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小竹 淳一朗 院長の独自取材記事

小竹クリニック

(大阪市城東区/鴫野駅)

最終更新日:2023/05/23

小竹淳一朗院長 小竹クリニック main

大阪市城東区の鴫野駅から徒歩わずか1分ほどの場所にある「小竹クリニック」は、70年にわたり地域の人々の健康を守ってきたクリニックだ。現在院長を務めるのは、祖父の代から3代目に当たる小竹淳一朗先生。将来的に同クリニックを継ぐことを念頭に置き、複数の病院で内科から外科まで、さまざまな診療を経験してきた。父でもある先代の思いを継いで、昔からある「庄屋」のような存在になるべく、地域の人々のために日々奮闘している。通うのが難しくなった患者のもとへは自転車で往診に向かうスタイルも先代と同じ。そんな小竹院長に、同クリニックを継承した経緯や地域医療にかける思いなどについて聞いた。

(取材日2022年12月13日)

地域の患者のために、先代の思いを引き継いで診療

こちらのクリニックを継承しようと考えたのはいつからですか?

小竹淳一朗院長 小竹クリニック1

父からは「自分でやりたいことをやったらいい」と言われていましたので、最初は京都大学の理学部に進学しました。でも、授業を聞いていてもぴんと来るものを感じなくて。人と関わる仕事がしたいなと思うようになり、休学して医学部を受験し直したんです。父が仕事をしている姿を見て、患者さんに「ありがとう」と言われたり、楽しそうに話したりしている姿が印象に残っていたのでしょうね。最初は、薬では治せないものを治療することができる、また医師として治療の最終的な手段をきちんと知りたいという思いから外科に進みました。日々外科の医師として多くの経験を積む中で、だんだん地域医療に対する思いが高まり、いずれ父のクリニックを一緒にやっていこうと考えました。そしてそのための準備を始めたのです。

具体的にはどんな準備をされたのですか?

外科時代は、内視鏡を使って胃ろうをつくるようなことも一生懸命やっていましたが、開業医は全身管理など総合的に診る必要もありますので内科に転科することにしたんです。当院は以前から幅広く診療していたので、内科だけでなく外科、整形外科も含めてさまざまな知識を得ることに重点を置き、複数の病院に勤務しました。「うちでは診られないから他に行ってください」ということはできるだけ言いたくないですから。知識があって、自分がどこまで対応できるかまでわかっていれば、必要に応じて適切な場所へきちんと患者さんを送ることができます。そのタイミングを見逃さないために、これまでにいろいろなことを経験してきたつもりです。

先代であるお父さまは、非常に地域の方に慕われていたそうですね。

小竹淳一朗院長 小竹クリニック2

ええ。今でも3世代、4世代と長年にわたりかかりつけにしてくれている患者さんが本当にたくさんいます。父は患者さんの家族関係などをすべて把握していました。私はまだその域には達していませんが、患者さんのバックグラウンドを知っていることは診療の上でプラスになっています。父のおかげで、地域の皆さんが「ここに来たら遠慮なく相談できる」ということをわかってくれているのではないでしょうか。「こういうことを聞いたら駄目なんじゃないか」などと考えることなく、いろいろな症状について素直にお話ししてくださるのはありがたいですね。

薬だけに頼らない、その人に合った治療を提案

先生が診療で心がけているのはどんなことですか?

小竹淳一朗院長 小竹クリニック3

なるべく今まで当院がやってきたことを崩さないようにと努めています。当院で診ることができる症状に関しては、すべて把握した上で、手に負えないと思った際にすぐに紹介するという姿勢も大事です。前院長の時はどちらかというとご本人の話を聞いてメンタルのことまでケアできている状態でしたが、それが難しくなってきたので、最近は血液検査の結果や、診察した上でその方に合わせた食事指導や運動療法などをこちらから提案するという方針に転換し、なるべく薬だけに頼らない治療を進めています。皆さんに「しっかり歩いてください」「食べすぎないでください」と言っても、それぞれ状況も症状も異なりますから。その方に合った歩き方や運動の仕方、食事の仕方などのアドバイスを心がけるようにしています。昔から家族ぐるみで受診される患者さんが多いので、家族構成やご家族の体格、嗜好などわかっていることが多く、その面ではアドバイスしやすいですね。

内科的なこと以外にもアドバイスはありますか?

皮膚疾患では、「なぜこの軟膏をこのタイミングで使うのか」という説明もするようにしています。皮膚に関しては食事や生活スタイルがどういうふうに影響するのか、皮膚のコンディションを保つためにはどういった生活を送ればいいのかといったことも内科と絡めて説明するように心がけているんです。簡単なことで言えば、辛い物やお酒を飲むと肌がかゆくなったり、荒れてきたりしますよね。そういったことや、ニキビができやすい方に対して食べたら良くない物や、でも食べたい場合はどうしたらいいのかなどについてもお話ししています。また、手が荒れているのになかなかケアできないという方には、「道具は手入れしてあげないと駄目になってしまいます。手も自分の大事な道具ですから、ちゃんとお手入れするようにしましょう」というような例え話をしてアドバイスをしていますよ。

患者さんのために気をつけているのはどんなことですか?

小竹淳一朗院長 小竹クリニック4

私は体が大きく、びっくりする方がいらっしゃると思うので、話しやすいように表情や最初にお声がけする際の声のトーンにも気をつけています。後は、説明する際にあまり深刻になってしまうと、患者さんが受け入れづらくなることもあると思いますので、なるべくかみ砕いて受け入れやすいようにお伝えするよう努めています。総じて、できるだけ話しやすい環境をつくろうと思っていますね。また、当院では対応が難しい症例は適切なタイミングで病院への紹介が必要となりますが、最近はいろいろな先生方と知り合う機会を設け、こういう疾患はどこが得意なのかなど情報を集め、紹介先の選択肢を増やしています。

高齢者が取り残されない社会に

往診を続けるなど、先代の院長のスタイルを引き継いでいらっしゃいますね。

小竹淳一朗院長 小竹クリニック5

私がめざす医療は、病気を診るだけではなく、ある程度患者さんの全体を理解した上で、その人に合った治療を提供することです。前院長がやってきたことは、昔話に出てくる「庄屋さん」のようなこと。地元の方々のまとめ役のような存在として、なんでも相談できる状況をつくってくれていましたので、その状況をなるべく維持して、その方に合った医療を提供したいというのが私の想いでもあります。往診に関しては、今でも力を入れています。かかりつけの患者さんから家で倒れた、めまいで身動きが取れないなどの連絡をもらうと、看護師さんにも協力してもらってご自宅まで行き、診察なり点滴なりを行います。当院の診療時間が午前中と17時から20時までなのは、午後の時間に往診に対応するためでもあります。緊急事態の場合は救急車を呼んでもらうケースもありますが、私がなんとか手助けできそうなときは、できるだけ患者さんのもとへ訪れています。

今後の展望を教えてください。

今この地域はどんどん変わっていっていますので、変化の波にお年寄りが取り残されてしまうかもしれないという不安があります。そんな高齢の方々のケアができるような体制づくりをなるべく早く進めたいと考えているところです。それは私1人の力では難しいことなので、ほかの先生方のお力も借りて、城東区の地域医療を底から支えていける存在になれたらと思っています。そのためにどの医師でも情報を共有できるようなシステムの構築をすでに始めています。後何年かかるかわかりませんが、開業医のチームとして地元の役に立つことができれば幸いです。

最後に、地域の皆さんにメッセージをお願いします。

小竹淳一朗院長 小竹クリニック6

最近は、新型コロナウイルス感染症の出現を契機に家族の関係が希薄になりつつあり、お年寄りの方は孤立しやすくなっている状態だと思います。ですので一度あらためて、身内の方やお近くの方のことを見直す機会を持っていただきたいです。そして何か困っていること、不安になっていることがあれば自分の中にため込まずに、相談できる場としてぜひ当クリニックなどをご活用ください。

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