慶元 正洋 院長の独自取材記事
慶元クリニック
(大阪市東住吉区/鶴ケ丘駅)
最終更新日:2025/12/26
東住吉区に密着した総合診療を行う「慶元クリニック」は、慶元正洋院長の父、慶元光男名誉院長が1994年に開院したクリニック。「診察を待つ間もリラックスできるように」と、3ヵ月かけて全面改装を終えたばかり。慶元院長は、子どもの頃から地域医療の大切さを父に説かれたことで、同院での診療を目標とし、専門の消化器外科の他、内科、救急科でも研鑽に励んだ。同院に就任し3年目にして地域住民との関係性を築けているのは、そんな努力の賜物だろう。医師の判断次第で患者の健康は一瞬で損なわれる。だからこそ、必要な時は地域の医療機関への紹介を瞬時に判断している。「患者さんと連携病院の信頼に応えなければいけない」と話す慶元院長に、クリニックの現在から、地域に貢献する熱い想いまでを聞いた。
(取材日2025年9月18日)
地域医療に携わることを念頭に、幅広く学び続けた
先月リニューアルオープンされて、来院した患者さんからの反響が良いそうですね。

はい。「待合スペースが広くなり待ち時間も快適」と喜んでくださり、私もうれしいですね。父が開業した三十数年前と今では、医療もまったく変わりました。さまざまな医療機器が増え、設備の基準も予約のシステムも大きく変化し、昔のデザインのままではどうしても無理になり、改装を決心しました。待合室と受付周りは、医院の顔でもありますから、一番こだわりましたね。構想に1年をかけ、建物を一旦すべてスケルトンにして全配置をやり直しました。建築士、設計士の方に恵まれたことも良かったですね。「医療機関らしくしすぎないように」という私の希望を、いろいろなアドバイスとアイデアで応えてくれました。カフェ風の色調や、女性専用トイレの設置も含め、じっくり3ヵ月かけて着工したので、できあがりにとても満足しています。
先生が医師をめざされたきっかけと、継承の経緯について伺います。
私は外科の医師だった父の背中を、子どもの頃からずっと見てきました。私が10歳の時に当院を開業してからも、ずっと忙しく、朝早く家を出て深夜に帰る生活を送る姿を見て「手伝いたい!」と思ったのが、医師をめざしたきっかけです。大学卒業後は、まず大阪公立大学医学部附属病院で2年間臨床研修を受けた後、当院近くの東住吉森本病院の外科に入職して、研鑽を積みました。さらに内科疾患にも対応できるよう、関西電力病院の消化器・肝胆膵内科に転職。消化器疾患の診療経験を積み、胃内視鏡や大腸内視鏡の検査技術を習得した後、再び東住吉森本病院へ。救急・総合診療センターで3年間救命救急に携わり、日本救急医学会救急科専門医の資格を取得して、2023年4月に当院院長を継承しました。
なぜ救命救急を経験しようと思われたのですか?

医師になった時から、将来、ここに戻って地域医療に携わろうと考えていたからです。当院は慢性疾患の定期的な受診が基本で、病状の変化がない患者さんがほとんどです。しかし、それでも絶対に見落としてはいけない瞬間があります。その瞬間に気づいて、適切なタイミングで地域の病院に紹介することは、地域医療における大事な役割の一つで、その瞬間を見逃さない嗅覚を養うには、救急科診療が最適だと考えたからです。実は病院に勤務していると、地域のクリニックの先生方がその瞬間を捉えて病院に紹介してくれるため、そういう感覚を磨く機会がなかなかないのです。3年間を過ごした東住吉森本病院は、多くの救急車を受け入れていたので経験を積みながら、この地域の地域性も学ぶことができました。
粉瘤手術や肛門内科等「どんな疾患もすぐに対応する」
理事長からクリニックを継承する際に、何か重視されたことはありますか?

30年を超える時間の重みです。長い方だと3世代にわたって通ってくださる患者さんもいます。長年の関係性があるところに、理事長の息子ではありますが、よく知らない医師が来たらぎこちなく感じることもあるでしょう。今まで積み上げてきた関係を裏切ってはいけない、と理事長同様「患者さんファーストの姿勢」を一番に考えました。スタッフにも患者さんの不安を解消するために、積極的に声をかけてもらうようお願いしながら、そこで得られた情報は、診療にあたる際に共有しています。幸い長く勤めてくれているスタッフばかりなので、患者さんのことも良く理解してくれています。これも三十数年診療するクリニックの利点であると思います。
診療内容についても教えてください。
専門の一般外科を中心に、内科や整形外科などの地域のニーズに応える幅広い診療を提供しています。年齢層は2歳くらいから、幅広い年代の患者さんが来られ、症状は糖尿病・高血圧症・脂質異常症といった生活習慣病が一番多く、風邪や体調を崩した方、けがや切り傷などの外傷で来られる方もいらっしゃいます。当院では、糖尿病の採血結果が3分で出る機器を導入しています。糖尿病は進行すると失明したり透析が必要になったりと、生活の質を大きく落とす可能性がある疾患のため、早い段階で検査をし、早く見つけて治療に取りかかれるようにしたいと思うからです。また消炎鎮痛にも対応していて、首のけん引機などの物理療法機器も整備。膝や腰の痛みの治療、首のヘルニアなどのリハビリテーションも受け入れています。
粉瘤の日帰り手術や、肛門内科の診療もされているそうですね。

粉瘤とは良性のできものの一種で、皮膚の下にできた袋にあかや皮脂が溜まってできます。体のどこにでも発生する可能性があり、通常は特に腫れや痛みもありませんが、炎症を起こすと膿んで熱を持ち、赤く腫れて痛むので、手術で除去します。おでこなど人目につきやすい場所にできた場合には、手術痕が目立ちにくい手法もありますので、どうぞご相談ください。肛門内科も父の頃から診療しており、粉瘤と並びピンポイントに定期的に受診する患者さんがいらっしゃる症状です。お薬で治療していきますが、痛みがひどく、座っているのもつらそうな方には、当日、手術をお勧めすることもあります。術後のアフターフォローもできますので、気軽に受診してください。
子ども頃から念頭にあった、地域に貢献する医療を実現
先生が診療する上で大切にされていることは?

どんな疾患にもすぐに対応することです。症状の度合いや初診の患者さんか長年来ていただいている方かなどで区別することなく、とにかく目の前にいる患者さんに全力で取り組んでいます。治療に関しては可能な限り、患者さんの負担が少なく安心してできる治療を優先的に選びます。例えば、糖尿病治療だと薬剤の注射と内服の2つの方法がありますが、自分で注射を打つことに不安を感じる方も多いと思います。そういった場合は内服薬で対応しますし、飲むのも1日3回よりは2回、2回よりは1回で済む薬を提案するなどしています。また、患者さんは必ず何かしらの不安を抱えていますから、それを1つでも解消して笑顔で帰ってもらいたいとも考えています。疾患を治療する以外にも患者さんが笑顔になれるよう常に探して提供し、来て良かったなと思ってもらえるように尽力しています。
ご兄弟も近くで診療されているそうですね。
はい。兄は西田辺駅近くの、当院から徒歩10分の場所で歯科医院を、弟は当院から徒歩2分の場所で整形外科クリニックを開業しています。興味のある分野が三兄弟で違っていたので、診療科はバラバラですが、その分、兄弟と連携することで自分だけでは対応しきれない地域の方々の幅広い悩みをカバーできると思っています。実際に、兄弟間でよく相談もします。やはり家族だと信頼感がありアドバイスを求めやすく、答えるほうも遠慮なく言える部分があると感じています。父が開いたクリニックを30年間育ててくれたこの地域に恩返ししたい気持ちは皆一緒ですので、兄弟で連携を取りつつ、地域医療に貢献していきます。
今後の展望と読者へメッセージをお願いします。

外科、消化器内科、救急科と今まで多くの症例を診てきたので、生活習慣病から外傷、お子さんの発熱や婦人科疾患も対応可能です。来てもらった患者さんを診ることなく断ることは、絶対にありません。救急で養った「この瞬間に何をするべきか」という直感と行動力、「何か異変はないか」を見極める嗅覚を動員し、皆さんに貢献してまいります。地域の病院とも、これまで通り密接で良好な連携を築き、当院で手に負えないと判断した時には、しっかりとご紹介する体制も整えています。東住吉区の人々の健康を守るために、これからも努力を惜しみません。ちょっとした不安や悩みでも、どうぞ気兼ねなく受診してください。

