粉瘤
気がついたら、早めの受診を

慶元クリニック

(大阪市東住吉区/鶴ケ丘駅)

最終更新日:2024/07/10

慶元クリニック 炎症を起こすと手術が難しくなる粉瘤 気がついたら、早めの受診を 慶元クリニック 炎症を起こすと手術が難しくなる粉瘤 気がついたら、早めの受診を
  • 保険診療

皮膚の下にできるできものの中で最も数が多いと言われる粉瘤(ふんりゅう)。年齢問わずできる良性疾患だが、原因は不明。基本的には痛みや腫れもなく、全身のどこにでもできる可能性がある。背中など自分の目が届かない所にできた場合、中から特徴的な臭いがするおから状のものが出てきたり、人に指摘されたりして、初めて気づく人も多いという。自然治癒することはなく、根治をめざすには手術が必要な疾患でもある。「特に不都合がないからと放置していると、炎症を起こしてしまう場合があります」と警鐘を鳴らすのは、「慶元クリニック」の慶元正洋院長。一度炎症を起こすと、手術の難易度が上がり、手術痕も大きくなってしまうそうだ。慶元院長に粉瘤の詳細やできた時の注意点、「くりぬき法」の特徴、術後に気をつけるべきことなどを聞いた。

(取材日2024年6月13日)

根治をめざすには手術が必要な粉瘤。炎症を起こす前なら、短時間で手術痕も小さい「くり抜き法」も選択可能

Q粉瘤とは何ですか?
A
慶元クリニック 気になる症状があれば早めに相談を

▲気になる症状があれば早めに相談を

良性のできものの一種で、皮膚の下にできた袋に、垢や皮脂が溜まることでできます。大きさは人によってまちまちで、小さいもので小豆大ぐらい、大きいものだとプチトマト2個分ぐらいのものもあります。全身のどこにでもできる可能性があります。通常の状態だと皮膚が膨らんでいるだけで、特に腫れや痛みもないため、背中など自分で見えない部分にできると人に指摘されて初めて気づく方も多いです。よく似た見た目の疾患に脂肪腫があります。脂肪腫とは脂肪の塊で、粉瘤との簡単な見分け方は表面の穴の有無。粉瘤には小さな穴が開いています。当院では超音波機器と術後の病理検査で粉瘤の診断を行います。

Q粉瘤の原因やできた時の注意点は?
A
慶元クリニック 「炎症を起こしてしまう場合があります」と話す院長

▲「炎症を起こしてしまう場合があります」と話す院長

粉瘤は小さなお子さんから高齢者まで年齢を問わずできますが、実はなぜできるのかはわかっていません。ただ、できやすい方がいるので体質もあると考えられています。粉瘤をギュッと押すと、表面の穴からおから状のものが出てきます。これは中に溜まった垢や皮脂ですね。それらを押し出すと粉瘤が小さくなりますが、その際にばい菌が入って粉瘤が炎症を起こすことも少なくありません。炎症を起こすと膿んで、ただの膨らみだったものが熱を持ち、赤く腫れて痛みます。また、粉瘤の壁が皮下脂肪とくっついてしまい、手術が格段に難しくなる、手術の痕も大きくなるなどのデメリットもあります。自分で絞らないようにしてほしいですね。

Q治療法についても教えてください。
A
慶元クリニック 見た目、傷痕に考慮した「くり抜き法」を採用

▲見た目、傷痕に考慮した「くり抜き法」を採用

根治をめざすために、外科手術で粉瘤を袋ごと取り出します。中身を絞り出すと小さくはなりますが、その場しのぎで、また徐々に大きくなってしまうのです。手術には切開法とくりぬき法があります。粉瘤が炎症を起こしている場合は、先に切開して中の膿を出し切る処置をします。その際、中に膿が残っていると炎症を再発してしまうので、全部の膿を確実に出し切るために大きく切らなくてはいけません。その後、炎症が落ち着いてから粉瘤を摘出する手術を行います。炎症を一度起こした粉瘤は袋の境界線があいまいになっているため、袋を完全に取り去るためには、切開法で大きく開いて目で境界線を確認しながら袋を切り離す必要があります。

Q「くり抜き法」とはどのような手術ですか?
A
慶元クリニック 診察後そのまま日帰り手術できる場合もある

▲診察後そのまま日帰り手術できる場合もある

くり抜き法は、小さなパンチで粉瘤に穴を開ける手術法です。開いた穴から自然と内容物があふれてくるので、絞れる分は出し切り、残った袋を穴からたぐりよせて周りから切り離していきます。手術痕は通常3ミリ程度、大きくても5ミリほど、と粉瘤の直径分ぐらいの痕ができてしまう切開法と比べると小さく済むことがほとんどです。また、当院ではくり抜き法でできた小さな穴も、基本的にはすべて縫合します。縫うと傷口が線になるため、穴のままよりも傷の量が少なくなり、より目立たなくなるからです。手術時間は粉瘤の大きさや状態にもよりますが、小さな粉瘤なら5分ほど、大きいものでも15分くらいです。

Q術後の過ごし方を教えてください。
A
慶元クリニック さまざまな患者に寄り添いながら処置を行う

▲さまざまな患者に寄り添いながら処置を行う

手術当日は感染予防のため、お風呂には入れません。また手術当日と翌日は、アルコールを摂取すると血行が良くなり、血腫のリスクが上がってしまいます。できるだけ飲酒を控えるようにしてください。当院では手術を土曜日にすることが多く、週明けに状態確認のために来院をお願いしています。問題がなければ、そこからはシャワー浴をしてもらって構いませんが、傷口に水が掛からないように気をつけてください。術後1週間ほどで抜糸をします。その後は、以前どおりお風呂に入ってもらって大丈夫です。傷は乾いてしまうと治りが悪くなり、痕も目立ちやすくなってしまいますから、痕が気になる場合は、抜糸後はしばらく保湿すると良いでしょう。

ドクターからのメッセージ

慶元 正洋院長

粉瘤は誰にでもできて、場所によっては見落としがちな疾患です。皮膚に膨らんだ場所がある、押すと臭い汁が出るなどの兆候があったら、本当に粉瘤であるかを診断するためにも、早めに受診してほしいですね。痛みがないからと放置していると、炎症を起こしてしまう場合もあります。特におでこなど人目に付きやすい場所にできた場合は、手術痕が目立ちにくいくり抜き法が良いと思うので、炎症を起こす前に来ていただければと思います。粉瘤の手術をご希望の方はあらかじめ電話で予約をしてもらえると、診察後そのまま日帰り手術できる場合もあります。米粒ぐらいの大きさでも手術が可能ですので、お気軽にご相談ください。

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